ワークブースとも呼ばれるテレワークブースは、オフィスにいながらにして周囲から隔離された状態で働けるブースです。集中して働きたいときはもちろん、Web会議を行いたいときにも使えるため、多くの企業から注目を集めています。そこで今回はテレワークブース(ワークブース)の概要や種類、導入のメリット、選択のポイントについてお伝えします。オフィス内での多様な働き方を模索されている担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
テレワークブース(ワークブース)の定義と特徴
テレワークブースは、テレワークを快適に行うための防音性や通信環境が整った個室空間を指します。
現在、駅構内やオフィスビル、商業施設などに設置されており、短時間で集中して仕事ができる環境を提供しています。
自宅や会社外での仕事の選択肢が広がるため、隙間時間を有効活用して働けます。
またセキュリティを考慮した設計や、電源やUSBポートの設置など設備面も充実しています。
またWeb会議ブースとの違いとして、テレワークブースは必ずしも音声通話や会議を目的とせず、集中作業やプライベートな用途にも適していることが挙げられます。
Web会議ブースは会議や打ち合わせを目的としており、音声・映像通信機能がより重視されています。
市場規模は拡大傾向にあり、2025年までにワークブースサービス市場は24億円に達するとされています。
テレワークブースが注目されている背景
テレワークブースが注目されている背景には、新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけとした働き方の変化があります。
多くの企業が在宅勤務を導入した一方で、自宅では集中できないというワーカーの声も生まれました。
この課題を解決する手段として、公共空間に設置されたワークブースが利用されるようになったのです。
同時にWeb会議が増加したことで、防音性の高い個室型ブースの需要が高まりました。
ニーズを受けて駅構内や商業施設での設置が進み、移動中や外出先で業務が可能となりました。
またシェアオフィスやコワーキングスペースなどに加わる新たな選択肢として、感染症対策が必要な状況下での利用者が急増しました。
現在、日本では働き方改革の影響もあり、テレワーク人口が増加しています。
この流れも後押しし、社外での仕事環境へのニーズが高まりテレワークブースの活用が進んでいます。
テレワークブース(ワークブース)導入のメリット
テレワークブースを導入することで、業務環境や生産性の向上といった多くのメリットが得られます。その要因となるのは、主に以下の3点です。
- 会議室不足の解消
テレワークやリモートワークが普及する中で、会議室が頻繁に使用される場面が増加しており不足することも増えてきています。テレワークブースを設置することで、対面会議とオンライン会議を分けて行える環境を整え、会議室不足の問題を軽減します。 - 集中力の向上
防音性の高いブースにより、周囲の騒音や視線を気にする必要がなくなり、個人の業務に集中できます。技術職やクリエイティブな作業、重要な判断がともなう仕事において効果を発揮します。
従業員満足度の向上
テレワークブースは従業員が選択肢を持って働ける環境を提供します。短時間で効率的に業務を遂行できることで、仕事のストレス軽減にもつながります。
メリット | |
会議室不足の解消 | 対面会議用とWeb会議用の空間を分けることで、利用効率を向上 |
集中力の向上 | 防音設計で静かな環境を確保し、クリエイティブな業務に集中 |
従業員満足度の向上 | 短時間で業務を完結させ、選択肢を増やすことで働きやすさを実現 |
業務内容に応じて席の選択が可能になる
テレワークブースを導入することで、業務の内容や目的に応じて最適な環境を選べるようになります。
集中して作業が必要な業務では、防音性の高いブースを利用し、効率よく作業を進めることができます。
一方、コミュニケーションが必要な場面では、チーム用のスペースや会議室を活用するなどの柔軟な対応が可能です。
また個人の業務スタイルやニーズに合わせた選択肢を提供することで、仕事へのモチベーションが高まる効果も期待できます。
例を挙げるなら、クリエイティブ部門の社員がアイデアを練るためにブースを活用すれば、創作意欲も高まり働く意義や成果を上げやすくなるでしょう。
Web会議、ミーティングなどを気軽に行える
テレワークブースは、Web会議やミーティングを気軽に行える環境を提供します。
防音設計が施されているため、音響トラブルを気にせず集中して会議に臨むことができます。
また周囲に話し声を聞かれる心配がないため、安心して重要な会話を行うことも可能です。
基本的には、インターネット接続や電源などの基本設備が整っているため、急な会議や打ち合わせにも柔軟に対応可能です。
そのほか、外出先やオフィス外でのあらゆる業務を効率的にするでしょう。
以下に、テレワークブースの利点を表にまとめました。
Web会議やミーティングにおけるメリット | |
音響面の向上 | 防音設計で周囲を気にせず会議や打ち合わせが可能 |
集中力の向上 | 必要な環境が整っており、会議に集中できる |
柔軟な対応 | 急なミーティングやWeb会議に即座に対応可能 |
オフィス内の集中ブース活用については、『コミュニケーションと集中のメリハリを実現する集中ブースの効果的活用方法』の記事を、集中力を高める施策については、『オフィス、テレワークで集中力を高めるための効果的な施策とは?』の記事をご覧ください。
