オフィス移転に欠かせない手続き、その内容と手続きの方法をすべて解説

オフィス移転・リニューアル
オフィス移転は一般の引っ越し以上に多くの手続きが必要です。しかもそのどれもが重要なもので、何かしらを忘れてしまうと業務に支障をきたすケースも少なくありません。そこで、今回はオフィス移転で発生する各種手続きの種類と方法について、公的なものと民間のものに分けてお伝えします。
また、オフィス移転の流れがわからない、チェックリストがあれば嬉しいという方は、『これで完璧!オフィス移転の流れとすべきこと【チェックリスト付き】』の記事を、オフィス移転時に忘れると困るポイントが知りたいという方は『オフィス移転で総務部がやるべき業務は?忘れると後になって困るポイントを解説』の記事をご覧ください。
公的な手続きの種類と方法
オフィス移転の際に必要となる手続きは、公的なものと民間のものの大きく2つに分けられます。まずは、公的な手続きの種類を紹介します。
法務局へ提出する書類の手続き
・株式会社本店移転登記申請書
移転先 |
添付書類 |
提出先 |
提出期限 |
管轄内 |
株主総会議事録 |
本店管轄登記所窓口 |
移転日から2週間以内 |
管轄外 |
上記に加えて 印鑑届書・印鑑カード交付申請書 |
本店管轄登記所窓口 |
移転日から2週間以内 |
税務局へ提出する書類の手続き
- 異動届出書
添付書類 |
提出先 |
提出期限 |
なし 異動事項確認で、定款等の写しが必要な場合もあり |
異動前の納税地管轄税務署長に持参または送付 |
異動後速やかに (基本1部ですが調査課所管法人は2部必要) |
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
提出先 |
提出期限 |
届出書を1部作成のうえ、給与支払事務所等の所在地の所轄税務署 |
開設、移転または廃止の事実があった日から1カ月以内 |
都道県税事務所へ提出する書類の手続き
- 事業開始等申告書
添付書類 |
提出先 |
提出期限 |
都道府県によって異なるため、それぞれの税事務所に確認 |
移転前の税事務所 (都道府県をまたぐ移転の場合、移転前、移転後、それぞれの税事務所) |
都道府県条例で定められた期限のため、それぞれの税事務所に確認 |
社会保険事務所へ提出する書類の手続き
- 健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届
移転先 |
添付書類 |
提出先 |
提出期限 |
管轄内 |
法人(商業)登記簿謄本のコピー |
移転先のオフィス所在地を管轄する年金事務所(電子申請・郵送・窓口持参) |
移転日から5日以内 |
管轄外 |
法人(商業)登記簿謄本のコピー |
移転前のオフィス所在地を管轄する年金事務所 |
移転日から5日以内 |
労働基準監督署へ提出する書類の手続き
- 労働保険名称、所在地等変更届
移転先 |
添付書類 |
提出先 |
提出期限 |
移転前と同じ都道府県に移転 |
各労働基準順監督署によって異なるため、確認が必要 |
移転前のオフィス所在地を管轄する労働基準監督署 |
所在地変更のあった翌日から10日以内 |
別の都道府県に移転 |
労働保険概算 |
廃止届は移転前のオフィス所在地を管轄する労働基準監督署 成立届は新たなオフィス所在地を管轄する労働基準監督署 |
廃止届は保険関係が消滅してから50日以内 成立届は保険関係が成立してから10日以内 |
公共職業安定所へ提出する書類の手続き
- 雇用保険事業主事業所各種変更届
添付書類 |
提出先 |
提出期限 |
労働保険名称、所在地等変更届のコピーと登記簿謄本 |
移転後のオフィス所在地を管轄する公共職業安定所へ提出(電子申請もあり) |
所在地変更があってから10日以内 |
消防局へ提出する書類の手続き
- 防火対象物使用開始届出書
提出先 |
提出期限 |
移転先のオフィス所在地を管轄する消防署 |
移転7日前まで |
- 防災管理者選任(解任)届出書/防火管理に係る消防計画書(従業員が50名以上いる場合)
提出先 |
提出期限 |
移転先のオフィス所在地を管轄する消防署 解任書は移転前のオフィス所在地を管轄する消防署 |
特になし |
- 防火対象物工事等計画届出書(移転先のオフィスで内装工事を行う場合)
添付書類 |
提出先 |
提出期限 |
防火対象物概要表 |
移転先のオフィス所在地を管轄する消防署 |
内装工事開始の7日前まで |
警察署へ提出する書類の手続き
- 車庫証明
提出先 |
提出期限 |
移転先のオフィス所在地を管轄する警察署 |
特になし |
民間手続きの種類と手続きの方法
続いて民間手続きの種類と手続きの方法について説明します。
オフィスの解約・契約
移転前のオフィス解約は通常半年前までに予告するのが一般的ですが、管理会社によっても異なるため、移転を決めたらすぐに契約書を確認します。移転先のオフィス契約は、家賃が発生するため、解約が決定したのに合わせて行うとよいでしょう。
ガス・水道・電気・郵便の手続き
ガス会社、水道会社、電機会社、郵便局にそれぞれ移転を知らせて手続きを行います。通常はネット上で移転先の住所や移転日を入力するだけでも手続きは行えます。移転に伴いビジネスフォンを増設する場合は、事前に増設が可能かどうかを電話会社に確認しましょう。
郵便局は移転手続きのほか、転送サービスの手続きもしておきましょう。手続き後、1年間は前の住所宛ての郵便物を移転先へ転送してもらえます。なお転送サービスを利用する場合は、郵便局窓口で行い、社員証、各種健康保険証など窓口へ訪れる方と会社、団体等との関係が分かるものと押印用の印鑑が必要です。
インターネット回線の手続き
インターネット回線の移転手続きは、プロバイダーや光回線事業者に連絡し、日程や移転先の住所、自社所有か賃貸かなどを伝え、工事日を決定します。光回線を移設した場合、名義変更も必要です。その際、登記簿謄本もしくは印鑑証明のコピーが必要な場合もあります。提出は基本的には郵送です。
手続きを忘れてしまった際の対処方法
今回紹介したほとんどの手続きは、業務を行っていくうえで必須のものばかりです。そのため、期限が決まっているものはそれよりも早く、決まっていなくてもできるだけ早い段階で手続きを終わらせ余裕を持って移転に臨むようにしましょう。
もし、手続きを忘れてしまった場合、当該の提出先へ速やかに連絡を取り、どうすればよいかを確認したうえですぐに手続きを進めていくことが重要です。
オフィス移転の手続きは余裕を持って早めに行うことが重要
手続きや契約を行うことで料金が発生してしまうものを除き、オフィス移転の手続きはできるだけ早く終わらせてしまいましょう。そのためには移転が決まった段階ですぐに計画書を作成し、そのなかに手続きをすべき項目をすべて書き出しておきます。これに沿って進めていけば手続き漏れも防げるでしょう。
移転ギリギリになると想定外のトラブルが発生する場合もあり、細かい手続きは後回しにしてしまうケースも少なくありません。そうしたミスを避けるためにもできるだけ早い段階で余裕を持って手続きを済ませておきましょう。