国が推し進めている「働き方改革」。そのなかでも柔軟な働き方の実現は、さまざまな理由でオフィスに出社できない人材の確保という意味において重要な施策のひとつです。ただ、長年の慣習もあり、オフィスに出社して働くのが当たり前という前提の企業が多く、柔軟な働き方の普及はなかなか進みませんでした。しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴う自粛要請によってこの前提も変わりつつあります。そこで、今回は柔軟な働き方を実現するフレキシブルワークについて、その概要から導入のポイントまでをお伝えします。
フレキシブルワークの概要と現状
そもそもフレキシブルワークとは、働く場所を自由に選べる働き方です。オフィス、自宅、サテライトオフィス、コワーキングスペース、モバイル機器が使える場所全般を「フレキシブルワークスペース」と呼びます。これだけを見るとテレワークと何ら変わりありませんが、フレキシブルワークにはもうひとつの特徴があります。それは働く場所だけではなく、働く時間も柔軟に選択できる点です。
「子育てや介護をしている社員が学校、病院のスケジュールに合わせて働く時間を調整する」、「年間の労働時間を決めて社員はそのなかで就業時間を自由に設定する」、「1日の労働時間を増やし、その分休暇を増やす」など、より個人にフォーカスした形で自由に働く時間を選択できるようにしたものがフレキシブルワークです。
日本ではまだ普及している制度ではありませんが、イギリスでは2000年にワーク・ライフ・バランス向上キャンペーンが開始され、その流れのなかで2003年4月にフレキシブル・ワーキング法が施行されました。10年後の2013年には97%の企業が1種類以上のフレキシブルワークを導入するまでに至っています。
元々は子育て支援や働き方の見直しなどを目的として進められていたフレキシブルワーク。日本では新型コロナウイルスの影響が大きいものの、テレワークを導入する企業が増えたことで、フレキシブルワークにも注目が集まり始めています。
フレキシブルワーク導入によるメリットとデメリット
では、フレキシブルワークを導入すると企業にはどういったメリット、デメリットがあるのかを具体的に見ていきます。
フレキシブルワーク導入によるメリット
優秀な人材の離職防止
子育て、介護などでフルタイムでは働けない社員が、自分の業務内容に合わせて就業時間を短縮したり、在宅で作業をしたりと柔軟に働けるようになり、離職防止につながります。
社員の健康維持
時差通勤やフレックスタイム制により、満員電車での通勤が減少します。ストレスや疲労の軽減に効果的です。
プライベート時間の充実
1日の労働時間を増やし、休暇を増やすことで旅行に出かけたり、家族との時間を増やしたりとプライベート時間の充実を図れます。
新規採用時のアピールポイントになる
社員の新規採用時においてフレキシブルワークを実施していることがアピールポイントとなります。
フレキシブルワーク導入によるデメリット
社員間、取引先との連携が困難
日によって働く場所、時間が異なるケースが増えるため、社員同士はもちろん、社外との連携も難しくなります。
賃料の増加
テレワークが定着すればオフィスの省スペース化が可能になりますが、自宅以外のサテライトオフィスやコワーキングスペースが増えればその賃料で相殺される、場合によってはこれまでよりも賃料が高くなるケースもあり得ます。
フレキシブルワーク導入に際して準備すべきこととは?
フレキシブルワークのメリット、デメリットを勘案のうえ、導入するとなった場合、事前に何を準備しておけばよいかについて説明します。
就業規則、評価基準の見直し
オフィス以外の場所で働けるようにするための就業規則や評価基準を新たに制定する必要があります。また、就業時間に関しては、社員一人ひとりで異なる場合もあるため、社員ともしっかりと話し合って決めなくてはなりません。
サテライトオフィスやコワーキングスペースとの契約
サテライトオフィスやコワーキングスペースで働くことになる社員がどれだけいるかを事前に把握し、それに合わせた契約を行います。また、導入後も状況によってワーキングスペースを減らしたり、より大きなスペースを確保したりするなど、柔軟にスペースの量を変えていきます。
コミュニケーションツールの選定
離れた場所で作業をしていてもできるだけオフィスにいるときと同様のコミュニケーションが取れるよう、チャットやWeb会議システムなどのツールを選定します。
ペーパーレス化やセキュリティ環境の整備
オフィス外でもオフィスにいるときと同様の作業ができるよう、ペーパーレス化やセキュリティ環境の整備を行います。
快適なオフィス環境の整備もフレキシブルワーク導入の重要ポイント
自宅やサテライトオフィスでもオフィスと変わらず快適に働けることが、フレキシブルワーク導入のポイントであると思われる方は多いでしょう。しかし、フレキシブルワークはオフィス外での業務が必須なわけではありません。
育児や介護などにより、オフィスでフルタイム勤務ができない社員に向け、時短やフレックスタイム制を導入するのもフレキシブルワークのひとつです。そうした意味では、オフィスに出社する社員に対する快適な環境の提供も、フレキシブルワーク導入を成功させる重要なポイントといえます。
就業規則や評価基準については、オフィス外で働く社員に適用するために改定する必要があります。そして、それと同時に、フリーアドレスの導入や集中スペース、カフェスペースの設置など快適なオフィス環境の整備についても改めての検討を忘れないようにしましょう。
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