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会社のオフィス移転は一般の引っ越し以上に多くの手続きが必要です。しかもそのどれもが重要なもので、何かしらを忘れてしまうと業務に支障をきたすケースも少なくありません。そこで、今回はオフィス移転で発生する各種手続きの種類と方法について、公的なものと民間のものに分けてお伝えします。

また、オフィス移転の流れがわからない、チェックリストがあれば嬉しいという方は、『これで完璧!オフィス移転の流れとすべきこと【チェックリスト付き】』の記事を、オフィス移転時に忘れると困るポイントが知りたいという方は『オフィス移転で総務部がやるべき業務は?忘れると後になって困るポイントを解説』の記事をご覧ください。

オフィス移転時に必要な手続き一覧

公的な手続きの種類

法務局へ提出する書類の手続き

  • 株式会社本店移転登記申請書

税務局へ提出する書類の手続き

  • 異動届出書
  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

都道県税事務所へ提出する書類の手続き

  • 事業開始等申告書

社会保険事務所へ提出する書類の手続き

  • 健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届

労働基準監督署へ提出する書類の手続き

  • 労働保険名称、所在地等変更届

公共職業安定所へ提出する書類の手続き

  • 雇用保険事業主事業所各種変更届

消防局へ提出する書類の手続き

  • 防火対象物使用開始届出書
  • 防災管理者選任(解任)届出書/防火管理に係る消防計画書(従業員が50名以上いる場合)
  • 防火対象物工事等計画届出書(移転先のオフィスで内装工事を行う場合)

警察署へ提出する書類の手続き

  • 車庫証明

民間手続きの種類

  • オフィスの契約・解約
  • ガス・水道・電気・郵便の手続き
  • インターネット回線の手続き
  • 銀行・クレジットカードの住所変更手続き
  • 取引先への連絡

公的な手続きの種類と方法

オフィス移転の際に必要となる手続きは、公的なものと民間のものの大きく2つに分けられます。まずは、公的な手続きの種類を紹介します。

法務局へ提出する書類の手続き

  • 株式会社本店移転登記申請書
移転先添付書類提出先提出期限
管轄内株主総会議事録株主リスト(定款の変更が必要な場合)取締役会議事録(取締役を設定している場合)取締役の決定書(取締役会を設置していない場合)本店管轄登記所窓口移転日から2週間以内
管轄外上記に加えて印鑑届書・印鑑カード交付申請書本店管轄登記所窓口移転日から2週間以内

税務局へ提出する書類の手続き

異動届出書

添付書類提出先提出期限
なし異動事項確認で、定款等の写しが必要な場合もあり異動前の納税地管轄税務署長に持参または送付異動後速やかに(基本1部ですが調査課所管法人は2部必要)

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

提出先提出期限
届出書を1部作成のうえ、給与支払事務所等の所在地の所轄税務署(廃止届出書は移転前の事務所等の所在地の所轄税務署)開設、移転または廃止の事実があった日から1カ月以内

都道県税事務所へ提出する書類の手続き

事業開始等申告書

添付書類提出先提出期限
都道府県によって異なるため、それぞれの税事務所に確認移転前の税事務所(都道府県をまたぐ移転の場合、移転前、移転後、それぞれの税事務所)都道府県条例で定められた期限のため、それぞれの税事務所に確認

社会保険事務所へ提出する書類の手続き

健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届

移転先添付書類提出先提出期限
管轄内法人(商業)登記簿謄本のコピー移転先のオフィス所在地を管轄する年金事務所(電子申請・郵送・窓口持参)移転日から5日以内
管轄外法人(商業)登記簿謄本のコピー移転前のオフィス所在地を管轄する年金事務所移転日から5日以内

