
オフィスの役割は、コロナ禍やリモートワークの普及によって大きく変化しました。これまでの「働くための空間」から、「従業員のモチベーションや生産性を高める場」へと進化しています。オフィスの改装によって、こうした変化に柔軟に対応することが大切です。
この記事では、オフィス改装のメリットや費用の目安のほか、成功のポイントを解説します。オフィス改装の事例もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
オフィス改装とは外観や内装を新しくすること
オフィス改装とは、オフィスの外観や内装を新しくし、働く環境を改善することです。事業や働き方の変化、企業の成長に応じて、レイアウトを変更したり設備を更新したりして、快適で効率的なオフィス空間を実現できます。
また、オフィス改装は移転を伴わずに行うケースが多く、建物の老朽化対策や従業員数の変動に対応する手段としても有効です。新しいオフィスを探すよりも、低コストで働きやすい環境を整えられる点もメリットの1つです。
オフィスを改装するメリット・効果
オフィスの改装は、単に見た目を新しくするだけではなく、業務効率の向上や従業員のモチベーションアップなど、企業経営において重要な効果をもたらします。ここでは、主なメリットについて詳しく解説します。
■オフィスを改装するメリット・効果

業務意欲の向上
オフィス環境が快適になることで、従業員の満足度やモチベーションが向上し、エンゲージメントが高まります。特に、快適なデスク環境の整備やリフレッシュスペースの充実は、集中力の維持に役立ち、従業員のパフォーマンス向上につながります。
業務の効率化
オフィス改装のメリットの1つは、業務効率の向上です。例えば、動線を最適化することで従業員の移動時間を削減でき、最新のオフィス家具や設備を導入することで作業環境を改善できます。快適なオフィス環境が整えば、従業員の生産性が向上し、スムーズに業務を遂行できるでしょう。
チーム間の連携強化
オープンなレイアウトやフリーアドレス制の導入など、オフィス改装によって社内コミュニケーションを活性化できます。部署間の壁を取り払い、偶発的な交流を促すことで、新しいアイディアが生まれやすい環境を整えられます。
コストカット
老朽化した設備の更新や、省エネ設計の導入により、長期的なオフィス運用コストの削減が可能です。また、スペースを最適化することで、不要な賃貸スペースを縮小し、固定費も削減できます。
企業全体のブランド力の強化
企業のブランドイメージ向上も、オフィス改装のメリットです。洗練されたデザインのオフィスは、訪れる取引先や採用希望者に好印象を与えます。企業の理念やブランドを反映したオフィスデザインにすることで、会社の価値が高まり、企業ブランディングの強化につながるでしょう。
オフィス改装の種類と費用
オフィス改装には、大きく分けて「オフィス全体を改装する場合」と「部分的に改装する場合」の2種類があります。改装の範囲や目的によって費用が大きく異なるため、目安を確認していきましょう。
オフィス全体を改装する場合の費用
オフィス全体を改装する場合、レイアウトの変更や設備の更新、内装のリニューアルなど、広範囲にわたる工事が必要です。そのため、費用は比較的高額になりやすく、一般的に1坪あたり30万~100万円程度とされています。
■オフィス全体を改装する場合の主な費用の内訳
項目 詳細 設計・デザイン費用 オフィスのコンセプトを決め、レイアウトを設計する費用 内装工事費用 床や壁、天井の張り替え、間仕切りの設置などの費用 設備工事費用 電気・空調・配線工事など、快適なオフィス環境を整えるための費用 家具・什器費用 デスクや椅子、収納家具など、新しいオフィスに合わせた備品の購入費用
オフィス全体の改装はコストがかかるものの、業務効率の向上や従業員の満足度向上など、多くのメリットをもたらすでしょう。
オフィスを部分的に改装する場合の費用
オフィスの一部を改装する場合は、全体の改装に比べて低コストで実施できます。例えば、会議室の改装やエントランスのリニューアル、フリーアドレスエリアの導入など、特定のエリアだけを改装するケースが一般的です。費用は1坪あたり10万~50万円程度とされています。
部分改装における、エリアごとの費用の目安は下記のとおりです。
<部分改装の費用の目安>
- エントランスの改装:50万~300万円
- 会議室の改装:100万~500万円
- 執務スペースの改装:200万~800万円
部分的な改装は、限られた予算の中で効果的にオフィス環境を改善できるため、段階的なリニューアルを考えている企業にもおすすめです。
オフィス改装の流れ・進め方
オフィス改装は、順を追って計画的に進めることが重要です。ここでは、オフィス改装の基本的な流れを5つのステップに分けて解説します。
■オフィス改装の流れ・進め方

