「社内の情報共有がうまくいかない」「他部署との連携が取れない」など、社内コミュニケーションの不足に悩んでいる企業は意外と多いといわれています。コロナ禍によりテレワークの普及が進むなか、社内コミュニケーションが取りづらくなっているという実状もあります。
コミュニケーション不足は、仕事の効率性や生産性が低下する原因のひとつです。また、人間関係の悪化や離職率の上昇につながる危険性もあります。そのため、コミュニケーションを活性化させるための対策が必要です。今回は、社内コミュニケーションが不足する原因と対策を考えてみましょう。
社内コミュニケーションの現状と課題
大企業であれ中小企業であれ、組織に所属して働いている人であれば、コミュニケーションがうまくいっていないと感じた経験が一度はあるのではないでしょうか。具体的に、社内コミュニケーションに関する課題とはどのようなものなのか、現状を見てみましょう。
社内コミュニケーションの現状
社内コミュニケーションの現状を知るために、HR総研がまとめた「社内コミュニケーションに関するアンケート」の結果をご紹介します。アンケートによると、「社内のコミュニケーションに課題があるか」という質問に対して「大いにそう思う」「ややそう思う」と答えた人の割合は74%と非常に多く、およそ4人に3人が、社内コミュニケーションがうまくいっていないと感じていることが明らかになっています。
コロナ禍でテレワークを導入する企業が増え、対面でのコミュニケーションが不足しているのが現状です。ツールやオンライン会議などを通じたコミュニケーションは可能ですが、オフィスと比べると不足しやすい状況といえます。そのため、これまで以上に意識的にコミュニケーションを取る機会をつくることが必要です。
社内コミュニケーションの課題
同じアンケートで、「社内のどの部分のコミュニケーションに課題があるか」という質問では、「部門間・事業所間」という回答が68%に上りました。次いで「経営層と社員」という回答が51%となっています(設問は複数回答可)。
以下、「部署内の部長とメンバー」「管理職同士」「役員同士」という回答が続きますが、いずれも40%以下の割合となっており、トップ2である「部門間・事業所間」「経営層と社員」のコミュニケーションに、特に課題感が強いことがうかがえます。
社員同士のコミュニケーションがうまくいかないことで、業務に支障が出たり、チームワークがうまく機能しなくなったりする危険性があるのはいまさら言うまでもありません。しかし、社内コミュニケーションは、ただ「コミュニケーションを取るように」と指示を出して改善するようなものではなく、活性化のためには企業側も適切な対策を取る必要があるといえるでしょう。
さらに、ニューノーマルを見据え、対面でのコミュニケーションだけでなくオンラインでのコミュニケーションも重要となっています。対面とは違い、表情や雰囲気が読みにくいため、言葉で明確に伝えることが重要です。
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社内コミュニケーションの重要性
社内コミュニケーションか活発になることで、どのような効果があるのでしょうか。ここでは、社内コミュニケーションの重要性を述べます。
生産性が向上する
社内コミュニケーションが活発になると、チームワークがよくなり、生産性が向上する可能性があります。仕事をスムーズに進めるために必要な役割分担や情報共有がしやすくなるためです。お互いの進捗状況を確認しながら、必要に応じて協力し合えるようになります。また、コミュニケーションはチーム内だけでなく、部門間でも必要です。コミュニケーションの活性化によってお互いの業務内容を理解しやすくなるため、部門を越えた連携が可能となるでしょう。
さらに、テレワークでは業務の進捗状況をこまめに確認することも重要です。オフィスで仕事をしているときとは違い、お互いの状況が見えにくいため、積極的に情報共有する必要があります。特に、チームで業務を進める場合はメンバーの状況を把握することが重要です。情報共有がスムーズに行われないと、業務が滞ってしまったりミスにつながったりする可能性もあります。メンバーの状況が把握できるような仕組みづくりをしましょう。
顧客満足度がアップする
顧客満足度を高めるには、ひとつの部門だけでなく複数の部門が連携する必要があります。例えば、営業部門がつかんだ顧客のニーズを開発部門と共有できれば、よりよい商品を提供することが可能です。そのためには、各部門のコミュニケーションを円滑にすることが重要となります。コミュニケーションによりスムーズな情報共有ができると、各部門で顧客のニーズがつかみやすくなるでしょう。
ストレスの軽減につながる