労働基準監督署へ提出する書類の手続き

労働保険名称、所在地等変更届

移転先添付書類提出先提出期限
移転前と同じ都道府県に移転各労働基準順監督署によって異なるため、確認が必要移転前のオフィス所在地を管轄する労働基準監督署所在地変更のあった翌日から10日以内
別の都道府県に移転労働保険概算増加概算確定保険料申告書廃止届は移転前のオフィス所在地を管轄する労働基準監督署成立届は新たなオフィス所在地を管轄する労働基準監督署廃止届は保険関係が消滅してから50日以内成立届は保険関係が成立してから10日以内

公共職業安定所へ提出する書類の手続き

雇用保険事業主事業所各種変更届

添付書類提出先提出期限
労働保険名称、所在地等変更届のコピーと登記簿謄本移転後のオフィス所在地を管轄する公共職業安定所へ提出(電子申請もあり)所在地変更があってから10日以内

消防局へ提出する書類の手続き

防火対象物使用開始届出書

提出先提出期限
移転先のオフィス所在地を管轄する消防署移転7日前まで

防災管理者選任(解任)届出書/防火管理に係る消防計画書(従業員が50名以上いる場合)

提出先提出期限
移転先のオフィス所在地を管轄する消防署解任書は移転前のオフィス所在地を管轄する消防署特になし

防火対象物工事等計画届出書(移転先のオフィスで内装工事を行う場合)

添付書類提出先提出期限
防火対象物概要表案内図
平面図
詳細図
立面図
断面図
展開図
室内仕上表及び建具表など
移転先のオフィス所在地を管轄する消防署内装工事開始の7日前まで

警察署へ提出する書類の手続き

車庫証明

提出先提出期限
移転先のオフィス所在地を管轄する警察署特になし

民間手続きの種類と手続きの方法

続いて民間手続きの種類と手続きの方法について説明します。

オフィスの解約・契約

移転前のオフィス解約は通常半年前までに予告するのが一般的ですが、管理会社によっても異なるため、移転を決めたらすぐに契約書を確認します。移転先のオフィス契約は家賃が発生するため、解約が決定したのに合わせて行うとよいでしょう。

ガス・水道・電気・郵便の手続き

ガス会社、水道会社、電機会社、郵便局にそれぞれ移転を知らせて手続きを行います。通常はネット上で移転先の住所や移転日を入力するだけでも手続きは行えます。移転に伴いビジネスフォンを増設する場合は、事前に増設が可能かどうかを電話会社に確認しましょう。

郵便局は移転手続きのほか、転送サービスの手続きもしておきましょう。手続き後、1年間は前の住所宛ての郵便物を移転先へ転送してもらえます。なお転送サービスを利用する場合は、郵便局窓口で行い、社員証・各種健康保険証など窓口へ訪れる方と会社・団体等との関係が分かるものと押印用の印鑑が必要です。

インターネット回線の手続き

インターネット回線の移転手続きは、プロバイダーや光回線事業者に連絡し、日程や移転先の住所、自社所有か賃貸かなどを伝え、工事日を決定します。光回線を移設した場合、名義変更も必要です。その際、登記簿謄本もしくは印鑑証明のコピーが必要な場合もあります。提出は基本的には郵送です。

銀行・クレジットカードの住所変更手続き

銀行口座については、窓口もしくは銀行のWebサイトで住所変更の手続きを行います。一般的に必要なものは、通帳・届出印・移転後の登記事項証明書・社印です。ただし、銀行によってはその他のものが必要とされる場合もあるので、何が必要かは事前に銀行に確認するようにしましょう。

クレジットカードについてはクレジットカード発行会社に連絡します。口座変更には1~2ヵ月かかる場合もあるため、移転ギリギリになってからの申請では間に合わず郵送物が届かなくなってしまうケースも考えられます。

郵送物が届かずクレジットカード発行会社に返送されると、カードの利用が停止されてしまう可能性もあるため、移転が決まったらできるだけ早めに連絡しましょう。

取引先への連絡

取引先への連絡は、移転の1ヵ月から2週間前までに出すのが一般的です。訪問や電話でなくハガキもしくはメールでの挨拶でも問題ありませんが、連絡漏れがあると失礼なだけではなく、業務に支障をきたす場合もあり得ます。そのため、取引先連絡リストを作り、漏れがないようにしましょう。

