オフィス環境が悪いとどうなる?改善する必要性とは
オフィスの環境がよくないと、以下のようなことが起こる可能性があります。
業務効率低下に繋がる可能性がある
オフィス環境が悪いと、従業員の集中力が低下して業務効率が落ちる可能性があります。例えば、騒音が多い環境や適切な照明がない場合、従業員は仕事に集中しづらくなります。結果として作業の遅延やミスが増え、全体の生産性が低下することにもなりかねません。
従業員のコミュニケーション量に影響する
オフィス環境が整っていないと、従業員同士のコミュニケーションが減少することがあります。例えば、レイアウトが不適切であったり共有スペースが不足したりしている場合、従業員が気軽に話し合う機会が減ります。これによりチームワークが低下し、情報共有が滞る可能性があります。
社員の不満につながる可能性がある
快適でないオフィス環境は、従業員のストレスや不満を引き起こす原因となります。例えば、温度管理が不十分であったり清潔さが保たれていなかったりすると、従業員は不快感をおぼえることが多くなります。このような状況が続くと、従業員のモチベーションが低下して離職率が高まる可能性があります。
オフィス環境を改善することで得られる効果
事業の成長を目指すなら、より良いオフィス環境の構築が必要です。
また近年ではテレワークの導入など多様なニーズに対応する働き方が増え、オフィス環境の見直しが必要とされてきました。
他にもオフィス環境の改善には、組織全体にとってさまざまなメリットがあります。
ここでは、オフィス環境の改善を行うことで得られる効果を見ていきましょう。
人材の確保
魅力的なオフィス環境には、企業が必要とする人材を引き寄せる力があります。
現代の求職者は、給与や福利厚生だけでなく、働く場所の快適さや環境にも重きを置く傾向があります。
きれいで整備されたオフィスや、リモートワークに対応した柔軟な働き方を提案できる企業は、人材獲得において有利です。
また快適な環境で働ける職場は、離職率の低下にもつながります。
働き手の不足が叫ばれる近年、人材が確保しやすくなることは、企業が成長していくための大きなアドバンテージとなるでしょう。
従業員の満足度向上
快適で働きやすいオフィス環境は、従業員の満足度を大きく向上させます。
明るく自然光を取り入れたオフィスや、作業に適した椅子と机が整っている環境は、従業員のストレスを軽減し、仕事に対するモチベーションを高めます。
またオフィス内に社員で集まれるリフレッシュスペースやカフェなどの施設を設置し、社員が出社したくなるようなオフィスを構築する事例も増えてきています。
生産性が向上する
もちろんオフィスは働く場所であるため、環境が整うことは生産性の向上に直結します。
作業に集中しやすいレイアウトや適切な照明、広々としたデスク、適温の空調が備わったオフィスでは、業務効率が自然と上がります。
また、ゆとりある動線を確保することも大切です。
必要な場所や設備にスムーズにアクセスできると、時間のロスが少なくなります。
コミュニケーションが活発になる
オフィスは、従業員同士が仕事を通して交流する場所でもあります。
そのため良い環境を整えることは、コミュニケーションや社内の人間関係にも良い影響を与えるでしょう。
例えばオープンスペースやフリーアドレス制を導入することで、従業員同士が自然に交流しやすくなり、アイデアの共有や意見交換が促されます。
チームワークが強化され、業務の効率化や新たなビジネスチャンスの創出にもつながります。
オフィス環境を改善する具体的な方法
オフィス環境を改善するためには、いくつかの具体的な手法があります。
ここでは、移転や改装の際に考慮しておきたいさまざまな改善方法を紹介します。
オフィスレイアウトを改善する
オフィスレイアウトを改善することは、働きやすい環境を整えるための基本です。
連携を取ることの多い部署同士が離れていたり、必要な設備までのアクセスが悪かったりするなら、業務効率の低下につながるため改善が必要です。
また良いオフィスレイアウトを設計するためには、業務内容やチームの働き方に焦点をおいて考えることが大切です。
例えばクリエイティブな仕事を行う職場では、自由に座席を選べるフリーアドレスや、視界の開けたオープンスペースが設置されることもあります。
一方、集中力を求められる業務には、仕切りを設けたデスクやブース席が採用されています。
さらにカフェのような共用スペースや休憩スペースの配置も検討し、社員がリラックスできる環境を提供することが大切です。
設備を見直す
照明や空調などの設備も、オフィス環境を改善するために見直すべきポイントです。
とくに照明は、集中力や作業効率に大きく影響します。
デスク周りには昼光色の明るい照明を設置することで、従業員が作業に集中しやすい環境を整えましょう。
