この記事でわかること
- フリーアドレスの定義と種類、ABWとの違い
- フリーアドレスのメリットと、失敗しやすい注意点
- フリーアドレスが向いている職場と向かない職場、プラスが手掛けた納入事例
フリーアドレスとは、従業員が固定の席を持たず、業務やその日の状況に応じて空いている席を選んで働くオフィスの運用方法のことです。リモート勤務の浸透により、オフィスの席が余っている、部門を越えた会話を増やしたい、といった背景からフリーアドレスを検討している企業は増えています。
一方で、フリーアドレスは目的やルールが曖昧だと形骸化しやすい面もあるため、慎重に導入するプロセスが必要です。この記事では、フリーアドレスの種類やメリット、注意点のほか、導入の進め方などについて解説します。

フリーアドレスとは、共用のデスクを選んで働く座席の運用方法
フリーアドレスとは、固定席を持たずに席を選んで働くオフィスの運用方法のことです。なお、フリーアドレスは和製英語です。英語圏では、固定席を持たない働き方をホットデスキングと呼ぶことがあります。フリーアドレスの主な目的には、オフィススペースの最適化と、部門を越えたコミュニケーションの増加が挙げられます。
まずは、フリーアドレスとABWとの違い、そしてフリーデスクの種類とデスクの配置について見ていきましょう。
<フリーアドレスとは、共用のデスクを選んで働く座席の運用方法>
- フリーアドレスとABWとの違い
- フリーデスクの種類とデスクの配置
フリーアドレスとABWとの違い

フリーアドレスはオフィス内の座席運用のことを指し、ABW(Activity Based Working)は業務に合わせて場所と時間を選ぶ働き方であることが大きく異なります。フリーアドレスはオフィス内での座席選択に限られる一方、ABWは集中ブース、カフェ、在宅、サテライトオフィスなど、社外の空間も選択肢に含みます。
フリーアドレスの種類とデスクの配置
フリーアドレスに必須となる、従業員が自由に利用できるフリーデスクの配置パターンは、席の共用範囲によって完全型とグループ型に分かれます。デスク配置には対向・背面・クロス・ブーメランなどの種類があり、面積効率や会話のきっかけ、集中力の促進といったバランスが配置ごとに異なります。
完全型は、出社率が低い職場に向く一方、席の偏りと従業員の所在把握が課題になりやすいでしょう。グループ型はチームの一体感を残しやすい一方、完全型より席の空きが出やすい傾向があります。
■フリーアドレスの種類
種類 共用の範囲 向く職場 注意点 完全型 オフィス内の席を広く共用する 出社率が低い職場 席の偏りと所在の見えにくさ グループ型 部門やプロジェクトのエリア内で自由 チームの一体感を残したい職場 完全型より空きが出やすい
完全フリーアドレス型
完全フリーアドレス型は、オフィス内のどの席でも自由に利用できるスタイルです。座席に一切の制約がなく、その日の気分や業務内容に応じて柔軟に選べます。
このタイプは特に出社率が低い企業や、業務の自由度が高い職種で効果を発揮します。ただし、席の取り合いや私物管理の問題が起こりやすく、運用ルールの整備が欠かせません。

グループアドレス型
グループアドレス型は、部門やプロジェクトチームごとにエリアを区切り、その中で自由に席を選ぶスタイルです。完全フリーアドレスよりも秩序があり、チームの一体感を保ちつつ柔軟性も確保できます。
部門ごとの業務特性や連携を重視する企業に向いており、比較的導入しやすい中間型ともいえます。

続いて、フリーアドレスにおけるデスク配置の種類は下表のとおりです。
■デスク配置の種類
配置 特徴 向く仕事 注意点 対向 面積効率と会話 チーム作業 集中しにくい場合がある 背面 集中と振り返り 個人作業と短い相談 通路の取り方が分かりにくい クロス 動線が偶然交わりやすい 部門を越えた会話 動線が複雑になりやすい ブーメラン 机上面積を広く取りやすい 複数モニターの使用 面積を取るため席数を確保しにくい
デスク配置におけるクロス型とは、デスクを縦横に交差するように配置するスタイルです。クロス型は動線が固定化されにくいため、人と接する機会を自然に増やせる特徴があります。
ブーメラン型は、ブーメランのような角度をつけたデスクを合わせて配置するスタイルです。ブーメラン型は一人当たりの作業面積が広くなるため、資料を広げる業務やデスクの上で複数の業務モニターを使用するケースに適しています。

