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長時間のデスクワークで体が疲れやすかったり、不調を感じたりしたことはないでしょうか。デスクワークをする際には正しい座り方を心掛けることが大切です。椅子の座り方が悪いと、腰痛や肩こりなどの原因にもなります。また、集中力が低下しやすく、作業が滞ってしまう可能性もあります。今回は、デスクワークをするときの正しい椅子の座り方を解説します。正しく座るために重要な椅子の選び方についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

デスクワークにおいて椅子の座り方が重要な理由

デスクワークをする際に、座り方が悪いとさまざまな体の不調の原因になります。特に、以下のような症状がある場合は、椅子の座り方が悪い可能性があるため注意が必要です。

腰痛や肩こりになりやすい

デスクワークが多い場合、腰痛や肩こりに悩まされる人も少なくありません。腰痛や肩こりは椅子の座り方が原因になっている可能性もあります。背中が丸まっていたり、頭が前方へ突き出ていたりすると、頭を支えるために肩に負担がかかります。また、座っているときに足を組むと骨盤や背骨の片側に負担がかかり、腰痛の原因になるのです。

疲れやすい

長時間同じ姿勢で座り続けると、体の筋肉がこわばり疲労を感じることがあります。また、デスクワークでは運動不足になりやすいため体内の水分や血液の循環が悪くなり、慢性的な疲労感に悩まされる人も多いようです。

眼精疲労やドライアイになりやすい

眼精疲労やドライアイは、作業効率の低下を引き起こします。誤った座り方により背中が丸くなったり頭が前方に突き出したりすると、眼球の位置がパソコンのディスプレイと近くなります。そうなると目への負担がかかりやすく、ドライアイや眼精疲労になりやすいといわれています。

またディスプレイを見上げるような角度になると目を大きく開けることになるため、さらに負担が大きくなります。特に長時間、同じ姿勢でディスプレイを見続けることは、眼精疲労や慢性的なドライアイを引き起こす可能性を高めます。ディスプレイの高さを適正に設定し、画面から顔を離して作業することでよい姿勢が維持され、ドライアイや眼精疲労を防ぐことができます。

集中力が低下しやすい

デスクワークで長時間座りっぱなしになると、集中力も低下しやすくなります。特に、無理な姿勢を続けていると、疲れがたまりやすく、やる気も徐々に失われてくるでしょう。ときどき体を伸ばしたり、立ち上がったりして、体をほぐすことが大切です。

体型が崩れる可能性がある

座り方が悪いと、内臓を支えている骨盤がゆがみ、骨盤の中に内臓が落ちてしまうことがあります。そのため、血流や代謝が悪くなり、体型が崩れやすくなるのです。下半身太りを改善するには、正しい座り方を心掛けることが重要です。

仕事に集中する方法については、『作業が効率的に進む!仕事に集中できる方法とは?』をご覧ください。

良い座り方とは

体の不調を防止し、集中力を持続させるには正しい姿勢で座ることが大切です。ここでは、正しく座るためのコツを紹介します。

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椅子に深く腰掛ける

椅子に腰掛けるときには、できるだけ腰を背もたれに近づけるように深く座りましょう。座り方が浅いと、背中が曲がりやすくなり腰に負担がかかります。

骨盤を立てて座る

椅子に座っているときは、骨盤を左右水平にして立てておくようにしましょう。骨盤をしっかり立てるには、肩とあごを左右水平にし、座面に垂直になるように座るのがコツです。

ひじ、腰、ひざの角度が90度になるようにする

椅子に座ったときに、ひじや腰、ひざの角度が90度になっているか確認しましょう。

背筋を伸ばす

腰が曲がらないように背筋を伸ばして座ることも大事です。ただし、肩や首筋に力が入りすぎないように注意する必要があります。長時間同じ姿勢を続けていると肩に力が入りやすくなるため、できるだけ肩の力を抜くようにしましょう。

足の裏全体を床につける

足のつま先からかかとまで、足の裏全体が床についているか確認します。かかとが浮いている場合は座面の高さが合っていない可能性があるため、座面の高さを調整しましょう。

机との距離を調整する

最後に、机と椅子の距離を調整します。パソコンを操作する場合は、ひじが90度になる位置まで机に近づけると作業がしやすいでしょう。

椅子の座り方を改善することで業務に与えられる好影響

椅子の座り方を改善することで、以下のような好影響があります。

長時間のデスクワークでも疲れにくい

椅子の座り方を改善すると、長時間のデスクワークでも疲れにくくなります。体への負担が分散されるため、肩こりや腰痛の予防にもなるでしょう。

体への負担が少なくなり集中力が持続する

体への負担が少なくなると、集中力も持続しやすくなります。集中力が続くことで作業を効率的に進められるため、作業時間の短縮にもつながります。また、単純ミスが減り、業務の質も向上するでしょう。

このように椅子の座り方を改善することで、業務の効率化が期待できます。正しい座り方を維持するためには、椅子選びも重要です。また、長時間の作業をするときは、こまめに休息時間を設けてストレッチをしたり、仮眠をとったりすることも体への負担軽減に効果的です。椅子の座り方や選び方を見直し、適度な休息がとれる環境も整えましょう。

