内装工事というと、施工業者が主導で行うものといったイメージが強いのではないでしょうか。だからといって、実際にオフィスで働く企業側の目的やコンセプトをしっかりと伝えないでいると、働きにくいオフィスになってしまう可能性が高まります。そこで、今回は企業がオフィスの内装にこだわるメリットを見たうえで、内装工事の流れや、工事を成功させ快適なオフィスをつくるポイントをお伝えします。
オフィスの内装にこだわるメリット
企業がオフィスの内装にこだわることで得られる主なメリットは、「業務効率化・生産性向上」「快適に働けるオフィスの実現」「対外的なイメージの向上」の3点です。それぞれについて簡単に解説します。
業務効率化・生産性向上
企業には、それぞれ働きやすい動線があります。販売部門とマーケティング部門、経理部門と営業部門など、行き来が多い部署をつなぐ動線はスムーズでなければなりません。
もし、それぞれの部署の間にOA機器やほかの部署が設置されていれば、業務効率も悪くなり生産性も落ちてしまうでしょう。内装工事の前段階で業者と情報共有していれば、業務の効率化や生産性向上も期待できるようになります。
快適に働けるオフィスの実現
感染症拡大を防止するという目的もあって、Webでの打ち合わせや商談が増えています。しかし、自席でWebを通した打ち合わせや商談をすれば、周囲に迷惑がかかってしまうでしょう。そこで、集中ブースやファミレス席など周囲を気にしない環境をつくれば、快適なオフィス空間が実現し、社員のモチベーションアップにもつながります。
そのほか、休憩室の一角にカフェスペースを設置すれば、異なる部署の社員同士が雑談によるコミュニケーションを取れるようになるなど、さまざまなメリットが生まれるでしょう。
集中ブースやカフェスペースについては、『コミュニケーションと集中のメリハリを実現する集中ブースの効果的活用方法』や『社内コミュニケーション活性化に効果!事例で見るオフィスカフェの効能』の記事をご覧ください。
対外的なイメージの向上
オフィスの内装が働きやすく快適なものであれば、その魅力は社内だけではなく、オフィスを訪問する取引先や求職者にも伝わります。特に、求職者に対しては、自社のアピールにもつながり、この会社で働きたいと思ってもらううえでも大きな効果を発揮するでしょう。採用活動を有利に進めていける可能性が高まります。
内装デザインについて詳しくは『オフィスの内装デザインに欠かせないポイントとは?目的に応じた内装デザインのカギを解説』の記事をご覧ください。
オフィス内装工事の流れ
オフィスの内装工事に必要な期間はオフィススペースや工事内容によっても異なりますが、3~6カ月程度かかることが一般的です。そのため、既存のオフィスを工事する場合、工事が行われている間の移転先を事前に決めておかなくてはなりません。
また、新規にオフィスを設ける場合も既存オフィスの退去時期を決める必要があるため、移転日から逆算して内装工事のスケジュールを決めておく必要があります。具体的なオフィス内装工事の流れは次のとおりです。
1. 目的・コンセプトの明確化
どのようなオフィスにしたいのか、内装工事の目的やコンセプトを明確に決めます。
2. 施工業者の決定
予算や目的に応じて内装工事の施工業者を決めます。複数の施工業者に見積もりを依頼し、見積もり内容の不明な点は必ず明らかにしたうえで、選択することが重要です。
一式の見積もりではなく、一つひとつの工程について細かい内訳を記載、説明してくれる業者かどうかをチェックしましょう。
3. 設計についての打ち合わせ
自社の目的、コンセプトなどの情報を業者と共有したうえで、デザイン、設計についての打ち合わせを行います。この時点で目的やコンセプトは曖昧にせず、しっかりと伝えなくてはなりません。曖昧なままだと完成した際に思っていたものと違うできあがりになってしまうリスクが高まります。
4. 工事開始
スケジュールに合わせて工事を進めていきます。新規オフィスの場合は、この段階でインフラ工事もあわせて行います。スケジュールどおりに進んでいるかについては、定期的にチェックしましょう。
ここで遅れが出てしまうと、既存オフィスや期間限定で利用しているオフィスの退去日を延期しなくてはならなくなるため、業者に任せっきりにしないことが重要です。
5. 什器・設備の搬入
内装工事を終えたら什器・設備の搬入を行って完了です。什器・設備の搬入前に、内装が事前に共有したコンセプトや設計図に沿ったものになっているかを必ず確認してください。
什器・設備が入った後にミスが見つかると、修正するのに大幅なタイムロスが生じます。施工業者立ち会いのもとに細かい部分も入念に確認をしましょう。
オフィスの内装工事について詳しくは『内装工事とは?オフィスに必要な内装工事と施工時の注意点』をご覧ください。
オフィスの内装工事を成功させるコツ
オフィスの内装工事を成功させるにはいくつかのコツがあります。具体的には、「内装工事の目的・コンセプトを明確にする」「経営層だけでは決めず現場の声を聞く」「オフィス内装工事の経験が豊富な業者を選択する」の3点です。それぞれについて簡単に解説します。
内装工事の目的・コンセプトを明確にする
なぜ、内装を変えるのか、その目的とコンセプトを明確にしておかないと内装工事はうまくいきません。目的やコンセプトが曖昧だと、途中でコロコロと意見が変わり、最終的には誰にとっても使いにくいオフィスになってしまう可能性もあります。
「効率重視」「快適性優先」など何にプライオリティを置くかを、まず決めたうえで詳細を決めていくとよいでしょう。
現場の意見をよく聞く
現在のオフィスの快適な点、不満な点を本当に知っているのは現場で働く社員だけです。社員が快適に働ける内装にするには、現場の声をしっかりと聞くことが大切です。
経営層や業者との折衝担当だけで話を進めてしまうと、イメージだけが良くて実際には働きにくいオフィスになってしまう場合があります。形から入るのではなく、現場の意見を重視することで、実際に働く社員が快適だと感じるオフィスを実現することができるでしょう。
適切な施工業者の選択
内装工事の目的やコンセプトが明確であっても、完成したものが当初のイメージからかけ離れたものになっていては意味がありません。内装工事が成功するかどうかは適切な施工業者の選択に懸かっています。
選択のポイントは、オフィス内装工事の実績が豊富であり、企業側の質問や要望にすぐに回答をくれる業者かどうかという点です。また、新規オフィスの場合は、旧オフィスの原状復帰工事もあわせて依頼できる業者にすると、手間を軽減できます。内装工事と原状復帰にかかるの費用の相場を把握するためにも、複数の業者から見積もりを取るとよいでしょう。
ただし、ビルによっては原状復帰工事の業者が決まっている場合もあるので、その点を必ずビルオーナーに確認してから業者を決めましょう。
内装工事の費用について詳しくは『オフィスの内装工事にかかる費用とは?安く抑えるためのポイントを解説』の記事をご覧ください。
オフィス内装工事成功のポイントは目的の明確化と業者選択
内装工事は目的が明確になっていないと、どれほど優秀な施工業者であっても、工事が成功する可能性は低くなってしまうでしょう。逆に、明確な目的が決まっていたとしても、オフィス内装工事の実績が少ない業者を選択すると失敗するリスクが高まります。
まずは内装工事の目的を明確にすること。次に目的を達成させられる施工業者を選択すること。この2つをしっかりと行えば、成功の確率は確実に向上します。現場の声もしっかりと聞きつつ、明確な目的、コンセプトづくりをすることがカギとなるでしょう。
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