フリーアドレス導入のメリット
フリーアドレス導入のメリットは、会話が生まれやすいことと、スペースを出社実態に合わせられることです。ここでは、フリーアドレス導入のメリットについて見ていきます。
<フリーアドレス導入のメリット>
- 会話が生まれやすい
- スペースを出社実態に合わせられる
会話が生まれやすい
フリーアドレスは隣席が日によって変わることで、部門を越えた会話と、働く場所を自分で選ぶ習慣が生まれやすい点がメリットです。普段は接点の少ない従業員が隣り合うと情報の行き来が増え、プロジェクト型の仕事では必要なメンバーが集まりやすくなります。
集中したい日と協働したい日で場所を変えられることも、働きやすさにつながる期待がもてます。
スペースを出社実態に合わせられる
フリーアドレスは従業員全員分の固定席を持たないことで、実際の出社人数に席数を近づけられる点もメリットです。空いた面積は会議室、集中ブース、社内カフェなど、「出社した日の付加価値」に振りやすく、組織変更のたびに島を組み直す負荷も減るでしょう。
ただし席を減らしすぎると席の取り合いになり、メリットが減少します。外出が多い職種では、従業員数の7~8割程度を席数の目安にする考え方もありますが、これはすべての会社に一律の推奨ではありません。フリーアドレスを導入する際は、自社の出社実態を見た上で席数を決めてください。

フリーアドレス時に社員が気にするポイント
フリーアドレスの導入を成功させるには、社員が気にするポイントを知る必要があります。「どのようなポイントでいごこちのいい席を選ぶか」といった問いに対し、多かった回答(複数回答)は次のとおりです。


「周囲の音」(40%)がもっとも多い結果となりました。静かな席を望む声ももちろんありますが、少しざわざわしている環境を望む声もあります。次に多かった回答は「自分の視界や周囲の視線」(31%)と「席の位置」(31%)です。チームメンバーが見渡せるかどうか、出入りがしやすいかどうかなどが重要なポイントとなるでしょう。
「周囲の人」と回答した人は27%。職種や業務内容によって、「チームメンバーの近くに座りたい」、「なるべくひとりで集中したい」など希望が分かれるでしょう。「家具や機器」を気にする社員も多く、25%という結果でした。気になるポイントは、机上面の広さ、プリンターからの距離など、作業内容によって異なるでしょう。
フリーアドレスのデメリットを解消するには、これらのポイントを押さえつつ、以下の点に注意してください。
フリーアドレスの注意点
フリーアドレスには会話のきっかけの向上やスペース効率のメリットがある一方、当初の目的どおりにコミュニケーションが増えない可能性もあります。ここではフリーアドレスの注意点を紹介します。
<フリーアドレスの注意点>
- 席の偏りをつくらないようにする
- 荷物の放置・チームの分断・情報漏洩を防ぐ
席の偏りをつくらないようにする
フリーアドレス導入によって席の早い者勝ちになったり、人を探す時間が増えたりすることには注意が必要です。窓際や静かな席などに人が多く集まり、遅れて出社した従業員が使いにくい席しか選べない状態が続くと、不満が残りやすくなります。
対策としては、対象人数に対する席数の見積もりや、繁忙期のルール決め、座席の予約が可能となる在席の可視化が挙げられます。プラスの座席管理「Suwary(スワリー)」は可視化の選択肢のひとつとなるため、席数の見積もりや繁忙期のルールと併せてご検討ください。

関連記事:フリーアドレスの課題を解決する座席管理システムのメリットを解説
荷物の放置・チームの分断・情報漏洩を防ぐ
机に私物や書類が残ると共用の意義が薄れ、チームが散らばると連携が滞る点にも注意が必要です。また、書類や端末を置きっぱなしにすると、情報漏洩や紛失につながるおそれがあります。また、従業員の所在が見えにくいと座席の指定席化に戻ってしまう可能性もあります。
それらの対策となるのは、パーソナルロッカーやクリアデスク、ペーパーレスの推進です。機密部門に限っては固定席や別エリアにすることも検討しましょう。
チャットや定期ミーティングでフリーアドレスの利用状況などを確認し、指定席化に傾いていたら席不足や収納不足がないか、レイアウトやルールを再考することをおすすめします。
フリーアドレスが向いている職場と向かない職場
フリーアドレスの向き不向きは、在席率、業務内容、紙・専用機器への依存度、固定席の必要性といった軸で判断します。フリーアドレスはすべての職場に一律に向くわけではありません。導入範囲は企業によって異なり、対象部門を限定する、固定席と併用する、一部の部門でトライアルする、なども選択肢の一つです。
ここではフリーアドレスが向いている職場と向かない職場について、詳しく見ていきましょう。
フリーアドレスが向いている職場

