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情報技術の革新、雇用形態の変化、グローバル化など、社会情勢や環境の変化によって、企業にとってのリスクは急速に多様化し拡大を続けています。従来と変わらない対応では、場合によって大きな損害や被害を受け、企業経営が立ち行かなくなる可能性も少なくありません。そこで重要になるのがリスクマネジメントです。リスクマネジメントとはどういったものなのか、企業が行うべきリスクマネジメントのプロセスを紹介しながら、事例を交えて考察します。

企業におけるリスクマネジメントとは?

現在、多くの企業がさまざまなリスクを抱えています。中小企業庁公表の「中小企業白書2018年版」によると、企業が事業継続を困難にすると想定しているリスクでもっとも多いのは「自然災害」。「設備の故障」「火災・爆発事故」「情報セキュリティ上のリスク」「自社業務管理システムの不具合・故障」がこれに続きます。こうしたリスクに対してできる限り被害を受けない、仮に受けたとしても最小限に抑えるようにすることが、企業におけるリスクマネジメントです。

「設備の故障」「情報セキュリティ上のリスク」「自社業務管理システムの不具合・故障」のように、内部要因によって起こるリスクはあらかじめ予測可能です。事前にしっかりとした対策を施すことで、ある程度は回避可能です。しかし「自然災害」や「火災、爆発事故」といった外部要因によって起こるリスクは予測が難しく、対策をとっていたとしても完全に回避はできません。特に最近は震災、台風といった自然災害が各地で頻繁に起きていることから、企業としては二重、三重の対策をとることが必須となっています。

リスクマネジメントを行っていく際のプロセス

企業におけるリスクマネジメントは、損害保険を利用する、セキュリティツールを導入するといったことで解決できるものではありません。ひとつの経営管理として、具体的には次の5つのプランをもとにPDCAのサイクルを回していくことが重要です。

  1. リスクマネジメントの方針を決定する
  2. 自社に存在する考えうるすべてのリスクを洗い出す
  3. それぞれのリスクに対して、評価・査定を行う
  4. 評価・査定をもとにリスク対策を行う優先順位を決める
  5. それぞれのリスクに対応するための対策を立案する

以上のプランをもとに、決定した対策を実施します。その後、対策が実際に有効であったかを確認し、有効でなかった場合は、改善、あらためて実施というサイクルを繰り返し、リスクに対するマネジメントの精度を上げていきます。

実際に遭遇した経験をもとにリスクマネジメントを実施している事例

実際に遭遇した経験をもとに、被害を最小限に抑えるリスクマネジメントを実施している企業の事例を紹介します。

・株式会社カネキ吉田商店(従業員90名、資本金3,700万円)

ウニやあわび、めかぶなどを扱う水産加工業を営む株式会社カネキ吉田商店では、2010年に起きたチリ地震での津波警報をきっかけとして、避難訓練や研修を年2回実施していました。また当時、同社所在地近辺でも頻繁に地震が発生していたこともあり、従業員に対する注意喚起や避難対応については常に周知を行っていました。

そうした日ごろの心がけもあり、2011年3月に起きた東日本大震災では、従業員がすぐに避難することができたものの、工場や蓄養場4拠点は津波による被災で生産困難に陥ります。当時のリスクマネジメントとしては、施設に対する火災保険だけであり、施設全体に地震特約を付帯していませんでした。総損害額に占める保険金の受取額は、わずか約20%でした。

その後、原料調達や代替生産の拠点となる候補物件探しに奔走。2012年1月期の売上は震災前、2011年1月期の22億円にはおよばないものの、14.8億円を維持するまでになりました。これらの経験を経て、震災後の施設再建にあたっては、同町内で可能な限り浸水リスクの少ない場所を選び復旧を行いました。資金面の備えとしては、加入している保険の見直しをするといったリスクマネジメントを実施したのです。また、本業とは関係のうすい不動産部門への投資を極力控え、緊急性のない負債の圧縮を図るなど、財務体質の改善も同時に行っています。

リスクマネジメントでリスクの回避と低減を

企業をとりまくさまざまなリスクに対応するためには、リスクマネジメントが重要であることは間違いありません。しかし、リスクマネジメントさえしていれば、すべてのリスクを回避できると考えるのは早計です。現在、企業を襲うリスクは急速に多様化しているからです。

リスクマネジメントで重要なことは、リスク回避はもちろん、万が一の際の被害や損害を最小限に抑えることです。常に最悪の事態を予測し、それをもとに予算を組み対策を立てることが企業にとってのリスクマネジメントであり、もっとも重要なポイントであるといえるでしょう。

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この記事を書いた人

マーケティング部 プラス株式会社ファニチャーカンパニー

プラス株式会社ファニチャーカンパニー マーケティング部

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