近年、オフィス環境の見直しが進む中で、観葉植物を取り入れる「オフィスグリーン」が注目を集めています。オフィスに緑を取り入れると、単に見た目がおしゃれになるだけでなく、従業員のストレス軽減や集中力向上、コミュニケーション活性化などが可能です。
この記事では、オフィスグリーンの基本的な考え方から導入手順、かかる費用のほか、プラスが手掛けたオフィスグリーンの成功事例まで、実務に役立つ情報を幅広く解説します。
オフィスグリーンとはオフィス環境に観葉植物を取り入れること
「オフィスグリーン」とは、オフィス空間に観葉植物などのグリーンを取り入れることを指します。「オフィス緑化」とも呼ばれ、職場の環境改善や働き方改革の一環として注目されています。
かつてはインテリアの一部として限定的に使われていた観葉植物も、現在では働く人のストレス軽減や生産性向上、さらには企業イメージの向上までを視野に入れて、戦略的に導入されるケースが少なくありません。特にコロナ禍を経て、働く場所の快適性や心理的安全性が重視されるようになったため、グリーンの持つ癒やし効果や環境改善効果が再評価されています。
また、サステナビリティやエシカル経営の観点からも、オフィスに自然要素を取り入れる取り組みは、社会的意義を持つ選択肢とされています。近年では業種・規模を問わず、オフィスリニューアルのアクセントとして多くの企業が注目しているといえるでしょう。
オフィスにグリーンを導入するメリット
オフィスグリーンの導入には、単なる装飾以上の価値があります。植物を職場環境に取り入れると、心理的・物理的に多くのメリットが得られ、働きやすい空間づくりに大きく貢献します。
以下では、代表的な5つのメリットを具体的に紹介します。
■オフィスにグリーンを導入するメリット

従業員のストレスが軽減しリラックス効果をもたらす
多忙なオフィス環境では、従業員のストレスを軽減する手段としてオフィスグリーンが効果的です。植物が持つ「緑」の色彩には、人の心を落ち着かせる効果があります。視界に自然の要素があるだけで、緊張が和らぎ、リラックス状態を作りやすくなることが知られています。
このような効果は、社員のエンゲージメント向上やメンタルヘルス対策にも有効で、結果的に離職率の改善にもつながるでしょう。
集中力がアップし組織全体の生産性が向上する
オフィスグリーンで空気環境が整えば頭がさえ、集中力の維持にも良い影響をもたらします。観葉植物は空気中の有害物質を除去し、室内の空気の質を改善する働きがあるともいわれています。
また、オフィスに植物があると視覚的にリフレッシュできるため、短時間の休憩でも気持ちを切り替えやすくなり、業務効率の向上が期待できるでしょう。
このように、オフィスグリーンは「静かな生産性ブースター」として活用できます。
空間が快適になりコミュニケーションが活発化
オフィスグリーンには、湿度の調整や騒音の緩和にも効果的です。乾燥しがちな冬場には自然な加湿効果が得られ、硬い壁面に比べて植物は音の反響をやわらげる作用も持っています。
こうした快適な環境は、従業員同士の会話を生みやすく、自然とコミュニケーションの機会が増えていくため、社内の風通しもよくなります。結果として、チームワークの向上や働きやすい雰囲気づくりに寄与するでしょう。
適度な目隠し効果でパーテーションの代わりにもなる
オフィスグリーンは「自然な目隠し」としての役割も果たします。執務スペースと通路の仕切りや、共有エリアとのゾーニングに活用すれば、パーテーションよりもやわらかく、圧迫感のない空間を演出できます。
さらに、植物による視線のコントロールは、プライバシーの確保と開放感の両立を可能にし、心理的な安心感を与える要素としても有効です。
来客に良い印象を与え、企業イメージが向上する
受付や応接室など、来客の目にふれやすい場所にグリーンを配置すれば、洗練された印象を与えられます。
また、植物は空間に温かみを与えるため、来訪者の緊張をやわらげ、対話のきっかけにもなるなど、ビジネスシーンにおける印象形成にも貢献します。
オフィスにグリーンを導入する流れ
オフィスグリーンを効果的に導入するためには、目的の明確化から業者選定、設置後のメンテナンスまで、計画的なプロセスが必要です。
