テレワークや時短・在宅勤務に代表されるような、柔軟かつ生産性の高い働き方を目指し、現在多くの企業で導入が進められているワークスタイル変革。近年のビジネスのトレンドとして多くの注目を集めていますが、その一方で、ワークスタイル変革が企業の経営を左右する重要課題として取り組むべき施策であることはあまり知られていません。
そもそもワークスタイル変革はなぜ必要なのでしょうか。今回はその重要性や背景について、経営課題という側面からご紹介しましょう。
そもそも、ワークスタイル変革とはどのような概念か
ワークスタイル変革とは、その言葉の通り「働き方」を変えるための施策です。それでは、ここでいう「働き方」とは何を意味するのでしょうか。
「働き方」は、狭義では従業員個人の仕事のやり方を指す言葉です。例えば普段の仕事の進め方や、プライベートに対する仕事のプライオリティーの置き方など、その人の仕事への姿勢全般を表します。また一方で、広義には企業のような組織全体の「働き方」を指すこともあります。この場合は、労働のプロセスや仕組み、企業風土などを含め、その企業における労働環境全般を指すことが多いようです。
ワークスタイル変革における取り組みの例としては、以下のようなものがあります。
- テレワーク:テレビ会議システムやモバイル端末を活用し、移動中やサテライトオフィスのほか自宅でも仕事ができるよう仕組みを整え、柔軟な働き方を実現します。
- 人事評価制度の整備:ワークスタイル変革を導入する場合、オフィス以外の場所で働いたり、時短勤務をしたりする社員も増えるため、ほかの従業員と不公平にならず、かつ正当に評価できるように人事評価制度を見直す必要があります。
ワークスタイル変革は従業員にとって働きやすい環境を実現するといったようなさまざまなメリットがありますが、ただ個人の「働き方」を変えるだけでは意味がありません。例えばテレワークによる在宅勤務が可能になっても、社内の理解が得られず制度を利用するのがはばかられるような状況では、いずれ制度を利用する人がいなくなってしまうでしょう。
そうならないためには、新しい働き方を推進することを従業員全体に告知し理解を深め、それに対応した評価制度を整備するといったように、組織全体の「働き方」を熟成させることが重要なのです。
重要性高まるワークスタイル変革、その理由とは
従業員個人のみならず組織全体の「働き方」を変えるワークスタイル変革。近年、その重要性はますます高まっているとされていますが、なぜなのでしょうか。ワークスタイル変革が注目されるようになったきっかけには、以下のような企業を取り巻く環境の変化が指摘されています。
労働人口の減少
現代日本の労働環境において、大きな問題となっているのが労働人口の減少です。総務省がまとめた「情報通信白書(平成26年版)」によると、年齢別人口のうち労働力の中核をなす15歳以上65歳未満の人口は年々減少しており、2013年の段階で7,883万人となっています。この人口は2060年には4,416万人まで減少することが予想されており、将来的な労働人口の不足が指摘されています。
こうした状況下で優秀な人材を確保していくためには、テレワークの導入のような形で働き方の選択肢を増やし、出産や育児、親の介護などさまざまな状況下にある従業員を受け入れていく必要があります。
優秀な人材の確保
ワークスタイル変革を実現し、柔軟な働き方ができることが認知されれば、優秀な人材を確保しやすくなるという理由もあります。特に最近は労働環境に関するネガティブな話題も多く、求職側も検討中の企業の労働環境には敏感になっています。そのため、ワーク・ライフ・バランスに配慮された企業であることは、優秀な人材を集めることにもつながるのです。
また、こうした労働環境を整備することは、すでに自社で働いている従業員の満足度を向上させ、離職率を低下させるなどのメリットもあります。
ワークスタイル変革は重要経営課題として受け止める
ワークスタイル変革はただ働き方を変えるだけでなく、企業を支えるための人材を確保し、定着させるための重要な施策といえるでしょう。単純に近年のビジネスのトレンドとしてではなく、将来的な企業の経営を左右する重要課題として受け止め、今のうちから取り組みを進めていきましょう。
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