また、例えば経理部と営業部では同じ取引先でも担当者がそれぞれ異なる場合もあります。一つの企業だからといって一部署だけに移転の件を伝えても、やり取りのあるほかの部署に伝わっていなければ意味がありません。そのため、部署ごとにリストを作成し、照合したうえで、取引があるすべての部署に漏れがないよう連絡する必要があります。

関連記事:事務所移転案内の出し方は?ハイブリッドワーク時の移転案内方法も紹介!

手続きを忘れてしまった際の対処方法

今回紹介したほとんどの手続きは、業務を行っていくうえで必須のものばかりです。そのため、期限が決まっているものはそれよりも早く、決まっていなくてもできるだけ早い段階で手続きを終わらせ、余裕を持って移転に臨むようにしましょう。

もし、手続きを忘れてしまった場合、当該の提出先へ速やかに連絡を取り、どうすればよいかを確認したうえですぐに手続きを進めていくことが重要です。

オフィス移転の手続きに関する注意点

オフィスを移転する際に行う手続きにはさまざまな種類があり、それぞれに方法やルールがあります。それらを事前に把握しておかなかったために、後になってからトラブルに発展するケースも珍しくありません。ここでは、オフィス移転の手続きで特に注意すべき点について解説します。

解約予告の撤回はできない

解約予告は一回してしまったら基本的に撤回はできないため、たとえ解約日の時点で移転先が決まっていなくても退去しなければならず、その場合は業務を継続できなくなってしまうリスクが生じるでしょう。また、さまざまなオフィス家具・設備・書類などを保管するために臨時的に倉庫を借りなくてはならなくなり、余計な手間とコストがかかってしまいます。

こうしたトラブルを避けるには、移転先が確実になってから解約予告を行うことが重要です。ただ、オフィスの一般的な解約予告時期である半年よりも前に移転先を決めるのが難しいケースも少なくありません。そのため、移転の話が出た時点で不動産業者に相談する、物件の調査をするなどできるだけ早め早めの行動を取るようにしましょう。

また、多くの場合、旧オフィスでは退去後に原状回復工事が行われるため、その期間の家賃も考慮しなければなりません。オフィスの状況にもよりますが、原状回復工事は1ヵ月程度かかるケースも多く、どうしても新オフィスと家賃が被ってしまう期間があるので、あらかじめ予算立てをしておきましょう。

最近では、フリーレント付物件といって、契約開始から数ヶ月間家賃が無料になるサービスを提供しているオフィスもあるので、移転コストを抑えたい場合はおすすめです。

手続きによっては時間や労力がかかる

今回、紹介したように移転手続きのなかには、短時間ですぐに終わるものもありますが、時間や労力がかかるものも少なくありません。

たとえば、本店移転登記をする際には定款の変更をしなければならない場合があります。そして、定款の変更を行うには株主総会の決議が必要です。この決議には、議決権の行使ができる株主の議決権の過半数を有している株主が出席したうえで、主席した株主の議決権の3分の2以上にあたる賛成が必要となります。そして、その議事録も提出しなくてはなりません。そのため、株主の出席を求める準備も早い段階から進めるようにしましょう。

オフィス移転の手続きは余裕を持って早めに行うことが重要

手続きや契約を行うことで料金が発生してしまうものを除き、オフィス移転の手続きはできるだけ早く終わらせてしまいましょう。そのためには、移転が決まった段階ですぐに計画書を作成し、そのなかに手続きをすべき項目をすべて書き出しておきます。これに沿って進めていけば手続き漏れも防げるでしょう。

移転ギリギリになると想定外のトラブルが発生する場合もあり、細かい手続きは後回しにしてしまうケースも少なくありません。そうしたミスを避けるためにもできるだけ早い段階で余裕を持って手続きを済ませておきましょう。

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