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多くの企業で常態化している人手不足や、職場環境の機能不全など、生産性が向上しない理由はさまざまです。今後、日本の生産年齢人口は減少することが予測されています。できるだけ早い段階で対応しなければ、日本経済に大きな影響をおよぼすことは間違いありません。政府も働き方改革と称してその後押しを進めてはいますが、まだ浸透していないのが現状です。今回は、さまざまな施策により生産性向上を実現した企業の事例を挙げ、生産性を向上させるヒントを探ります。

企業における生産性向上とは?

「生産性を上げる」という言葉を耳にすることは多いでしょう。しかし、具体的に生産性とは何かと問われて明快に答えることは簡単ではありません。公益財団法人日本生産性本部は、「生産性とは、生産諸要素の有効利用の度合いである」と定義しています。具体的には、製品やサービスを生産(アウトプット)する際に必要とされる機械設備、土地、建物、原材料、エネルギー(インプット)などをどれだけ効果的に使ったかということです。

インプットが少なくアウトプットが多いと生産性は高くなり、逆にインプットが多くアウトプットが少なければ生産性は低くなります。「アウトプット÷インプット」という式を使えば、生産性を数字で表すことが可能です。

なお、生産性向上と同じ意味と混同されがちな言葉に、「業務効率化」があります。業務効率化は業務のムリ・ムダ・ムラをなくし、経営資源を効率的に活用することで、生産性向上を実現するための手段のひとつです。そのため、業務効率化だけを行っても、必ずしも生産性向上を実現できるわけではありません。

生産性向上を実現するためにできること

企業において生産性を向上させるうえでやるべきことはさまざまですが、そのなかでも特に重要なポイントは次のとおりです。

IT化の推進

これまで人の手によって行っていた業務をIT化することで、業務時間の短縮が可能になります。これにより空いた時間を別の業務に費やすことができ、生産性向上が見込めます。具体的には、クラウドサービスの導入によるペーパーレス化や、業務管理、生産管理システム導入による業務効率化が挙げられます。
社内環境の整備

昇給や福利厚生の充実、人事制度の見直しを行います。そのほか、リラックスルームを設置するなどして、従業員のモチベーションアップを図ることも生産性向上に寄与します。

業務体系の見直し

無駄な会議の見直しや、モバイルワークやテレワークの導入など、現在の業務体系を見直すことで、業務時間の短縮、従業員のモチベーションアップなど大きな効果が期待できます。

さまざまなアイデアで生産性向上を実現した企業事例

実際にさまざまなアイデアを駆使し、生産性向上を実現した企業事例を2社紹介します。

生産ロボットと電動ハンドリフト導入で人手不足解消と生産性向上を実現

神奈川県に本社を置くA社。同社で金属鋳造による量産事業を主な業務とする宮城工場では、震災の影響もあり、人手不足が慢性化していました。そこで、これまで男性正社員のみが行っていた鋳造の全工程のうち、仕上げや検査など後工程の部分を女性のパート社員や派遣社員に任せるようにしました。

また、熟練工の男性社員は品質を決定づける鋳造工程のみに集中させ、特に危険な大型部品鋳造においては一部の工程に生産ロボットを導入しました(費用の一部にものづくり補助金を活用)。これにより熟練工の安全を確保したうえで、生産性も2.3倍アップを実現しました。

さらに、誰もが働きやすくするため、免許が必要なフォークリフトに代わり電動式のハンドリフトを導入しました。作業環境の改善も積極的に進めたことで人手不足解消を実現しています。

ITを駆使した企業間連携により、受注機会増大を実現

東京都で、主に油圧機器事業と板金加工事業を行っているB社。リーマンショック以降、売上高が半減した同社は、需要の開拓をめざし、特注品受注の強化に踏みきりました。しかし、受注、生産、販売の管理の複雑化により、業務が円滑にこなせなくなっていました。原因を分析した結果、生産・販売・在庫データの見える化と共有が十分に行われていないこと、国内の3事業所間でリアルタイムでの情報共有ができていないことなどが挙げられました。そこで、生産工程の管理と事務所間でデータ共有を行うために、クラウド機能を備えたITツールを導入。引き合い、受注、生産、在庫状況の確認をほぼリアルタイムで全社的に共有できる環境を構築しました。これにより、業績はおおむね4年間で黒字へと回復し、従業員の雇用を維持したまま、受注生産型のビジネスモデルへの転換を図ることができています。

生産性向上のポイントは誰もが働きやすい環境つくりから

さまざまな理由により生産性向上を実現できない企業が多いなか、今回紹介した事例を見ると職場環境や働き方の改善を行うことで生産性向上を実現していることがわかります。

高齢者、育児中の女性(男性)、外国人にも積極的に働ける場を提供する。そのためには社内環境はもちろん、自宅や社外でも働ける環境を整備するなど、工夫を凝らすことで生産性向上をめざすことが可能です。

ここでポイントとなるのは、改善の順番です。まずやるべきことは職場環境や働き方の見直しであり、そのうえでIT化や業務の見直しを行い無駄をなくしていくことが重要です。誰もが快適に働ける環境をつくれば、人手不足問題解消の可能性が高まり、業務改善も進みます。この順番を守ることが生産性向上実現の近道といえるでしょう。

社員の主体性を育むオフィスづくり

この記事を書いた人

マーケティング部 プラス株式会社ファニチャーカンパニー

プラス株式会社ファニチャーカンパニー マーケティング部

プラス株式会社ファニチャーカンパニーのマーケティング部門です。オフィスに関する最新のトレンド情報や、オフィス移転・リニューアル・オフィスデザインに関する情報を発信しています。 オフィスの最新情報はInstagram「plus_kagu」で検索してフォロー!昨日よりもオフィスが好きになるような、「家具・働く空間にまつわる工夫・デザイン事例」などの情報をお届けしています。

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