フリーアドレスがもたらすメリットを生かしデメリットを解消する方法

フリーアドレスがもたらすメリットを生かしデメリットを解消する方法

ワークスタイル

働き方改革を進めるうえでも注目されている、フリーアドレス。社員が柔軟に働けるようになり、生産性の向上も期待されています。このように期待される一方で、フリーアドレスの導入をめぐる否定的な意見も根強く、かえって働きにくいと感じる人もいるようです。では、実際にオフィスに導入した場合、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。メリットを生かしつつ、デメリットを解消し、フリーアドレスを成功させるためにはどういった施策が考えられるのかについてお伝えします。

フリーアドレスのメリット

フリーアドレスを導入することで、企業にも従業員にも、それぞれにメリットがもたらされます。2019年6月、ザイマックス総研が行った「大都市圏オフィス需要調査2019春」によると、大都市圏のオフィスレイアウトでフリーアドレス席を設けている割合は、2017年春の段階で16.7%でした。しかし、2年後の2019年春では25.2%と8.5%増加しています。このことからもフリーアドレスのメリットを取り入れようと考えている企業が、少しずつではあるものの増えていることがわかります。では、具体的にどういったメリットがあるのかをご紹介します。

社員が自ら考えて動くようになる

毎日決められた席で仕事をしたほうが楽だと感じる人や、フリーアドレスは毎日席を替えるだけだと思われる人も少なくないのではないでしょうか。もちろん、ときには気分転換の意味で自由に席を移動する日もあるかもしれません。

しかし、フリーアドレスは自分の業務内容に合わせて席を選ぶのが基本です。そのため、その日の業務内容に応じて、最適な席を考えて行動する必要が生じます。たとえば、午前中は資料づくりに集中したいから集中席、午後は打ち合わせをしたいからミーティング席というように、自然と主体的に動けるようになるのです。

また、時間によって席を移動することで、自らの業務をタイムマネジメントできるようになることも大きなメリットといえます。

多様な働き方がしやすくなる

最近では、働き方改革の実現に向けて、テレワークや時短勤務、フレックス制を積極的に導入する企業も多くなりました。しかし、従来の慣習を変えるためには、単純に新たな制度を導入するだけではなく、従業員の意識を変える必要があります。先述したように、フリーアドレスは自然と主体性が育まれるため、従業員の意識変容に効果を発揮するのです。

また、固定席で仕事をする環境では、人と違う時間に出社・退社をするというのは気が引けるという人もいるでしょう。しかし、フリーアドレスでは固定席を設けません。つまり、人と違う時間に出社や退社をしても目立たないため、自分の役割さえ果たせれば、固定席に比べ気兼ねなく自由に出社・退社が行え、柔軟な働き方が実現します。

コストが削減できる

基本的にテレワークや時短勤務、フレックス制を導入すると、時間や曜日によって空席ができることもあります。固定席の場合は空席でも人数分の座席は用意されていましたが、フリーアドレスの場合では、必ずしも人数分のオフィススペースやデスクを用意する必要がないのです。そのため、オフィスの省スペース化が可能となり、コスト削減につながります。

また、社員の増減や組織再編があっても、レイアウト変更を最小限に抑えられることもメリットです。従業員数やオフィスの広さにもよりますが、大規模なレイアウト変更になると、数百万円単位の予算が必要になることもあります。数年ごととはいえ、この予算を大幅に抑えられることは、フリーアドレスならではでしょう。このように、従業員の増減があっても最小限の対応で済むため、オフィスにかかるコストの削減ができます。

ペーパーレス化を進められる

フリーアドレスを導入するとペーパーレス化が進められるというよりも、ペーパーレス化をしなければ、フリーアドレス導入の成功は非常に困難になります。なぜならフリーアドレスは常に席を移動するため、デスクに引き出しがついていないからです。また、移動のたびに紙の資料を持ち歩くのは、手間が増えるだけではなく、紛失のリスクも高まり、場合によっては機密情報の漏えいといったことも起こりえます。

フリーアドレスを導入すると、オフィスの省スペース化が可能になると先述しました。これに加えてペーパーレス化により紙の資料を保管するロッカーや書棚を設置する必要がなくなれば、さらなる省スペース化が実現します。

コミュニケーションが活性化する

席を頻繁に移動していると、常に周りにいる人が変わるためコミュニケーションが取りづらくなるのではといった不安を持つ人も多いのではないでしょうか。また、従来の同じ部署、同じチームでまとまっているレイアウトの方が、進捗状況の確認や情報の共有など、コミュニケーション活性化の効果が高いと考えるかもしれません。

しかし、フリーアドレスは部署やチームはもちろん、立場や役職をも超えたコミュニケーションが生まれる可能性が高く、これまでにない新たな発想やコラボレーションが生まれることが期待できます。