フリーアドレスは、在席率が低い、業務がプロジェクト型、紙・専用機器への依存が低い、固定席が必須でない職場などに向いています。判断の目安は下表のとおりです。
■向いている職場の判断軸
判断項目 判断の目安 在席率 従業員の外出が多く、毎日同じ席にいる必要性が低い 業務内容 プロジェクト単位でメンバーが組み変わる。部門をまたぐ業務が多い 紙・専用機器への依存度 DXが進み、紙と専用機器が少ない。リモート勤務が定着してICT環境が整っている 固定席の必要性 席を自由に変えながら仕事を進める文化がある
フリーアドレスが向かない職場
フリーアドレスは、在席率が高い、常時の対面連携が中心、紙・専用機器への依存が高い、固定席が必要、といった職場には向かない場合があります。なお、機密情報を扱い、画面ののぞき見が問題になる場合は、情報管理の観点から固定席や別エリアを検討します。そのためフリーアドレスに向く部門から段階的に導入することも選択肢に入れましょう。
フリーアドレスに向かない職場の判断軸として、下表も参考にしてください。
■フリーアドレスに向かない職場の判断軸
判断項目 判断の目安 在席率 毎日ほぼ全員が出社し、同じ席で進める 業務内容 同じメンバーで常時対面連携する 紙・専用機器への依存度 紙と押印の利用が多く経理・法務などで書類を扱う。設備が席に紐づく 固定席の必要性 個人の書類や専用機器を固定席に置く必要がある。担当者ごとに専用の設備や作業環境が必要
関連記事:【導入事例あり】フリーアドレス導入はなぜ失敗する?成功のコツを紹介
なお、プラスでのグループアドレスの納入事例としては、ヒロマツホールディングス株式会社 様が本社機能のフロア移動のケースが挙げられます。
ヒロマツホールディングス株式会社 様の事例について詳しくは「『T・O・W・N』楽しく・自由で・生き生きとした「街」をオフィスにデザイン」もご覧ください。

フリーアドレス導入の進め方

フリーアドレスの導入では、トップダウンで決めるだけでなく、現場とともに目的やルールを検討することが大切です。ここでは、フリーアドレス導入の進め方について見ていきましょう。
<フリーアドレス導入の進め方>
- 目的を決める
- ルールを決める
- 設備を整える
- 効果を検証する
目的を決める
何のための自由席かを言語化することが、フリーアドレス定着の条件です。目的が曖昧なまま席の環境だけ変えても、制度が形骸化しやすくなります。フリーアドレス導入のきっかけの例は空席の削減、交流の増加、ABWの準備などで、目的ごとに席数とゾーンが変わります。
フリーアドレス導入の目的が決まったら対象部門を決め、紙の利用が多い部門や機密情報を扱う部門は対象外にする判断も導入前に決めておきましょう。
ルールを決める
運用ルールと禁止事項はフリーアドレス導入前に決めておくことが大切です。後出しにすると現場が混乱し、私物の置きっぱなしや指定席化が進みやすくなります。
ルールの具体例としては、荷物の置き場(パーソナルロッカー)や、食事可能なエリア、静かに作業するエリア、座席予約の要否などを決めておきます。ルールは掲示するだけでなく、導入直後に守れているかを確認し、実態に合わなければ見直す前提で運用しましょう。
設備を整える
設備面では集中・会議・収納の受け皿を同時に用意する必要があります。無線LANやノートPCの用意だけでは会話と集中の両立は難しく、集中ブースやウェブ会議ブース、パーソナルロッカーを整えると執務席の取り合いと騒音を分けやすくなります。キャスター付きデスクや、可動ホワイトボードはレイアウト変更に向いています。
関連記事:集中ブースとは?メリットや効果的な導入・運用のポイントを解説
効果を検証する
効果の確かめ方は企業によって異なりますが、一部の部門でトライアルする、固定席と併用しながら範囲を広げる、なども選択肢のひとつです。出社率や座席の偏り、人や物を探す時間などで検証するほか、従業員の声も集め、結果をもとに席数とルールを見直してください。
出社率や座席の利用状況を把握しておくと、席数やルールを見直す際の判断材料になります。必要に応じて、座席の利用状況を可視化する手段も検討しましょう。

