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ウェルビーイングとは、「幸福」を意味する言葉です。ただし、一時的な幸福感ではなく、持続的な幸福を示すときに使われます。企業においてもウェルビーイングの考え方が重視されるようになり、社員が幸福な状態でいられるようにさまざまな取り組みが行われています。ウェルビーイングの考え方を取り入れることで、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。今回は、企業におけるウェルビーイングの重要性や取り組みについて紹介します。

健康経営の事例については、「健康経営を実現するオフィス事例集」をご覧ください。

ウェルビーイングとは

ウェルビーイングは「幸福」と訳されることが多く、精神的・身体的・社会的に良好であることを意味します。「嬉しい」や「楽しい」などの一時的な幸福感ではなく、持続的な幸福を表す言葉です。企業においても社員のウェルビーイングが重視されつつあり、さまざまな取り組みが行われています。ただし、ウェルビーイングを実現するには、単に職場環境や福利厚生の整備をするのではなく、社員が仕事やプライベートに対して幸福感を持つことが重要です。

例えば、企業が社員に対して提供している基本的な福利厚生の一つに社会保険制度があります。住宅手当の支給や退職金制度、健康診断の実施などを行っている企業も多いです。そのほかにも、スポーツクラブの割引や無料の社員食堂などを提供している企業もあります。そういった福利厚生を通して、社員が持続的な幸福感を持つことができれば、ウェルビーイングを実現できているといえるでしょう。

つまり、ウェルビーイングとは、幸福になるための目的であり、企業は社員がどのようなことで幸福感を持続できるのか検討する必要があります。

企業においてウェルビーイングが重要な理由

ウェルビーイングの実現は、企業にとっても重要なものです。実際に、社員のウェルビーイングを実現するために、さまざまな取り組みを行っている企業もあります。企業はなぜ社員のウェルビーイングを重視するようになったのでしょうか。

社員の安全と健康の確保

社員の安全と健康を守ることは、企業にとっても非常に大切なことです。社員が安全で健康な状態で長く働ければ、企業にとっての安定につながります。少子高齢化により働き手が少なくなってきている現在、今働いている社員がより長く活躍してくれれば企業にとっても安心でしょう。企業が労働環境の改善に取り組むことで、社員の安全と健康をより守りやすくなります。

人材の確保

業種によっては慢性的な人手不足の状態が続き、一部の企業にとっては死活問題ともなっています。人材の確保は企業にとって重要な課題です。一方の労働者側は、いわゆるブラック企業のように労働者の使い捨てをする会社よりも、安心して長く働ける会社に魅力を感じる人が多くなっています。そのため、企業は人材確保のためにも企業イメージの向上を図る必要があるのです。ウェルビーイングの向上に取り組むことで企業イメージがよくなり、人材の確保につながる可能性があります。

多様な働き方の実現

働き方改革が進むにつれ、個人の生活や考え方に合った働き方が認められるようになってきました。このような状況に合わせ、業務の進め方や残業のあり方、有給休暇制度などを見直した企業も多いでしょう。また、時短勤務やテレワーク、フレックス制を導入する企業も多くなっています。このように、多様な働き方を認めることで、社員が働きやすいと感じる労働環境を実現できる可能性があります。

《一緒に読みたい記事》 テレワークにも対応!ウィズコロナ・アフターコロナ時代のオフィスレイアウト

ウェルビーイングの考え方を導入するメリット

ウェルビーイングの考え方を取り入れることで、企業にとって次のようなメリットがあります。

社員がより健康になり、業績向上につながる

ウェルビーイングへの取り組みのひとつである「社員の安全と健康を守る」を実施することで、社員が心身ともに健康で働けるようになります。オフィスで使用する設備や機器などの定期点検、危険物や有害物質の管理などにより、安全面においても安心して働ける環境が実現し、業績向上にもつながるでしょう。

企業イメージが向上し、新たな人材の確保につながる

ウェルビーイングに取り組むことで社員の幸福度が高まれば、人材雇用にも大きな影響をもたらします。ウェルビーイングは、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」や目標10「人や国の不平等をなくそう」に関連するため、ウェルビーイングへの取り組みによりSDGsの実現も可能です。

ウェルビーイングに取り組み、結果としてSDGsへの取り組みにもつながれば企業イメージが向上し、新たな人材の確保も可能になるでしょう。

社員の会社に対する満足度が高まり、離職率の低下につながる

幸福度の高まりは満足度の高まりにつながります。この会社で働けば幸福度が高まり、会社や仕事に対する満足度も高まるとなれば、定着率も向上し、離職率の低下につながるでしょう。多くの企業で人材不足が慢性化している今、離職率の低下は大きなメリットといえます。