椅子だけでなく机にも関心がある方は、『座りにくさは高さのせい?人間工学に基づくイスと机の最適な高さ』をご覧ください。

椅子の選び方も重要

正しい座り方をするためには椅子選びも重要です。ここでは、椅子を選ぶ際のポイントを解説します。

座面の高さ

前述のとおり、正しい座り方をするには床に足の裏全体がついている状態が理想的です。しかし、足の長さには個人差があるため、適切な座面の高さも人によって異なります。そのため、使う人に合わせて座面の高さを調整できる椅子を選ぶことが大切です。

座面の素材

長時間座りっぱなしでも疲れにくい椅子を選ぶには、座面の素材も重要なポイントです。やや硬めのウレタンなど適度に体圧を分散できる素材を選ぶとよいでしょう。

背もたれの種類

椅子の背もたれの種類は、ハイバック、ミドルバック、ローバックの3種類に分けられます。体に合った背もたれの椅子を選ぶことで、背中の曲線に自然にフィットし腰や背中をサポートします。
作業時間にもよりますが、一般的なオフィスチェアでは背中全体を包み込むような高い背もたれのチェアが好まれます。また、背もたれの高さや角度を調節できるタイプの椅子も適しています。個々の体格や作業時間に合わせて最適な姿勢を確保できる、体に合った背もたれの椅子を選ぶことは、正しい姿勢を維持するために重要な要素です。

ハイバック

ハイバックチェアは背もたれが高く、頭部から背中までしっかりサポートします。長時間座って作業する人や、背中や首のサポートが必要な人に適しています。首をサポートするヘッドレスト付きのものもあります。深く座って全身を預けることで姿勢を正しい位置に保ち、首や背中の負担を軽減します。またアームレストや角度調節機能がついたものも多く、多機能な点も特徴です。ただし大きくて重いため、設置にはある程度のスペースが必要です。

ミドルバック

ミドルバックチェアは、ハイバックとローバックの中間の高さの背もたれを持ちます。背中のサポートが必要なもののハイバックチェアが過剰に感じる場合、オフィス内での開放感を保ちたい場合、コンパクトな場所に設置したい場合などに適しています。ハイバックほどではありませんが背中の負担を軽減しつつ、複数置いてもオフィスをオープンでリラックスした雰囲気に保てます。アームレストがついているものを選ぶと、サポート感も向上します。

ローバック

ローバックチェアは背もたれが低く、首や背中のサポートにはあまり向いていません。そのため短時間の使用や、作業時に背もたれを必要としない場合に適しています。オフィス内の動きやすさや、コミュニケーションを重視する場合に選ばれます。またたくさんの椅子を並べても、空間に圧迫感を与えません。サポートが少ない分だけ上半身を自由に動かせるため、仕事の合間にストレッチもしやすいでしょう。

背もたれの調整機能

正しい座り方を維持するには、背骨を自然なS字に調整できる椅子を選ぶのもおすすめです。例えば、ランバーサポート機能のある椅子なら腰回りがクッションで支えられるため、背骨をS字に保ちやすくなります。

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アームレスト

肩こりや腕の疲労感を和らげたいなら、アームレスト付きの椅子を選ぶとよいでしょう。作業中に腕をアームレストに乗せておけば、腕の重さが分散されて体の負担を軽減できます。アームレストの高さは机と同じくらいに調整すると効果的です。

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ロッキング機能

ロッキング機能とは、背もたれや座面を動かせる機能で、体を伸ばしたり仮眠をとったりするときに便利です。リクライニング機能とは異なり、体の動きに合わせて背もたれや座面が動くため、体を揺らしてリフレッシュできます。長時間のデスクワークが多い場合におすすめです。

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オフィスチェアの選び方に関心がある方は、『オフィスチェアの選び方』をご覧ください。

デスクワークの正しい姿勢維持に活用したいアイテム

すぐに体に合う椅子を用意できない場合は、姿勢を維持するアイテムを活用するといいでしょう。代表的なものに「クッション」「姿勢矯正ベルト」「ディスプレイスタンド」などがあります。これらを椅子と組み合わせて使用するといいでしょう。その場合は、椅子との相性にも注意してアイテムを選んでください。

クッション

クッションは、正しい姿勢を保つために有効なアイテムです。椅子の下に敷くもの、膝に抱えるもの、機能性クッションなど、用途に合わせてさまざまな種類があります。特に椅子の上に敷いて使用する機能性クッションは、座るだけで骨盤を立てた状態を維持し、長時間の姿勢維持をサポートします。機能性クッションには、体圧を分散させお尻が痛くなるのを防ぐもの、通気性が高く蒸れにくいものなどがあります。選ぶ際には機能面もチェックしつつ、座面の高さが適切になるものを選ぶことがポイントです。膝に抱えるクッションは、背中が丸くなることを防ぎ姿勢を正しく保つ効果があります。

