グループアドレスは固定席とフリーアドレスの「いいとこ取り」
グループアドレスとは、部署やチームごとにオフィス内のエリアを区切り、その中で自由に席を選ぶ座席運用スタイルを指します。完全なフリーアドレスのようにどの席にでも座れるわけではなく、あらかじめ定められたグループ単位のエリア内で、選択の自由がある点が特徴です。
このスタイルは、「固定席」と「フリーアドレス」の中間に位置する運用方法といえます。固定席のように一定の場所で落ち着いて業務に取り組める一方で、フリーアドレスが持つ柔軟性やスペース効率の良さも取り入れており、それぞれの良さを兼ね備えた「いいとこ取り」の仕組みといえるでしょう。
■完全フリーアドレスとグループアドレス

固定席、フリーアドレス、グループアドレスの違い
グループアドレスを導入する際には、固定席やフリーアドレスといった既存の座席運用スタイルとの違いを理解することが重要です。ここでは、各スタイルの特徴を紹介します。
■固定席、フリーアドレス、グループアドレスの違い
比較項目 固定席 フリーアドレス グループアドレス 席の自由度 個人ごとに固定、自由度なし 社内全体で自由に選べる エリアは限定されるが、チーム内で自由に選べる 部署内の連携 同じメンバーとの連携は可能 チームが分散しやすい チーム単位で連携しやすい 部署外との交流 他部署との接点は限られる 部署に関係なく偶発的な交流が起きやすい チーム単位で他部署との接点はできる マネジメントの
しやすさ毎日同じ位置で管理が容易 誰がどこにいるかわかりにくい チーム内を見渡しやすく、管理しやすい スペース効率 無駄が生じやすい 全体で最適化が可能 在席率に応じた席配置がしやすい
このように、グループアドレスは、チームの連携とスペース効率のバランスが取れており、現代の多様な働き方や組織体制に柔軟に対応できるスタイルといえます。完全なフリーアドレスでは得られないチーム内の一体感を保ちつつ、従来の固定席よりも無駄の少ないオフィス運用が可能です。
グループアドレス導入の主なメリット
ここでは、グループアドレスを導入する4つのメリットを紹介します。
<グループアドレス導入の主なメリット>
- メリット1:チーム内コミュニケーションが活性化する
- メリット2:マネジメントと情報共有が効率化する
- メリット3:オフィスを省スペース化できる
- メリット4:段階的に導入しやすい
メリット1:チーム内コミュニケーションが活性化する
グループアドレスでは、チームごとにエリアを共有しながらも、出社時に、異なる席に座ることが可能です。これにより、偶発的な会話やちょっとした相談が生まれやすくなり、チーム内の関係性が強化されます。結果として、一体感のある組織風土が醸成され、業務効率の向上にもつながります。
メリット2:マネジメントと情報共有が効率化する
チーム単位での座席配置により、マネージャーがメンバーの様子を把握しやすくなります。進捗確認やアドバイスがスムーズに行えるため、マネジメントの効率が上がるでしょう。また、同じチーム内で情報が即座に共有されやすくなることで、意思決定のスピードや業務の質の向上が期待できます。
メリット3:オフィスを省スペース化できる
在席率に応じて座席数を調整しやすいため、無駄なスペースを減らすことができます。これにより、オフィス全体の稼働率が最適化され、光熱費などのランニングコストの削減にもつながります。特にテレワークや外出が多い部署では、省スペース化の効果が顕著です。
メリット4:段階的に導入しやすい
グループアドレスは、全社一斉のフリーアドレス導入と異なり、部署単位で試験的に導入できるため、段階的な展開が可能です。初めての座席運用変更でも、リスクを抑えてスムーズに移行できる柔軟性の高いスタイルといえるでしょう。小規模な導入からスタートし、課題や効果を検証しながら他部署へ展開していくアプローチが効果的です。
グループアドレス導入を成功に導く4つのSTEP
実際にグループアドレスを導入する際の流れを、4つのステップに分けて解説します。
<グループアドレス導入を成功に導く4つのSTEP>
- STEP1:導入目的と対象部署を明確にする
- STEP2:現状を把握し、座席数を最適化する
- STEP3:運用ルールを策定し、環境を整備する
- STEP4:丁寧に周知し、フィードバックを徹底する
STEP1:導入目的と対象部署を明確にする
グループアドレスを導入する前に、まずはグループアドレスを導入する目的を明確にします。コミュニケーションの活性化、オフィスコストの削減、柔軟な働き方の実現など、目的によって導入の進め方も異なります。目的が定まったら、その目的に合った対象部署を選定してください。
グループアドレスが向いている部署はチーム内でのコミュニケーションや連携が頻繁に求められる業務や、メンバーの出社頻度が不規則なケースなどが挙げられます。例えば、外出の多い営業部門では、常に固定席を確保するよりも、空いたスペースを有効活用できるグループアドレスのほうが効率的といえるでしょう。
