職場環境の定義
職場環境とは、従業員が仕事を行う物理的な空間や設備、そして職場の雰囲気や社内文化などの目に見えない要素を含む環境のことです。
良好な職場環境は従業員の働きやすさや生産性の向上に直結し、それが企業全体の業績にも大きな影響を与えます。
反対に職場環境が崩れると、離職率の増加や業績の悪化など、会社にとって致命的な損失につながることもあります。
働きやすい職場づくりが重要視される理由
従業員の健康を守る
職場環境は、従業員の健康にも影響を与えます。
目に優しい照明、快適な温度設定、エルゴノミクスに配慮した椅子の設置により、体調不良やストレスのリスクを軽減できます。
また定期的な休憩や運動の機会が与えられることも、従業員の健康を促進させます。
特に長時間のデスクワークによる健康問題が指摘されることが増えてきたため、定期的にリラックスできる環境が必要です。
離職を防ぐ
職場環境が整うと、従業員の満足度と帰属意識が向上します。
綺麗な環境が動植物の憩いの場所となるように、良い環境をもつ企業は従業員にとって大切な場所になります。
そのためには、従業員同士のコミュニケーションが活発に行われることや、ワークライフバランスを提供できることが大切です。
働くことや会社に所属することに価値を見出せると離職率の低下につながり、良い人材が企業に留まるようになるのです。
働くモチベーションの向上と維持
働きやすい職場環境は、従業員のモチベーションに影響を与えます。
適切な労働条件や評価制度が整っていることで、自分らしい働き方の実現やキャリアアップを目指せるのです。
適切な勤務時間や明確なキャリアパスの提示、定期的な評価のフィードバックが従業員の意欲を引き出します。
従業員一人一人に働きがいを提供できる企業は、全体のパフォーマンスも向上するでしょう。
企業ブランディング
良い職場環境は従業員の満足度を高め、それがあらゆる媒体を通じて外部に伝わることで社外からの評価もよくなります。
最も身近な媒体はSNSです。
口コミやSNSと聞くと炎上などネガティブなイメージをもつ人もいますが、良い評判が自然に拡散されるのは利点です。
上手に利用することで、自社の商品やサービスが認知されたり、優秀な人材が集まったりすることに繋がります。
会社の評判が高まることで、マーケットでも強い存在感を示せるでしょう。
生産性の向上
職場環境が整っていることで、従業員はこれまで以上に集中して業務に取り組めるようになります。
適切な設備や快適な作業スペースが提供されることで、業務の効率が向上し生産性が高まります。
部署や働き方によって理想とする環境は異なるため、静かで集中できる環境や多くの人が交流する場所など、業務に必要な要素を取り入れることが大切です。
働きやすい職場環境とは
健康的に働ける環境
働きやすい職場環境とは、第一に従業員が健康的に働き続けられることです。
具体的には、長時間過ごせる快適な椅子やデスク、明るく目に優しい照明、適切な温度管理などが整っていることが求められます。
またリラックスして休憩できるスペースや従業員同士のコミュニケーションが取りやすいエリアを設置することで、心理的な安心感も提供可能です。
そのほかにも、定期的な健康診断やストレスチェックの導入など、健康管理に配慮した取り組みが従業員の健康を守ります。
能力を発揮できる環境
従業員の能力を存分に発揮できる、設備やレイアウトを採用しましょう。
ストレスなく稼働するPC設備や、業務内容に応じたスペースを提供することで、集中力や業務効率を高められます。
最近導入が進んでいるフリーアドレス制を導入するなら、静かで集中できるブース、web会議に適した個室、気軽に打ち合わせができるスペースなど、多様な作業スタイルに対応した環境を用意するのも有効な手段です。
働きやすい職場づくりができている職場の特徴
ワークライフバランスに配慮している
近年、Z世代を中心にワークライフバランスを重要視する人が増えてきています。
そのため残業が少なく、しっかり休暇が取れる環境も働きやすい職場とされています。
これは企業にとってもメリットがあります。従業員がしっかりと休息を取ることで、高いパフォーマンスで仕事に取り組め、業務効率が高まります。
適正な労働時間の調整が行われることでワークライフバランスを保つことができ、従業員の満足度や仕事への意欲が高まるでしょう。
