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職場環境とは、職場内の人間関係や室内環境もしくはその両方を指すものです。職場環境の良しあしは、既存の従業員のモチベーションを大きく左右するのはもちろん、求職者にとっても企業を選択する際の重要な条件のひとつとなります。では、従業員にとって良い職場環境とはどのようなものを指すのでしょう。今回は、職場環境の構成要素や働きやすい職場環境をつくるためのポイント、改善点についてお伝えします。

職場環境が重要な理由

職場環境は、従業員の意欲や離職率など生産性に直結するため、重要とされています。職場環境が良好であれば、次のような効果が期待できます。

・従業員の満足度向上

良好な職場環境は働きやすさや充実感をもたらします。人間関係が良い、業務にやりがいを感じるなど、さまざまな理由によって従業員の満足度と意欲を向上させることができるのです。

・ストレス軽減

業務や人間関係の負荷は、ストレスとして従業員の心身を蝕む可能性があります。これらのストレス要因が減れば、心身の健康が損なわれにくくなるでしょう。

・離職率の低下

職場環境が良好であることは従業員のモチベーションに大きく影響します。「これからもここで働きたい」と思ってもらうことで、定着率を高めます。

職場環境の構成要素

職場環境とは、仕事を行う場所の環境を指すものです。一般的には、オフィスの環境やオフィス内での人間関係などを意味しますが、テレワークが増加したことで、自宅やサテライトオフィス、コワーキングスペースなども含まれるようになりました。それぞれについて詳しく見てみましょう。

オフィス環境

オフィスレイアウトや執務室、休憩室、会議室などの広さ・設備・備品などオフィス全体の環境を指します。また、オフィス内の温度や清潔さ、最近では感染対策が徹底されているかどうかもオフィス環境のひとつです。そのほか広義では、福利厚生や給与、休暇、残業の多さなども含まれます。

オフィスレイアウトについてより詳しく知りたい方は、『オフィスレイアウトを工夫して業務効率化を目指そう』の記事もご覧ください。

人間関係

上司と部下や部署全体の人間関係も職場環境のひとつです。具体的には、「コミュニケーションは取りやすいか」「職場外での付き合いはあるか」「大きなストレスを抱えている従業員はいないか」といったことが重視されます。

社内コミュニケーションについてより詳しく知りたい方は、『社内コミュニケーション活性化のために試したい、9つのアイデア』の記事もご覧ください。

自宅およびオフィス外の環境

テレワークを導入している企業にとっては、従業員の自宅やサテライトオフィス、コワーキングスペースも職場です。「業務に必要なデバイスや機器はそろっているか」「セキュリティ対策は万全か」「オフィスで働く従業員とコミュニケーションを取れる環境が整備されているか」といったことが挙げられます。

従業員にとって働きやすい職場環境とは?

従業員にとって働きやすい職場環境とはどのような環境なのでしょうか。ここでは、「オフィス環境」「人間関係」「自宅やオフィス外の環境」「業務内容」「福利厚生・制度」「労働条件」の要素に関し、それぞれの働きやすい環境について説明します。

働きやすいオフィス環境とは?

・設備・備品の充実

業務に必要な設備や備品がそろっているだけではなく、それらが常にメンテナンスされていて、いつでも快適な業務が行える環境が求められます。

・状況に応じた働き方ができるスペースの設置

思い立った際に予約の必要なく気軽にミーティングが行えるスペースがあることや、一人で集中したいときに使えるスペースが用意されていることが大切です。

集中ブースについてより詳しく知りたい方は、『コミュニケーションと集中のメリハリを実現する集中ブースの効果的活用方法』の記事もご覧ください。

・効率的に働けるレイアウト

たとえば、コピー機がミーティングルーム内もしくはすぐ近くにあるなど、オフィス内で無駄な動きをしなくてもよいようなレイアウトが必要になります。また、営業部と販売部、マーケティング部など関連部署、チームが隣り合っていることも効率的に働くうえで欠かせないポイントです。

・感染対策の徹底

これからのオフィスは感染対策の徹底も欠かせません。日々の殺菌、消毒はもちろん、ソーシャルディスタンスを意識したレイアウト、換気対策なども意識する必要があります。

感染対策についてより詳しく知りたい方は、『オフィスにおけるソーシャルディスタンスとは?感染予防のためのレイアウトを紹介』の記事もご覧ください。

・室内環境

室内の明るさ、温度や室温、もしくは空調、騒音などが該当します。これらの環境が悪いと、業務に集中しにくいものです。人によって最適な環境は異なるため、完璧を求めるのではなく多くの従業員が妥協できる範囲を模索しましょう。

働きやすい人間関係をつくるには?