社内コミュニケーションは、お互いに意見を言いやすい環境をつくることに対して効果的です。仕事が進めやすいようお互いに意見を出し合うことで、社員のストレス軽減につながります。こうしたコミュニケーションは一般の社員同士だけでなく、上司と部下、社員と幹部など、異なるポジションでも必要です。社員の不満や社内の課題をいち早く把握することができます。
テレワークの場合はスムーズなやり取りが難しいため、コミュニケーションにも工夫が必要です。ひとりで仕事をしていると不安になりやすく、ストレスの原因になることもあります。定期的にオンラインでミーティングを開いたり、ランチタイムにオンラインで雑談したりするなど、お互いの状況を話せる機会を設けることも大切です。一方で、大量のメール受信、頻繁な状況チェックなどにより、かえってストレスになることもあります。業務に支障がない程度に、適度なコミュニケーションを心がけましょう。
離職率の低下につながる
「上司や経営者の仕事のやり方が不満」「同僚とうまくいかない」など、人間関係の不満は離職につながる原因のひとつです。社内コミュニケーションにより人間関係が改善すると、離職率が低下する可能性があります。仕事や人間関係の悩みをほかの人に相談しやすくなるため、社員が会社に定着しやすくなるでしょう。
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社内コミュニケーションがもたらすメリット
仕事をするうえで、社内コミュニケーションがもたらすメリットは多いです。どのようなメリットがあるのか挙げていきます。
業務がスムーズに進む
仕事はチームで進めることが多いため、ほかのメンバーの進捗状況に左右されることもあります。そこでメンバーからの情報がスムーズに共有できると、自分の仕事も進めやすくなるでしょう。例えば、顧客に関する重要な情報をいち早く得られれば、効率的に営業活動を行うことができます。また、トラブルがあった際にもスムーズな情報共有により、大きなリスクを回避できるかもしれません。普段からこまめにコミュニケーションを取ることで、業務が進めやすくなるのです。
孤独や不安を軽減できる
テレワークで仕事をする場合、メールやチャットでのやり取りが主流になります。しかし、文字だけのやり取りでは微妙なニュアンスが伝わりにくく、受け取った相手が不安になってしまうことも多くあります。また、オフィスでのやり取りとは違い、すぐに相談することができません。ひとりで仕事をしていると孤独や不安に陥る人もいます。社内コミュニケーションがしっかり取れていれば、こういった孤独や不安を軽減することが可能です。
帰属意識が高まる
帰属意識とは、組織の一員としての意識を持つことです。社内コミュニケーションが活性化することで、帰属意識が高まるメリットがあります。帰属意識が高まると、メンバー一人ひとりがチーム全体のことを考えて、主体的に仕事を進めるようになります。仕事に対するモチベーションアップも期待できるでしょう。結果として、チーム全体の生産性向上につながる可能性があります。
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社内コミュニケーションが不足する原因
コミュニケーションが不足していたら、まずは原因を洗い出すことが大切です。ここでは、コミュニケーションが不足する原因を挙げていきます。
部門間や事業所間で縦割り意識が強い
毎日顔を合わせる同じ部署間ではコミュニケーションが取れていても、普段業務で関わらない他部署の社員とのコミュニケーションがあまり取れていないと感じる人は少なくありません。縦割り意識が強かったり、他部署の仕事に関わりにくい空気が流れていたりすることが原因です。組織的な連携が阻害されるだけでなく、そもそも会話することもないというケースも珍しくありません。連携して業務を進めていくためには、部門間や事業所間でのコミュニケーションも大切です。
経営層と社員の間で顔を合わせる機会が少ない
経営層と社員は普段顔を合わせることが少なく、業務でも直接関わるわけではないだけに、コミュニケーション不足を感じる人が多いポイントと言えるでしょう。ここでコミュニケーションが不足してしまうと、今後の会社の方向性や経営層が社員に期待していることを共有する機会がなく、社員が会社の将来や自分のキャリアパスなどに不安を感じてしまうという弊害も考えられます。そのため、経営層と社員間でコミュニケーションしやすい環境をつくることも重要です。
コミュニケーションを取れる場所やきっかけが少ない
オフィス内にコミュニケーションを取れる場所やきっかけが少ないことも原因と考えられます。もともとオフィス内での会話が少なく、コミュニケーションが取りづらい場合は、意識的に場所やきっかけをつくることが大事です。例えば、休憩スペースやミーティングスペースなど、会話が生まれやすい場所を設置するだけでも効果が期待できるでしょう。
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社内コミュニケーションを活性化するには?