1. 目的を明確にする
オフィス改装の第一歩は、「なぜ改装するのか」という目的を明確にすることです。例えば、業務効率の向上、従業員の働きやすさの改善、企業ブランドの強化など、目的によって改装の方向性が異なります。目的ごとの改装例は、下記のとおりです。
■目的ごとのオフィス改装の例
改装の目的 改装の例 業務効率を上げる デスクの配置変更やフリーアドレスの導入 従業員満足度を向上させる リラックススペースやカフェエリアの設置 企業イメージを強化する ブランドカラーを取り入れたデザイン設計
目的を明確にすることで、無駄なコストを抑えながら、効果的な改装が実現できるでしょう。
2. スケジュールを決める
オフィス改装の目的が決まったら、改装の規模に応じたスケジュール、そして予算を設定します。業務への影響を最小限に抑えるためにも、改装のタイミングは慎重に検討しましょう。
年末年始や夏季休暇など、長期休暇の時期を選ぶほか、段階的に改装を進めれば業務の継続も可能です。工程の遅延を防ぐためには、施工期間を明確にし、スケジュールを管理する必要があります。業務に支障をきたさないよう、進行状況を定期的に確認し、必要に応じて作業スケジュールや業務スペースを調整しなければなりません。
また、予算については、設計費・施工費・家具購入費などを考慮し、見積もりを取りながら調整することが重要です。
3. デザインを検討する
改装の目的や予算が決まったら、デザインとレイアウトを検討します。働きやすい環境を実現するために、下記のポイントを意識しましょう。
<デザイン・レイアウトのポイント>
- 動線をスムーズにし、移動しやすいオフィス設計にする
- 自然光を活かし、開放感のある空間を作る
- 企業のブランドイメージを反映させる
従業員の意見を取り入れながら設計を進めることで、より快適なオフィス環境を実現できます。
4. 各種申請・届け出をする
オフィス改装を進める際は、法的な許認可が必要になる場合もあります。特に、消防法や建築基準法に適合しているかを事前に確認することが重要です。
例えば、レイアウトを変更することでスプリンクラーや火災報知機の移設が必要になるケースです。また、間仕切りの追加や配置変更によって、避難経路が確保されているかも確認しなければなりません。
さらに、建築基準法に適合しているかをチェックし、耐震性や安全基準を満たしているかも確認しましょう。賃貸オフィスの場合、管理会社やビルのオーナーに改装内容を事前に相談し、許可を得なければならないケースも多くあります。
5.工事を行う
必要な許認可を済ませたら、いよいよ改装工事の実施です。工事期間中も業務を継続できるように、仮オフィスの手配や一時的なリモートワークの導入を検討するといいでしょう。工事期間中に考えられる対策は、下記のとおりです。
■工事期間中の対策の例
対策 詳細 仮オフィスの確保 業務に支障が出ないように、一時的な作業スペースを設ける リモートワークの活用 改装期間中は在宅勤務を推奨し、業務効率を維持する 進捗の管理 工事業者と連携し、スケジュール通りに進んでいるか確認する
工事完了後は、従業員へのオリエンテーションを行い、新しいオフィス環境にスムーズに適応できるようサポートすることが大切です。
オフィス改装を成功させるポイント
オフィス改装を成功させるには、いくつかのポイントがあります。オフィス改装を成功に導くための具体的なポイントを紹介します。
改装する目的を明確化する
オフィス改装を成功させるためには、改装の目的を明確にすることが不可欠です。目的が不明確なまま進めると、必要のない改装をしてしまい、コストが無駄になる可能性もあります。
目的を明確にすることで、具体的な改装内容が決まり、スムーズに計画を進められるでしょう。
デザインにコーポレートカラーを取り入れる
オフィスのデザインには、企業のブランドイメージを反映させることが大切です。特に、コーポレートカラーを適切に取り入れることで、社員の一体感が生まれ、企業の認知度向上にもつながります。
