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空間をまるごと作り変えるような大規模な改装を行い、思い通りの理想のオフィスを実現できるとして、オフィスリノベーションが大きな注目を集めています。従来のオフィスからは想像もつかないような思い切ったレイアウトやおしゃれな空間をつくることができ、社員が働きやすい環境を生み出すことが可能です。ここでは、オフィスをリノベーションすることのメリットと、実施するうえで気をつけるべきポイントについてご紹介しましょう。

リノベーションの種類について

オフィスリノベーションには、大きく分けてフルリノベーション、ポイントリノベーション、スケルトンの3種類があります。

フルリノベーション

フルリノベーションとは、オフィス全体を完全に改装することを指します。デザインやレイアウトをゼロから再設計するため、自由度が高くさまざまなアイデアを形にできます。しかしその分費用が高くなり、工期も長くなります。特にオフィスが老朽化している場合や、オフィスのイメージを大きく変えたい場合に適しています。フルリノベーションの費用の目安は坪単価10~30万円で、例えば50坪のオフィスなら500万~1500万円ほどかかります。なお、工事の内容や使用する素材により費用は変動し、オフィス家具は含まれていません。

ポイントリノベーション

ポイントリノベーションは、必要な箇所のみを部分的に改修する方法です。建物の外観が比較的良く、一部の老朽化した部分やデザインの変更を希望する場合に適しています。什器や設備に関わらないところは、短期間で改修可能です。什器や設備が絡む場合は、業務に支障をきたさないようにスケジュールを慎重に計画する必要があります。工事内容や使用する素材により、費用は変動します。

スケルトン

スケルトンとは「骨組み」を指します。コンクリートむき出しの、無機質な雰囲気がスタイリッシュでおしゃれなイメージとして評価されています。このようなオフィスは「スケルトンオフィス」と呼ばれます。

現在のオフィスをスケルトンオフィスに改装する場合、壁、床、天井をすべて取り除き、建物の骨組みだけの状態にするための解体工事が必要です。解体費用は、建物の種類によって異なりますが1坪あたり3万~5万円程度です。その後に内装や設備の新設工事が必要となるため、費用や工期はフルリノベーションよりも大規模になります。また既存オフィスをスケルトンオフィスにする場合、施工前にビルのオーナーに確認して許可を得る必要があります。ビルによっては許可しない場合もあるため、事前確認が重要です。

オフィスリノベーションのメリット4選

オフィスリノベーションには、主に3つのメリットがあります。見た目の美しさだけでなく、企業イメージの向上や働く人のモチベーションアップなど、企業の生産性につながる効果も期待できるでしょう。

来訪者へのイメージアップとブランディング効果が期待できる

リノベーションのメリットは、ただオフィスの外見を良くすることだけではありません。リニューアルでは実現できないような空間設計を一から行うことで、床や壁材など細部にまでこだわった、企業イメージにあわせたオフィスを実現することができます。

このようにしてデザインされたオフィスは企業の印象を良くする効果があります。例えば、取引先や株主など外部のステークホルダーが「ユニークな取り組みをしている」「信用できそうだ」などのようにポジティブな印象をもって受け止めてくれれば、その後の経営にも良い影響を与えるでしょう。企業のイメージを具現化したような個性的なオフィスを作り上げることで、高いブランディング効果を期待することができるのです。
さらに、リノベーションで企業のビジョンやミッションを体現したオフィスができれば、従業員に対するインナーブランディングの効果も見込めるでしょう。

社員のモチベーション向上につながる

オフィスのリノベーションは、空間を一から設計し直すことができるため、社員の働きやすさや居心地の良さにこだわった設計ができるのも大きなメリット。最近では休憩スペースにこだわったり、業務内容にあわせた執務空間を構築したりと、働きやすさに配慮したオフィスも増えてきました。リノベーションにより、こうしたこだわりをさらに追求した、世界に一つしかないオフィスが実現できるでしょう。

こうしたオフィスはただ業務の生産性を高めるだけでなく、従業員の満足度をアップし、モチベーションを向上させる効果もあります。また、採用活動において優秀な人材を集める効果も期待できるなど、人事面でのメリットも見逃せません。

業務を効率化できる

オフィスをリノベーションすることで、働き方に応じた最適なレイアウトを実現できます。これにより日々の業務が効率化され、生産性が向上し、社員はよりスムーズに仕事を進められるようになります。また手軽に利用できるミーティングエリアやリフレッシュエリアを設けることで、社員間のコミュニケーションが促進されるでしょう。オープンスペースを活用して交流の場を増やすなどにより、アイデアの共有やコラボレーションが活発化します。

