ミーティングスペースの目的
ミーティングスペースは、ビジネスに関するコミュニケーションを行うことを目的として、オフィス内に設置されるスペースです。
普段は従業員が必要に応じて集まり、アイデアを出し合ったり情報を共有したりする場として機能します。
また問題解決や意思決定の場として、会議にも利用されることもあります。
会社の業績やプロジェクトの進捗状況を確認し、問題点を解決するための具体的な対策を議論する場のため、集中できる環境が必要です。
そのため、ミーティングの参加者がリラックスした状態で話し合える環境を整えることが大切です。
さらに外部からの訪問者との打ち合わせや商談の場としても使用する場合は、ゲストを迎えるにふさわしい空間を構築することも求められます。
そのほかにも会社によってさまざまな用途で使用されており、企業活動において不可欠な役割を担っています。
ミーティングスペースと会議室の異なる点
ミーティングスペースと会議室は、それぞれ異なる用途と目的で設計されています。
まずミーティングスペースは、情報交換やアイデアの共有、新しい発想を生み出す場として活用されます。
一方の会議室は、議論や協議、意思決定、方針決定といったフォーマルな場面で利用されています。
ミーティングスペースは開放的でカジュアルな雰囲気が多く、自由な発言を促しますが、会議室はプライバシーや集中を重視した、閉鎖的な環境であることが一般的です。
ミーティングスペースの種類
オープンスペース
オープンスペースは、壁や間仕切りに囲まれていない開放的なミーティングスペースです。ワークスペースの一角や通路脇に設置されることが多く、気軽なセッションやコミュニケーションを行うのに向いています。
クローズドスペース
クローズドスペースは、四方を仕切られたミーティングスペースで、会議室と近いイメージです。
周囲に会話を聞かれるリスクが低く機密性が保たれるため、重要な情報を扱うミーティングに最適です。
スタンディングスペース
スタンディングスペースは、立ったままミーティングを行うスタイルのスペースです。
テーブルを配置し椅子は置かないか、もしくは高めのカウンターチェアが設置されており、短時間の打ち合わせやスピーディなミーティングに向いています。
集中力が持続しやすく、効率的に議論を進められるのがメリットです。
半個室型スペース
半個室型スペースは、部分的に仕切られたミーティングスペースです。
報告や相談など、適度なプライバシーが求められるシチュエーションに適しており、気軽さと機密性のバランスの取れた環境を構築可能です。
ミーティングスペースを活用するメリット
迅速にコミュニケーションが取れる
オフィス内に多くの人が手軽に利用できるミーティングスペースを設置することで、相談事や簡単な打ち合わせにすぐ対応できます。
メンバー集めや移動に手間がかからないため、スピーディなミーティングが実現します。
思いついたアイデアをすぐにアウトプットでき、情報共有をタイムリーに実施できるため、仕事の効率が向上します。
複数のスペースを用意しておくと、利用人数や目的に応じて自由に選べるため利便性がさらに高まります。
活発な意見交換ができる
ミーティングスペースは会議用の設備が充実しているため、ホワイトボードやモニターを使ってアイデアを伝えやすくなります。
記録を取ったりアイデアを共有したりしながら打ち合わせでき、ミーティング後の内容共有もスムーズに行えます。
ミーティングスペースは会議室よりも気軽に話せる雰囲気をつくりやすく、誰でも発言しやすい環境を整えられるため、斬新なアイデアが生まれるかもしれません。
多目的な用途に対応
ミーティングスペースは、ミーティング以外にもさまざまな用途に活用できます。
例えばリフレッシュルームやランチルーム、フリースペースとして利用することで、スペースの有効活用と働く環境の改善が同時に行えます。
従業員がリラックスしたりリフレッシュしたりする場所があることで、全体の生産性向上にもつながります。
また別途でリフレッシュスペースを設ける必要もないため、省スペース化も図れます。
そのほかにも、接客スペースや会議室などの用途を持たせることも考えられるでしょう。
オフィスにミーティングスペースを設置する前に考えておくこと
用途
ミーティングスペースを設置する前に、まずは用途を明確にするようにしましょう。
どのような目的でミーティングスペースを利用するのかを具体的に決めます。
フリーディスカッションが目的なのか、情報共有のためのスペースなのか、あるいはクライアントとの商談やプレゼンテーションのためのスペースなのかを明確にすることで、必要な設備やレイアウトが決まります。
用途が明確であれば、設計段階で迷うことも少なくなります。
動線と配置