姿勢矯正ベルト

デスクワーク中は、無意識のうちに体が前のめりの姿勢になることがあります。姿勢矯正ベルトで体を支え、姿勢の崩れを防ぐことも姿勢の維持に有効な手段です。姿勢矯正ベルトには、肩にかけて胸を開くようにして装着するタイプ、腰を巻くようにして固定するベルトタイプなどがあります。胸を開くように装着するものは肩が内旋するのを防ぎ、腰に巻くベルトタイプは背中が曲がるのを防ぎます。はじめて使用する場合は補正力の弱いもので、オフィスでの使用に適した薄手で目立ちにくいものを選びましょう。また蒸れやすいため、通気性のいいインナーの上から付け、快適に使用できるように工夫しましょう。

ディスプレイスタンド

ディスプレイスタンドを使用してモニターと目線の高さを調整することで、正しい姿勢を維持できます。デスクに固定したアームにディスプレイを取り付けるものや、卓上に直接置くタイプのものなどがあります。アームタイプのスタンドは椅子や身長に合わせて角度や高さを自由に調整でき、ディスプレイに熱がこもりにくいのが特徴です。卓上に直接置くタイプのスタンドは、ディスプレイ下にキーボードなどを収納可能です。

デスクワークの疲労軽減におすすめのストレッチ

いい椅子やアイテムを使用しても、長時間座ったままの状態でいることは体によくありません。定期的に軽いストレッチをして体を動かしましょう。ここでは部位ごとの簡単なストレッチを紹介します。

・首の疲れ
パソコン作業中に首が疲れたら、胸鎖乳突筋のストレッチが有効です。左に首を傾け、右腕を背中に回して肘を曲げ、左手を右耳の上に置いて頭に腕の重さを預けます。反対も同じように行いましょう。

・肩の疲れ
デスクワーク後に肩が疲れたら、僧帽筋をストレッチします。両手を首の後ろで組み、両肘を顔の前で引き寄せて首と手で押し合い5秒ほどキープして力を抜きます。

・腰の疲れ
長時間座って腰が疲れたら、大殿筋をストレッチしましょう。椅子に座った状態で、背中を伸ばし、右足くるぶしを左足の膝の上に乗せ、上半身を前に倒します。反対も同じように行いましょう。背中を伸ばしたまま体を前に倒すのがポイントです。

デスクワークの疲労軽減におすすめのツボ

デスクワーク中に疲労を感じたら、以下のようなツボを刺激してみましょう。

・労宮(ろうきゅう)
手のひらの中央にあるツボで、血行を促進し自律神経を整えます。手のひらを広げて、もう片方の手の親指でゆっくりと押します。

・合谷(ごうこく)
頭痛や肩こりなど、上半身の痛みに効果があるツボです。手の甲の骨と人差し指の骨の交わる部分から人差し指の骨の側面に沿って押します。

・太陽(たいよう)
目の疲れを和らげるツボです。眉毛の延長線上のくぼみにあり、両手の親指で円を描くように押してマッサージします。

・晴明(せいめい)
目の疲れに効果があるツボ。鼻の根元から目頭の内側にあり、両手の指で優しく押します。押すときには指を清潔にし、肌に爪が当たらないようにしましょう。

正しい姿勢や座り方に関するよくある質問

デスクワーク中に正しい姿勢を維持するための座り方について、よくある質問をまとめました。

骨盤を立てる座り方とは?

正しい座り方の基準は、骨盤が立っている状態を指します。デスクでの作業では、背もたれに寄りかからず、骨盤を立てた状態で座ります。また、骨盤を立てるには足の位置も重要です。足裏を地面につけ、ひざの角度を90度に保ちましょう。床やソファに座る際にも骨盤が立つことを意識して、クッションや背当てを活用することで姿勢を安定させましょう。

巻き肩のリスクは何?

巻き肩は、肩が正常な位置よりも前方に入っている状態です。巻き肩は現代人に多いといわれており、デスクワークや長時間のスマートフォンの使用などで生じることがあります。巻き肩は肩こりや姿勢の悪化につながり、筋肉の緊張や血流の滞りを引き起こす可能性があります。

床に足がつかないときは?

骨盤を立てるためには、足の裏を地面につけるといいでしょう。座る際に足が床に届かない場合は、フットレストを使用して姿勢を安定させます。フットレストを使うことで、床に足をつけているのと同じように安定した姿勢を保てます。角度が調整可能なフットレストだと、身長や姿勢に合わせた使い方ができます。踏み心地にもこだわってみるといいでしょう。

椅子の座り方を改善して業務効率を高めよう!

椅子の座り方を改善すれば、腰痛や肩こりなどの不調を防止し、疲れにくい働き方が可能になります。集中力が高まるため、業務効率も上がるでしょう。正しい座り方を維持するには椅子選びも重要です。特に、座面の高さを調整する機能は正しい座り方をするのに欠かせません。また、座った状態で背骨を自然なS字に近づけるには背もたれの調整機能も必要です。長時間のデスクワークが多い場合は、椅子の座り方や椅子選びを工夫してみましょう。

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