経費削減にもつながる

オフィスリノベーションによって、照明や空調システムの見直しが行われることで、エネルギー効率が向上し電気代を削減できます。照明を蛍光灯からLEDに変更する、空調機器を最新のものに入れ替えるなどの対策が効果的です。また間仕切りなどの配置を見直すことで、空調効率が向上し、無駄なエネルギー消費を抑えられます。
ポイントリノベーションや、工程に応じたレイアウト変更が可能な場合は、オフィスの移転を必要としません。そのため、移転に伴うコストを削減できます。社員にとって理想的なオフィス環境を整えることができるため、リノベーションは長期的に見ても経済的な選択となります。

働く空間を一新するオフィスリノベーションの事例12選

住宅だけでなく、オフィスをリノベーションする事例も増えています。オフィスリノベーションと一言でいっても、現在使用しているオフィスを改装するケースや、古民家や空き店舗を活用するケースなどさまざまです。ここでは、実際に行われているオフィスリノベーションの事例を紹介します。

間取りを変更して空間を有効活用

働きやすい環境づくりは、今や企業にとってひとつの課題となっています。従来のオフィスといえば、上司を中心とした島型のレイアウトに、インテリア性のない家具や内装が定番でした。しかし、近年はオープンで快適な空間を実現するために、間取りやインテリアにこだわったオフィスも誕生しています。オフィスリノベーションで間取りを変えることで、面積を変えずに広々とした空間を実現することも可能でしょう。近年はフリーアドレスや集中スペースの導入など、働きやすい環境づくりを目指す事例が増えています。

天井や照明にこだわったオフィス空間を実現

オフィスリノベーションで、天井や照明にこだわったオフィスも続々と誕生。オフィスでありがちな殺風景な天井に白い蛍光灯だったオフィスをリノベーションし、華やかさや温かみのあるオフィス空間を実現した事例も多く見られます。天井や照明が変われば、空間の雰囲気もガラリと変わるもの。リラックスできるカフェ風の照明、空間を広く見せる高い天井など、オフィスとは思えないインテリアで快適に働ける環境を実現できます。執務室や会議室など、使う目的によって天井や照明に変化を付け、遊び心のあるオフィスづくりをしている事例もあります。

古民家や空き店舗を活用して個性的なオフィスづくり

古民家や空き店舗をリノベーションして、個性的なオフィスを構える会社も登場しました。あえて都会から離れた場所や地元住民が行き交う商店街にオフィスを置き、新しいアイディアを生み出そうとする取り組みです。都会のオフィスとは違った環境で仕事をすることで、これまでにない価値観やアイディアが生まれる可能性があります。また、地域の人とのつながりも生まれやすい、オープンなオフィスも実現可能。地域の活性化にもつながる新しい形のオフィスとして、注目されています。

古民家をリノベーションした事例はこちら

歴史ギャラリーやウェイティングスペースにこだわりを

本社オフィスの増床に伴いエントランス、歴史ギャラリー、ウェイティングスペース、VIP会議室の空間づくりに着手。受付を済ませた来訪者はウェイティングスペースでベンチに座りながら、沿革グラフィックを閲覧できます。グラフィック上部にはプロジェクションマッピングが投影され、沿革とともにその当時の様子がわかる画像や動画を表示しています。

会社のシンボルをオフィスの中心に

洗練されたデザインの5 TSUBO CAFEを新オフィスのシンボルとし、オフィスに入ると真っ先に目に飛び込んでくるようにオフィスの中心に設置しました。このレイアウトは社員だけでなく、来訪者からのインパクトも強く、オフィスの象徴となっています。リノベーションを機に固定席からフリーアドレスへ移行することになり、セロハンテープやホチキスなどの備品を「所有」から「共有」とし、5 TSUBO CAFEに集約しています。

誰もがプレーヤーになれる”フィールド”を想起

丸の内本社23階の図書室の一画だった場所を、新たな会議室へリニューアル。「利用者がワクワクして、アイデアが湧き出る会議室」 という要望をもとに、サッカースタジアムの“フィールド”というワードをコンセプトとしてデザインしました。芝生をイメージしたカーペットや幅6mの内照式パネルが遊び心と自由な発想をもたらし、利用する誰もがフィールドのプレーヤーになれる会議室となりました。

