在宅勤務に取り組む企業が増え、オフィス勤務にはなかったメリットをあらためて発見した人も多いでしょう。特に、通勤時間が長い人にとっては、通勤がなくなったというだけでも気持ちが楽になるかもしれません。在宅勤務にはさまざまなメリットがありますが、オフィスでも同じような環境があれば、より働きやすくなるでしょう。今回は、在宅勤務のメリットを解説し、オフィスでも働きやすい環境づくりをするために何が必要なのか紹介します。
在宅勤務は企業にも労働者にもメリットが多い
在宅勤務は企業と労働者、双方にとってメリットがあります。ここでは、どのようなメリットがあるのか、あらためて確認してみましょう。
非常時に企業活動が維持できる
地震や台風などの災害や事故により、公共交通機関が麻痺してしまい、通勤が困難になってしまった経験はないでしょうか。いつ再開するのかわからない状態で無理に通勤しようとしても、時間が無駄になってしまうことも多いのが現実です。また、災害や事故以外の非常事態のひとつとして感染症の拡大が挙げられますが、その対策のため、企業がオフィスへ出勤する人の数を制限しなければならないこともあるでしょう。このような非常時でも、在宅勤務が可能であれば、無理に出勤することなく企業活動を維持することができます。
人材を確保しやすい
引越しや育児、介護などの理由で通勤が難しい人でも、在宅勤務なら働き続けることが可能です。例えば、配偶者の転勤でやむを得ず退職する人もいますが、在宅勤務が可能であれば遠方に引越しをしても仕事を継続できます。また、育児や介護で忙しい場合でも、在宅勤務なら無理なく仕事を続けられるでしょう。柔軟な働き方ができることは、企業の採用活動にもプラスになるはずです。これまで、さまざまな都合で採用できなかった優秀な人材を確保できるチャンスとなります。
働きやすさを実現できる
自宅の環境によっては業務に集中しやすく、気分転換もしやすいというメリットもあります。オフィスで仕事をしていると、周囲の人に話しかけられたり電話対応をしたりと、なにかと集中力が途切れてしまいがちです。しかし、自宅に一人で集中して仕事に取り組める環境があれば、オフィスにいるよりも仕事がスムーズに進むこともあるでしょう。ただし、業務の内容によってはオフィスのほうがやりやすいこともあるため、それぞれの環境に合った業務を行うことが大切です。
在宅でもオフィスでも仕事ができる体制づくり
在宅勤務とオフィス、両方のメリットを活かすには、在宅でもオフィスでも仕事ができる体制づくりが必要です。そのためには何が必要なのか考えてみましょう。
インフラの整備
在宅勤務ではインフラが整っていないため、業務が制限されることも多いでしょう。多くのオフィスではパソコンや通信環境が整えられていますが、自宅ではそれらを準備できていないケースもあります。そのため、企業はノートパソコンやモバイル機器の支給、ネット環境の整備、ツールの導入などを検討する必要があるでしょう。また、在宅勤務により発生する電気代や通信費といった費用の負担をどうするかという問題もあります。人によっては自宅で集中できる環境が整っていない場合もあるため、レンタルオフィスやカフェなどを利用した場合の費用負担についても検討が必要です。
生産性が向上する環境の整備
オフィスへの出勤と在宅勤務の両方を可能とした場合の環境整備も求められます。例えば、普段在宅勤務をしている社員がミーティングのために出社する場合、自席が設けられていないケースもあるでしょう。また、いつも一人で仕事をしているため、オフィスでは仕事に集中できないという人もいるかもしれません。業務に集中できる環境の整備、在宅勤務の社員が出勤しやすいオフィス環境づくりなど、在宅でもオフィスでも生産性が向上する環境を整えましょう。
コミュニケーションの取りやすさ
在宅勤務の場合、どうしても社員同士のコミュニケーションは少なくなってしまいます。一日中、誰にも会わずに作業を続けていると、不安を感じる人もいるかもしれません。誰にも会わないことがストレスになることもあるのです。そのため、オフィスにいる社員と在宅勤務の社員が、お互いにコミュニケーションを取りやすい環境を整える必要があります。メールやチャットなど文字だけのやり取り以外にも、電話やWeb会議などで会話をすることも大切です。
オフィスでも働きやすさを実現するための環境づくりが必要
在宅勤務のメリットをオフィスに取り入れることで、より快適に働ける環境を実現することが可能です。ここでは、オフィスに取り入れたい環境とはどのようなものかを考えてみましょう。
集中して業務に取り組める環境
オフィスでは多くの人が働き、電話や顧客対応などさまざまな業務をこなす必要があります。集中して取り組まなければならない作業がオフィスにいると進まないということもあるでしょう。例えば、一般的な執務室以外に、一人で作業ができる集中ブースを設置するのも一案です。また、長時間同じ作業をしていると、徐々に作業効率が落ちてきます。オフィスに気晴らしができる休憩スペースがあれば、気分転換をしながら長時間の作業に取り組むことが可能です。
コミュニケーションが取りやすい環境
オフィスで働くことの一般的なメリットのひとつは、在宅勤務よりもコミュニケーションが取りやすいことです。しかし、オフィスの環境によっては、コミュニケーションが取りづらいこともあるでしょう。そうした場合、チャットやスケジュール管理などのツールの導入、ミーティングスペースや多目的スペースの活用など、コミュニケーションが取りやすい環境を整えることが大切です。
プライベートと両立しやすい勤務体制
在宅勤務のメリットはオフィス勤務よりもプライベートとの両立がしやすいことです。そして、勤務体制を見直すことでオフィスでもプライベートとの両立がしやすい働き方が実現できます。フレックス制や時短勤務などを取り入れることで、柔軟性のある勤務が可能です。また、オフィスへの出勤がメインとなる場合でも、業務内容や個人の都合に合わせて在宅勤務やテレワークも可能とする体制を整えておくこともできます。在宅とオフィス勤務のそれぞれのメリットを取り入れて、より働きやすい環境を実現しましょう。
在宅でもオフィスでもより働きやすい環境に!
在宅勤務を経験した人のなかには、オフィスよりも働きやすいと感じた人もいるでしょう。通勤時間がない分、プライベートな時間との両立もしやすくなります。また、企業にとっても非常時の企業活動が維持できるというメリットがあります。一方で、オフィスでしかできない業務やオフィスならではのメリットもあることから、在宅勤務だけですべての業務をこなすことは難しいのが実情です。今後は、オフィスでも在宅勤務のような働きやすさを実現する取り組みが必要といえます。