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オフィス移転は什器を新しく購入したり工事費用が発生したりと、何かと費用がかさむもの。できることなら、移転を依頼する業者への発注費を抑えたいと考えている人も多いのではないでしょうか。コストを抑えるうえでは重要なことですが、業者を見積もり金額だけで決めてしまうと、あとあと追加コストが発生したり、トラブルの原因になったりすることもあるため注意が必要です。ここでは、見積書を依頼する際に気を付けたい点や見積もりのチェックポイントをまとめました。

オフィス移転の見積もり、作業範囲はどこまで?

見積書とひと口に言っても、業者によって記載項目は大きく異なります。単純に移転作業のみにかかる金額を記載している場合もあれば、不用品の引き取りや旧オフィスの原状回復にかかる費用までを含んでいる場合もあります。特に、オフィス移転にまつわる作業をワンストップで依頼したいと考えている場合は、見積もりにどこまでの作業が含まれているのかをしっかり確認するようにしましょう。

オフィス移転の作業内容

一般的に、オフィス移転をワンストップで依頼する場合は、以下のような作業が含まれていることが多いようです。

・オフィスのレイアウトプラン策定

予算や要望を聞いたうえで、ひとつもしくは複数のレイアウトプランを策定します。
オフィスレイアウトについて詳しくは「オフィスレイアウトのパターンとは?レイアウトを決める際のフロー・注意点も解説」をご覧ください。

・新オフィスの内装工事

策定したレイアウトプランを基に新しいオフィスの内装工事を実施します。
オフィスの内装工事について詳しくは「オフィスの内装にこだわるメリットと工事を成功させるポイントを解説」をご覧ください。

・新オフィスの電気・ネットワーク工事

新たなオフィスで執務室、会議室、商談室など各箇所の電気工事のほか、電話回線やインターネット回線などのネットワーク工事を行います。

・什器、OA機器の新規購入

移転に際し、既存の什器やOA機器では足りない分について新規に購入を行います。
オフィス移転時の什器・OA機器新規購入について詳しくは「オフィス移転時に見直したいオフィス家具は? 廃棄・リサイクルの方法も紹介」をご覧ください。

・移転作業

旧オフィスから新オフィスへ荷物を移動します。

・不用品の引き取り

新オフィスで不要になる什器、机、椅子、文具などの引き取りをしてもらいます。

・旧オフィスの原状回復工事

原状回復工事とは、旧オフィスを退去する際、入居時と同じ状態に回復させるための工事です。旧オフィスとの契約に沿って必要な工事を行います。
原状回復工事について詳しくは「オフィス退去時に必要な原状回復工事とは?工事のタイミングや流れなどを解説」をご覧ください。

・移転に伴う各種届け

インターネット・電話回線や電気・水道・ガスの手続き、銀行口座やクレジットカードの登録情報の変更手続き、健康保険や厚生年金保険の変更手続き、労働基準監督署へ提出する書類の手続きなどを行います。なお、これらの手続きは、基本的には自社の総務部や人事部などで行いますが、一部司法書士事務所やライフライン契約代行サービスに委託することも可能です。

オフィス移転手続きについて詳しくは「オフィス移転に欠かせない手続き、その内容と手続きの方法をすべて解説」をご覧ください。

・移転に伴う告知、印刷物作成

取引先への告知を行い、名刺や社名住所入りの封筒などの印刷物を作成します。
移転に伴う告知について詳しくは「オフィス移転前にしっかりチェック!挨拶状のマナーと文例」をご覧ください。

見積書の作業項目

見積もりを取る際は「一式」のように金額をまとめて算出したものではなく、詳細項目まで記載された見積もりを依頼するようにしましょう。詳細が見積もりに記載されていれば、どういった作業が含まれているのかを確認しやすくなるだけでなく、作業工程を綿密に計画したうえで金額を算出していることの裏付けにもなります。こうすることで、あとあとになって思わぬ追加コストが発生したり、依頼しているつもりの作業が含まれていなかったりといったトラブルを防ぐことができるでしょう。

また、オフィス移転の目的や移転で実現したいことを整理しておくことも重要です。作業内容や見積書の項目に加え、自社が移転で実現したいことを適切に反映してくれる業者かどうかを確認するため、事前に目的や対応してもらう必要のある範囲のあたりをつけておきます。

業者のサポート体制は充実していますか?