人間関係が良好である
働きやすい職場では、従業員同士の人間関係が良好です。
従業員同士が自然と助け合い、信頼関係やチームワークを築くことができるため、成果を上げやすくなります。
ただし人間関係といってもさまざまな形があるため、ここではマネジメントの観点でとらえてみましょう。
例えば気軽に相談できる上司がいることで問題解決が迅速に行われ、従業員の精神的な負担が軽減されます。
またリーダーがチームの目標を示し、一丸となれるような環境を整えることで人間関係もよくなります。
ハラスメント対策をしている
ここ数年で「〇〇ハラスメント」という言葉が広く認識されています。
多様性に配慮した企業運営が求められるようになり、価値観のアップデートや新たな仕組みが必要とされています。
そのため、ハラスメント防止のための講習や研修が定期的に行われ、外部の専門機関が運営する相談窓口が設置されている企業は、従業員と世間から社会的な責任を果たす企業と見なされています。
多様性に対応する環境を整えることで、より多くの従業員が本来の能力を発揮しやすくなるでしょう。
コミュニケーションがスムーズに取れる
働きやすい職場は、コミュニケーションが円滑に取れる環境が整っています。上司と部下、同僚間での情報共有がスムーズに行えるため、問題解決が迅速に行われます。
教育がしっかりしている
従業員の成長を支援する教育体制も、良い環境を作るのに欠かせない要素です。
環境の良い企業では、新人研修やスキルアップのための研修プログラムが充実しています。資格取得支援制度や上司との1on1ミーティング、具体的な課題に対処するワークショップなどがその例です。
また教育を可能にする会議室などのスペースが充実しており、必要な設備も整っています。
新入社員は安心して現場に出られ、意欲ある社員はキャリアアップが目指せるなど、十分な教育は公平な環境を提供して社員の自己実現をサポートします。
立場を超えた意見交換ができる
上司や部下など立場や職位に関係なく、垣根を超えて意見交換が活発に行える職場は働きやすい職場といえるでしょう。
自由に意見を出し合える空気や仕組みがあることで、新しいアイデアや改善点が生まれやすくなり、業務の効率化や柔軟な対応が可能になります。
大勢が集まってディスカッションできるスペースや、従業員の憩いの場となるコミュニケーションスペースがあることで、自然な交流が生まれます。
福利厚生が充実している
充実した福利厚生は、働きやすい職場に必須の条件です。
長期休暇や有給休暇が取りやすい環境、住宅手当や家賃補助、スポーツ設備や娯楽設備の設置などが行われている企業では、従業員はのびのびと業務に取り組むことができます。
会社からのサポートがあることで安心して業務に取り組め、プライベートも充実します。
活力のある職場を目指すためなら、福利厚生の充実は優先して取り組みたい事項です。
働く時間と場所を選べる
フレックスタイム制や、リモートワークを導入する企業も増えてきました。
従業員は自分のライフスタイルに合わせて働く時間や場所を選べるため、ワークライフバランスを整えやすくなります。
通勤時間が削減されたり、混雑を回避できたりするため、通勤時にかかるストレスも軽減されます。
また近年では、ABW(Activity Based Working)やフリーアドレス制が注目されています。
オフィス内で好きな席を選べる、社外でも仕事ができるといったことで、よりフレキシブルな働き方を実現できます。
働き方に幅ができることで、より多くの社員が満足できる環境を提供できるでしょう。
働きやすい職場のつくり方
テレワークやABWの導入
自宅で業務ができるテレワークや、オフィス外を含めた好きな場所で働けるABWを導入することで、より良い職場環境を提供できます。
テレワークは、場所や時間にとらわれずに働ける柔軟な働き方で、ICTが発展することで普及してきました。
一方、ABWはオフィス出勤とテレワークを組み合わせた働き方です。
通勤時間を削減できるだけでなく、育児や介護など個別のライフスタイルと両立できるため、多様な社員のニーズに対応できます。
DXの推進
さまざまな業界で導入が進んでいるデジタルトランスフォーメーション(DX)は、業務効率やサービスを高める側面が注目されていますが、働く人々の負担を軽減させることも目指しています。