ここからは、導入までの具体的な流れを5つのステップに分けて解説します。
<オフィスにグリーンを導入する流れ>
- 目的と設置場所を決める
- 予算を決め、導入形態を検討する
- 業者を選定し、相談・見積もりを依頼
- グリーン設置と初期の調整
- 維持管理と定期的な見直し
1 目的と設置場所を決める
まずは、「なぜオフィスにグリーンを導入するのか」を明確にします。ストレス軽減、空間の演出、来客対応、目隠し効果など、目的に応じて選ぶ植物やレイアウトも異なります。
また、設置可能なスペースの確認も重要です。自然光の入り方やエアコンの風、動線などを考慮しながら、どの場所にどのような植物を配置できるかを検討します。
この段階でしっかりと目的と設置条件を整理すれば、スムーズな導入が可能になります。
2 予算を決め、導入形態を検討する
次に、導入にかけられる予算を明確にします。自社で植物を購入して設置・管理する方法のほか、レンタルで導入し、メンテナンスまで外注する形態もあります。
レンタルサービスを利用すれば、月額費用のなかに植物の交換や手入れが含まれているため、運用面での負担の軽減が可能です。初期費用とランニングコストのバランスを見ながら、無理のない導入プランを立案しましょう。
3 業者を選定し、相談・見積もりを依頼
導入形態が決まったら、実際にサービスを提供している業者を選定します。観葉植物専門の会社や空間デザインに強みを持つ業者など、実績や口コミを参考に複数社を比較するのがポイントです。
現地調査やヒアリングをもとに、最適な植物の提案やレイアウト案、見積もりを取得します。複数社を比較検討すれば、コストだけでなく提案内容の質も見極めやすくなります。
4 グリーン設置と初期の調整
業者と導入内容を確定したら、実際の設置作業に移ります。導入当日にスムーズに設置ができるよう、社内の動線確保やレイアウト調整を事前に行っておきましょう。
設置後は、植物の状態や日照条件、水やりの頻度などをチェックしながら、必要に応じて微調整します。この初期段階での丁寧な確認が、植物の長期的な健康維持につながります。
5 維持管理と定期的な見直し
導入後も、植物が健康に育ち続けるようにするためのケアが欠かせません。水やり・剪定・枯れ葉の除去など、定期的なメンテナンスを社内で行うか、業者に委託するかを明確にすると安心です。
季節ごとに植物を入れ替えたり、新しい種類を追加したりすれば、オフィスの印象をリフレッシュする効果もあります。
導入して終わりではなく、継続的に見直していくことで、オフィスグリーン活用の成功につながります。
オフィスグリーンにおすすめの植物
オフィスに取り入れる植物は、見た目の美しさだけでなく、管理のしやすさや設置場所との相性も考慮して選ぶことが大切です。
ここでは、初心者でも扱いやすいものからデザイン性に優れたものまで、オフィスにおすすめの植物を3つのタイプに分けて紹介します。
管理が簡単で人気の観葉植物
手間をかけずに緑を取り入れたいなら、管理しやすく丈夫な観葉植物がおすすめです。特に以下のような種類は、初心者にも扱いやすく、多くの企業で採用されています。
<管理が簡単な観葉植物の例>
・サンスベリア:空気清浄効果が高く、水やり頻度が少なくて済む
・ポトス:丈夫で成長が早く、吊り下げにも向いている
・パキラ:見た目がスタイリッシュで育てやすい
これらの植物は耐陰性が高いため、日当たりの悪いオフィス内でも問題なく育てられるのが魅力です。
おしゃれでインテリア性の高い観葉植物
空間全体のデザインにこだわりたい場合は、インテリア性の高い植物を選ぶとよいでしょう。次のような植物は、デザイン性の高いオフィスにもよく映えます。
<インテリア性の高い観葉植物の例>
・フィカス・ウンベラータ:大きな葉が印象的で、ナチュラルモダンな空間に最適
・モンステラ:独特の葉の切れ込みが特徴で、アクセントとして人気
これらは一鉢置くだけで空間の雰囲気をガラリと変える力があり、洗練された印象を与えたいエントランスやミーティングルームに適しています。
本物と変わらない質感のフェイクグリーン