一方、同じ設備や環境での作業が求められる部門や、機密性の高い情報を日常的に扱う業務では、業務効率やセキュリティの観点からグループアドレスによるメリットが得にくいケースもあります。
STEP2:現状を把握し、座席数を最適化する
グループアドレスを導入する前に、現状の座席利用状況や在席率を把握することが不可欠です。部署ごとの出社率や勤務形態、フロア構成などを調査・分析した上で、必要な座席数を算出しましょう。過不足のない座席数を設定すると、スペース効率を最大限に高められます。グループアドレスの効果を引き出すためには、現実的なデータにもとづいた計画が重要です。
STEP3:運用ルールを策定し、環境を整備する
グループアドレスの運用を安定させるには、ルールづくりが欠かせません。例えば、席の固定化を防ぐためのローテーションルールや、私物の扱いなどのガイドラインを明確に定めましょう。
同時に、ノートPCやロッカーの整備、Wi-Fi環境の強化、ペーパーレス化の促進など、物理的な環境整備も併せて行う必要があります。
STEP4:丁寧に周知し、フィードバックを徹底する
グループアドレスの運用開始時には、従業員への丁寧な説明が不可欠です。目的やルール、メリットをしっかりと伝え、理解と協力を得ることがスムーズな移行のカギとなります。また、導入後も定期的にアンケートやヒアリングを行い、現場の声をもとに改善を重ねていくことが重要です。継続的なフィードバックを取り入れれば、より効果的な運用へとつながるでしょう。
導入前に知っておきたいグループアドレスの注意点
グループアドレスは多くのメリットがある一方で、注意すべきポイントもあります。ここでは、特に知っておきたい代表的な注意点を2つ紹介します。
席が固定化してしまいがち
グループアドレスでは、自由に席を選べるはずなのに、いつも同じ場所に座る人が出てきやすいという課題があります。これは、快適な場所や仲の良い同僚の近くに座りたいという心理が働くためです。結果として、固定席と大差のない運用になり、本来のメリットが発揮されにくくなります。
こうした事態を防ぐには、席をローテーションするルールを設ける、定期的に座席の利用状況をモニタリングするなど、運用面の工夫が欠かせません。
ペーパーレス化の推進が必須
グループアドレスを円滑に運用するには、ペーパーレス化が前提条件となります。個人の書類をデスクに常備できないため、紙資料を大量に保管・使用するスタイルからの脱却が必要です。
紙資料をデジタル化すると、荷物の持ち運びも減り、働く環境がすっきりと整うだけでなく、業務効率の向上にもつながるでしょう。グループアドレスを導入する前に、社内のITインフラやファイル管理体制の整備状況を確認してください。
自社の課題に応じた最適な座席運用で、働きやすいオフィスをつくりましょう
グループアドレスは、固定席やフリーアドレスにはない柔軟性と連携力を兼ね備えた、現代のオフィスに適した座席運用スタイルです。しかし、どの座席運用が最適かは、企業の課題や目指す働き方、組織体制によって異なります。
まずは自社の課題を明確にし、「何を改善したいのか」「どのような働き方を実現したいのか」を整理することが重要です。その上で、部署ごとの特性や働き方に応じた座席運用を設計すれば、業務効率の向上や従業員満足度の向上といった具体的な成果につながります。
プラスでは、貴社のオフィス運用に関する課題を丁寧にヒアリングし、最適な座席配置や運用ルール、環境整備までトータルでご提案します。スムーズで効果的なオフィスリニューアルを目指すなら、ぜひ一度プラスへご相談ください。
グループアドレスに関するよくある質問
グループアドレスとフリーアドレスの違いは何ですか?
グループアドレスは、部署やチームごとにエリアを区切り、その中で席を自由に選べるオフィスの座席運用スタイルです。一方、フリーアドレスは会社全体で席が自由に選べるスタイルで、固定されたエリアがありません。グループアドレスはチーム単位の連携を保ちながら、一定の柔軟性を確保できる点が特徴です。
すべての部署にグループアドレスは向いていますか
グループアドレスは、すべての部署に適しているわけではありません。出社頻度が不規則な職種や、チームでの連携が重視される業務では、柔軟な座席運用によってスペースの有効活用が期待できますが、機密性の高い情報を日常的に扱う業務においては、グループアドレスのメリットが十分に発揮されにくい場合があります。グループアドレスの導入を検討する際は、業務内容やセキュリティ要件、従業員の働き方などを踏まえて、部署ごとに最適な運用方法を見極めることが重要です。
グループアドレスを導入する際に注意すべきことは何ですか?
グループアドレス導入時の注意点は、席を固定化しないこととペーパーレス化を推進することです。個人がそれぞれ自由に席を選んで座れるはずが、同じ席に定着するケースもあるため、ローテーションや利用状況の把握が欠かせません。また、紙資料の使用を減らし、持ち運びしやすい環境を整えることも、グループアドレスのスムーズな運用に必要です。

