オフィスデスクレイアウトの基本パターンと特徴
オフィスのデスクレイアウトは、働く環境の質や業務効率に大きな影響を与える要素です。ここでは、代表的な6つのレイアウトパターンを紹介します。
■代表的なデスクレイアウトの種類

■各デスクレイアウトのメリットとデメリット
レイアウト メリット デメリット 適した職種 対向型 コミュニケーションが活性化される。マネジメントがしやすい 対面ストレスが生じやすい。単調で変化のない印象 チーム単位での連携が重視される営業部門、総務部門など 背面型 集中とコミュニケーションのバランスを取りやすい 管理者の視認性が下がり、レイアウト効率が悪くなる場合がある 個人作業と意見交換を両立する研究職、開発職など 同向型 対面ストレスがなく、集中作業に向いている スペース効率が悪く、コミュニケーションが取りづらい 集中業務中心のコールセンターや窓口業務、入力作業など クロス型 チーム内外の動線が交差することで、偶発的なコミュニケーションが生まれる。空間の中心に共有エリアを配置しやすい 動線が交差する分、混雑や視線の干渉が起きやすい。席の配置バランスに注意が必要 部門を超えた交流が多い企画部門、クリエイティブ職など ブーメラン型 視線が自然に外れ、個人の集中を保ちつつ会話も可能。デザイン性が高い 特注家具が必要で、コストが高い。スペース効率が下がる場合もある 創造性を重視するデザイン系企業、広告代理店、ITスタートアップなど ブース型 プライバシーが確保しやすく、集中作業に最適 圧迫感があり、在席確認が難しく、コストも高くなりがち 機密情報を扱う専門職、クリエイティブ職など
オフィスレイアウトについて詳しくは、こちらのページをご覧ください。
オフィスレイアウトの基本パターンや機能性との両立方法、事例を紹介
フリーアドレスやABWのレイアウトの特徴
近年、多様な働き方に対応するため、フリーアドレスやABW(Activity Based Working)といった柔軟なレイアウトを導入する企業が増えています。従来の「固定席に座る」前提を見直し、業務内容や目的に応じて自由に働く環境を整えると、生産性や創造性の向上を図ることができます。
ここでは、フリーアドレスとABWの違いを見ていきましょう。
■フリーアドレスとABWの違いと推奨されるゾーン設計
項目 フリーアドレス ABW
(Activity Based Working)席の考え方 自由に座れる(固定席はない) 業務内容に応じて最適な場所を選ぶ 目的 空間効率化、コミュニケーション促進 生産性や創造性の最大化 主体 組織(全体最適) 個人(活動最適) ゾーン設計 シンプルな共用席と集中席 多目的・行動ベースのゾーン構成 IT環境 ノートPCやWi-Fi、クラウドが必須 左記に加え、タスク別に最適化されたツール環境
フリーアドレスにおすすめのゾーニング
フリーアドレスを導入したオフィスでは、席を自由に選べるだけでなく、出社する目的を明確にし、生産性を高める空間設計が重要です。以下のようなゾーンを設けると、従業員が目的に応じて最適な場所を選べる環境が整い、フリーアドレスの効果を最大限に引き出せます。
<フリーアドレスにおすすめのゾーニング>
・集中スペース…パーティション付きデスクや防音ブースなど、個人作業に集中できるデスク
・コミュニケーションエリア…打ち合わせや雑談がしやすいテーブル席
・カフェスペース…リラックスしながらアイディアを出せる空間
