フリーアドレスを導入したものの、定着しなかったという例も少なくありません。そもそも、企業はどのような目的でフリーアドレスを導入するのでしょうか。今回は、フリーアドレス導入における、よくある目的について解説します。また、フリーアドレス導入の目的を達成できる企業と達成できない企業とではどのような違いがあるのか、フリーアドレスを導入する目的を達成するためのポイントも紹介します。フリーアドレスの導入が成功すれば、社内コミュニケーションの活性化や生産性向上などにつながる可能性があるため、ぜひ参考にしてください。
フリーアドレスについては、『
フリーアドレスとは?ハイブリッドワーク時代のオフィスづくりに最適!』や『
より自由な働き方ができるABWとは?フリーアドレスとの違い』もご覧ください。
フリーアドレスを導入する際のよくある目的
フリーアドレスの歴史は意外に古く、1980年代にまで遡ります。当時、フリーアドレスはコスト削減を目的として導入が進められました。しかし、現在では生産性の向上やオフィス環境の改善といった目的で導入されるケースが増えています。ここでは、フリーアドレス導入における、よくある目的を紹介します。
仕事に対する主体性を社員に持ってもらうため
フリーアドレスは席を自由に選べるというだけでなく、その日の業務内容に応じて最適な席を選ぶことができます。たとえば、プロジェクトメンバーとの打ち合わせが必要な場合はグループ席を選択し、集中して作業を行いたい場合は集中ブースを選ぶといったことも可能です。社員は自らその日の業務内容に適した席を選ばなければなりません。結果として、仕事に対する主体性が生まれることが期待できます。
社内コミュニケーションの活性化
フリーアドレスを導入すれば、部署や部門が異なるメンバーが近くの席に集まって業務を進めることも可能です。また、業務上のつながりはなくても、ほかの部署や部門のメンバーとコミュニケーションを取る機会も増えます。普段は関わりのないメンバーとのコミュニケーションにより新たなアイデアが生まれることも期待できます。
社内コミュニケーションについては、『
職場内のコミュニケーションが不足する理由は?原因と対策を考えよう』の記事もご覧ください。
オフィススペースを有効活用するため
フリーアドレスはオフィススペースを有効活用する目的で導入されるケースも多いでしょう。ただし、従来のようにコスト削減だけが目的ではなく、フリーアドレスの導入により空いたスペースを別の目的で使うことで、オフィス環境の改善につなげる目的もあります。たとえば、カフェスペースを設置することも、そのためのひとつの方法です。社員が仕事の合間に休憩や雑談にカフェスペースを利用できるため、ストレス軽減や職場内の雰囲気改善につながるでしょう。
カフェスペースについては、『
事例に見る社内カフェが増加している理由と社内にもたらされる効果とは?』の記事もご覧ください。
フリーアドレスの目的を達成できる企業・できない企業
フリーアドレスの目的を達成するには、企業側の準備が不可欠です。ここでは、フリーアドレスの目的を達成できる企業、できない企業とはそれぞれどのような企業なのかを解説します。
フリーアドレスの目的を社員が理解しているか、していないか
フリーアドレスの目的を達成するためには、社員にその目的を理解してもらうことが大切です。たとえば、コミュニケーションの活性化を目的にフリーアドレスを導入した場合、社員がその目的を理解していれば自主的にコミュニケーションが取りやすい席を選ぶようになるでしょう。社員が目的を理解していないと、席が固定化してしまう可能性があります。
フリーアドレスを導入する環境が整っているか、整っていないか
フリーアドレスの目的を達成するには、オフィス環境を整えることも大切です。たとえば、フリーアドレスにはノートパソコンやスマートフォンなどのモバイル機器、無線通信環境が欠かせません。また、デスクにファイルや書類を置くことができなくなるため、業務のペーパレス化も必要です。環境が整っていないと、かえって業務効率が悪くなるおそれがあります。
フリーアドレスと相性のよい企業については『
オフィスでフリーアドレスが求められる背景とは?マッチする企業と期待できる効果』をご覧ください。
フリーアドレス導入の目的を達成するためのポイント
フリーアドレスの導入を進めるにあたり、意識しておきたいポイントを5つ紹介します。
目的を明確にする
企業としてフリーアドレスを導入する目的を明確にしておくことが大切です。さらに、社員にもその目的を理解してもらう必要があります。
運用体制を整える
席を決める際のルールや勤怠管理の方法など、フリーアドレスを導入するうえでの運用体制を整えておきましょう。
フリーアドレス導入の際のルールについては『
ルールと事前準備が大切!フリーアドレス導入で失敗しないために』をご覧ください。
ICT(情報通信技術)を活用する
フリーアドレスの運用にはICTの活用が欠かせません。インターネット環境を整え、デジタルデータでやり取りできる環境を整える必要があります。
導入後のオフィス環境を最適化する
フリーアドレスの導入により空いたスペースをどのように活用するのか検討が必要です。業務の効率化や生産性向上のために必要なオフィス環境を整えていきましょう。
導入しやすい部署、職種から導入する
全社で一斉にフリーアドレスを導入すると混乱が生じてしまう可能性があります。また、部署や職種によってフリーアドレスが向いている場合と、向いていない場合があるでしょう。そのため、まずは導入しやすい部署・職種から試験的に始めてみるのがおすすめです。
フリーアドレスの有効活用モデル
フリーアドレスを導入し、実際に効果を実感できている企業もあります。ここでは、フリーアドレスの有効活用モデルとして企業の事例を紹介します。
調達部門の主導でフリーアドレスを導入した事例
日本航空株式会社では、調達部門の主導でフリーアドレスを導入し、管理部門や企画部門などほかの部門でもフリーアドレスを実施しています。その結果、社員同士の情報共有がスムーズになり、お互いの進捗状況を共有できるようになりました。生産性が上がり、残業時間の削減にもつながっています。
グループごとにフリーアドレスを導入している事例
転職支援や求人情報の提供など、さまざまな人材サービスを行っているパーソルキャリア株式会社では、グループごとにフリーアドレスを導入しています。社長室の前にフリーアドレス席をつくったことで、経営層と社員のコミュニケーション活性化を実現できました。
このように、フリーアドレス導入の効果を実感されているケースは少なくありません。導入を検討される際は、
【お役立ち資料】フリーアドレス導入ガイドをご利用ください。
フリーアドレス導入の目的は明確に!
フリーアドレスを導入するためには、さまざまな準備が必要になります。また、これまでとは異なる体制になるため、社員が戸惑うこともあるでしょう。フリーアドレスを定着させるには、目的を明確にしたうえで社員にそれを理解してもらうことが大切です。また、その目的を達成するためのルール作りや環境整備も進めていく必要があります。企業によっては導入しやすい部署から導入するケースもあるため、他社や他部署の有効活用モデルを参考にしながら導入を検討してみましょう。