社員数10~30人程度の小規模オフィスは、面積も小さいことからデザインでできることにも限界があると思われがちです。しかし、小規模だからこそできるデザインも少なくありません。統一感を持たせやすい、コストをかけずにレイアウトが可能などメリットも多く、こだわりのデザインを持ったオフィスは多く存在します。そこで、今回は特に社員数30人前後の小規模オフィスにおけるデザインについてポイントをまとめてみました。小規模オフィスの移転やリニューアルを検討されている際は、ぜひ参考にしてください。
小規模オフィスは、デザインにこだわりやすい
オフィス空間をデザインするうえでは、やはりすみずみまでこだわってこそ雰囲気が出せるもの。どんなに内装にこだわってもデスクやチェアがそぐわないものだったり、オフィスのほんの一部にだけこだわってほかの空間が無機質なままだったりすると、外部から訪れるお客さまの心に残りません。
お客さまに良い印象を与えたり、採用活動にも影響したりするようなブランディング効果を期待するなら、細部にまでしっかりと心を配って空間をデザインしていきたいものです。
こうした理由もあり、30人前後が勤める小規模オフィスはデザインしやすいといわれています。小規模だからこそ、細部にまでこだわったオフィスデザインを実現することができるのです。
小規模オフィスデザイン、4つのポイント
オフィスのデザインを考えるうえで大切なのは、全体的なコンセプトと統一感をもたせること。そのために大切なポイントを紹介します。
まずはコンセプトをしっかりと決める
取引先や株主、就職活動者など、外部の人の心に残るようなインパクトのあるオフィスデザインを実現したいなら、まずはしっかりとコンセプトを決めることが重要です。
ただ漠然と「かっこいいオフィスにしたい」と考えてブランドもののデスクやチェアを導入しても、空間全体から醸し出される雰囲気はちぐはぐしたものになってしまいます。「自然光と植物を取り入れた自然を感じられるオフィス」「60年代のアメリカントラッドを意識したシックな雰囲気」など、まずは空間のコンセプトを決め、それに合わせた内装や家具を取り込んでいくようにしましょう。
また、当然のことですがオフィスは雰囲気だけではなく、使い勝手のよさも重要なポイントです。できればこの段階で「休憩スペースにこだわって、リラックスした雰囲気で仕事ができるオフィス」「社員同士がコミュニケーションを取りやすい空間」など、使い勝手に関わるコンセプトも決めておくといいでしょう。
具体的なデザインの前にゾーニングを決める
使い勝手のいいオフィスを実現するという意味では、ゾーニングも重要なポイントです。執務室や会議室、休憩室はどこに配置するのか、書庫やコピー機はどの部署の近くに置くのが適切かなど、実際に業務を行う社員の使い勝手に配慮しながら決めていきましょう。場合によっては、普段のオフィス内での動き方(動線)を社員に直接ヒアリングするのもひとつの方法です。
また近年は、オフィスワークとテレワークを融合させたハイブリッドワークを取り入れる企業が増加しています。ハイブリッドワークなら、30人よりも少し多めの社員が在籍する企業であってもオフィスへ出社する人数を調節できるため、小規模オフィスに適した勤務形態といえるでしょう。
ハイブリッドワークにおけるゾーニングのポイントは、「コミュニケーションスペース」「情報共有スペース」「一人で集中して働くスペース」など働き方による分け方を行うことです。
いくらおしゃれなオフィスでも、使いづらかったり業務効率を下げたりするようなものでは意味がありません。特に小規模オフィスでは限られた空間に効率よく物を配置していく必要があります。ゾーニング計画は社員の声を活かしつつ、業務形態も意識したうえでデザインを考えるようにしましょう。
ゾーニングについてより詳しくは、「ゾーニングとは?注目を集める理由や効果的なゾーニングのポイントを解説」をご覧ください。
家具はしっかりとこだわる
小規模なオフィスであるほど、そこに配置された家具はオフィスの中で大きな割合を占めることになります。つまり、家具の存在感が引き立ちやすく、空間の雰囲気を左右する重要なポイントになりうるのです。
「オフィスデザインのコンセプトに合わせた家具を選択する」、「まず家具を選択し、それに合ったレイアウトを検討する」など、家具の選択や配置には十分に時間をかけましょう。それが理想のオフィスデザインを実現するポイントのひとつです。
例えば、前述したハイブリッドワークの場合、一人で集中して働く際に使用するワークブースにはこだわりが欠かせません。ソファ・パネル一体型やボックス型などの種類がありますが、小規模オフィスであれば、周囲に声が漏れないボックス型がおすすめです。
ワークブースについて詳しくは、「テレワークブース(ワークブース)とは?オフィスでの多様な働き方を実現するポイントを解説」をご覧ください。
