チーム内のパフォーマンスを高めるためには、心理的安全性が必要だといわれています。心理的安全性とは、メンバーが不安を感じることなく、積極的に自分の意見を言える状態のことです。心理的安全性が高まることで、新しいことや困難なことにもチャレンジできる状態をつくることができます。そのため、社内で心理的安全性を高めるための環境を整えることが重要です。今回は、心理的安全性を高める方法について解説します。
心理的安全性とは
心理的安全性とは、対立や非難を恐れずにチーム内で安心して自分の意見を言える状態のことをいいます。このような状態をつくり出すには、メンバー同士の信頼関係が不可欠です。誰に対して何を言っても罰を受けることがない状態であれば、メンバーは安心して自分の意見を言うことができます。失敗することに不安を感じず、チャレンジできる状態にすることが大切です。
逆に心理的安全性がない状況では、メンバーは積極的に意見を言うことができません。意見を言えないということは、個人だけの問題ではなく、チーム全体の損失に関わってきます。例えば、チームで一つのプロジェクトを進めるなかで、メンバーの一人が進行上の問題点に気付いたとしましょう。しかし、心理的安全性が確立されていない状況では、問題があっても言い出しにくいかもしれません。そして、ほかの誰も問題点に気付かないまま、プロジェクトを進めていくことになります。途中で問題点に気付いても、もはや手遅れの状況になっていることもあり得るのです。
こうしたことから、心理的安全性はチームで業務を進めていくなかで、非常に重要なことといえます。
心理的安全性が低いと起こること
心理的安全性が低いと、メンバーが自分の意見をはっきり言えないため、さまざまなデメリットが生じる可能性があります。
メンバーのミスに気付いても指摘できない
メンバーの一人がほかのメンバーのミスに気付いたとします。しかし、ミスに気付いたメンバーは日頃からほかのメンバーに対して自分の意見を言えません。ミスに気付いても指摘できないため、ミスをしているメンバーはそのことに気付かないままです。ミスの発見が遅れると、訂正に多くの時間を要してしまうことになります。
業務上で懸念点があっても意見を言えない
あるプロジェクトを進めるなかで、部下の一人が業務を進めるうえでの懸念点に気が付きました。しかし、上司にネガティブだと思われることを恐れ、懸念点があっても伝えることができません。そのまま業務を進めていけば、かえって遅れが生じてしまう可能性があります。
不明点があっても確認しない
上司からの指示に不明な点があっても確認できないため、独自の判断で業務を進めてしまうケースも考えられます。不明点を確認すると、無知だと思われてしまうのではないかと恐れてしまうのです。しかし、不明点を確認できないままでは、業務をスムーズに進めることができません。
自分のミスを隠そうとする
無能だと思われることに不安を感じ、自分のミスを素直に認められないケースもあります。ミスを隠そうとすると、かえって大きなトラブルを招くことも考えられます。過去に部下のミスを叱責したことがある場合は、部下が心理的に不安を感じている可能性があるため注意が必要です。
心理的安全性を高める方法
チーム内の心理的安全性を高めるには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、具体的な方法を解説します。
発言する機会をつくる
まずはメンバーに発言する機会をつくることが大切です。上司から部下に指示をする場合、一方的に説明するのではなく、部下のほうから意見を言えるようにするとよいでしょう。発言する機会を与えられれば、自分から意見を言えるかもしれません。
1on1ミーティングを定期的に行う
1on1ミーティングは、上司と部下の間でコミュニケーションを取る大切な機会です。メンバーがいる前ではあまり話せないことでも、1対1ならうまく話せる人もいます。ただし、上司から話すのではなく部下が自主的に話せる雰囲気をつくることが大切です。1on1ミーティングで上司と部下の信頼関係が生まれれば、メンバー同士で話し合っているときでも自分の意見を言えるようになるでしょう。
気軽に話せる環境を整える
業務を進めるなかでミーティングを行うことはよくあるでしょう。しかし、ミーティング中は自分の意見を言えないメンバーもいる可能性があります。そのような場合には、気軽に話せる環境を整えることがおすすめです。例えば、オフィス内にカフェスペースを設置し、世間話から会話を始めることも一つの方法です。気軽な会話から、普段メンバーが気にかけていることを話し始めるケースもあります。
新しいメンバーをサポートする体制を整える
新しいメンバーが入ったら、サポートできる体制を整えることも大切です。例えば、年齢の近い社員をサポート役につけるメンター制度を実施している企業もあります。新しいメンバーとの信頼関係が構築できれば、心理的安全性を高める効果が期待できます。
心理的安全性を担保するには環境を整えることも重要
心理的安全性を高めるには、オフィス環境を整えることも重要です。例として以下のようなスペースを設けることをおすすめします。
メンバーが集まりやすい予約不要のミーティングスペース
オフィス内にメンバーが集まりやすいミーティングスペースを設置してみましょう。集まりたいときにすぐに集まれるように予約不要で利用できることが大切です。ミーティングスペースは数十分程度のミーティングを行うのに適しています。
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短時間のミーティングに利用しやすい立ち話スペース
より短いミーティングを行えるスペースとして、立ち話スペースを設置するのもおすすめです。立ち話スペースは必ずしもミーティングテーブルを設置する必要はなく、腰くらいの高さのあるオフィス家具があれば十分です。例えば、通路とデスクの間に設置された書庫を立ち話スペースとして活用することもできます。
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1on1ミーティング専用のスペース
1on1ミーティング専用のスペースは、上司と部下が話しやすいように、対面ではなく、横並びや角を挟んだ位置関係で座れる配置が適しています。対面になると緊張してうまく話せない人もいるためです。また、個室や半個室のように、周囲に配慮したスペースにするとよいでしょう。
雑談が生まれやすいマグネットスペース(マグネットゾーン)
マグネットスペース(マグネットゾーン)とは、人が磁石のように引きつけられて自然に集まってくるスペースのことをいいます。例えば、コピー機の周りや給湯室などはマグネットスペースになりやすい場所です。ミーティングスペースよりも雑談が生まれやすく、社員同士のコミュニケーションの場として活用できます。
プラスでは雑談が生まれやすいコミュニケーションスポットとして、「5 TSUBO CAFE」の設置を提案しています。社員が気軽に集まれる場所として、ぜひ活用してください。
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心理的安全性を高めるには社内コミュニケーションが大切!
心理的安全性が高い状態をつくることで、情報やアイデアを共有しやすい環境が生まれます。メンバーが不安を感じることなく、さまざまなことにチャレンジできるので、チーム内のパフォーマンスが向上する可能性が高まります。心理的安全性を高めるには、オフィス環境の見直しが必要です。メンバー同士が気軽にコミュニケーションが取れる環境を整えることで、自然と心理的安全性を高めることができるでしょう。
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