オフィス移転もしくは既存オフィスの改装には、内装工事が欠かせません。快適かつ機能的なオフィスにするには、従来のオフィスの内装から課題点を抽出し、解決策を検討したうえで進めていくことが大切です。しかし、工事の規模によっては、多額の予算が必要になります。事前にある程度の相場を知っておかないと後になってから予算が足りなくなってしまうかもしれません。そこで、今回は一般的なオフィス内装工事の相場や工事の内訳を見つつ、安く抑えるためのポイントをお伝えします。
一般的なオフィス内装工事の相場
オフィスの内装工事にかかる費用は、新規オフィスなのか既存オフィスなのかによっても異なります。ここでは、それぞれにかかる費用の相場を見ていきましょう。
新規オフィスの内装工事費用相場
内装工事費用の目安は、坪単価で見るのが一般的です。通常、オフィスで1人当たりの坪数の平均は約4坪のため、社員数が4人であればオフィスの総面積は16~20坪となります。そして、内装工事の坪単価は1坪で10~20万円ですので、20坪であれば、20×(10~20)で約200~400万円です。
また、上記の内装工事費用には含まれませんが、電話やインターネットなどのインフラ工事も別途必要になります。予算を組む場合は、インフラ工事も含んだ形で組まないと思わぬ出費となってしまう場合があるので注意が必要です。
ちなみにインフラ工事の費用相場は、社員1人当たりで5万円前後はかかります。これに社内サーバ-の設置やセキュリティ強化、電話回線の増設も加わるとさらに費用はかさむので、事前にしっかりと確認しておきましょう。
既存オフィスの内装工事費用相場
既存オフィスを改装する場合、既存の設備を使えるのであれば、新規オフィスの内装工事に比べて費用が安くなります。既存の設備をそのままにして改装を行うのであれば、坪単価5~10万円で抑えられるでしょう。つまり、20坪であれば、20×(5~10)で約100~200万円抑えられることになります。
ただし、既存の設備をすべて入れ替えると、その分、費用を抑えることは難しくなります。特にトイレや給湯室など水回りの位置を変える場合、配管を新たに設置しなくてはならなくなるため、それだけでも大幅な追加費用がかかってしまうでしょう。
既存オフィスの改装にかかる工事費が新規オフィスよりも安くなるのは、オフィスが古いからではなく、既存の設備が使えるからという点については、しっかりと把握しておく必要があります。
オフィスの内装工事について詳しくは『内装工事とは?オフィスに必要な内装工事と施工時の注意点』をご覧ください。
オフィス内装工事の内訳
オフィスが入るビルの工事には、A工事・B工事・C工事の3つがあります。A工事はビル自体の工事をするものであるため、オフィスの内装工事とは関係ありません。そこで、ここではB工事とC工事の概要とそれぞれ具体的にどのような工事をするかについて説明します。
B工事の概要と内訳
B工事とは、入居者の要望によってビルオーナーの権限で行われる工事で、入居者(オフィスを使う企業など)が工事を発注して工事費を負担し、オーナーが工事の施工業者を指定します。所有権の多くの部分をオーナーが持つことになります。
B工事の工事内容は、水回りや排水設備、空調設備、防災設備、電気容量の分電盤などが該当します。これらは、ビル全体の安全や工程にも影響があることから、規制により企業側の要求にすべて合わせるということができません。そのため、施工業者も企業側ではなくビルのオーナー側が選定するのです。
C工事の概要と内訳
C工事とは、入居者が発注し、ビルオーナーの承認のもとに行われる工事で、入居者が工事費を負担して施工業者を指定します。所有権は入居者にあります。
工事内容は、ビル全体の安全性や工程には直接影響を与えないものに限定されます。例えば、壁紙の貼り替え、照明の交換、床の底上げなどです。また、C工事には、多くの場合、什器や設備の搬入、電話やインターネットなどのインフラ工事も含まれます。
内装工事のデザインや工事の種別については、『オフィスの内装デザインに欠かせないポイントとは?目的に応じた内装デザインのカギを解説』や『オフィスの内装工事をするなら知っておきたいA工事 B工事 C工事』の記事をご覧ください。
オフィス内装工事を安く抑えるためのポイント
オフィスの内装工事は、新規オフィスなら20坪程度でも数百万円はかかります。これに新たな家具や設備を増やすとなればさらに予算は上がってしまうでしょう。そこで、できるだけ工事費用を安く抑えるためのポイントを紹介します。
既存の設備を有効活用する
既存オフィスを改装する場合、できる限り現在使用している設備を流用すると、費用を抑えられるでしょう。設備や什器を交換するとなると、新規オフィスにかかる費用とほぼ同じになってしまうこともあります。
また、新規オフィスの場合は、前に入居していた企業の設備がそのまま残っている、再利用が可能な居抜き物件を選択するとよいでしょう。残されている設備や什器をうまく活用すれば、比較的工事費用を安く抑えられます。
これに対し床、壁、天井など内装がすべて撤去された状態のスケルトン物件だと内装工事に加え空調や電気設備工事も必要です。さらに工事期間も長くなることになり、その間の代替(既存)オフィス賃料もかかってしまいます。
B工事とC工事で費用の交渉を行う
C工事は、企業側が工事内容を決められるため、複数の施工業者から相見積もりを取ることが可能です。また、工事内容も自分たちでコントロールできるので、前述したように居抜き物件や既存設備の活用など工夫次第では費用を安く抑えられるでしょう。
見積もりを依頼する際のポイントはできるだけ早い段階で依頼することです。ギリギリになってから見積もりを依頼すると、業者側も十分な調査ができず過去の経験を基に見積もり額を算出するしかありません。また、ギリギリの日程では職人の手配も難しくなるため、外部に依頼することも検討して見積もりを出すようになり、どうしても高めに設定せざるをえなくなります。
見積もり額を安く抑えるには最低でも2週間、できれば3週間から1カ月ぐらいの余裕を持って依頼するとよいでしょう。
B工事においても、自分たちで施工業者は選べませんが、金額の交渉は可能です。たとえばC工事で依頼する施工業者に見積もりを依頼すれば、その見積もり額を基に交渉してもらえる可能性があります。
一般的にB工事はビルオーナーには費用負担がなく、施工業者間での相見積もりもないため、競争原理が働かず工事費が1.5~2倍近く割高になってしまうケースが多いと言われています。企業側から何もアクションを起こさずにB工事を受け入れて高額費用を支払うのであれば、一回は工事費用の交渉が可能か確認してみましょう。
オフィスの内装については、『オフィスの内装にこだわるメリットと工事を成功させるポイントを解説』の記事をご覧ください。
オフィスの内装工事は費用削減ばかりを意識しないことも重要
オフィスの内装工事には多額の費用がかかることが多いため、できるだけ安く抑えたいと考える企業も多いでしょう。まだ使える設備を交換してまで大幅なデザイン変更をしなくても快適なオフィスをつくることは可能です。とはいえ、いかに既存設備を活用しつつ、快適なオフィスの内装を実現できるかについては十分な検討が必要でしょう。
費用削減ばかりを意識していると、実際に働き始めた際に機能性が悪く業務効率も落ちてしまうといったリスクも考えられます。重要なのは、社員が快適かつ効率的に働けるための内装工事でなければならない点です。費用を抑えたいばかりに働きにくくなっては意味がありません。
どのくらいの予算をかければ働きやすいオフィスをつくれるかをしっかりと検討したうえで、施工業者と交渉されることをおすすめします。
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