仕事に対するモチベーションが向上する

仕事に対するモチベーションには、会社に対する満足度や心身の健康などが大きく影響します。ウェルビーイングへの取り組みにより、満足度の向上や心身の健康が実現すれば、社員が仕事に集中できる環境が整い、高いモチベーションで臨めるようになるでしょう。

ウェルビーイングを高めるための取り組み

ウェルビーイングを高めるためには、具体的にどのような取り組みが必要なのでしょうか。ここでは、企業の取り組みについて紹介します。

生産性が高まるオフィス環境

社員が働きやすいと感じるオフィス環境を整えることで、満足度が高まる可能性があります。たとえば、集中ブースや休憩スペースを設置することで、社員が自身のペースで業務を進められるようになるでしょう。効率的に業務を進められれば、生産性も高まることが期待できます。

オフィスやテレワークでの集中力の高め方について詳しく知りたい方は、『オフィス、テレワークで集中力を高めるための効果的な施策とは?』の記事をご覧ください。

また、オフィス環境の改善による生産性向上を実現させるには、次のような施策もおすすめです。

業務効率を高めるオフィスレイアウト

生産性を高めるには効率的なオフィスレイアウトが欠かせません。具体的には、営業部とマーケティング部、経理部など関連性の高い部署を近くに配置する、会議室の使用頻度が高い役員室や営業部の近くに会議室を設置するといったことが考えられます。また、通路やデスク周りのスペースもしっかりと確保し、動線をスムーズにすることも重要です。

効率的なオフィスレイアウトについて詳しくは『オフィスレイアウトを工夫して業務効率化を目指そう』の記事をご覧ください。

机や椅子などオフィス家具の選択

サイズの合うデスクや健康維持につながるチェアなど、良いオフィス家具の選択も欠かせません。使いにくい家具では、業務もはかどらず、効率化も進まないため、適切な選択を行いましょう。

効率化を進めるためのオフィス家具選びについて詳しくは『オフィス家具で業務効率が変わる!知っておきたい選び方』の記事をご覧ください。

快適な空調設備の導入・定期的な点検管理

近年、5月あたりから10月後半まで25度を超える夏日になることも珍しくなくなっています。そのため、快適に業務を行うには、空調設備の導入・定期的な点検管理も忘れずに行わなくてはなりません。湿度が高い、乾燥しすぎているといったオフィスでは快適に働けず、満足度も低下してしまうでしょう。

業務に必要なIT機器の導入

ウェルビーイングの実現には、長時間労働の是正が欠かせません。そのためにもIT機器の積極的な導入を検討しましょう。営業や労務、会計などの管理システムやテレワーク社員とのコミュニケーションツールを適切に活用することで、時間外労働が減少し、生産性の向上も期待できます。

オフィス環境の定期的なアンケート調査

実際にオフィスで働く社員にオフィス環境に関するアンケート調査を行うのもおすすめです。現場にいないとわからないことも多いため、アンケート調査の結果を基に改善することで快適性が向上する可能性も高まるでしょう。

社員同士のコミュニケーション

社員同士のコミュニケーションもウェルビーイングを高めるのに効果的です。気軽にコミュニケーションを取れるようにミーティングスペースやチャットツールを導入してみましょう。普段はあまり話す機会がない上司や他部署のメンバーとのコミュニケーションも生まれやすくなり、社員の帰属意識も高まります。

社内コミュニケーションについて詳しく知りたい方は『ウィズコロナで大きく変わった社内コミュニケーション。活性化させるためのポイントは?』や『社内コミュニケーションが不足する理由は?原因と対策を考えよう』の記事をご覧ください。

そのほか、オフィス、テレワークでの社内コミュニケーション活性化を実現するには、次のような施策も考えられるでしょう。

社内カフェの設置

社内コミュニケーションを活性化させるポイントのひとつに「いい雑談」を増やすことが挙げられます。雑談のなかから仕事の新たなアイデアが生まれる、他部署とのコミュニケーションが活性化されるなどさまざまなメリットが生まれる可能性も高まるでしょう。

社内カフェについて詳しく知りたい方は『コーヒーブレイクだけじゃない!?社内カフェの活用術!』の記事をご覧ください。

ハイブリッドワークの導入

オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークの導入もコミュニケーション活性化に大きく貢献します。育児や介護などの特別な事情がない社員について、週1程度の出勤日をつくることでオフィスワーク社員との対面コミュニケーションが可能になります。

ハイブリッドワークについて詳しく知りたい方は『ハイブリッドワークとは?テレワークの定着を実現させるポイントと注意点』の記事をご覧ください。

テレワーク社員との定期的なオンラインランチ会の開催

どうしても出社が難しい社員については、Web会議システムを活用したオフィスワーク社員とのオンラインランチ会がおすすめです。業務中に行うことが難しい雑談もできるようになり、コミュニケーション不足解消につながります。