ミーティングスペースを設置する場所を決める際には、オフィス全体の動線と目的に合わせた配置にする必要があります。使用する部署やチームの人々が容易にアクセスできる場所に設置することで、スムーズにミーティングが開始でき移動の手間を減らせます。
またクライアントや外部の人々が訪れることを想定するなら、受付やエントランスから近い位置に設置することも考えられます。
その場合、近くにパントリーなどがあるとドリンクの提供もスムーズです。
目的に合わせた設備とインテリア
ミーティングスペースに設置する設備とインテリアは、利用目的に応じて選定します。
長時間の打ち合わせが想定されるなら、座り心地の良い椅子やノートパソコンの置けるテーブル、ホワイトボード、プロジェクターなどの会議用ツールが必要です。
一方、オープンな空間でカジュアルな打ち合わせを目的とするなら、高めの椅子とテーブルを採用すると短時間のミーティングに集中できます。
ミーティングスペースをつくる際の流れ
目的・用途の決定
まず、ミーティングスペースの主な利用目的や用途を決めましょう。
目的が決まれば、必要なスペースの種類がわかります。
少ない人数で短い時間の利用を想定しているならオープンスペースが適しており、重要な意思決定を行う場所なら音漏れの少ない閉鎖的な空間が必要です。
さらに使用する頻度、参加人数を想定することで、必要なスペースの数や大きさもわかります。
設置場所を考える
次に、ミーティングスペースを設置する場所を考えます。
従業員が頻繁に利用するなら、普段仕事をしている作業エリアや執務室の近くが便利です。
一方、来客対応が主な用途の場合はエントランス付近が適しています。
ミーティングスペースが具体的に利用されるシーンを想定し、最も適した場所を選定することが大切です。
内装とインテリアを決定する
最初に決めた目的に合わせて、ミーティングスペースの内装と設置する家具を決めていきます。
目的と用途に合わせて、壁紙や床のカラーや照明の明るさ、オフィス家具を選びましょう。
また、ホワイトボードやモニターなどの会議用ツールを設置することで、より効果的なミーティングを行える空間を構築できます。
さらに長時間のミーティングを行うなら、集中力を保てるような座席やテーブルを用意しましょう。もちろん家具を選ぶ際には、床の色や壁とマッチしていることも大切です。
使い方を周知する
ミーティングスペースが完成したら、社内に周知し積極的な利用を促しましょう。
同時に、ミーティングスペースを設置した目的や想定している使用方法、ルールを明確に伝えます。
場合によっては、ミーティングルームを使用するための予約システムも必要になります。
またリフレッシュルームとして利用する場合は、飲食についてのルール決めも行いましょう。
飲食を許可するなら定期的な清掃を行わなければならないため、コストや人員についても検討する必要があります。
快適なミーティングスペースをつくる際のポイント
ミーティングスペースを快適に使うためには、企画段階で以下の2つのポイントを検討しましょう。
・防音機能について
・複数フロアの確保
オープンスペースを採用する場合、周囲の音やミーティングスペースでの会話が筒抜けになります。
そのため機密性の高い情報を扱う可能性がある場合は、クローズドな空間を設けることが必要です。その場合はスペースに防音機能を持たせることも考えられるため、ややコストも上がります。
また、可能なら異なるタイプのミーティングスペースを複数設置することも検討しましょう。
気軽な打ち合わせはオープンスペースで、重要なことはクローズドな空間でといった具合にミーティングの目的に応じて使い分けをすることで、オフィスの利便性が向上します。
ミーティングスペースをつくる際の注意点
情報漏洩が起こらないように配慮する
ミーティングスペースでは、社外に出せない情報について話すことが想定されます。
そのため、情報漏洩が起こらないように配慮しましょう。
オープンスペースであっても最低限のプライバシーを確保する必要があるため、パーテーションを設置するなど工夫が必要です。
またクローズドな空間にするなら、壁や天井に防音材を使用したり、ドアにしっかりとしたシーリングを施したりすることで音漏れを防げます。
外部訪問者が使用することも想定する
社外のゲストがミーティングスペースを使用することも想定されるなら、訪問者が足を踏み入れやすい場所に設置しましょう。
エントランスや待合室の近くであれば、移動の手間もありません。
またお手洗いなど必要な設備へのアクセスができるよう、案内表示やサインを設置することも大切です。
さらに落ち着けるインテリアを採用し、おもてなしの気持ちを表現することで良い印象を与えられます。
ブランディングについても考える
企業のブランドイメージや、コンセプトを反映したミーティングスペースを設置するケースが増えています。
空間でうまく企業のコンセプトを表現できれば、訪問者に対して企業の理念を印象付ける場としても活用でき、ブランディング効果が期待できるためです。
