失敗例から学ぶフリーアドレスを成功させるポイントとは?

オフィスデザイン

オフィスの新しい形態としてフリーアドレスを選択する企業が増えています。しかしこれまでの形態から大きく変わることで失敗してしまうケースも少なくないようです。マネジメントが困難になる、電話や郵便物の処理が面倒くさいといったことや、縦の連携が取りづらくなり生産性が落ちてしまうなどの理由で結局は元の形態に戻すことになっては意味がありません。そこで今回はフリーアドレス導入のよくある失敗例をもとに、どうすれば成功に導けるのか、その対応策を考察していきます。

ハード面でフリーアドレス導入に失敗してしまう例とその対応策

フリーアドレス導入に失敗してしまう企業の特徴は、ハード面とソフト面との2つに大きく分類できるでしょう。そこでまずは、ハード面でよくある失敗事例とその対応策について見ていきましょう。

失敗事例:クラウドやモバイルなど、オフィス外でも社内と同様に仕事ができる環境が整っていない

フリーアドレスは基本的に在席率が低いことを前提に、実際の従業員の数よりも席を減らし、空いたスペースを有効活用することが目的のひとつです。そのため資料の確認や報告書の作成などが外出先でもできる環境が整っていないと、業務効率が著しく低下します。

対応策:クラウド化、モバイルワークを推進し、外出先でも社内と同様の業務ができるようにする

業務のクラウド化、モバイルワークの導入をすることで、外出している従業員が資料の作成やチェックのたびに帰社する必要がなくなり、席が不足するリスクが軽減します。

失敗事例:自席で書類の整理や保管ができなくなってしまい、かえって非効率になる

席が一定しないフリーアドレスは、移動のたびに書類を持ち歩かなくてはならず、不便なばかりか紛失の確率も高まります。結果として非効率になり、業務効率も落ちてしまいます。

対応策:ペーパーレス化の導入

ペーパーレス化を行うことで、紙の種類が減り、持ち運びのわずらわしさや紛失リスクがなくなると同時に、書類を収納する棚も不要となり、さらなるオフィスの省スペース化も実現できます。

失敗事例:電話や郵便物など席が決まっていないことでうまく取り次ぐことができない

常に席が変わるフリーアドレスでは電話が来ても取り次げない、郵便物の渡し漏れが起こるなど、事務的な部分での面倒が増えることで、業務上のミスも起こりやすくなります。

対応策:事務的な業務をシステム化する

座席管理ツールを使ったり、携帯電話を支給し内線化したりすることが有効です。郵便物に関しては目立つ場所にメールボックスを作り一括管理をすれば、渡し漏れも防げます。

ソフト面でフリーアドレス導入に失敗してしまう例とその対応策

次にソフト面でのフリーアドレス導入失敗事例とその対応策を見ていきましょう。

失敗事例:明確な目的がなく導入したため、多くの社員が毎日同じ席で仕事をしている

コスト削減やコミュニケーション活性化につながると聞いたから、はやっているから、などと明確な目的を持たずにフリーアドレスを導入する企業は少なくありません。しかし、明確な目的がないままに導入してしまうと、従業員もどう対応してよいか分からず、結局は元の部署のメンバーで固まったまま、ということも。

対応策:フリーアドレスを導入することで何を実現したいかを明確にする

なぜフリーアドレスを導入するのか、その目的を明確にし、全従業員に共有することで、同じメンバーで固まるといったことも防げるようになります。また、くじ引きやあみだくじなどを使って強制的に席を移動させるのも方法のひとつです。

失敗事例:フリーアドレス導入でオフィス内に余裕ができたが、無駄なスペースになっている

フリーアドレスを導入することでオフィス内に空いたスペースができたものの、活用方法を見いだせず、そのまま放置され無駄なスペースになってしまうことも。

対応策:空いたスペースをコミュニケーション活性化に活用する

フリーアドレスの場合、常に席を移動することから、コミュニケーションを取ることが難しくなる場合があります。そこで、空いたスペースを利用して社内カフェやハドルルーム、簡易ミーティングルームなどをつくり、予約がなくてもすぐに使えるスペースにすることで、コミュニケーション活性化に利用します。

失敗事例:在席率の低い部門に導入したが、従業員のタイムスケジュールが同じで一定の時間になると席が足りなくなる

まずは試しに在籍率の低い部門に導入したところうまくいかずにそのまま頓挫してしまうケースもよくある失敗事例のひとつです。

対応策:業務の方法を変えたうえで全社的に取り組める体制をつくる

部門横断型プロジェクトを推進するといったように、業務の方法をこれまでと変えることで、部門ごとではなく全社的にフリーアドレスに取り組める体制をつくり、部門ごとの在籍率にかかわらずフリーアドレスを実現します。

フリーアドレス導入事例から見る成功のポイント

では実際にフリーアドレスの導入に成功している企業の事例からその成功のポイントを見てみましょう。

社内カフェや集中ブースなどオフィス内にめりはりをつけることでフリーアドレスの効果を高める

カードシステム事業、流通・ITソリューション事業、データ連携基盤ソフトウェアの開発事業を行う株式会社セゾン情報システムズ様。単にフリーアドレスを導入するだけではなく、打ち合わせにも利用できるカフェや、集中して作業ができる個人ブース、少人数で簡単な会議ができるファミレス席など用途に応じたスペースを設置することで、多様な働き方を実現しています。

フリーアドレスエリアは仕切りをなくし誰がどこにいるかがすぐ分かるデザインに

デジタルマーケティングに関するコンサルティング、デジタルコンテンツの企画制作、システム開発などを行うネットイヤーグループ株式会社様。フリーアドレスエリアにはテーブルタイプのデスクを設置し、高い間仕切りをなくすことで、誰がどこにいるかもひと目で分かり、コミュニケーション不足が起こらないようにしています。

フリーアドレス導入成功の鍵はフリーアドレスに対する誤解をなくすこと

フリーアドレス導入に失敗してしまう企業では、フリーアドレスがどういうもので、どういった目的で導入すべきかを理解していないケースが多くあります。また、フリーアドレスとは「こういうものだ」という誤解によって失敗に終わるケースもあります。どちらにしても、間違った固定観念からフリーアドレスの可能性の幅を狭めてしまい、結果として効果的な活用ができなかった例と言えるでしょう。このような結果になるのであれば、そもそも導入する意味がありません。

例えば、プログラマーやエンジニアが多く在籍するような場合は、固定席をしっかりつくることで作業効率や従業員満足度が上がるケースもあります。

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プログラマーの多く在籍する株式会社アソビズム様では、フリーアドレス制を一度は導入したものの、移転時には制度そのものを見直し、職種によって最適な働き方が実現できるオフィスになっています。詳細は関連のインタビュー記事をご覧ください。

【関連記事】移転物語 ~株式会社アソビズム~

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今回のように失敗する企業の例から見てみると、フリーアドレス導入には「クラウド活用やペーパーレス化とセットで行うこと」「何のために導入するかという目的を明確にすること」なども必要で、単純に席を自由化すればいいわけではない、ということを理解する必要があるのが分かります。そのうえで、フリーアドレスにすることでどういった影響が出るのかを、総合的に判断することが重要だと言えます。

参考