・人間関係の構築がしやすく社内のつながりが実感できること

所属部署やチームに関係なく社内イベントを開催し、社員が集まり関係を築く機会を設けるとよいでしょう。一方で、業務に集中しやすいスペースも確保し、個人の生産性が担保されつつ、気軽に周りと会話や意見交換ができるというバランスも重要です。

・コミュニケーションを取れる環境の整備

上司との定期的な面談実施のほか、社内SNSやグループチャットといったコミュニケーションツールを導入し、コミュニケーションを取れる環境の整備も求められます。

※コミュニケーションツールとしてのリモート会議導入について、詳しくは『リモート会議とは?メリット・デメリットや円滑に行うポイントを解説』をご覧ください。

・コミュニケーションが取れるレイアウトの工夫

カフェスペースの設置、フリーアドレスの導入など、イベントや面談だけではなく普段から気軽にコミュニケーションが取れるレイアウトを工夫するのも人間関係構築に欠かせないポイントです。

カフェスペースについてより詳しく知りたい方は、『社内コミュニケーション活性化に効果!事例で見るオフィスカフェの効能』の記事もご覧ください。また、オフィス内でのコミュニケーション活性化については、『職場内コミュニケーション活性化の実現にいますぐ取り組める施策とは?』の記事で解説しています。

・情報共有の徹底

もちろん一定の閲覧ルールは必要ですが、必要な情報には誰でも簡単にアクセスできるようにします。また、その際、策定するルールは、明確かつ透明性が高いことも重要です。

情報共有について詳しく知りたい方は、『情報共有の重要性とは?コミュニケーションが生まれやすいオフィス』の記事もご覧ください。

働きやすい自宅・オフィス外施設とは?

・ペーパーレス化の実施

資料確認や押印だけのために出社しなくてはならないようでは、自宅やオフィス外では集中して仕事ができません。ペーパーレス化を実施し、できるだけ無駄な出社を減らすようにしましょう。

ペーパーレス化についてより詳しく知りたい方は、『ペーパーレス化が進まない理由とは?推進のポイントを考える』の記事もご覧ください。

・デバイスの貸与

デバイスの選択を従業員任せにすると、スペックの差による作業量の違いやセキュリティ対策に不安が残ります。そこで、パソコンやスマートフォンなどは会社側から貸与し、安心してスムーズに業務を行えるようにすることが必須です。

・オフィス外施設の積極的な活用支援

事情によっては自宅で仕事をできない従業員も少なくありません。そこで、サテライトオフィスの設置やコワーキングスペースとの契約など、従業員がオフィス外で働けるための支援を積極的に行うようにします。

働きやすい業務内容とは?

業務内容と従業員本人の力量が合っていると、作業がスムーズに進みます。また、勤務時間内に終わるような、適切な作業量であることも重要です。上司が本人の能力を正しく把握しましょう。

働きやすい福利厚生や制度とは?

福利厚生は健康診断の実施、スポーツジムやレジャー施設の割引などさまざまなものがあります。また、カフェテリアプランのように多くのメニューから従業員が選択できるタイプもあります。複数の選択肢があるなかで、自社の従業員に支持されるものを選択し、研修制度の充実などにも気を配りましょう。

働きやすい労働条件とは?

残業時間が多いと過酷な職場だと判断されます。また、残業時間はそう多くなくても、突発的な休日出勤が発生したり、有給休暇が取りにくかったりする職場は条件が悪いと言えるでしょう。また、社内で部署ごとに残業時間や有休取得率に大きな差が出るのも好ましくありません。公平性の面から、社内の「働きやすさ」の平準化を目指します。

職場環境のよくある課題と解決策

上述した「オフィス環境」「人間関係」「自宅やオフィス外の環境」「業務内容」「福利厚生、制度などの労働条件」の要素に関し、よくある課題と解決策を紹介します。

オフィス環境編 リラックスできるスペースがない

仕事は緩急が重要です。集中して仕事をするほど、気分転換やリラックスが必要になりますが、業務以外のスペースがないオフィスも少なくありません。

現状のオフィスを最大活用する方法があります。具体的には、レイアウト変更によるリラックススペースの設置です。コミュニケーションを取る場としても利用できるため、人間関係を深める効果も期待できます。まとまったスペースとどうしても取れないときは、観葉植物を配置したり、コーヒーメーカーを用意してコービータイムを取れるようにしたりする方法もあります。

人間関係編 コミュニケーションの齟齬

多くの従業員が集まるなかで、職場のコミュニケーションがうまくいかないこともあるでしょう。

そのようなときは、コミュニケーションの取り方を見直してみましょう。例えば、ハイブリットワークやデジタル化が主流になった現在でも従来型の対面を前提としたコミュニケーションを取っていないでしょうか。

また、主にマネジメント層において、パワハラやセクハラを恐れてコミュニケーション自体を敬遠していないでしょうか。相手に配慮しつつも、積極的に気遣うことは必要です。コミュニケーション自体の不足があるときは、マネジメント層向けの研修を実施してもよいかもしれません。