社内制度の整備

復職支援や福利厚生、残業時間の削減など、社内制度の整備も重要です。社員が個人の事情に合わせて利用できる制度があれば、社員は仕事とプライベートの両立がしやすくなります。近年、就職や転職をするにあたり社内制度が充実しているかどうか重視する人も多いため、人材の確保につながる可能性もあります。

さらに、次のような社内制度の整備もウェルビーイング実現には欠かせない施策です。

資格取得支援

業務に必要な資格取得支援は、企業側には「生産性向上」、社員側には「自身の成長」と双方にとって大きなメリットが生まれます。具体的な支援としては、資格試験のための参考書や受験の費用の補助、受験勉強のための特別休暇などが考えられるでしょう。

フレックスタイム・時短勤務の導入

家庭の都合でフルタイムでは出社できない社員に対し、フレックスタイムや時短勤務制度を導入すれば、ほかの社員に気兼ねなく働けるようになります。

公平かつ透明性の高い評価制度の導入

不透明かつ不公平な評価制度では、社員の不満が溜まりやすくなるだけではなく、何を頑張ればよいかもわからず生産性が低下してしまうリスクもありえます。公平かつ透明性の高い評価制度であれば、社員のモチベーションがアップし、ウェルビーイングの実現につながるでしょう。

健康増進活動

社員の健康管理はウェルビーイングの実現に欠かせません。たとえば、相談窓口の設置やストレスチェックなどを実施することも、健康増進活動の方法です。社員が健康な状態であれば、生産性やサービスの質向上につながりやすく、企業にとっても大きなメリットになるでしょう。

プラスでは健康経営を実現したい企業向けに、ebookによるオフィス事例集をご用意しています。健康経営の実現に向けて、オフィス環境の改善に取り組む企業の事例を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

【お役立ち資料】 健康経営を実現するオフィス事例集はこちらから

そして、心身ともに健康に働くためには次のような施策も重要です。

安全衛生に関する社内報の発行

相談窓口の設置だけをしても、存在が知られず利用されないケースも少なくありません。そのため、社内報を活用し、積極的に利用を促すことも重要です。

ハラスメント防止の研修実施

セクハラ、モラハラ、パワハラなどを意識せずに行ってしまうケースも考えられます。これらを防ぐには定期的に研修を実施し、意識づけを行うことが欠かせません。

ウェルビーイングの実施で成果を得た事例

実際にウェルビーイングを実施し、成果を得た企業の事例を4つ紹介します。

楽天株式会社

楽天株式会社が行っているのは、健康宣言「Well-being First」のもと、グループ全体での健康・安全・ウェルネス経営を推進する取り組みです。従業員参加型の取り組み実施、職場と従業員の健康をサポートする制度の導入などによりウェルビーイングの実現を目指しています。

参照:健康・安全・ウェルネス|楽天株式会社

株式会社アシックス

株式会社アシックスが行っているのは、健康経営の推進体制である「ASICS Well-being committee」の組織化です。健康診断、ストレスチェック、保健師による全社員面談のほか、運動推進セミナー、メンタルヘルス研修などさまざまな取り組みでウェルビーイングを目指しています。

参照:アシックスの健康経営|株式会社アシックス

ライオン株式会社

ライオン株式会社が行っているのは、次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーを経営ビジョンに掲げた取り組みです。ウェルビーイングはその一環で、「自分らしい健康」を自然かつ前向きに維持できる、心と身体の「トータルヘルスケア・サービサー」を目指しています。

参照:中期経営計画|ライオン株式会社

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車では、ウェルビーイングへの取り組みとして、「幸せの量産」をミッションに掲げ「Emotional Well-Being研究会」を立ち上げました。「認める」「進化する」「遊ぶ」「創造する」「希望を持つ」「共生する」「健康を感じる」「触れ合う」など多様な面からウェルビーイングの実現を目指しています。

参照:未来につながる研究|トヨタ自動車株式会社

ウェルビーイングを高めるための取り組みを始めよう!

社員のウェルビーイングを高めることで、企業にとってもさまざまなメリットがあります。社員のウェルビーイングを高めるには、オフィス環境の改善や社内コミュニケーションの活性化が重要です。すでに多くの企業が社員のウェルビーイングを高めるための取り組みを進めています。自社におけるウェルビーイングの実現に課題がある場合は、企業の事例をぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人

マーケティング部 コラム編集部 プラス株式会社ファニチャーカンパニー

プラス株式会社ファニチャーカンパニー マーケティング部 コラム編集部

プラス株式会社ファニチャーカンパニーのマーケティング部門です。オフィスに関する最新のトレンド情報や、オフィス移転・リニューアル・オフィスデザインに関する情報を発信しています。 オフィスの最新情報はInstagram「plus_kagu」で検索してフォロー!昨日よりもオフィスが好きになるような、「家具・働く空間にまつわる工夫・デザイン事例」などの情報をお届けしています。

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