・電話・Web会議ブース…声や音を気にせずオンライン会議ができる個室型ブースなど
フリーアドレスについて詳しくは、こちらのページをご覧ください。
ABWにおすすめのゾーニング
ABWは、フリーアドレスよりさらに一歩進んだ働き方で、単なる自由な席選びではなく、活動内容に最適な場所を選ぶという考え方がベースにあります。目的に応じてゾーンを設定して使い分けることで、チームワークと個人の生産性の両立が実現します。
<ABWにおすすめのゾーニング>
・フォーカスゾーン…資料作成・プログラミングなど集中作業向けエリア
・コラボレーションゾーン…チーム会議やブレスト用のゾーン
・ソーシャルゾーン…偶発的な出会いを生むラウンジやカフェ
・リチャージゾーン…休憩や気分転換のためのスペース
・プロジェクトルーム…一定期間チームが専有して使える小規模エリア
ABWについて詳しくは、こちらのページをご覧ください。
【事例あり】ABWとは?フリーアドレスとの違いやメリット・デメリットを解説
自社に合ったデスクレイアウトの選び方
ここからは、「業務内容・職種別」と「オフィス規模別」に分けて、適切なオフィスのデスクレイアウトの選び方を解説します。
業務内容・職種によるデスクレイアウトの選び方
部署や職種によって、求められる働き方は大きく異なります。それぞれの業務スタイルに合わせたレイアウトを選ぶと、業務効率と従業員の働き方満足度の向上が期待できます。部署や職種別にみる、おすすめのデスクレイアウトは次のとおりです。
チームワーク重視の部署
営業部門や総務部門など、頻繁なコミュニケーションやマネジメントが必要な部署では、対向型のレイアウトが有効です。視線が交わりやすく、指示や相談もしやすいため、チームでの連携がスムーズになります。
集中作業が多い職種
開発職や研究職など、個人での作業が中心となる職種には、背面型やブース型が適しています。視線の干渉を避けられるため集中しやすく、必要に応じて周囲とコミュニケーションすることも可能です。
コールセンターやデータ入力などの事務系業務
コールセンターやデータ入力などの事務系業務のほか、プログラマーやエンジニアなど集中を要する職種では、同向型の導入が有効です。同じ方向を向いているほうが雑音や視覚ノイズが少なく、作業効率が高くなるでしょう。管理者が前方から全体を見渡せるのもメリットです。
混在型の業務環境
さまざまな業務が混在するオフィスでは、複数のレイアウトを組み合わせることもひとつの手段です。例えば、部門によって対向型と背面型を使い分けたり、共通スペースにはフリーアドレスを導入したりすると、オフィスを柔軟に運用できます。
オフィスの規模によるデスクレイアウトの選び方
オフィスの物理的な広さや構造によっても、最適なレイアウトは変わります。スペースを最大限に活用するには、レイアウトの柔軟性や将来性も考慮することが重要です。
小規模オフィス:ユニバーサルレイアウトがおすすめ
小規模オフィスでは限られたスペースでも効率的に業務を行えるように、対向型や背面型などのコンパクトな配置が適しています。さらに、役職や部署にかかわらず、同じ仕様のデスクを並べるユニバーサルレイアウトの導入もおすすめです。特定の座席に意味を持たせないことで公平性を保てたり、部署間の壁を取り払いやすくなったりし、柔軟な組織変更にも対応できるでしょう。
■柔軟性が高いユニバーサルレイアウト