業務の一部をデジタル化することで、業務負担を軽減しつつ、これまで以上の効率化を行います。
身近な例でいえば、経費処理などの際に紙を出力して押印する手続きについては、ワークフローシステムを導入をすることにより印刷や押印にかかる手間やコストが削減でき、自動処理も可能になります。
またリモートワークを支援するチャットツールやWeb会議システムもDXの一つであり、
すでにテレワーク中の社員とオフィスをつなぐ重要なインフラとなっています。
コミュニケーションを取れる仕組み
コミュニケーションを取れる仕組みを構築しましょう。
グループチャットなどのコミュニケーションツールの導入や、定期的な社内イベントの開催、カフェエリアの設置などを行い、社員同士が気軽に相談や雑談をできる環境を整えます。
チャットツールやWeb会議システムを活用すれば、テレワーク中でもリアルタイムでのやり取りが可能となり、業務の連携がスムーズになります。
また社内イベントやカフェを通じて、異なる部署の社員が交流する機会を提供することで、組織全体の一体感を高められます。
評価制度の見直し
公平な評価制度を設けましょう。
最近はテレワークの導入に伴い、評価制度が適切に機能していないと感じる社員も多くなっています。
そのため評価項目を現在の状況に合わせて再検討し、公平な評価を行う仕組みを整えることが必要です。
上司だけでなく、同僚や部下からの評価も取り入れる「360度評価」では、多面的な評価が可能です。
成果を評価するためなら「目標管理制度」を導入し、期日と目標を明確に設定することで、客観的に評価できるようになります。
オフィス環境を整える
オフィスのデザインやレイアウトを工夫して、働きやすい環境を構築しましょう。
従業員同士がお互いに話しやすいデスク配置やレイアウトを取り入れることで、職場に活気が生まれます。
反対に、騒音対策やプライバシーに配慮したスペースの設置は、社員の集中力を高め、業務の効率を向上させます。
そのほかにも、空気清浄機の設置や適切な温度管理、照明の調整、複合機の配置ポイントなど細部にわたる環境改善にも取り組んでみましょう。
働きやすい職場づくりのポイント
人材育成
十分な教育制度を設けましょう。
研修やOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を充実させることで、従業員は早期に職場に適応しやすくなります。
また日ごろから上司と部下がコミュニケーションをとれる機会を設けることで、心理的なセーフゾーンが広がり、リアルタイムで課題に対処しやすくなります。
外部セミナーへの参加や資格取得を支援できると、さらなるスキルアップを目指せるでしょう。
人事評価
良い環境を作るには、公平な評価制度が必要です。
成果だけでなく、プロセスも評価するようにしましょう。
360度評価や目標管理制度(MBO)など、多面的な評価方法を取り入れると評価の公平性が高まります。
また従業員自身に目標を設定してもらい、その達成度を評価することで、自律性が高まり仕事への意欲や責任感を持ちやすくなります。
ただし、自律の過程では定期的なフィードバックを行うなど、マネジメントも必要です。
雇用管理
有給が取りにくい空気があり、休日の少ない職場は従業員にとって居心地の良いものではないはずです。
有給を与えることは企業の義務であり、原則有給取得申請の拒否は行えません。
また法的な問題だけではなく、社内風土が有休に対して寛容であることで従業員の安心につながります。
そのほかにも、労働時間の適正な管理や福利厚生の整備など、快適な労働環境を提供することが活力ある環境を構築するポイントです。
柔軟な働き方
テレワークやフレックスタイム制など柔軟な働き方を導入することで、従業員や求職者にとって働きたいと思える環境を構築できます。
ICTを活用し、オフィス外でも効率的に働ける環境を整備しましょう。
特に育児や介護を抱える人にとって欠かせない制度ですから、会社への帰属意識に直結します。
また、フリーアドレスの導入も効果的です。
業務や気分に合わせて自由に席を選べることで、いつでも新鮮な気持ちで働けるようになります。
働きやすい職場づくりに取り組む企業の事例
株式会社タツノ