従業員への想いと遊び心を形に

温かみのある色調、遊び心をちりばめた空間とすることで、現場作業が多い従業員が帰るとホッとできる、笑顔が生まれるデザインを目指しました。卓球台やプラモデルモチーフのサイン、ガス管のディスプレイや仕上げなどは、従業員を笑顔にしたいというイメージを共有しながら、アイデアを出し合い一つ一つ対話を積み重ねながら形にしました。

「空気と水」 を身体で感じる心地よい空間

軽井沢倶楽部はテニスコート、コテージやバーベキュー設備のある須賀工業グループ社員保養所で、新型コロナによる閉鎖後にリニューアルしてのオープンとなりました。空気調和・衛生設備事業のパイオニアとして「安全・安心・快適な空間環境」の提供と、循環型社会の発展に貢献し続けるために、軽井沢の美しい自然との融合によるウェルネスを支援する施設を目指しました。美しい自然がもたらす 「空気と水」 を身体で感じる心地よい空間に生まれ変わりました。

ユーザビリティを意識したインテリア

増員に伴う増床計画では、単なるオフィススペースの拡張だけでなく、新たにオープンミーティングスペースやリフレッシュスペースを設けることで、社員同士の円滑なコミュニケーションやウェルビーイング向上をサポートするオフィスを構築しました。利用者の使い勝手を第一に、特にリフレッシュスペースは同時期に移転した関連会社も含め、両社が気持ちよく過ごせる空間となりました。

コミュニケーションがとりやすいオフィスに

リモート勤務で失われつつある信頼の貯金を取り戻すため、コミュニケーションがとりやすいようにオフィスを再構築しました。会話の積み重ねを大事にし「助け合い」「励まし合い」「切磋琢磨しあう」精神を育み、芽生えた仲間意識は会社を支え、成長させる大きな力となってくれます。

「自然」をテーマにした遊び心のあるワークプレイス

打ち合わせが多く、さらに個人の集中作業も必要とされるため、会議室と個人ブースの設計、施工を行いました。本社から歩いて数分のところにあるビルであり、そこに行く理由が明確なため、デザインも各空間に合った特色のあるものに。あえて移動することにより意識のON/OFFの切り分けが可能となり、使い方もワーカー自身が選べるようになっています。

地域の人や環境と共に創るオフィス

目の前に海が見え自然を感じられる絶好のロケーションを生かし、事務所を「海」、休憩室は「山」をテーマとしてインテリアを計画しています。それぞれの空間の雰囲気を全く違ったものにすることで、部屋の移動だけで自然にON/OFFの切り分けができます。休憩室については、現場近くにある大学の学生が休憩室リノベーションの学内コンペで提案されたものをもとに構成しており、まさに地域の人、環境と共に創るオフィスとなっています。

リノベーションの際に気をつけておきたいポイントは?

リノベーションは大掛かりな工事が発生する場合もあるため、リニューアルやレイアウト変更などに比べて注意するポイントも増えます。具体的には、以下のようなポイントに気をつけておきましょう。

オフィスのイメージを大きく変えるオフィスリノベーションのメリットと注意点

リノベーションの目的や今の課題を明確にする

オフィスのリノベーションを行う際には、まず自社が抱える課題やリノベーションの目的を明確にすることが必要です。オフィスの老朽化に伴う改装の場合でも、現在の業務上の課題を洗い出すことが大切です。集中できるスペースが不足している、ミーティングスペースが足りない、コミュニケーションが取りづらいなどの具体的な課題を特定しましょう。これにより、リノベーションの効果を最大限に引き出し、最適なレイアウトを決定する手助けになります。課題が複数ある場合は、優先順位をつけて解決策を考えるといいでしょう。

リノベーションの可能な範囲を考慮する必要がある

リノベーションは基本的に自由に空間を設計することができますが、全く制限がないわけではありません。例えば賃貸オフィスの場合は原状回復義務があるため、床や壁に手を加えるのはあくまで原状回復が可能な範囲でということになります。また、たとえ原状回復が可能であっても、あまり大掛かりな工事はビルのオーナーや管理会社に難色を示されてしまう可能性もあります。後々のトラブルを避けるためにも、リノベーションの可能な範囲を確認しながら進めるようにしましょう。