【事例】プラスが手掛けたフリーアドレス納入事例
ここでは実際にプラスが手掛けたフリーアドレスの納入事例を紹介します。なお、紹介するのは納入事例であり、生産性などの効果を検証・保証するものではありません。快適なオフィス空間づくりの参考としてご覧ください。
事例1:【約425平方メートル】フリーアドレスを導入した株式会社ICUS 様

| 入居人数 | 約40名 |
| 延べ床面積 | 約425平方メートル |
| 業界・業種 | 産業用設備洗浄業(原子力・火力発電所における除染・洗浄) |
株式会社ICUS 様は、入居人数40名、延べ床面積425平方メートルの新拠点へ移転した際に、初めてフリーアドレスを導入しました。パーソナルロッカーでデスクゾーンとパブリックゾーンを緩やかに仕切った納入事例です。
株式会社ICUS 様の事例について詳しくは「「ONE TEAM」で、新たなステージへ。」をご覧ください。
事例2:【693平方メートル】さまざまな形のデスクを採用した株式会社ファイン 様

| 入居人数 | 約80名 |
| 延べ床面積 | 約693平方メートル |
| 業界・業種 | 製造業 |
株式会社ファイン 様は、入居人数約80名、延べ床面積693平方メートルのオフィス移転でフリーアドレスを導入しました。同社はさまざまな形のデスクを採用し、キャスター付きのものは業務に合わせて配置を変えるようにしています。ワンフロア化とフリーアドレスを組み合わせた納入事例です。
株式会社 ファイン 様の事例について詳しくは「Make a Living office!」をご覧ください。
事例3:【約1,940平方メートル】多彩なチェアを採用し、今日の居場所を選ぶ楽しさもプラスした一般財団法人 日本気象協会 様

| 入居人数 | 約300名 |
| 延べ床面積 | 約1,940平方メートル |
| 業界・業種 | 情報サービス業 |
日本気象協会 様は、入居人数約300名、延べ床面積約1,940平方メートルのオフィスにリニューアルしました。執務エリアでは数種類のチェアを組み合わせ、フロア中央に集中ブースも置いています。
一般財団法人 日本気象協会 様の事例について詳しくは「高層階の立地を生かした、明るく居心地の良いオフィス」をご覧ください。

フリーアドレスの導入相談はプラスへ
フリーアドレスとは、固定席を持たずに共用のデスクを選んで働く座席の運用方法のことです。交流促進やオフィス面積の最適化ができる一方、フリーアドレスが向いている部門と向いていない部門があることには注意しましょう。
フリーアドレスの導入は、空間設計、ロッカー、集中ブース、座席管理、カフェまで組み合わせて提案できる、プラスへご相談ください。
ショールームは「PLUS DESIGN CROSS」、オフィスづくりについては「オフィスデザイン・オフィスレイアウト」で詳しくご紹介しています。

フリーアドレスに関するよくある質問
フリーアドレスとは何ですか?
フリーアドレスとは、従業員が固定の席を持たず、空いている席を選んで働くオフィスの運用方法のことです。詳しくは「フリーアドレスとは、共用のデスクを選んで働く座席の運用方法」を参照ください。
ABWとフリーアドレスはどう違うのでしょうか?
ABWとは業務に合わせて場所と時間を選ぶ働き方のことで、フリーアドレスとはオフィス内の座席運用のことです。詳しくは「フリーアドレスとは、共用のデスクを選んで働く座席の運用方法」を参照ください。
どのような職場に向いていますか?
フリーアドレスは在席率が低い、プロジェクト型である、紙・専用機器への依存が低いといった職場に向いています。なお、紙の書類を多く扱う部門や、機密情報を扱う部門では、固定席が向く場合もあります。詳しくは「フリーアドレスが向いている職場と向かない職場」を参照ください。
導入で失敗しやすい点は何でしょうか?
席の取り合い、荷物の放置、従業員の所在が分からない、チームの分断、実質固定席化がフリーアドレス導入の失敗しやすい点です。詳しくは「フリーアドレスの注意点」を参照ください。

