パソコンやOA機器は、ビジネスの効率化や生産性向上に大きく寄与します。しかし、オフィスで使用するにあたって大きな問題となるのがコードやケーブルなどの配線の多さです。いまやパソコンだけではなく、コピー機やFAXなどもすべてネットワークでつながっているため、電源コードに加え、それぞれの機器にLANケーブルが接続されています。配線の多さを解決する手段のひとつとなるのがOAフロアですが、設置することでどれくらいオフィスの床が高くなってしまうかの確認は欠かせません。そこで今回はOAフロアの構造や種類を見たうえで自社に合ったOAフロアの高さを決めるポイントをお伝えします。
OAフロアの構造
OAフロアとは、オフィスの床を二重構造にすることで、従来の床と新たに設置した床の間にコードやケーブルなどの配線を収納するものです。OAフロアを設置すれば、配線が表に出ないため、見栄えがよくなるのに加え、デスクや什器などの配置に影響されないため、レイアウトの自由度も広がります。
また、コードやケーブルにホコリがたまってショートによる火災につながったり、足を引っ掛けて転んでしまったりといった心配もなくなるでしょう。
OAフロアの種類
OAフロアは、「床高調整式タイプ」「置敷タイプ(簡易式)」「置敷タイプ(溝配線)」の大きく3種類に分けられます。それぞれの特徴は次のとおりです。
床高調整式タイプ
従来のオフィス床に支柱を設置し、その上にパネルを置くタイプです。前項で説明したように、オフィスの床を二重構造にするもので、従来の床と新しい床の空洞部分に配線を収納します。
このタイプの大きな特徴は、高さの調節が可能な点です。一般的に、床仕上げ高さが低いもので50mmほど、高いもので300mmほどのものがあります。配線容量に応じて高さを変えられるため、コードやケーブルが増えても対応が可能です。
また、耐久性・耐荷重・耐燃焼性が高いのも特徴のひとつで、重量のある設備や什器が置かれているオフィスや、サーバールームなどでよく使われています。
置敷タイプ(簡易式)
オフィスの床にクッションシートを敷き、その上にパネルを置くタイプです。床高調整式タイプは主にステンレス製なのに対し、置敷タイプは樹脂製やプラスチック製であるため、軽量で価格も安く設置しやすいという特徴があります。
また、床高調整式タイプと同様に支柱(固定脚)がついていて、オフィスの床と新しいパネルの二重構造になりますが、支柱(固定脚)の高さ調節はできません。
床仕上げ高さは、30mmから100mmぐらいまでの固定式が一般的です。高さによっては配線容量も床高調整式タイプと大きく変わりませんが、高さの調節ができないため、配線が増設された場合の対応は難しくなります。
置敷タイプ(溝配線)
床高調整式タイプや置敷タイプ(簡易式)は、どちらも支柱があるため、従来のオフィスの床との二重構造となりますが、置敷タイプ(溝配線)には支柱がありません。オフィスの床にクッションシートを敷き、その上に直接、溝が刻まれたパネルを置くタイプです。
コードやケーブルは溝にはめ込み、その上にカバーをかぶせる形で配線を収納します。上記2つのタイプに比べ、配線容量は多くありませんが、溝にはめ込むことから配線の整理がしやすく、レイアウト変更や増設がしやすいのがメリットです。
OAフロアの選び方
支柱を設置し、高さの調節もできる、「床高調整式タイプ」。支柱(固定脚)があり価格も安く設置しやすい、「置敷タイプ(簡易式)」。そして、支柱(固定脚)はなく溝にコードやケーブルをはめ込む、「置敷タイプ(溝配線)」。それぞれに特徴を持ったOAフロアです。
ここでは、「高さ」の面から自社でOAフロアを設置する際にどのタイプがおすすめなのか、選択のポイントを説明します。
天井の高さが平均以上のオフィスの場合
一般的なオフィスの場合、OAフロアは床上げ高50mmが標準的な高さです。また、一般的なオフィスの天井の高さは、2,500~2,600mmです。もしこれよりも天井が高い場合は、支柱が付いているタイプのOAフロアでも、標準より少し高めのものを使っても圧迫感は出ない可能性もありますが、圧迫感が出るかどうかについては、業者に相談するとよいでしょう。
ただし、オフィススペースが広く、荷重が大きい場合、耐荷重がある床高調整式タイプをおすすめします。特にサーバールームでは、耐荷重を重視し、できるだけ配線を整理したうえで、床高調整式タイプを選択するとよいでしょう。
天井の高さが平均的なオフィスの場合
天井の高さが平均的な場合、支柱が付いているタイプのなかでも、床上げ高があまり高くないOAフロアがおすすめです。圧迫感が出ると業務に集中できなくなる可能性もあります。床上げ高の高さについては、業者に相談することをおすすめします。耐荷重については、上述したとおりです。
天井の高さが平均以下のオフィスの場合
天井の高さが平均以下の場合、支柱が付いているタイプを選択すると、天井までの距離が近くなりすぎてオフィスが窮屈に感じられ、集中して業務を行うのが難しくなってしまうかもしれません。
窮屈さを出さないためには、置敷タイプ(溝配線)がおすすめです。コードやケーブルが多くどうしても収納量を増やすために支柱(固定脚)が付いているタイプを選択するのであれば、30mmの低いタイプがよいでしょう。
最後にOAフロアの選択時に注意しなければならないのが、床の凹凸や傾斜の確認です。床高調整式タイプであれば、多少の凹凸はクッションシートを置くことで対応可能ですが、置敷タイプは基本的に下地処理が必要になります。
床の高さばかりを意識していると、床の凹凸や傾斜に気づかず、設置の段階になって対応できないといったことにもなりかねません。また、設置できたとしてもガタつきが出てしまい、業務に支障が現れるケースもありえます。余計なコストや手間をかけないためにも高さと同時に床の凹凸や傾斜にも十分、注意を払ってください。
OAフロアの高さはオフィスの天井高を確認したうえでの選択を
オフィスの配線が多い場合、それを収納できるだけの高さがあるOAフロアを選択しないと、収納しきれないコードやケーブルが表に出てきてしまいます。見える部分に配線があってはOAフロアの意味がないため、配線容量とOAフロアの高さはしっかりと確認したうえで選択しましょう。
ただし、オフィスの天井が2,500mm以下の場合、あまりOAフロアを高くし過ぎると圧迫感が出てしまい、業務効率が落ちてしまうかもしれません。OAフロアによって足元がすっきりしたとしても、天井までの距離が近くなり、圧迫感が出てしまっては本末転倒です。オフィス内部を快適な環境に保ち、業務を行いやすくするためにOAフロアにするのだということを忘れないようにしてください。
特に、天井の高さが平均以下のオフィスでOAフロアを設置する場合、使っていないコードやケーブルはないか、無線対応できるデバイスに変更できないかを検討しましょう。コードやケーブルの量を減らせればOAフロアを必要以上に高くする必要はありません。
天井までの高さを測ったうえでコードやケーブルを減らせるかしっかりと検討したうえで、自社に合ったOAフロアを選択するようにしましょう。
OAフロアの施工について、詳しくは『OAフロアの施工にかかる期間、費用目安は?施工の流れや自社に合ったOAフロアを選択するポイント』の記事をご覧ください。
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