なぜオフィス環境の改善が重要なのか?
オフィス環境は、従業員の日々の業務効率や心理的な状態に大きく影響します。快適で整ったオフィスは、生産性の向上だけでなく、従業員の健康維持やモチベーションの向上にもつながります。一方で、劣悪なオフィス環境はストレスや健康リスクを高め、業務のパフォーマンス低下や離職率の上昇を招くおそれもあります。
ここでは、オフィス環境が組織に与える主な影響を2つの視点から解説します。
オフィス環境は生産性の向上に直結するから
快適なオフィス環境は、従業員の集中力を高め、業務効率の向上に直結します。例えば、適切な照明や空調は身体的ストレスを軽減し、長時間の作業でも疲労を感じにくくなります。不快なオフィス環境では集中力が削がれ、ミスの増加や業務時間の延長につながりかねません。
生産性の向上は企業の業績改善にもつながるため、オフィス環境への投資は費用対効果の高い取り組みといえます。オフィス環境を整える際にかかる費用は単なるコストではなく、将来への投資として捉える視点が重要です。
オフィス環境は従業員のモチベーションと健康を左右するから
働く環境は、従業員のメンタルヘルスや仕事に対する意欲に大きな影響を与えます。快適で配慮の行き届いた空間は心理的安全性を高め、チーム内の信頼感やエンゲージメントの向上にも効果的です。
一方で、騒音やパーソナルスペースの不足、換気不良などがストレスの原因となり、メンタル不調や体調不良のリスクを高めてしまいます。健康経営の観点からも、空調や照明、換気といった基本的な設備管理は欠かせない要素といえるでしょう。
改善が必要なオフィス環境の特徴
理想的なオフィス環境を実現するためには、どのような環境に問題があるのかを正しく把握することが重要です。多くの企業で見落とされがちな改善ポイントには共通した特徴があります。ここでは、改善の必要性が高いオフィス環境の典型的な課題を紹介します。
■改善が必要なオフィス環境の特徴
騒音や雑音が多い
業務中に聞こえる過度な雑音は、従業員の集中力を妨げる大きな要因です。電話応対やWeb会議中の周囲の話し声、キーボードのタイピング音、外部の交通音などは、業務効率を低下させるだけでなく、ストレスの蓄積にもつながります。
さらに、静かすぎる環境も場合によっては緊張感を高め、心理的に圧迫感を与えることがあります。適度な環境音やBGMの導入など、音環境の調整が必要です。
パーソナルスペースが確保されていない
個人の作業スペースが狭すぎると、隣との距離の近さが心理的なストレスにつながり、集中力の低下や身体的不調を招くことがあります。特にオープンなレイアウトでは、プライバシーの欠如による不安感が問題となります。
一般的に、隣接するデスクとの距離は1.2m以上が推奨されており、感染症対策の観点からも適切な距離の確保は不可欠です。スペース不足の場合は、レイアウトの見直しやオフィス家具の工夫で改善を図りましょう。
照明が暗い
オフィスの照明が暗すぎると、目の疲れや視認性の低下を招き、事故や転倒のリスクも高まります。一方で、明るすぎる照明や、明暗の差が激しい空間も目に負担をかけやすく、長時間の作業には不向きです。
照明の適切な照度と色温度の調整は、作業の質や集中度に大きく関わります。可能であれば自然光を積極的に取り入れつつ、デスクライトや間接照明を効果的に使い分けましょう。
照明については、こちらのページをご覧ください。
おしゃれなオフィスの照明設計とは?照明器具の役割や事例を紹介
換気や空調が不十分
空気の循環が悪い環境では、酸素不足や二酸化炭素濃度の上昇により、判断力や集中力が低下することが報告されています。加えて、換気不良はウイルスや細菌の拡散リスクを高め、健康への悪影響を及ぼします。
適切な空調管理と換気の確保は、生産性と健康の両面において重要です。二酸化炭素濃度を1,000ppm以下に保つことを目安に、必要に応じて空気清浄機やCO₂センサーの導入も検討しましょう。
リフレッシュスペースが不足している
集中して働く時間がある一方で、適度に休息を取れる空間も欠かせません。リフレッシュスペースが不足していると、疲労やストレスが蓄積しやすく、生産性の低下や離職率の上昇につながる可能性があります。
カフェスペースやラウンジ、仮眠室などの多様な休憩環境を整備するとリフレッシュしやすくなり、結果的に仕事の質も向上します。こうしたスペースは、従業員同士のコミュニケーション促進にも効果的です。
オフィス環境改善の具体的なポイント
オフィス環境を効果的に改善するためには、単なる設備更新にとどまらず、従業員の働き方や業務内容に合った空間づくりが求められます。ここでは、物理的な快適性の向上に加え、業務効率やコミュニケーションの質を高めるための具体的な改善ポイントを紹介します。