また空調にも配慮して、多くの人が快適に過ごせる温度と湿度を保てるようにしましょう。
人の出入りの多いオフィスは乾燥しやすいため、湿度に関してはとくに注意が必要です。
オフィス家具を見直す
オフィスにいる時間は長いため、快適に過ごせるオフィス家具を設置しましょう。
メインで使うデスクとチェアは、従業員の健康やパフォーマンスに直接影響を与えます。
高さや角度の調節可能なチェアや広さに余裕のあるデスクを導入することで、一人ひとりの体型や働き方に合わせた環境を用意できます。
また最近は、フリーアドレスなど自由なスタイルで働けるオフィスレイアウトが流行しています。
多様な働き方に対応するためにも、用途別にオフィス家具を選定してみましょう。
なかには、リラックスできる環境をつくるためにソファーやアウトドア用のチェアを採用しているオフィスもあります。
企業の個性も演出できるため、ブランディング効果も期待できます。
一つの空間を多目的に使うなら、キャスター付きの家具を採用すると必要に応じて動かせるため便利です。
動線を見直す
オフィス内の動線も、生産性に大きく影響を与えます。
コピー機やファイル保管庫など、頻繁に使用する設備や機器が遠くに配置されていると、無駄な時間が発生してしまいます。
業務効率を上げるためには、必要な設備や備品がすぐにアクセスできる位置に配置されることが求められます。
また多くの部署が一つの設備を共有するなら、各部署の中心に置くことで公平性が保たれます。
アクセスするまでの通路幅も十分なスペースを確保することで、従業員が安全に移動できるようになります。
メインの通路はすれ違いが起こることも考慮して、90〜120cm程度を確保しましょう。
オフィス環境を改善する際のポイント
ここでは、オフィス環境を改善するための具体的なアクションやポイントについて解説します。
これらのポイントを押さえ、より良いオフィス環境を構築しましょう。
社員へヒアリングのためのアンケートを実施する
オフィス環境の改善を進めるにあたって、まずは従業員の意見を積極的に取り入れましょう。
社員に対してアンケートを実施し、現在のオフィスで感じている問題点や改善してほしい点をヒアリングすることで、より具体的で効果的な改善策が見えてきます。
従業員側の使いやすさを確認する
実際に使う従業員の使いやすさを考えて、オフィスデザインを行いましょう。
デザイン性を追求しすぎると、使いにくいオフィスとなってしまうため注意が必要です。
デスクの配置や共用スペースの使い勝手など、日常の業務に支障がないかどうかをチェックし、従業員の視点で環境改善を行っていきます。
家具や内装はシンプルかつ機能的なものを選択し、サイズに関しても動線を妨げないよう適切なものを選びましょう。
また効果的な運用を行うために、レイアウトを変更した後も定期的に使いやすさを確認し、少しずつ改善していくことが大切です。
オフィス環境を改善に取り組んだ具体事例5選
現代のオフィスデザインは、従業員一人ひとりに合わせた働き方に対応できるよう進化しています。
各企業がオフィス環境を改善する取り組みを行う中で、従業員の生産性やコミュニケーションの促進、快適性の向上が重要なテーマとなっています。
ここでは、レイアウト変更によってオフィス環境を改善した具体的な事例を5つご紹介します。
Y社新ワークプレイスPJ
Y社は、ハイブリッドワークに対応するために大規模なオフィスリニューアルを行いました。
自宅でテレワークを行う人も、出社する人も楽しみながら働けるオフィス環境を実現しています。
従来のオフィスは対向島型のレイアウトで個々の作業に適していた一方、チームでの協力やコミュニケーションがやや不足していました。
この課題を解決するため、リニューアル後のオフィスは「コワーク」「プラーザ」「フォーカス」の3つのゾーンに分けてデザインされています。
「コワーク」ゾーンでは、プロジェクトメンバーが集まりアイデア出しやブレインストーミングを行えるスペースが用意され、自由なコミュニケーションが可能です。
「プラーザ」ゾーンでは、気軽に会話を楽しみながら仕事ができるエリアを設置し、リラックスした環境で業務を進められます。
「フォーカス」ゾーンには、集中して資料作成やWEB会議を行うための個別ブースが設けられており、各社員が自分の業務スタイルに合った空間を選んで働ける仕組みです。
またコミュニケーションエリアを配置することで、社員同士の交流を促進し、より自由で創造的な働き方を実現しています。
オフィスリニューアルによって、社員の生産性向上とコミュニケーションの活性化に成功した事例です。
住商グローバル・ロジスティクス株式会社 茜浜センター