また、部署の垣根を超えてコミュニケーションを取る場所では小スペースでも設置可能なカーブ形状のテーブルなどが求められます。ほかにも臨機応変にレイアウトを変えられるキャスター付きデスクやオンライン会議用のパネル付きデスクなども便利です。
ハイブリッドワークにおける家具選択のポイントについては、プラスが提案する新しいフリーアドレスのカタチ「PEERence(ピアレンス)」も参考にしてください。
オフィスの移転やリニューアルは大きな費用が発生するため、家具の選定にまで目を向けるのは難しい部分もあるかもしれません。しかし、だからといってそこで妥協してしまうと、外部の人の心に残るような、インパクトのあるオフィスデザインができない場合があります。必ずしも多額の費用をかける必要はありませんが、しっかりと吟味して、オフィスのコンセプトに適したデザインの家具を導入するようにしましょう。
音響・照明・香りに配慮する
せっかくオフィスをデザインするなら、家具や内装だけでなく、音響や照明、香りにもこだわってみましょう。この3つはそれほど費用をかけることなく、オフィスの雰囲気づくりに大きな影響を与える部分でもあります。
例えば、オフィス全体に音響設備を導入して小さな音で音楽をかけたり、部分的に照明を落としてシックな雰囲気にしたりといった方法が考えられます。また、来客のあるエントランスや会議室にリラックスできるようなアロマを配置することで、ほかのオフィスとは異なる上質な空間であることを印象づけたりすることもできるでしょう。
小規模オフィスをデザインでより良くする
小規模のオフィスであってもデザインを工夫することで、さまざまなレイアウトが可能です。ここでは、見た目、機能性の両面を重視したオフィスデザインのポイントを解説します。
小さなオフィスを広く見せるポイント
小さなオフィスを広く見せるためのポイントのひとつは、オフィス内にできるだけ自然光を取り入れ、壁色や床材を明度の高い色にすることです。また、レイアウトは、デスクや収納家具をできるだけ壁に沿って配置することで空間を広く取れるようにすると、開放感を得られるようになります。
そのほか、できるだけ荷物を増やさないようにするため、ペーパーレス化を進めつつ、ファイル収納や荷物を収納するロッカーを選定する際に高さの低いものを選ぶのもポイントです。そして、パーテーションはクリアな素材もしくはガラスを使用したものにするなど、視界を遮らないような工夫をすることにより、小さくても窮屈感のないオフィスになります。
統一感のあるデザインにするポイント
荷物や家具が少なくてもデザインに統一感がなく雑然としていると、気分がすっきりとせず集中力も削がれてしまいます。そのため、オフィス全体で共通のテーマを設定することが重要です。
具体的にはオフィス全体のカラーに統一感を持たせ、壁や床材、家具、アクセントなどの色味がバラバラにならないようにしましょう。そのためには、壁紙、カーテン、カーペットなどの色や素材をそろえる、デスクや棚、収納家具などを同じシリーズのものにするといったプランが必要になります。また、ロゴや企業カラーを取り入れたデザインにすることで企業として一体感の演出も可能です。
小規模オフィスでの機能性を重視したデザインにするポイント
小規模オフィスでは、ワークスペースを確保しつつ、動線をしっかりと取ることが難しく機能性が悪くなってしまうケースも少なくありません。
その解決策として、壁面収納やデスク下の収納、パーテーションと兼用できる収納など、スペースを有効活用する収納方法を検討しましょう。また、電源や通信回線の配線をきれいにまとめるだけでもオフィス全体をすっきりとした印象にすることが可能です。
そのほか、整理整頓を促すルールや仕組みの導入によっても機能性を高められます。まずは必要な家具をしっかりとそろえることで整理整頓のしやすい環境をつくり、限られたスペースを有効活用できるようにしましょう。
小規模オフィスのデザイン例
ソシアス総合法律事務所様
ソシアス総合法律事務所様は、クライアントの求める総合的なリーガルサービスを提供することを目的とした、専門性の高い少数精鋭の法律事務所です。
クライアントや所員の間で気兼ねなく話ができる憩いの場「Social Oasis」という志をオフィス空間に落とし込む為、所員様と密にコミュニケーションを取り、沢山の可能性を提示しつつ空間を形にしています。
執務空間、社内ミーティングスペース、会議室、応接室それぞれの空間にこだわりを持ち、壁や照明に変化を持たせ、デザイン性の高いオフィスとなっています。
小規模オフィスだからこそ、理想の空間が実現できる
小規模なオフィスは少し手をいれるだけで大きく雰囲気を変えることができるため、デザインにこだわった理想のオフィスを実現しやすい空間といえるでしょう。もしも御社が移転やリニューアルを検討中であれば、ぜひオフィスデザインの見直しも検討してみてはいかがでしょうか。
プラスのオフィスリニューアルサービスはこちらをご覧ください。
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