コーポレートカラーや企業ロゴを用いて空間を彩る手法が一般的ですが、なかにはビジョンやミッションをデザインに落とし込む場合もあります。
また外部のゲストだけではなく、日常的に使用する従業員に対しても企業への帰属意識を高めることにつながります。
ミーティングスペースのレイアウトをする際のポイント
可動式の家具を置く
キャスターのついている可動式のデスクを採用することで、ミーティングの人数に応じてフレキシブルにレイアウト変更ができます。
テーブルや椅子を増減できるため、少人数でのミーティングだけではなく大規模なセミナーや会議にも対応できるようになります。
自然を感じさせるレイアウトにする
近年、オフィスの中に自然を感じさせる「バイオフィリックデザイン」を取り入れる企業が増えてきています。
従来の無機質なオフィスに自然の要素を取り入れ、リラックスしながら働ける環境を構築し、生産性を高めることを目的としています。
ミーティングスペースに置いても映えるアウトドアテイストの家具や、オフィスグリーンを設置することで、柔軟なアイデアの創出が期待できます。
オフィスの中心に配置する
ミーティングスペースは、基本的にオフィスの中央に配置するのがおすすめです。
中央に設置することで、どの部門の従業員も立ち寄りやすくなり、公平にミーティングスペースを使用できます。
またオープンスペースを構築するなら、部署を超えたコミュニケーションも活発になるでしょう。
昇降式のデスクを採用する
ミーティングスペースでは、高さが調節できる昇降式のデスクが便利です。
高さの調節ができることで着座とスタンディングを簡単に切り替えられ、腰を据えてじっくり話し合いたいときや、立ったまま集中力を維持して打ち合わせしたいときなど、幅広いシーンに対応できます。
実際のミーティングスペース設置事例
アース工業株式会社
執務室や通路と隣り合ったオープンな空間に、ミーティングスペースを設置した事例です。
6人がけと4人がけのデスクを一つずつ設置したシンプルな構成で、人数に合わせて使用できます。
あえて明確な仕切りを設けずに、棚やルーバーによって緩やかにゾーニングすることで、空間全体を明るくオープンな印象にまとめています。
また木製の家具やレンガ調の壁紙を採用することでナチュラルな要素を取り入れ、リラックスできる環境でミーティングが可能です。
株式会社 プレミアアシスト 阪神SC
クローズドなミーティングスペースを設置した事例です。
エントランスの近くに最大6名で使用できるミーティングスペースが設置されており、訪問者のアクセスにも配慮されています。
オフィスとガラス扉でセパレートされており、一定のプライバシーを確保しつつ大きな窓の側に設置することで、明るくオープンな印象になっています。
さらにオフィスグリーンも配置することで、外の景色と相まって柔らかな空間が構築されました。
株式会社武蔵野化学研究所
株式会社武蔵野化学研究所では、オープンなオフィスにさまざまな機能を持たせています。
その一つとして、執務室と隣接した場所にセミオープンのミーティングスペースを設置しました。
仕切りは設けていないもののパーテーション付きの家具を採用することで、周囲からの視線をカットしています。
また役員のデスクに挟まれて設置されているため、スムーズにミーティングを開始できます。
別途エントランスに隣接した会議室も設け、来客にも対応しています。
株式会社セゾンファンデックス
株式会社セゾンファンデックスでは、オフィスの増床に合わせてオープンなミーティングスペースを設置しました。
キャスター付きのパーテーション、チェア、デスクを採用し、さまざまなレイアウトに変更が可能です。
一人で作業に集中できるブース席も設置し、人数に合わせて自由に家具を組み合わせられるフレキシブルな空間を構築しています。
また、奥にはプライバシーを確保したクローズドな会議室も設置しています。
株式会社タダノ
フリーアドレスを導入し、自由に使えるミーティングスペースを設置した事例です。
6人掛けのデスクが執務室と役職席とシームレスにつながっており、何か相談や打ち合わせがある際はすぐに使用できます。
また眺望の良い場所に設置することで、リフレッシュしながらミーティングが可能です。
別途クローズドな会議室も用意しているため、重要な会議にも対応しています。
新しいオフィスをつくるなら「プラス」へ
オフィスにミーティングスペースを設置する際には、使用目的を最初に決め、目的に沿って設置場所や家具のレイアウトを考えましょう。
多くの人が気軽に使える場所にしたいならオープンなスペースにし、重要なミーティングも行うなら空間を分けて設置します。
可能であれば複数のスペースを用意することで、幅広い用途に対応できます。
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