<オフィス環境改善の具体的なポイント>
- 身体的ストレスを軽減する設備と環境をつくる
- 業務内容・働き方に合わせてスペースを設計する
- コミュニケーションスタイルに応じた空間を確保する
身体的ストレスを軽減する設備と環境をつくる
快適なオフィスづくりの基本は、従業員の身体的な負担を減らすことです。まず、照明は労働安全衛生法にもとづき、作業に適した明るさである500ルクス以上を確保しましょう。また、空調・換気は二酸化炭素濃度1,000ppm以下、温度は18〜28℃、湿度は40〜60%を目安に管理することが推奨されています。
パーソナルスペースは1.2m以上の距離を確保し、必要に応じて間仕切りを活用すると、心理的な安心感と集中力の向上が期待できます。
業務内容・働き方に合わせてスペースを設計する
従業員がどのような業務を行っているかに応じて、最適なスペースを用意することが重要です。例えば、営業職やテレワーク中心の社員が多い部署ではフリーアドレスを導入し、使用頻度の低い席を効率化できます。
また、静かに集中できるワークブースや、オンライン会議用の防音個室ブースなどを設置すれば、用途に応じた環境整備が可能です。執務スペースと打ち合わせスペースのゾーニングを明確にすると、無駄な移動や音の干渉を減らすこともできます。
多様な働き方に対応した空間設計が、社員の働きやすさと生産性向上につながります。
コミュニケーションスタイルに応じた空間を確保する
業務の中には、個人での集中作業だけでなく、チームでの協働や情報共有が欠かせない場面もあります。そのため、コミュニケーションの種類に応じた空間づくりが必要です。
例えば、オープンな会議スペースにはホワイトボードやモニターを設置し、思考を視覚化しやすくすると議論の質が向上します。一方で、個人情報やセンシティブな情報を扱う場合は、防音性の高い個室会議室が欠かせません。
さらに、社員同士の雑談や自然な交流を促すために、カフェスペースやリラックスできるソファのあるエリアを設けたり、オフィスグリーンを取り入れたりすると、組織の一体感が高まりやすくなります。また、雑音対策と安定したインターネット環境を整備すれば、Webミーティングの増加にも対応できます。
オフィスグリーンについては、こちらのページをご覧ください。
【課題別】オフィス環境の改善事例4選
ここでは、オフィス環境に関するさまざまな課題を抱えていた企業が、実際にどのような施策によって快適な職場づくりを実現したのか、プラスが手掛けた事例をもとに紹介します。従業員の声や業務課題に応じて空間を再設計し、業務効率や働きやすさを向上させた4つの事例をご覧ください。
ワークプレイスとリフレッシュスペースにつながりをもたせたモノプラス株式会社 様

入居人数 | 約50名 |
延べ床面積 | 265平方メートル |
業界・業種 | IT関連業 |
スカイツリーを臨む良好な眺望のオフィスでは、ワークプレイスとリフレッシュスペースをつながりをもたせたレイアウトを採用。オンとオフを自己の裁量で切り分け、エンゲージメントを高められるオフィスが完成しました。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
リフレッシュスペースを設置し、従業員のコミュニケーション促進を狙った一般財団法人 日本気象協会 様

居人数 | 約300名 |
延べ床面積 | 約1,940平方メートル |
同社では、多様な働き方の促進やコミュニケーションの活性化を目指し、エントランスや執務エリア全体でオフィス改善を実施。「明るく開放的な空間」をテーマにリフレッシュスペースを設置し、従業員のコミュニケーション促進を図っています。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
心理的ストレス軽減にも効果的なグリーンを導入した共同カイテック株式会社 様

入居人数 | 約200名 |
延べ床面積 | 約2,000平方メートル |
業界・業種 | 製造業 |
本社移転を機に、3つの事業部をワンフロアに集約。共創を生み出す空間を計画し、自社のアイデンティティを発信するショールームスペース、執務スペース内でも自社製品を活用したグリーンARTウォール、コミュニケーションを促進させるフリースペースやリフレッシュルームを取り入れ、各所にグリーンを導入しました。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
フリーアドレスの導入で社内交流を促進させた株式会社ICUS 様