費用、工期がかかる場合がある

リニューアルに比べて工事が大規模になりがちなリノベーションでは、それだけ費用や工期がかかることになります。工事にかかる期間はもちろんですが、床や壁の建材や、オフィス家具などにこだわれば、その発注や取り寄せにも通常以上の時間が必要になるでしょう。予定していた費用や期間で収まるかどうか、デザイン事務所や施工会社に十分に確認しながら進めるようにしてください。

建築基準法や消防法への配慮が必要

当然のことですが、オフィスのレイアウトや構造を大幅に変更する際は、それが関連法律に準拠しているかどうかを確認しながら進める必要があります。例えば、万一火災が発生した際に排煙や消火活動ができるような構造になっているか、避難経路のための廊下幅は適切に確保されているかなど数多くの規定があり、これを遵守していないと違反となってしまいます。
また、これらの法律はあくまで最低限の基準を定めているだけのもので、ただ規定をクリアしていればいいというものではありません。実際にはその都度、所轄の消防署が指導を行うことになっているため、それを踏まえたうえで内装のデザインを決めていく必要があります。

工事中の仕事場を確保しておく

リノベーション工事は時間がかかるため、その期間中でも業務を継続するための場所を確保する必要があります。フルリノベーションやスケルトン工事などの大規模な工事の場合、現在のオフィスを一時的に空ける必要があるため、別のオフィスを確保する計画を立てることが重要です。現在のオフィスからアクセスしやすい立地を選び、余裕を持った中長期的な計画を策定しましょう。一方、ポイントリノベーションや工程に応じたレイアウト変更が可能な場合は、現在のオフィスで業務を継続できます。その場合でも社員の業務負担を最小限にするために施工業者と綿密な打ち合わせを行い、休日を利用した工事スケジュールを組むようにします。

リノベーションを依頼する業者の選び方

オフィスリノベーションは、企業の働き方や環境を大きく変える重要なプロジェクトです。成功させるためには、信頼できる業者を選ぶことが欠かせません。ここからは、リノベーションを依頼する際の業者選びのポイントをご紹介します。

複数の業者に見積もりを取る

リノベーションを依頼する際には、必ず複数の業者から見積もりを取りましょう。引っ越し業者でも同様ですが、業者ごとに費用が大きく異なることがあります。見積もりを複数取ることで、費用を比較して最適なコストパフォーマンスを得られます。また複数の業者から提案を受けることで、それぞれの業者の強みや特色を理解しやすくもなるでしょう。

オフィスに詳しく、実績豊富な業者を選ぶ

リノベーション業者の中でも、オフィスのリノベーションに特化し、豊富な実績を持つ業者を選ぶことが重要です。オフィス特有のニーズや法律(建築基準法、消防法など)に精通している業者であれば、有益な提案が期待できます。施工事例を確認し、自社のオフィスに適したデザインやレイアウトを実現しているかをチェックすることも大切です。業者の施工事例を見れば、デザインの傾向や得意とする規模の企業も把握できます。

一緒に仕事がしやすいプランナーを探す

満足のいくオフィスリノベーションを実現するためには、コミュニケーションの取りやすいプランナーを見つけることが重要です。要望を遠慮なく伝えられ、かつその要望を理解し、さらにプラスアルファの提案をしてくれるプランナーとの関係を築くことが理想です。プランナーのレスポンスの速さや対応の丁寧さも、重要なポイントです。信頼できる業者を見つけるためにも、見積もりを取る際にはプランナーと直接話す機会を設けるようにしましょう。

まとめ:リノベーションは会社の差別化につながる

オフィスのリノベーションは大規模な工事になるだけに注意すべき点も増えますが、それ以上に自社のイメージにあったデザインや設備を導入し、会社を差別化できるという大きなメリットがあります。特に、ブランディング効果や人事的な強みがほしいと悩んでいる場合は、思い切ってリノベーションを検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

マーケティング部 コラム編集部 プラス株式会社ファニチャーカンパニー

プラス株式会社ファニチャーカンパニー マーケティング部 コラム編集部

プラス株式会社ファニチャーカンパニーのマーケティング部門です。オフィスに関する最新のトレンド情報や、オフィス移転・リニューアル・オフィスデザインに関する情報を発信しています。 オフィスの最新情報はInstagram「plus_kagu」で検索してフォロー!昨日よりもオフィスが好きになるような、「家具・働く空間にまつわる工夫・デザイン事例」などの情報をお届けしています。

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