コミュニケーションを活性化するには、どのような対策が必要なのでしょうか。ここでは、具体的な方法を挙げていきます。
他部署との連携を強める対策
コミュニケーション不足を改善するためには、それぞれの部門が行っている業務を報告し合ったり、抱えている情報を共有化したりするなど、業務で関わる場をつくることがひとつの解決策となるでしょう。連絡や確認など、業務で関わる機会が増えれば、そこからいい意味での雑談ができるといったように、自然なコミュニケーションが期待できます。同様に、部門を越えた研修を定期的に行ったり、同期会を推進したりすることなども重要な施策のひとつと言えます。
経営層と社員のコミュニケーションを活性化する対策
経営層と社員のコミュニケーションを活性化するためには、職場環境に関する従業員アンケートを実施したり、一人ひとり役員面談を行って課題や不満がないかを聞いたりするなど、従業員の意見を吸い上げる機会を設けることが大切です。もちろん、すべての従業員の希望をかなえることはできませんが、こうした機会を設けることで「自分たちの意見を聞いてくれようとしている」という意識を持ってもらうことができるでしょう。また、社内報や共有メールなどで、経営層の考え方や今後の会社の方針について情報発信することも重要なポイントのひとつです。
テレワーク社員とのコミュニケーションをしやすくするための対策
テレワークをしている社員は、オフィスで働く社員に比べてコミュニケーションが不足しがちです。コミュニケーション不足を解消するためには、オンラインを活用する方法があります。例えば、ビジネスチャットやグループウェアなどは複数人でやり取りすることが可能なので、チーム全体の状況が把握しやすくなります。また、テレワークでも雑談に加わりやすいように、雑談用のチャットツールを利用するなどの工夫も必要です。
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社内コミュニケーションを活性化しようとしてよく起きる失敗
社内コミュニケーションを活性化しようとしても、うまくいかないケースもあります。ここでは、よく起きる失敗例を紹介します。
社内SNSがうまく活用できていない
社内コミュニケーションを活性化する方法として、社内SNSを導入する企業も増えています。現場の情報をいち早く共有する手段として期待されていますが、うまく活用できていないことが多いのも実状です。社内コミュニケーションの活性化には業務に関係がない雑談も必要でしょう。しかし、プライベートな話題ばかりで一部の社員しか使わなくなり、社内コミュニケーションにつながらないこともあります。また、SNSの使用には強制力がないため、徐々に使われなくなるという実態もあるようです。
プレッシャーを感じる社員もいる
社員のなかには、積極的にコミュニケーションを取ることが苦手な社員もいます。また、過度な仲間意識により、かえって社内のストレスにつながることもあります。例えば、自分の仕事が終わったあとも、メンバーが残っているため帰りづらいと感じる人もいます。仲間意識が強いことで、自分の意見を言えないこともあるようです。社内コミュニケーションは重要ですが、過度になりすぎないように注意しましょう。
気軽にコミュニケーションが取れる場所やきっかけも大切
社員同士がもっと気軽にコミュニケーションを取れる場所やきっかけをつくることも大切です。コミュニケーションを取るためには何が必要なのか、考えてみましょう。
コミュニケーションが取れる場所をつくる
「部門間・事業所間」「経営層と社員」についてコミュニケーションを活性化させる対策について前述しましたが、気軽にコミュニケーションが取れる場所づくりも大切です。例えば、オフィスの一角に誰でも気軽に立ち寄れるリフレッシュスペースや、カフェコーナーがあれば、世代・部門・役職を越えてコミュニケーションが生まれるきっかけとなります。さらに、そういった場所に、社内掲示板や情報誌を設置することで、社員同士の会話のきっかけになり、コミュニケーションがさらに深まることが期待できます。