住商グローバル・ロジスティクス株式会社の茜浜センターは、事務所と休憩室のリノベーションを通じて、オフィス環境を大幅に改善しました。
オフィスは目の前に海が広がる絶好のロケーションにあり、リニューアルではその自然環境を取り入れたデザインが採用されています。
事務所エリアを「海」、休憩室エリアを「山」というテーマに分け、それぞれ個性的なインテリアデザインを行いました。
事務所エリアではブルーやグレーを基調とした色彩を使用し、壁紙や床材に「海」を彷彿とさせるデザインを採用することで開放感とリラックス感を両立させています。
休憩室エリアは「山」をテーマに、木材やグリーンを多く取り入れた自然豊かなインテリアが施されています。
デザインが異なることでメリハリが生まれ、社員は仕事の合間にリフレッシュできる環境を得られています。
また休憩室のリノベーションには地元の大学生が行っており、地域の人々と協力しながらオフィスをつくりあげるという独自の取り組みも行われました。
この結果、社員の生産性や満足度が向上し、より活気に満ちた職場環境を実現しています。
株式会社イントラスト
イントラスト社では、社員同士のコミュニケーションを重視したオフィスの再構築が行われました。
新オフィスの設計には「助け合い」「励まし合い」「切磋琢磨し合う」というビジョンを強化する目的が込められています。
そのためオフィス全体が、社員同士の自然な会話や協力が促進されるように設計されています。
エントランスからすぐの受付エリアは、自然素材を多用して温かみのある空間をつくり出しており、来客者にも好印象を与えるデザインです。
また執務スペースにはグリーンが多く取り入れられており、外とのつながりを感じられる開放的な環境が構築されています。
さらにプレゼンテーションルームや社長室はガラス張りで、オフィス全体を見渡すことができ、マネジメントを強化しつつ従業員との一体感が強調されています。
社員間のコミュニケーションを活性化するという目的どおり、全体的に透明感と開放感のあるデザインが採用され、今まで以上のオフィス環境を実現しました。
株式会社NTTデータ コンサルティング&ソリューション事業本部
NTTデータのコンサルティング&ソリューション事業本部では、アフターコロナを見据えた「クッションオフィス」という新しいオフィスの形態を提案しています。
コロナ禍によるテレワークの定着や出社率の減少を背景に、従来の「専有」型オフィスから「共有」型オフィスへの移行を目指しました。
これまで事業部ごとに分かれていたオフィス機能の一部を共有化し、効率的なオフィス運営を実現しています。
結果として7つの事業部が共存するオフィスとなっており、各事業部が共同で使用できる「オープンコラボスペース」など、プレゼンテーションや大規模なワークショップに対応できる設備も整えられました。
その一つである共有スペースに設置されたカフェスペースは、何気ないコミュニケーションを促進しています。
カフェ内には、社内の情報発信をサポートするデジタルサイネージが設置されていることもユニークなポイントです。
さらに各事業部のニーズに応じた「プロジェクトブース」も設置されており、カジュアルなアウトドア家具やフェイクグリーンを取り入れたリラックスできる環境や、昇降テーブルを備えたブース席や電話対応用のデスクが設置され、作業効率の向上を図っています。
株式会社フジミック
フジミック社では、リニューアルにともない風通しの良い仕事環境を目指してオフィスを再構築しました。
そのため、職位を超えての意思統一と一体感のある空間設計が取り入れられています。
個室だった社長室は社員と同じ執務スペースに設置され、オフィス全体を見渡せるようになりました。
執務空間では4人で使えるデスクが横と縦の交互に配置され、ランダムな動線が自然な交流を促します。
さらに複合機の近くにカフェスペースが設置されており、仕事の合間に気軽にコミュニケーションが取れる工夫もみられます。
会議の内容に応じて雰囲気の異なるミーティングルームを設けており、さまざまなシーンに対応可能。
オフィスの内装には、木材を多用しながらも先進的なイメージを持たせています。
また眺望の良さを活かした自然光が差し込む開放的な空間が広がり、窓際のファミレス席でリフレッシュもできます。
まとめ
近年のオフィス環境は、働く人々のウェルビーイングやQOLに配慮したレイアウトが取り入れられています。
テレワークが普及するなか、出社することのメリットや会社への帰属意識を高める施策としても、良い環境を構築することが必要なのです。
付加価値の高いオフィスづくりを行うことができれば、事業や社内の人間関係においても良い影響を与えられるでしょう。
移転や改装を控えているなら、より良いオフィス環境についてぜひ検討してみてください。