この記事でわかること
- フリーアドレスを「苦痛」と感じる心理と、背景にある環境面の課題
- 苦痛を放置した場合に起こりうる影響
- 苦痛をやわらげる、空間とルールの両面からの対策
- プラスは居心地の現状を見える化したうえで快適なオフィスづくりをお手伝い
企業のフリーアドレス導入が増加している一方で、違和感や不満を持つ従業員は少なくありません。自由度の高い働き方を叶えるために導入しているのに、苦痛が伴うようであれば運用を考え直す必要があります。
この記事では、一部の従業員がフリーアドレスを「苦痛」と感じる主な理由と、改善のための具体策、そして見直しの視点をわかりやすく解説します。

フリーアドレスが「苦痛」と感じられる主な理由
フリーアドレスは、オフィス内に固定席を持たず、席を自由に選んで働く運用方法のひとつです。毎日好きな座席で働ける「自由度の高さ」が魅力で、コロナ禍を経てDXやABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)の流れもあり、導入が加速しています。
一方で、従業員のなかにはフリーアドレスに苦痛を感じる人や、「フリーアドレスには意味がない」という人もいるかもしれません。その理由は下記のとおりです。
■フリーアドレスが「苦痛」と感じられる主な理由

席選びによる意思決定ストレス
毎回の出社時に「今日はどの席に座ろう?」と判断しなければいけないことを負担に感じる人は少なくありません。先着順ゆえに「居場所争奪戦」になることもあり、精神的疲労に少なからずつながります。また、あまり話したことがない人や関わりのない業務担当者が隣の席だったらどうしよう、という心理も働きます。
プラスが実施した「職場の居心地WEB調査」(2024)によると、固定席からフリーアドレスデスクに変わり、以前と比較してデスクやイス等の清潔さや状態を気にするようになった人は72%でした。「誰かの使用後である共有スペースという状況が気になる」という層も、一定数いることがわかります。
■フリーアドレスデスクへの移行で7割以上の人が清潔さへの意識を高めた

この調査結果については、こちらのページをご覧ください。
【職場の居心地WEB調査】第19回 「フリーアドレスデスクにおける職場の清潔さ、気になりますか?本音発表!」
コミュニケーションの分断
従来の固定席であれば自然に交わしていた会話が、フリーアドレスでは席の流動化によって途切れがちになります。毎回違うメンバーが近くになると相談しづらい空気が漂い、結果的にチーム間の関係性が希薄化しかねません。
マネジメント層からは、進捗管理がしづらい、メンバーがどこにいるかわかりづらいという声もあります。
荷物管理・私物の置き場問題
フリーアドレスは固定のデスクがないため、私物の収納・持ち運びの負担が増えます。業務に必要な資料や私物を置く収納スペースが不足すると、さらなる不満を生みます。ノートPCや書類を常に持ち歩くことで、作業効率に悪影響を及ぼすケースもあるでしょう。
社内での居場所の喪失
「自分の席がない=自分の居場所がない」と感じ、心理的な孤立を生むことがあります。部署やチームの一員としての帰属意識が薄れ、「どこにも属していない感覚」になりやすいといえます。
業務内容とオフィス環境のミスマッチ
フリーアドレスとABWを混同したまま運用すると、席を自由にしただけで終わってしまいます。ABWは、業務内容に応じて働く場所を選べる働き方です。一方、フリーアドレスは、固定席を持たず、席を自由に選ぶ運用を指します。

席が自由でも、集中して作業できる場所や、声を出して打ち合わせできる場所が用意されていなければ、業務内容に合わせた働き方はできません。本来の「働き方の自由」が伴わず形だけの制度になると、「席を選ぶストレス」や「居場所がない感覚」といった苦痛をさらに強めたり、「意味がない」と感じさせたりする一因になります。