入居人数 | 約40名 |
延べ床面積 | 約425平方メートル |
業界・業種 | 産業用設備洗浄業 |
創立40年の節目に社名変更、移転する際にオフィス環境を一新した同社では、フリーアドレスを導入。本社移転プロジェクトメンバーは各部門から招集され、他部門への理解を深め、より良い結果を生み出すことができたといいます。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
自社オフィスの環境を改善するための3ステップ
オフィス環境の改善は、一度きりの作業ではなく、継続的な見直しと改善が求められます。そのためには、現状の把握から始まり、計画、実行、評価というプロセスを順序立てて行うことが大切です。
ここでは、自社のオフィス環境を効果的に改善するための基本的な3ステップを解説します。
<自社オフィスの環境を改善するための3ステップ>
- Step1:オフィス環境の現状調査と従業員アンケートの実施
- Step2:改善計画の策定と関係者の合意形成
- Step3:改善施策の実行と効果測定
Step1:オフィス環境の現状調査と従業員アンケートの実施
改善の第一歩は、現状の正確な把握です。特に従業員の声を直接収集するアンケートは、実際の不満点やニーズを明らかにするのに効果的です。例えば、「空調の効きが悪い」「騒音が気になる」「集中できるスペースがない」といった声から、改善すべき優先順位が見えてきます。
アンケートは選択式と自由記述を組み合わせ、具体的な設問を設定するのがポイントです。調査結果はレポートとしてまとめ、経営層や総務部門と共有し、次のステップである改善計画の基礎資料として活用しましょう。
Step2:改善計画の策定と関係者の合意形成
調査結果をもとに、改善すべきポイントを洗い出し、具体的な施策を計画します。この段階では、経営層や総務部門、現場の担当者など、関係者全体との合意形成が重要です。現場の意見が取り入れられていないと、改善施策が形骸化するリスクもあるため、対話を重ねながら意思統一を図りましょう。
加えて、施策ごとの予算、実施スケジュール、KPI(重要業績評価指標)などを明確に定めることが、実行段階での混乱を防ぐカギとなります。
Step3:改善施策の実行と効果測定
計画にもとづき、段階的に施策を実施します。例えば、集中ブースの設置やリフレッシュスペースの整備、レイアウト変更や照明の調整など、改善点に応じたアクションを取っていきましょう。
施策実行後は、従業員の満足度アンケートや業務効率に関する指標を用いて効果を測定します。数値だけでなく、現場の声にも耳を傾け、必要に応じて改善策の見直しを行うと、継続的なオフィス環境の向上が可能になります。
働きやすさに直結するオフィス環境の改善なら、プラスにお任せください
オフィス環境は、従業員の生産性やモチベーション、さらには健康にまで大きな影響を与える、企業運営における重要な要素です。特に、騒音・照明・換気・パーソナルスペース・リフレッシュ環境といった基本的な要素の質が低い場合、従業員のパフォーマンスは著しく低下し、離職の増加にもつながりかねません。
だからこそ、オフィス環境の見直しは経営課題のひとつとして捉えるべきです。設備や家具の導入だけでなく、働き方や組織文化に合った空間づくりを行うことが、真の意味での改善につながります。
オフィスづくりをお手伝いするプラスでは、最新の設備導入はもちろん、ABWやウェルビーイングといったトレンドを取り入れた提案も可能です。ヒアリングから設計、施工、アフターサポートまでワンストップで対応し、お客様ごとに最適なオフィス環境を実現します。快適で働きやすい空間づくりを検討されている方は、ぜひご相談ください。
オフィス環境に関するよくある質問
オフィス環境が生産性に与える影響とは?
オフィス環境が整っていると、従業員の集中力が高まり、業務効率が向上します。快適な空間はストレスを軽減し、心理的安全性やエンゲージメントの向上にもつながるため、結果的に企業全体の生産性や業績向上に寄与します。
改善すべきオフィス環境を教えてください。
代表的な課題として、騒音が多い、パーソナルスペースが狭い、照明が不適切、空調や換気が不十分、リフレッシュスペースがないといった点が挙げられます。これらは従業員のストレスや健康に悪影響を及ぼすため、優先的に改善が必要です。
オフィス環境改善の具体的なポイントを教えてください。
身体的ストレスの軽減、業務内容に合ったスペース設計、コミュニケーションの質を高める空間づくりなどが重要です。また、改善には従業員アンケートによる現状把握と、段階的な実行・評価のプロセスが欠かせません。