管理の手間を最小限に抑えたい場合や、日照がまったく入らない場所に緑を取り入れたいときは、フェイクグリーン(人工植物)が便利です。最近の製品は質感も非常にリアルで、パッと見では本物と見分けがつかないほどです。
<フェイクグリーンのメリット>
・手入れ不要で、水やりや剪定の必要がない
・長期不在時や空調の強い場所でも状態が変わらない
・虫が寄りつきにくい
コスト管理がしやすく、設置自由度が高いため、実用性と見た目を両立させたい企業におすすめです。
オフィスにグリーンを導入する際のポイント
オフィスグリーンの導入効果を最大化するには、ただ植物を置くだけではなく、環境や運用体制に配慮した設計が必要です。
次の3つのポイントを押さえれば、導入後も長く快適なグリーン空間を維持できます。
<オフィスにグリーンを導入する際のポイント>
・導入場所と光・湿度のバランス
・社内の動線を邪魔しない配置計画
・ケアしやすい体制づくり
導入場所と光・湿度のバランス
植物の健康を保つためには、光と湿度のバランスがとても重要です。特にオフィス内は空調の影響で乾燥しやすく、自然光が届きにくい場所も多いため、設置場所選びには慎重さが求められます。
自然光が足りない場合は、LED植物育成ライトを併用するほか、乾燥対策として加湿器を使えば、植物にとって快適な環境を整えられます。植物の種類によっても必要な条件が異なるため、設置前の確認が大切です。
社内の動線を邪魔しない配置計画
オフィスの動線を妨げないことも、レイアウトを考える上で欠かせない視点です。例えば、通路の途中に大型の鉢植えを置いてしまうと、移動がしづらくなるだけでなく、安全面でもリスクが生じます。
グリーンの配置は、壁際やデスクの横などを活用し、業務の邪魔にならないように工夫しましょう。また、倒れにくい安定感のある鉢や、防水性の高い受け皿を使えば、水漏れや転倒事故の予防にもつながります。
ケアしやすい体制づくり
オフィスグリーンを継続的に美しく保つには、メンテナンスの体制づくりがカギです。社内で管理する場合は、担当者を明確にし、週単位・月単位で水やりや剪定をルーティン化しましょう。
また、担当者の不在時にも対応できるように、専門業者による定期訪問サービスを活用するのもおすすめです。手間をかけずに常にベストな状態を保てるため、管理の負担を大幅に軽減できます。
オフィスグリーンにかかる費用
オフィスグリーンの導入を検討する上で、費用面は大きな判断材料になります。
ここでは、導入時に必要な初期費用、継続的に発生するランニングコスト、そしてコストを抑えるための工夫について解説します。
植物代と設置費など初期にかかる費用
オフィスグリーンの初期費用には、主に植物本体の購入費と設置作業にかかる費用が含まれます。
<オフィスグリーンの初期費用例>
・小型観葉植物:1鉢あたり3,000〜5,000円
・中型〜大型植物:1鉢あたり1万〜2万円程度
・特注鉢・プランター:デザイン性の高いものは別途数万円かかる場合も
さらに、設置作業を業者に依頼する場合は、1回あたり1万円前後が目安です。デザイン提案を含むパッケージサービスも多く提供されています。
メンテナンスや交換などのランニングコスト
導入後は、植物の健康を維持するためのメンテナンスが必要です。これを自社で行う場合は人件費や手間がかかりますが、外部業者と契約すれば安定した管理が可能になります。手間をかけずに継続管理したい企業には、業者との包括的な契約が適しています。
<オフィスグリーンのランニングコスト例>
・定期メンテナンス契約:月額3,000〜1万円前後(植物の数や種類によって異なる)
・サービス内容:水やり、剪定、害虫対策、枯れた植物の交換などを含む
コストを抑えるポイント
限られた予算で導入を検討する場合は、以下のような工夫でコストを抑えられます。
<オフィスグリーンのコスト削減のポイント>
・フェイクグリーンの導入:初期費用はかかりますが、維持管理が不要で長期的にコストダウン
・配置の工夫:少数の植物を効果的に配置し、視覚効果を高める
・レンタル活用:定額制で植物の交換やメンテナンス込み、予算管理がしやすい
ただし、コスト削減を優先しすぎると、空間デザインとのバランスが取れず逆効果になる場合もあるため、総合的な判断が必要です。