オフィス移転の業者を選定する際には、見積もり金額だけでなくサポート体制やアフターフォローが充実しているかを確認することも重要です。オフィス移転の経験が豊富な業者であれば、ただ移転作業をスムーズに進行するだけでなく、オフィス移転を機に省エネにつながる空調や照明の提案をしてくれたり、移転の目的に合わせたオフィスレイアウトを考案してくれたりとさまざまなサポートをしてくれるはず。こうした業者を選ぶことができれば、結果的に費用対効果の高い移転ができるでしょう。

また、オフィス移転はさまざまな作業が同時進行するため、移転後に内装工事の欠陥が見つかったり、オフィスに不具合が出たりするなど、想定外の事態が起きないとも限りません。こうしたトラブルにスムーズに対応するためにも、アフターフォローがしっかりした業者を選ぶことが重要です。

どのようなサポートが可能なのか?サポート内容の具体例

オフィスの引っ越しをオフィス移転業者に依頼する際、具体的にどのようなサポートが可能なのでしょうか。ここでは、サポート内容の具体例を挙げていきます。充実したサポートがあれば、通常業務に影響することなく、オフィスの引っ越しを実現することも可能です。

・引っ越しのスケジュールやコストの管理

オフィスの引っ越しに必要な、スケジュール管理やコスト管理をサポートしてもらうことができます。オフィス移転のプロによるサポートで、引っ越し当日まで慌てることなくスケジュールやコスト管理を任せられます。

・新オフィスのデザインやレイアウトの策定

新オフィスのデザインやレイアウトをプロに策定してもらうことも可能です。現オフィスでの課題や新オフィスに対する希望を伝えることで、より機能的でデザイン性に富んだオフィス環境の実現を手伝ってもらうことができます。

・運送業者との調整や引っ越しマニュアルの作成

運送業者とのさまざまな調整や引っ越しマニュアルの作成など、引っ越し作業にかかわる業務もサポートしてもらえます。調整に必要な情報収集や業者の手配もサポートがあれば安心です。また、引っ越し当日に個人がする作業もマニュアル化しておけば、トラブルなく作業を完了できるでしょう。

法人部門がある業者を選ぶことが大切

大手の引っ越し業者や移転の専門業者など、オフィス移転を請け負う業者にはさまざまな種類があります。通常は事前に見積もりを取ることになりますが、その際に重要なのが法人専門の部門がある(オフィス移転を専門とする部門がある)業者を選ぶことです。

言うまでもありませんが、オフィス移転は家庭の引っ越しとは大きく異なります。単純に取り扱う荷物量が多いだけでなく、移転後スムーズに業務に取り掛かるためには什器や書類を新オフィスのレイアウトに合わせて搬入する必要があるといったように、特有のノウハウも必要になります。

こうした事情もあり、引っ越し業者によっては規模にかかわらずオフィス移転は請け負いたくないと考えているケースもあるのが現状です。当然ながら、こうした業者に見積もりを依頼しても金額が高くなってしまうだけでなく、十分なサービスを受けることも難しくなるでしょう。

そのため、見積もりを依頼する際は、最初の段階で法人専門の部門がある業者だけに絞って依頼することをおすすめします。こうすることで、結果的にスムーズに移転を進めることができるだけでなく、コストの削減にもつながるでしょう。

オフィス移転における見積もりのチェックポイント

引っ越し業者に見積もりを出してもらったら、料金だけでなくサービス内容や補償内容なども細かくチェックすることが大切です。具体的なサービス内容やサポート体制を確認しましょう。

サービス内容を確認する

見積書では、どのようなサービス内容が含まれているのか、明細をチェックする必要があります。移転計画の作成、レイアウト、運搬、内装・配線工事、原状回復、廃棄物処理など、具体的なサービス内容を確認しましょう。そのうえで、必要な項目は含まれているのか、不要な項目が入っていないかチェックします。サービスに含まれていない作業は、別途手配するか、自分たちで行う必要があります。引っ越し直前になって混乱しないように、一つひとつ確認することが大切です。

また、通常、オフィス移転は一社にまとめて依頼した方がデザインの立案から移転に至るまでの工程の最適化がしやすくなります。しかし、予算や日程調整の都合などで複数社に依頼するケースも少なくありません。複数社に依頼する場合、たとえばデザイン事務所と施工会社で上手く引継ぎができるかは、細かく確認すべきです。

補償内容を確認する

引っ越しの際に、破損や紛失、トラブルがあった場合の補償も確認することが必要です。破損や紛失などのトラブルが発生した際には、引っ越し業者に責任があれば、補償の対象となる範囲で補償してもらうことが可能です。そのため、補償金額や補償対象となるケースなどを見積もり時に確認しておくとよいでしょう。一般的に補償金額には上限が設けられています。また、貴重品や高価な物品などは補償の対象外になることもあるため、事前に申し出る必要があります。あとでトラブルにならないためにも、補償内容はしっかり確認しておきましょう。

見積もりをシミュレーションするために必要な情報

オフィス移転にかかる引っ越し費用を見積もってもらう際には、できるだけ正確な情報を伝えることが大切です。ここでは、どのような情報が必要なのか挙げていきます。

引っ越し先までの距離

引っ越し先までの距離は、料金に影響するため、できるだけ正確に測ることが大切です。直線距離ではなく、現オフィスから移転先まで引っ越し用のトラックが移動する距離を算出します。トラックの移動距離は、Google Map(グーグルマップ)を利用すれば、簡単に検索可能です。引っ越しには人件費やガソリン代などの運送費用が加算されるため、料金は距離が長いほど高くなります。渋滞が多いエリアでは、渋滞時間も考慮して料金が決められているのが一般的です。