フリーアドレスを導入したオフィスデザイン事例集

フリーアドレスのデメリット

メリットの多いように思われるフリーアドレスですが、フリーアドレスでは働きにくいと感じる人もいるでしょう。デメリットとしては以下のような理由が挙げられます。

業務に集中しにくい

固定席では、毎日同じメンバーと顔を合わせるので安心して仕事ができます。そのため、毎日同じ席で固定されたほうが、仕事がはかどるという人も多いです。フリーアドレスの場合では毎日席が変わり、隣に座る人も同じ人とは限りません。そのため、席が変わると集中できない人、周囲で仕事をする人が日々変わることが気になって集中できない人にとっては厳しい環境となる可能性もあるでしょう。

部署内の連絡調整が難しい

フリーアドレスを導入することにより、他部署の人とコミュニケーションがとりやすくなることは確かですが、同じチームのメンバーとは連絡がとりづらくなることもあります。毎日同じ部署の人と同席になるわけではないので、連絡調整は従来どおりにいかなくなるでしょう。

人を見つけにくい

固定席の場合であれば、誰がどの席に座っているのかという問題は座席表ですぐに確認できます。しかし、フリーアドレスでは席が固定でないのはもちろん、座席表もないため、上司に相談したいことがあっても、すぐに見つけることが難しというデメリットがあるのです。

形骸化してしまう

フリーアドレスを導入した直後は、多くの従業員が毎日、席を移動していたものの、しばらくすると誰も席を移動しなくなってしまうことがあります。そして、最終的には、同じメンバーで固まって固定席と同じ状況になってしまうこともあります。これではオフィス家具やレイアウトが変わっただけで、中身は従来のままです。フリーアドレスのメリットが生かせないという意味で、形骸化は大きなデメリットだといえます。

導入にはコストがかかる

フリーアドレスに対応したオフィスレイアウトは、従来の方式を大きく変えるレイアウト変更です。レイアウト変更に伴う工事費、新たにデスクや椅子を購入する費用、これまで利用していたオフィス家具の廃棄処分費など、フリーアドレス導入のためにはさまざまな費用がかかるでしょう。一方で事前準備や運用方針決めをおろそかにしたまま、フリーアドレスの導入自体が目的化している場合は注意が必要です。コストだけかかってうまく運用できないリスクがあり、それがデメリットにもなりえます。

フリーアドレスのデメリットを解消する方法

フリーアドレスの効果を得るためには、そのための事前準備やルールづくりが大切です。導入するにあたり、以下の点に注意してください。

導入目的を明確にする

導入を検討する際は、目的を明確にしておくことが大切です。たとえば、他部署との連携が目的なら、導入後、具体的にどのような効果があったのかを検証することが重要となります。

また、導入に際して数値目標を設置することも欠かせません。オフィスの省スペース化による賃貸料の削減、ペーパーレス化による印刷代の削減、新たなコラボレーションによる新規事業の創出などの数値目標を設定することで、どれだけの導入コストをかけられるかが明確になります。また、数値目標化することでフリーアドレスに対する上層部の理解も得やすくなるのです。

適していない部署もある

たとえば、総務部門は企業のなかで中心となる部署なので、従業員が出入りする機会も多いでしょう。このような部門が導入すると、担当者を見つけにくくなるため、不便に感じられるかもしれません。また、情報部門も、固定のシステムを使うことが多いため、フリーアドレスには向いていない可能性があります。フリーアドレスを導入するからといって必ずしも全社一律で導入するのではなく、部署の特性を考慮して導入することが重要です。

一部で試験的に実施してみる

先述したように、すべての部署で一斉にフリーアドレスを導入することは難しいでしょう。急にオフィス環境が変わると混乱が生じ、組織がうまく回らなくなるリスクもあります。最初はチーム内や1つの部署内など一部で導入し、実際にうまく機能するのか見極めましょう。そのうえで、段階的に導入することも検討してみることが大切です。

ルールづくりをする

フリーアドレスには、ルールづくりが欠かせません。フリーアドレスを導入しても、毎日同じ席に座る人が多く、結局は固定席と同じ状況になってしまったという失敗例は多いです。そのため、席の決め方には一定のルールが必要となり、企業によってはくじ引きやルーレットで席を決めているケースもあります。自分でその日の業務に合わせて席を決めることも重要ですが、形骸化を防ぐためにくじやルーレットによる「運」の要素も入れてみることで、フリーアドレスが活性化する可能性も高まるでしょう。実際に、導入して問題が発生したら、その都度話し合ってルールを決めることが大切です。

フリーアドレス管理ツールを導入する

最近では、フリーアドレスを活性化させるための管理ツールも登場しています。毎日、座る場所が変わってもすぐに確認できる座席表機能を活用するなど、ツールをうまく使うことでフリーアドレスのデメリットを解消できるでしょう。

フリーアドレスの座席管理システム スワリー

フリーアドレス導入のデメリットや注意点も把握しよう!

フリーアドレスには、社員、企業それぞれにメリットがあります。これがうまく機能すれば、これまでよりも働きやすいオフィスが実現できる可能性も出てきます。しかし、人によっては導入後、かえって働きにくくなったと感じるケースもあります。そのため、フリーアドレスのデメリットや注意点にもしっかりと目を向けてから導入する必要があります。そのうえで、段階的な導入も検討し、問題が発生した場合の対応策も話し合っておくことが大切です。

 

参照

フリーアドレスを導入したオフィスデザイン事例集