【事例】プラスが手掛けたオフィスグリーン導入の成功事例
快適なオフィス空間を創造するプラスでは、オフィスグリーンを活用した空間づくりを数多く手掛けており、導入目的や空間の特性に合わせた最適な設計を行うことで、快適で魅力あるオフィス環境を実現しています。
ここでは、実際にオフィスにグリーンを導入された企業様の成功事例をご紹介します。
事例1:森村商事株式会社 様 21階改修工事 様

入居人数 | 約200名 |
延べ床面積 | 約1,500平方メートル |
業界・業種 | 総合商社 |
森村商事株式会社 様の本社増設リニューアルに際し、プラスがお手伝い。グリーンをふんだんに取り入れ、リラックスできる空間が実現しました。執務室ではグリーンが視線を遮り、実用的な役割も果たしています。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
事例2:フマキラー株式会社 様 フマキラーブレーンズパーク

入居人数 | 80名 |
延べ床面積 | 8,200平方メートル |
業界・業種 | 製造販売業 |
新たな価値を生み出すための、創造的なオフィスを目指したフマキラー株式会社 様において、研究開発部門のオフィス設計を、プラスが担当。研究対象である虫に寄り添う空間を表現するために多くの植栽を導入し、明るいオフィスと調和したクリーンな空間ができあがりました。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
事例3:株式会社セゾン情報システムズ 様 DEEP THINK LAB

入居人数 | 非公開 |
延べ床面積 | 非公開 |
業界・業種 | 通信・情報サービス業 |
株式会社セゾン情報システムズ様の、「DEEP THINK」をコンセプトにしたワークスペースのリニューアルをプラスが担当し、あふれんばかりの植栽で空間を構成しました。木々に囲まれた木漏れ日も再現し、メンバーが着想したり、チームがアイディアを錬成したりする創造的な空間となりました。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
オフィスグリーンで快適な職場環境を実現しよう
オフィスグリーンは、視覚的な美しさだけでなく、働く人の健康や生産性、さらには企業のイメージにまで好影響を与える多面的な効果があります。ストレスの軽減や集中力の向上、コミュニケーションの活性化、そして来客への良い印象づくりなど、現代のオフィスに求められる要素を自然の力で補ってくれる存在といえるでしょう。
プラスでは、オフィスグリーンの提案から導入、メンテナンスまでトータルでサポートが可能です。オフィスのリニューアルや移転、新しい働き方の実現を検討しているご担当者さまは、ぜひお気軽にご相談ください。
よくある質問
オフィスにグリーンを導入して得られる効果は?
オフィスにグリーンを導入すると、ストレス軽減や集中力向上、空気環境の改善などの効果があります。働く人の快適性が高まり、結果として業務効率や企業イメージの向上にもつながります。
オフィスグリーンの手入れに専門知識は必要?
オフィスグリーンの導入にあたって、簡単な水やりや剪定は誰でも対応可能です。長期的な健康維持や美観を保つには専門業者の定期メンテナンスを活用するのがおすすめです。
オフィスグリーンにかかる費用を削減したい場合は?
オフィスグリーンにかかる費用を削減するには、フェイクグリーンの導入や、小規模からのスタートをおすすめします。レンタルや定額プランを検討するのもよいでしょう。
オフィスにグリーンを導入すると、ストレス軽減や集中力向上、空気環境の改善などの効果があります。働く人の快適性が高まり、結果として業務効率や企業イメージの向上にもつながります。
オフィスグリーンの導入にあたって、簡単な水やりや剪定は誰でも対応可能です。長期的な健康維持や美観を保つには専門業者の定期メンテナンスを活用するのがおすすめです。
オフィスグリーンにかかる費用を削減するには、フェイクグリーンの導入や、小規模からのスタートをおすすめします。レンタルや定額プランを検討するのもよいでしょう。