例えば、コーポレートカラーを壁や家具に採用したり、会議室や受付エリアにアクセントとして取り入れたりすることで、統一感のある空間を演出できます。企業イメージに合った照明や装飾を活用するのも効果的です。
従業員の意見を取り入れる
オフィスを利用する従業員の意見を取り入れることも、改装を成功させるポイントです。改装後に働きにくさを感じることがないよう、事前にヒアリングを行い、ニーズを把握しましょう。改修後にもフィードバックをもらえば、次の改装や改善に役立てられます。
オフィス改装の注意点
オフィス改装による業務への影響を最小限に抑え、トラブルを避けるためには、適切な準備と段階的な進行が欠かせません。ここでは、オフィス改装における注意点を見ていきましょう。
賃貸だと原状回復が必要な場合もある
賃貸オフィスを改装する場合、契約内容によっては退去時に原状回復を求められることがあります。原状回復とは、オフィスを借りた当初の状態に戻すことで、不要な改装をすると余計なコストがかかる可能性もあります。
改装を進める前に、賃貸契約書を確認し、原状回復の義務があるかを把握しましょう。大掛かりな工事が不要な場合は、レイアウト変更や家具の入れ替えといった、元に戻しやすい方法を検討するのも1つの方法です。
賃貸では契約範囲内しか改装できない
賃貸オフィスでは、契約内容により改装できる範囲が制限されることもあります。特に、壁の撤去や床の張り替えなどの大規模な工事については、オーナーの許可をとることが一般的です。
改装を行う前に、必ず事前に管理会社やオーナーに相談し、改装が許可される範囲を確認しましょう。無断で改装を進めると契約違反となる可能性もあるため、事前に承認を得てから進めなければなりません。
消防法の範囲内で行う必要がある
オフィス改装では、消防法にもとづいた設備や避難経路の確保が求められます。特に、パーテーションの設置やレイアウト変更によって、避難経路がふさがれたり、スプリンクラーの機能が損なわれたりする場合、違法となる可能性もあります。
改装を進める前に消防法の基準を確認し、避難経路やスプリンクラーの配置が適切であるかを確認しましょう。法令違反にならないよう、事前にチェックしながら進めることが大切です。
改装工事期間は仮オフィスが必要
オフィス改装中は、工事の騒音や作業スペースの制限により、通常業務が困難になることもあります。そのため、仮オフィスを用意したり一時的にリモートワークを導入したりする必要があります。
改装期間中の働き方については、事前に計画を立てておきましょう。
外部パートナーは経験と実績で選ぶ
オフィス改装を成功させるためには、信頼できる施工業者やデザイン会社の選定が重要です。経験が浅い業者に依頼すると、設計ミスや施工トラブルが発生し、追加費用がかかるリスクもあります。
業者選びのポイントの1つは、オフィス改装の実績が豊富な業者を選ぶことです。過去の施工事例を確認し、自社のニーズに合ったデザインが可能かチェックしましょう。また、複数の業者から相見積もりを取り、適正な価格で依頼できる業者を選ぶ必要もあります。信頼できるパートナーを選ぶことで、スムーズにオフィス改装を進められます。
オフィス改装に利用できる補助金
オフィス改装にはまとまった費用がかかるため、補助金や助成金を活用することで、コスト負担を軽減できます。特に、国や自治体が実施している制度を利用すれば、一定の条件を満たせば補助を受けられます。
例えば、中小企業向けの「ものづくり補助金」や、働き方改革を支援する「IT導入補助金」などがあり、オフィスの設備投資やデジタル化に役立ちます。
補助金の種類や申請方法は年度ごとに変更される場合があるため、最新の情報を確認して活用を検討しましょう。
オフィス改装の事例5選
実際にオフィス改装を行った企業の事例を紹介します。企業ごとの目的や工夫を知れば、自社のオフィス改装に役立てられるでしょう。
事例1:サムティ株式会社様

