【Solarization #01】チェア「BeneS」開発ストーリー 1

オフィス家具

コラム【Solarization】とは

商品開発での思考活動は批判的かつ論理的に展開されるのでエピソードが生まれます。知られることの少ない商品開発の過程を紹介するコラムをスタートさせていただきます。写真の現像時に露光を過多にすることでモノクロの写真作品の白と黒が反転する現象を「Solarization(ソラリゼーション)」と言います。商品開発過程のエピソードを反転し皆様にお伝えする意図で、今回コラム名とさせていただきました。

スタート記念の第一回目は、オフィスチェア商品開発担当者である奥田浩士氏にオフィスチェア「BeneS(べネス)」紹介してもらいます。


BeneS商品紹介
https://kagu.plus.co.jp/product/benes/

プロローグ オフィスチェア「Oval(オーバル)」

PLUSにはユニークな商品特徴でユーザーだけでなく社内にもファンの多いオフィスチェア「Reorga(リオルガ)」と「Oval(オーバル)」という商品2シリーズがあります。どちらも見た目から特徴的なスタイリングをしていますが、特に座り心地で人気なのが「オーバル」です。「べネス」商品開発の源泉となる「オーバル」を紹介します。

 「Oval(オーバル)」

発売は1997年と20年以上も遡り、当時はWindows 95の登場により一般家庭にもPCやインターネットが使われ始め、CRTモニターを使用したPCがオフィスにも普及したころです。それら環境に合わせオフィスチェアはエルゴノミクスを意識した厚めのクッションや後傾ポジション、リクライニングが多く採用されていました。そんな中、登場したオーバルは当時、他の製品とは異なる特徴を多く持っていました。

最も特徴的なポイントはしっかりとホールドする背部曲面形状と前傾した座部形状です。解剖学で良い姿勢は背骨(脊柱)が3つの湾曲により「S字ライン」になっている状態と言われています。その状態をサポートするようにオーバルの背部は下から持ち上げるように支えるタイトな湾曲の曲面形状をしています。当時まだ多かった筆記姿勢や画面をのぞき込む際に後傾対応の座では腰部への負担が大きくなるため、それを解決するため前傾した座部を採用しました。

また外観意匠でもユーザーの印象に残りやすい特徴があります。Oval(楕円)という名の通り、背の下部には楕円状の穴が開いており、まさしく‘名は体を表す’ネーミングになっています。これはスタイルとして意匠設計した穴でなく、背骨のS字ラインを実現するために設けたものであくまでも座り心地にこだわった結果でした。臀部(お尻)がチェアの背に対して、うまく逃げている状態でなければ背骨の「S字ライン」を保つことが難しくなってしまいます。これらの特徴が際立ち、腰痛などデスクワーク時の体の負担に悩んでいる方から好評を得ることができ、このチェアでなければというファンも作ることができました。

最近ではノートPCが普及し、前傾姿勢を特徴としたチェアも多く販売されています。そんな時代を先取りしていた「オーバル」も発売からの20数年が経ち、当時とはオフィス環境も大きく変化しリデザインの必然性が出てきました。そこでネクスト主力オフィスチェア開発テーマとして、「Oval Neo(オーバルネオ)」 が発足、改めてPLUSが追求した座りごこちを見直しさらに進化させる取り組みがスタートとなります。社内にもファンが多いチェアであるが故に絶対に妥協できない開発テーマとなりました。

次は、座り心地を実現するまでの試行錯誤したプロセスをご紹介いたします。

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