フリーアドレスの苦痛を放置するリスク
苦痛を放置すると、従業員の不満が蓄積し、次のようなリスクにつながるおそれがあります。ただし、これらはフリーアドレスだけが原因で起こるとは限りません。ほかの要因と重なって表れる場合もあるため、自社の状況を確認しながら判断することが大切です。
<フリーアドレスの苦痛を放置するリスク>
- 生産性・パフォーマンスへの影響
- コミュニケーションの希薄化によるエンゲージメント低下
- 従業員の定着に影響する可能性
生産性・パフォーマンスへの影響
集中力の低下や荷物管理の負担といった、日々の小さな非効率が積み重なると、組織全体のパフォーマンス低下として表面化しかねません。個人の問題として片付けず、環境や運用に原因がないかを見直しましょう。
コミュニケーションの希薄化によるエンゲージメント低下
席が固定されないことで人間関係が希薄になると、チーム内での相談や報告のハードルが上がってしまうことも考えられます。その結果、会社や仕事への愛着・貢献意欲といった従業員エンゲージメントが下がるおそれがあります。
従業員の定着に影響する可能性
フリーアドレスで感じる小さな不便や負担が続くと、働き続けることへの気持ちに影響する場合があります。特に「自分には居場所がない」という感覚が長く続くと、職場への帰属意識が薄れていく可能性も考えられます。
離職や休職にはさまざまな要因があり、フリーアドレスだけで決まるものではありません。ただし、働きやすさを見直す視点のひとつとして、常に従業員の声に耳を傾けることが大切です。
フリーアドレスを苦痛にしない具体的な対策
ここからは、フリーアドレス本来のメリットを活かし、より快適な職場環境を実現するために、従業員にとって苦痛と感じる面をやわらげる具体的な対策を紹介します。
■フリーアドレスの苦痛を減らす具体的な対策

ゾーニングや半固定席で選択肢をつくる
完全なフリーアドレスではなく、チーム単位でゾーニングしたり、職種別に「よく使う席」を半固定式で設定したりする方法を取り入れれば、フリーアドレスの苦痛を減らすことができます。「どこでも自由」ではなく「選べる自由」があることで、ストレスが減るでしょう。
また、コミュニケーション用のスペースと、集中スペースを分けるのも効果的です。プラスはさまざまな集中ブースを提供しています。音や視線をうまく遮り、業務効率化にお役立てください。

IoTツールで人の居場所や連携を「見える化」する
プラスが提供する座席管理システム「Suwary(スワリー)」は、フリーアドレスに最適なアプリです。フリーアドレスの座席をかんたんに予約、管理でき、オフィス内で誰がどこにいるかをアプリで表示できて便利なため、導入する企業が増えています。
こういったIoTツールを活用することで、物理的な距離はあっても、情報的なつながりを補完できます。

収納・持ち物管理のストレスを軽減させる
フリーアドレスでは、個人ロッカーやキャスター付き収納、ノートPCの軽量化などで「持ち運びの負担」を減らす工夫が必要です。出社時の利便性を高めるためにも、アクセスしやすい個人ロッカーや、荷物置き用の専用ワゴンの導入を検討してください。
プラスが提供する「L6 パーソナルロッカー」はゾーニングにも使え、機能も充実しています。

デスクの利用ルールとマナーを明確化し共有する
デスクを使用した後の清掃ルールや予約制の有無、利用時間の制限など、ルールを明示し習慣化することで現場の混乱を防げます。運用開始後も改善の余地を見ながら柔軟にルールを見直す姿勢が重要です。