駐車スペースの状況

トラックの容量は、荷物の量や大きさだけでなく、現オフィスと移転先オフィスの駐車スペースの状況を考慮して、駐車可能なトラックを選ぶ必要があります。そのため、それぞれの駐車スペースの状況を把握しておかなければなりません。できるだけ大型の車両を選択した方が、効率よく引っ越し作業ができます。そのため、引っ越し当日にどのくらいの大きさのトラックを何台駐車できるのか、事前に確認しておきましょう。

建物の条件

引っ越しに必要な人員は、建物の条件によっても変わってきます。オフィスが上階にある場合や、エレベーターがないビルの場合は、人員が多く必要になるため、オフィスがある階までの階数やエレベーターの有無を伝えることが必要です。また、トラックを駐車する場所からエレベーターや階段までの距離、オフィスがあるフロアのエレベーターや階段から、オフィスの入り口までの距離も伝える必要があります。そのほか、エレベーターの大きさやドアの大きさなど、運搬に必要な情報を把握しておきましょう。

家具や段ボール箱の数量

現オフィスから移転先オフィスへ運ぶデスクやカウンター、ロッカーなどのオフィス家具の数量も正確に把握しておくことが大切です。家具の種類や大きさごとに数量を数えておきましょう。そのほかに、書類やオフィス用品などを入れる段ボール箱がいくつになるのか、大きさと数量を伝えます。ただし、機密書類は引っ越し業者に依頼せずに、自分たちで運ぶのが基本です。そのため、段ボール箱の数量には含めずに、別途管理する必要があります。

オフィス引っ越しの見積もりは作業範囲やサポート体制まで確認!

オフィスの移転コストのなかでも大きな割合を占める引っ越し業者への発注費用。コスト削減は重要ですが、見積もりを取る際はその金額だけに注目するのではなく、作業範囲や業者のサポート体制まで細かく確認することが重要です。

オフィス移転では、さまざまな作業が発生するため、できるだけ一括で受けられるサービスがおすすめです。また、物品の破損や紛失があった際の補償内容も確認しておく必要があります。引っ越し当日の混乱やトラブルを避けるためにも、見積書の内容はしっかり確認しましょう。

最後にプラスのオフィス移転実績を3つ紹介しますので、移転を検討されている際は、ぜひ、参考にしてください。

サムティ株式会社 様

サムティ株式会社 様

不動産開発及び不動産賃貸事業を手掛けるサムティ株式会社(以下同社)。同社では、社員が心地よくかつ効率的に働けるオフィスを目指し、ABW(Activity based Working)を導入しました。

東京本社と東京支店が併設されているため、それぞれのオフィススペースを離れた位置にレイアウトしながらも、中央部分にカフェスペースやWebブースなどの共用エリアを設置。社員同士のコラボレーションが促進されるデザインになっています。

Webブースは、1~2人用、4~6人用など複数のタイプを設置することでテレワークの社員や社外との打ち合わせなど多様な用途に応じての使い分けも可能になっています。

株式会社ファイン 様

株式会社ファイン 様

健康食品を中心に美と健康にかかわる製品サービスを提供する株式会社ファイン(以下同社)。同社では、社内コミュニケーションの活性化を目的とし、フリーアドレスを導入しました。

執務スペースでは、固定席に加え、キャスター付きのテーブルを自由に動かして臨機応変に使いわけられるエリアも設置。ほか、一人で集中して業務を行える適度な遮蔽間のパネル付きデスクも用意されています。

また、通常はワークスペースとしても活用できるカフェスペース。リビングのようにリラックスでき活発な議論もできるミーティングエリアもあり、至る所でコミュニケーションが取れるレイアウトを実現しています。

コーラス株式会社 様

コーラス株式会社 様

文具・事務用品カテゴリーを中心とした製品・サービスのマーケティング・企画・販売をするコーラス株式会社(以下同社)。同社では、「Safer and Cozy Place(より安全で、創造的なイマジネーションを育む快適空間)」の実現を目指し、レイアウトデザインを行いました。

エントランスとオフィスをつなぐワーキングラウンジでは、カンファレンスエリアやハイテーブルを囲んでのアクティブなワークエリア、ゆったりとしたラウンジエリアの2つで構成。オフィスの中央に位置するフレキシブルなスペースでは、緑化された壁面と企業アイコンであるCをダイナミックに構成するなど、全体的におしゃれな雰囲気をつくり出しています。そのほか、“Safer and Cozy workplace”を象徴するレイアウトとして背面対向型を採用し、回遊動線を基本とするなど、多彩なセッティングにより社員の快適な働き方を可能にしました。

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