従業員数 | 約50名 |
延床面積 | 942平方メートル |
業界・業種 | 不動産業 |
企業のイメージ向上と働きやすさの向上を目的に改装を実施。エントランスのデザインを明るく温かみのある空間に改装し、ガラス自動扉を設置して廊下との連続性を強調しました。また、会議室や執務スペースには、業務効率を向上し、コミュニケーションを活性化するためのデザインが取り入れられています。
オフィス改装により、オフィス全体の機能性と美観が向上し、従業員の働きやすさが改善されました。さらに、改装された空間は企業のイメージを一層強化し、訪れる人々に好印象を与える空間に生まれ変わっています。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
オフィスデザイン・レイアウト事例紹介:サムティ株式会社 様
事例2:株式会社アソビズム様

従業員数 | 70名 |
延床面積 | 約518平方メートル |
業界・業種 | ゲームソフトウェア業 |
社員の働きやすさを向上させ、企業のイメージを刷新することを目的に、オフィスを改装。エントランスには木とブリックタイルを使用し、ガラスの壁面で社内の開放感を演出しました。また、執務室にはナチュラルなインテリアと特注のデスクを配置して、快適で落ち着いた環境を提供しています。
オフィス全体に透明感と開放感が生まれ、社員はより集中できる環境が整い、企業のイメージも向上しました。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
オフィスデザイン・レイアウト事例紹介:株式会社アソビズム 様
事例3:株式会社ネクスウェイ様

従業員数 | 233名 |
業界・業種 | 情報サービス業 |
業務効率と社内コミュニケーションの改善を目的に、リフレッシュスペースを新設。社員がリラックスできる空間を提供しました。改装後は社内での「いい雑談」が生まれ、チームワークや創造的な仕事環境が促進されています。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
オフィスデザイン・レイアウト事例紹介:株式会社ネクスウェイ 様
事例4:住商グローバル・ロジスティクス株式会社様 茜浜センター様

従業員数 | 約80名 |
延床面積 | 738平方メートル(オフィス)、825平方メートル(休憩室) |
業界・業種 | 運輸業 |
従業員の快適な作業環境とリフレッシュスペースの提供を目的に、海と山をテーマにしたデザインの改装を実施。イエローやグリーンを基調としたインテリアやデザイン性のある壁紙、木調のルーバーなどを使用し、空間にインパクトを与えました。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
オフィスデザイン・レイアウト事例紹介:住商グローバル・ロジスティクス株式会社 茜浜センター 様
事例5:株式会社プレステージ・インターナショナル 新潟BPO魚沼テラス様

業界・業種 | サービス業 |
コミュニケーションの促進と快適な作業環境の提供を目的に改装を実施。広い廊下をコミュニケーションのためのスペースとして再設計し、ベンチやテーブルを配置して活気を与えました。さらに、会議室には市の花や鳥、魚を表現したサインを取り入れ、地域とのつながりを演出しています。オフィス改装により、社員間のコミュニケーションが活性化し、より効果的な業務環境が整いました。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
オフィスデザイン・レイアウト事例紹介:株式会社プレステージ・インターナショナル 新潟BPO魚沼テラス 様
従業員の声に耳を傾け、オフィス改装を成功させよう
オフィス改装は、企業の成長や働きやすさを向上させるために重要な施策です。業務効率や従業員の満足度向上、企業ブランドの強化など、さまざまなメリットがあります。自社に最適な環境を整えるためにも、効果的なオフィス改装を実施しましょう。
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