自宅およびオフィス外の環境編 テレワーク時のルールが整備されていない

テレワークは作業の自由度が上がる分、どのように作業してよいか迷うことも多いでしょう。たとえば、テレワーク時にカフェの業務は可能か、公衆Wi-Fiを利用してもよいか、社用PCにおいて業務に便利なアプリをダウンロードしてよいか、もしくは社用PCの調子が悪いときに私用スマートフォンからの社内システムへアクセスしてよいかなど、疑問に感じる作業は多々あります。

解決策として、テレワーク時のルールとセキュリテイガイドラインの整備と周知をおすすめします。テレワークの作業環境は個々で異なりますので、従業員の疑問を聞き取ったうえで整備していくと、安心してテレワークできる体制が整備できるでしょう。

業務内容

業務内容が従業員本人の力量と比べて極端に簡単であったり、難易度が高かったりすると、意欲がそがれます。また、業務量が多すぎると、力量に合ったものでも意欲よりも疲弊感が勝ってしまいます。さらに、裁量権も重要です。力量や業務量が適切でも、自由度や決定権のない仕事は楽しさを見出しにくいからです。

適切な業務を割り当てるためには従業員と上司が定期的な面談を行い、従業員の感じ方を理解することが有効です。ただ、時間がかかる方法ですので、進捗の可視化も実現するとよいでしょう。各従業員の負担が可視化されれば、進捗状況に応じて調整できます。

なお、面談では従業員の能力と業務全体の理解度を見据えて裁量権を付与しましょう。業務の裁量権があると責任は重くなりますが、その分充実感を得られ、業務を改善させようという意思も生じやすくなります。

福利厚生や制度

福利厚生は多くの種類がある一方で、予算には限りがあります。そのため、従業員のニーズに合ったものを選択しなければなりません。また、よい制度があったとしても、従業員にそれが知られていないこともあります。

福利厚生や制度の利用率を確認しましょう。あまり使われていないようならば、ニーズがないのか、ニーズはあっても利用しにくいだけなのかを見極めます。ニーズがないときは、他の福利厚生に切り替えを検討します。利用しにくいことや制度が知られていないことが判明した場合は、改善や周知に努め、福利厚生の活用を促進します。

労働条件

残業や休日出勤、有給休暇の取得率低下については、当の従業員にとってはそれが当たり前になってしまっていて、改善しにくいかもしれません。

企業側が問題意識をもって改善にあたることが重要です。もしも従業員が改革を望まない場合は、工程を確認して無駄を見つけ出す、残業時間をグラフにして可視化するなど、改善の余地があることを周知することから始めるとよいでしょう。周知によって、企業と従業員が共通認識をもって改善に当たれます。

職場環境を改善するためのポイント

職場環境を改善するためにはいくつかのポイントがありますが、ここではそのなかでも重要なポイントを3つ紹介します。

現状の把握

従業員の現在の状況を把握しましょう。アンケートや面談などで現在の職場環境に満足しているか、不満がある場合、何が不満なのかを明確にします。面談やアンケートでは把握しきれない点については、従業員のストレスチェックを行うのがおすすめです。

業務プロセスの見直し

業務プロセスの見直しを行い、従業員に多大な負担がかかっているものがあれば、配置転換やシステム導入による自動化などを行いましょう。できるだけ負担を減らし、快適に働ける環境づくりを目指します。

多様な働き方の実現

テレワーク、ハイブリッドワーク、時短など従業員の状況に合わせて多様な働き方ができるようルールを整備します。また、基本的には自身の裁量で働き方を選べるようにすることも重要です。

ハイブリッドワークについてより詳しく知りたい方は、『ハイブリッドワークとは?テレワークの定着を実現させるポイントと注意点』の記事もご覧ください。

良い職場環境をつくるには現状の把握が重要

良い職場環境をつくろうとする際には、設備や備品の充実、コミュニケーションの活性化なども重要ですが、それ以上に重要なポイントは、現在、従業員が何に不満を持っているのか、それをしっかりと把握することです。それを把握する前に改善をしようとしても的外れなものになってしまう可能性が高いでしょう。

何をするにせよ、現状を把握から始めなければなりません。改善や新たな試みは周知も必要です。また福利厚生や制度、労働条件等を整えたところで、コミュニケーションが不足しているとそれらも円滑に機能しないでしょう。活発なコミュニケーションを行うためには常日ごろから何でも話し合える関係性の構築が欠かせません。

テレワークにおいては、ルールの整備やコミュニケーションツールを導入することで、安心して働けて、スムーズにコミュニケーションが取れる環境を整えていきます。オフィスについては、カフェスペースやマグネットスペース(マグネットゾーン)の設置により、気軽に雑談ができる環境を整えることが、職場環境づくりの大きなカギとなるでしょう。

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