大規模オフィスの場合:多様なレイアウトの組み合わせがおすすめ
大規模オフィスは面積に余裕がある分、ゾーニングや多様なレイアウトの組み合わせが必要になります。部門ごとに異なるレイアウトを導入したり、ABWの考え方を取り入れたりしたゾーン設計をすれば、多様な働き方に対応しやすくなるでしょう。
また、大規模オフィスではスペース制約や動線の最適化も重要な課題です。人の流れや共有設備の位置関係を考慮し、混雑を避ける設計が求められます。

オフィスリニューアルのデスクレイアウト事例
ここでは、プラスが手掛けたオフィスリニューアルにおけるデスクレイアウトを紹介します。各社が望む働き方や、課題解決に合わせて選択されたデスクレイアウトをご覧ください。
オフィス建て替えで動線や配置にも配慮した明快なレイアウトを取り入れたZ社 様

| 入居人数 | 約180名 |
| 延べ床面積 | 約3,350平方メートル |
| 業界・業種 | 製造業 |
工場に併設するオフィスの建て替えリニューアル時に、部署や職種の垣根を越えて自然な交流が生まれるよう、動線や配置にも配慮し、明快なレイアウトを提案。ホワイト、ブラック、ダークカラーの木目を組み合わせた執務エリアは、清潔感と誠実さを印象づける空間となりました。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
オフィス建て替えで動線や配置にも配慮した明快なレイアウトを取り入れたZ社 様
ABWを取り入れ、用途に合わせたデスク配置を実現した株式会社ジムブレーン 様

| 入居人数 | 約50名 |
| 延べ床面積 | 1F:約420平方メートル / 2F:約400平方メートル |
| 業界・業種 | ICT機器販売 |
ABWを取り入れたオフィスは、働き方に合わせられるようさまざまな什器を配置し、カラーリングをそろえ、統一感をもたせました。また、不特定多数の方が集まるショールーム兼セミナースペースは、フレキシブルで用途に合わせたレイアウトと什器を選定。展示するICT機器をやわらかい印象にする空間を提案しました。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
ABWを取り入れ、用途に合わせたデスク配置を実現した株式会社ジムブレーン 様
ゆとりある空間にメンバーが集まれるエリアをレイアウトした日本鋳造株式会社 様 横浜オフィス

| 入居人数 | 約40名 |
| 延べ床面積 | 約330平方メートル |
| 業界・業種 | 製造業 |
工場内のオフィスとして、新しい価値観のオフィスを作りたいというお客さまの思いを形にし、余裕のあるレイアウトでオフィスを構成。植栽を多く配置したほか、視線を遮らない什器と各業務の内容に合うデスクを選定し、オフィス中央には自然にメンバーが集まれるOA機器とパントリーを集約しました。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
ゆとりある空間にメンバーが集まれるエリアをレイアウトした日本鋳造株式会社 様 横浜オフィス
オフィスのデスクレイアウトに迷ったらプラスにご相談ください
オフィスのデスクレイアウトは、企業の業種や職種、組織構造、働き方の方針によって最適解が大きく異なります。対向型、背面型といったデスクレイアウトのほか、フリーアドレスやABWといった柔軟な働き方に対応する考え方もあるため、自社に本当に合ったデスクレイアウトを選ぶことは、かんたんなことではありません。
「自社にどのレイアウトが本当に合うのか分からない」「レイアウト変更後の効果が不安」といった悩みを抱える担当者さまは、オフィスづくりのプロフェッショナルであるプラスにご相談ください。豊富な導入実績と専門的な知見をもとに、貴社の業務内容や組織構成、将来のビジョンを踏まえた最適なレイアウト提案を行います。

オフィスのデスクに関するよくある質問
オフィスのデスクレイアウトにはどんな種類がありますか?
オフィスのデスクレイアウトには対向型、背面型、同向型、クロス型、ブーメラン型、ブース型などがあります。それぞれ異なる特性をもち、例えば対向型はチームワーク重視の職場に適しており、ブース型は機密性が求められる業務に向いています。業務内容に合わせて最適な形式を選ぶと、生産性向上や働きやすさにつながるでしょう。
フリーアドレスとABWの違いは何ですか?
フリーアドレスとは、オフィス内で席を自由に選べる仕組みで、空間効率やコミュニケーションの活性化が主な目的です。一方、ABW(Activity Based Working)は業務内容に応じて最適な場所を選ぶ働き方を指し、個人の活動に焦点を当てています。ゾーン設計やIT環境にも違いがあり、ABWのほうがより高度な運用が求められます。
オフィスの広さや人数によって、どのようにデスクレイアウトを選べばよいですか?
小規模オフィスには、対向型や背面型、役職などにかかわらず同じデスクを柔軟に並べるユニバーサルレイアウトなど、効率的でシンプルな配置が適しています。大規模オフィスでは、部門ごとにゾーンを分けたり、多様なレイアウトを組み合わせたりすると、柔軟な働き方に対応できます。動線設計や拡張性への配慮も、オフィスリニューアル成功のポイントです。