テレワークブース(ワークブース)の種類
テレワークブースには、働く環境や目的に応じて選べる幅広い種類があります。
大きく分けると、ソファ・パネル一体型、パネル可動式、そしてボックス型の3つが主流です。
これらはそれぞれ特徴が異なり、使用シーンや導入時に注意が必要です。
ソファ・パネル一体型はリラックスした姿勢で作業を行いたい場所やケースに適しており、短時間の集中作業や休憩を兼ねた軽い作業に向いています。
一方、パネル可動式は柔軟性が高く、必要なスペースに応じて簡単に設置場所を変えることが可能なため、限られたスペースや急な利用が求められる環境に適しています。
そしてボックス型は完全な個室環境を提供し、集中力を最大限に高めることができます。社外秘の会議やクリエイティブな作業に適した選択肢と言えます。
それぞれのブースの特徴を理解し、職場の環境や従業員のニーズに合わせて選ぶことで、効率的かつ快適な働き方の実現につながります。
ソファ・パネル一体型
ソファ・パネル一体型のテレワークブースは、ソファと防音パネルが一体化したデザインとなっています。
短時間の集中作業や軽いミーティング、リラックスした姿勢で行うアイデア出しなどに最適で、開放感があり圧迫感を感じさせない空間を演出するでしょう。
実際にオフィス内でちょっとした個人作業を行う際や、気軽な打ち合わせスペースとして活用されることが多いです。
導入時には設置する場所の面積や座り心地を十分に確認し、使用する業務内容に合ったものを選びましょう。
また防音性は完全でないため、静かな環境が求められる業務には向きません。
パネル可動式
パネル可動式のテレワークブースは、簡単に移動できる軽量なパネルを使用した構造となっています。
設置や撤去が容易で、必要に応じてスペースを再配置できる柔軟性が最大の利点です。
一時的にミーティングスペースを増やしたい場合や、季節ごとにオフィスのレイアウトを変更したい場合に便利です。
またパネルは防音性能を備えているものもあり、簡易的ながら一定のプライバシーの確保も可能です。
もちろん、完全な個室環境を提供するわけではないため注意してください。
導入時には、パネルの耐久性や防音性能を確認して選ぶと良いでしょう。
ボックス型
ボックス型のテレワークブースは、完全に閉じられた個室型の構造が特徴です。床・天井・壁がすべて覆われており、高い防音性とプライバシーを確保します。
Web会議や集中作業だけでなく、社外秘の重要な会議やプレゼンテーションの練習などにも適しており、フリーアドレスとも相性が良いのが特徴です。
遮音性や吸音性に優れているため、外部の騒音や視線を完全に遮断できます。
ただし設置には一定のスペースが必要であり、コストも他のタイプに比べて高めなことに注意しましょう。
また内部の空調や照明の整備も重要で、快適性を維持するためには十分な計画が求められます。
テレワークブースの導入事例
サムティ株式会社では、社員が心地よくかつ効率的に働けるオフィスを目指してABWを導入。その際にはWebブースを設け、オンライン打ち合わせができるようにしました。4~6人が入れるブース、1~2人用のブースを設け、吸音パネルを設置し音漏れに配慮しています。
また株式会社クライム東京事務所では、都内に分散したオフィスを統合。その際、エントランスラウンジ側にオンラインミーティングや集中作業の為のブースを設えました。これにより雑音を気にせず、打ち合わせや作業に集中できるようになりました。
テレワークブース(ワークブース)選択のポイント
さまざまな種類があるテレワークブースですが、実際に導入する際には、どのような点に注意する必要があるのでしょう。ここでは、テレワークブース選択のポイントを解説します。
テレワークブースを導入する目的を明確にする
たとえば、機密資料の作成や分析が主目的であればボックス型が第一候補になります。集中して仕事がしたいときに限らず、ちょっと気分転換をしたいときにも使うのであれば、ソファ・パネル一体型がおすすめです。自社ではどのようなシチュエーションで最も使われるのかを明確にしたうえでの選択が必要でしょう。
法律に準拠しているかどうかを確認する
周囲の音を完全に遮断できるボックス型を選択する場合、注意すべきは消防法です。ボックス型は四方だけではなく、頭上と床も完全に密閉されています。そのため、消防法により、感知器や自動消火装置、放送設備のスピーカーなどの設置が必須です。
オフィスのスペースや予算も検討したうえで決める
一般的にソファ・パネル一体型やパネル可動式はボックス型よりも低コストで導入できます。予算を抑え、数を増やしたいのであれば、低コストのものを選択するのもおすすめです。ただし、1か所に集めてしまうと、密閉式ではないため、Web会議には使いにくくなります。オフィススペースと予算を十分に考慮したうえで、選択してください。
テレワークブース(ワークブース)の導入で生産性向上の実現を
テレワークブースは、ひとりで集中して業務を行えるスペースであり、Web会議にも使えるため、オフィス内でも業務内容に応じて柔軟な働き方が実現します。
テレワークの増加により、オフィスに求められる役割は大きく変わりつつありますが、テレワークブースもそのひとつです。社員同士のコミュニケーション、情報共有の場であるのと同時に、自宅と同じ環境を提供することで、高い生産性が実現する可能性も高まります。
テレワークからハイブリッドワークへの移行を検討されている際は、ぜひテレワークブースの導入も併せて検討されてみてはいかがでしょうか。
【お役立ち資料】