「5 TSUBO CAFE」なら、オフィスの空いたスペースを利用して気軽にカフェスペースを設置することが可能です。コーヒーや紅茶などを飲みながら、社員がゆったりと雑談できる場を提供します。雑談が生まれやすい工夫もあり、社内コミュニケーションが自然に生まれるきっかけとなります。テレワークの導入が進むなか、社員同士が気軽に雑談をする場として重宝するでしょう。
コミュニケーションツールを導入する
ITによるコミュニケーションツールを導入することで、社内コミュニケーションを活発にしようとする企業もあります。ツールの導入により、さまざまな業務のスケジュールや進捗状況などをパソコンやその他のデバイスから確認することが可能になります。社内における情報共有を円滑にする効果が期待できるでしょう。
オフィスレイアウトを変更する
オフィスレイアウトを変更することで、これまでよりもコミュニケーションしやすい環境が実現できます。例えば、管理職の席に設置していたパーティションを取り払い、一般社員とコミュニケーションを取りやすくすることもひとつの方法です。また、思い立ったときにすぐにミーティングしやすいスペースをつくれば、お互いに情報交換しやすくなります。
マグネットスペース(マグネットゾーン)を社内コミュニケーションの場とすることも可能です。マグネットスペースとは、給湯室やコピー機の周辺など人が磁石のように引きつけられ、人が集まりやすい場所のことをいいます。このような場所にミーティングテーブルを設置することで、自然なコミュニケーションが生まれやすくなります。スペースがある場合は、カフェマシーンやソファなどを設置してもよいでしょう。
面談の機会を設ける
上司と部下、経営層と一般社員など、縦の関係でコミュニケーションを取る機会は少ないものです。ときには面談の機会を設け、意識的にコミュニケーションを図るとよいでしょう。話し合うことでお互いの間に信頼関係が生まれ、仕事に対するモチベーションの向上も期待できます。
社内イベントを増やす
コミュニケーションの機会をつくるため、社内イベントを増やす企業も多くなっています。スポーツ大会やバーベキューなど、業務とは関係のないイベントに参加することで、お互いの知らない一面が見えてくるかもしれません。普段は上司と部下の関係にある社員同士でも、イベントでは気軽に会話を楽しむことができるでしょう。
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多くの社員がコミュニケーション不足を感じている
業務をスムーズに進め、職場環境の改善や社員の不満解消にも重要とされている社内コミュニケーション。しかし、現状では多くの社員がコミュニケーション不足と感じており、その対策は急務といえるでしょう。さらに、テレワークの導入により、社内コミュニケーションの方法にも見直しが必要です。コロナ禍のなかではコミュニケーションが不足しがちですが、アフターコロナも見据えた対策も考えておく必要があります。オフィスレイアウトの変更のほか、ニューノーマルに対応したコミュニケーションの方法も検討してみてはいかがでしょうか。
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これまで、社内コミュニケーションについて様々な取り組みを行い、そのノウハウを蓄積したオフィスづくりのプロであるプラスが、社内コミュニケーションが活性化するオフィスをご提案します。
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