フリーアドレスの再設計ポイント
フリーアドレスの運用に苦痛を感じている従業員が多い場合は、運用の再設計が必要です。次の3つのポイントで見直していきましょう。
<フリーアドレスの再設計ポイント>
- ポイント1:従業員の声を取り入れる
- ポイント2:ハイブリッドな働き方を検討する
- ポイント3:運用の仕方を見直す
ポイント1:従業員の声を取り入れる
制度主導ではなく、現場の従業員の声を集め、使いやすさや居心地を重視して再設計することが大切です。
■従業員の声を取り入れる方法
取り組み 内容 アンケート調査の実施 全従業員を対象に匿名で実施し、不満点や改善要望を集める。「どんな場面で困っているか」「理想的な働き方は何か」など、具体的な状況を把握する。 ワークショップやヒアリング 部署別・職種別の小グループで課題を共有する。管理職だけでなく現場の一般職員からも意見を集め、実態に即した改善策を検討する。 試行期間の設定 改善案を一定期間試し、結果について従業員に意見を求める。PDCAサイクルを回せば、継続的に改善できる。
ポイント2:ハイブリッドな働き方を検討する
フリーアドレスが定着しない場合、「一部固定席+フリーアドレス+在宅」といったハイブリッドな働き方に切り替え、柔軟性と安定性を両立させるのもひとつの方法です。
■ハイブリッドな働き方の一例
働き方 内容 職種・業務内容別の席割り当て 営業職はフリーアドレス、経理・総務は固定席、企画職は在宅とフリーアドレスの併用など、職種の特性に応じて最適な働き方を選択できる制度を設計する。 時間帯別の運用ルール 午前中は集中作業用の固定席、午後はコミュニケーション重視のフリーアドレスエリアを利用するなど、時間帯に応じた使い分けを促進する。 チーム単位での柔軟な対応 プロジェクトチームは一定期間固定席を確保し、通常業務はフリーアドレスを活用するなど、チーム単位で柔軟に運用する。
ポイント3:運用の仕方を見直す
フリーアドレスに苦痛を感じている従業員がいる場合、「フリーアドレスという制度が悪い」のではなく、「どう運用しているか」が課題かもしれません。
■フリーアドレス運用の改善案
改善案 内容 ルールの見直しと明文化 現在の運用ルールを整理し、曖昧な部分を明確化する。座席の予約方法、使用後の清掃ルール、私物の管理方法など、具体的なガイドラインを作成し、全員に周知する。 管理者向けの研修実施 フリーアドレス環境でのチームマネジメント方法について、管理職向けの研修を実施する。進捗管理やコミュニケーション促進のノウハウを共有し、現場の混乱を防ぐ。 定期的な効果検証 3ヵ月に一度程度、利用状況や満足度を調査し、運用方法の改善点を検討する。データにもとづいた客観的な評価により、制度の継続的な最適化を図る。
「イゴコチメイキング」でより働きやすい、場面に応じた居心地を実現しましょう
フリーアドレスを苦痛に感じる従業員がいる背景には、席や設備といった物理的な要因と、人との関わり方といった社会的な要因があります。プラスは、この両面から居心地を整え、ワーカーが求める「イゴコチ」に寄り添う「イゴコチメイキング」を提案しています。
居心地のよさは人や場面によって異なりため、まずは今のオフィスを従業員がどう感じているかを見える化し、課題を把握することが欠かせません。
プラスなら、居心地の現状を見える化したうえで、自社のニーズに合わせた居心地を実現するオフィス設計が可能です。貴社のお悩みや課題に応じ、プラスが快適なオフィスづくりをお手伝いします。「イゴコチの見える化ソリューション」について詳しくは、次のページをご覧ください。

すべてのメンバーにとってメリットのあるフリーアドレスをつくろう
フリーアドレスは導入ありきではなく、「その会社・チーム・すべてのメンバーに合うかどうか」を定期的に問い直すことが重要です。従業員の快適さを起点に、制度と環境を調整しましょう。
プラスは、従業員にとっても企業にとってもメリットのある快適な働き方を提案しています。
フリーアドレスの運用を最適化したい、オフィスをリニューアルしたいと考えている担当者は、プラスにご相談ください。貴社にとってベストのオフィスの空間づくりをお手伝いします。

フリーアドレスにおける苦痛に関するよくある質問
フリーアドレスを苦痛に感じたり、意味がないといわれたりする理由は何ですか?
フリーアドレスを苦痛に感じる主な理由は、席を選ぶ意思決定ストレス、席の流動化によるコミュニケーションの分断、私物の置き場の問題、居場所の喪失、業務内容とオフィス環境のミスマッチの5つです。運用の仕方によっては、これらが原因で苦痛を感じる従業員が発生しかねません。特に、席だけが自由で業務に合った環境が整っていない場合は、「意味がない」と感じやすくなります。フリーアドレスは導入後も状況を確認し、自社に合った運営を見直すことが大切です。
フリーアドレスを苦痛にしないための具体的な対策は何ですか?
フリーアドレスの苦痛を減らすには、チーム単位のゾーニングや半固定席で「選べる自由」をつくること、座席管理システムなどのIoTツールで人の居場所を見える化すること、個人ロッカーなどで荷物の持ち運びの負担を減らすこと、デスクの利用ルールとマナーを明確にして共有することです。完全な自由席ではなく、適度な制約と選択肢のバランスを取れるよう運用を見直してください。
フリーアドレスを再設計するポイントは何ですか?
フリーアドレスを再設計するポイントは、従業員の声を取り入れること、固定席・フリーアドレス・在宅を組み合わせたハイブリッドな働き方を検討すること、ルールや体制といった運用の仕方を見直すことです。制度に固執せず、柔軟に対応して、従業員にとって快適な環境を整えましょう。