オフィスソリューションを提供する株式会社タツノでは、自社でも「働きやすさ」を追求し、働く人々がほっとできるようオフィスを改装しました。
これまでは仕事に関係するスペースしかありませんでしたが、新たに社員のマグネットスペースとなる「5 TSUBO CAFE」を設置したことで、自然と談笑が生まれ、改装前よりも柔らかな雰囲気となりました。
またカフェスペースの周辺で打ち合わせを行うことで、よりリラックスしてコミュニケーションが取れるようになったそうです。
カフェには背の高い家具を置くことで流動性を確保。仕事場が交流の場にもなり、社員が自然とリラックスできる空間を提供しています。
株式会社武蔵野化学研究所
株式会社武蔵野化学研究所は、環境に優しい製品を提供するファインケミカル分野のトップメーカーです。
新本社のオフィスデザインは「業務のしやすさ」「コミュニケーションの取りやすさ」「情報のアクセスのしやすさ」を重視し、効率的で働きやすい環境を実現しました。
エントランスには企業ロゴと理念を提示し、柔和な空間ながらも堅実な印象を与えています。
執務スペースはフリー席と固定席を配置し、同じ色調にすることで一体感を演出。
コミュニケーションエリアを隣接させ、役員エリアにはセミオープンのミーティングブースを設置しました。
またソロワークエリアを設けることで、集中力を要する作業やリモート会議にも対応しています。
社員の働きやすさとコミュニケーションの円滑化を両立した、スマートなオフィス空間が構築されました。
トーエイ物流株式会社
トーエイ物流株式会社は1963年設立、現在は総合物流サービスを提供する企業です。
創業60年を迎えた際に新社屋を建設し、これまで以上に働きやすい環境を追求しています。
エントランスは開放的で木目調の吹き抜けが特徴で、訪れる人々にオープンな印象を与えています。
執務室ではフリーアドレスによる効率的なコミュニケーションを考慮し、高さの異なるデスクレイアウトを採用することで作業に合わせて適切な環境を選べるようになっています。
来客の対応が多い役員会議室や応接室ではダークトーンでまとめ、上質なおもてなしの空間を演出。
さらに大会議室にはスライディングウォールを採用しており、フロアを分割することでセミナーやランチなど幅広い用途に利用可能です。
全体的に明るく親しみやすい空間が広がり、地域の未来を牽引する企業として存在感を示しています。
株式会社 山陰中央新報社
山陰中央新報社は、編集局と編成局のフロアを30年ぶりに改修し、働きやすいオフィス環境を構築しました。
コンセプトを「ATELIER-PARK」とし、社員がアーティストのように活動する工房を意識してデザインしています。
オフィススペースは宍道湖を形どった天井や、ライン照明や斜めのタイルカーペットが採用されています。ユニークにも見えますが、ランダムな動線を作ることで自然なコミュニケーションができるように意図されています。
また柱にはレンガのディスプレイや人工樹を配置し、ナチュラルな雰囲気を演出。リラックス効果を高めています。
そのほかにも、ソロワークブースや多目的スペース、木目を基調としたカフェエリアなど、リフレッシュと作業効率を両立させる工夫が随所に見られます。
トランコム株式会社 東京オフィス
トランコム株式会社は、品川から東京八重洲に移転をきっかけにオフィスを再構築しました。
フリーアドレスの導入や大規模なセミナースペースも備え、同社の進化と未来を感じさせるオフィス環境が整えられています。
普段、従業員が使用する執務室や来客が訪れることもある応接室は、眺めの良い窓側に設置。働く人々のストレス緩和や、訪れるゲストに圧迫感を与えない工夫がされています。
全体的に明るくオープンな空間で、個人が集中できる環境やチームワークを促進する機能など、さまざまなニーズに合わせた働きやすい仕事環境を実現しています。
またエントランス裏手にはラウンジがあり、打ち合わせやセミナーの休憩に利用されるなど、訪問者にとっても居心地の良い空間を目指しています。
オフィスのことならプラスにお任せください
働きやすい職場づくりには、業務効率や居心地を追求したオフィス空間が欠かせない要素です。
おしゃれで快適なオフィスをつくるプロジェクトがあれば、ぜひ「プラス」にご相談ください。
企業イメージやブランドをオフィスデザインに落とし込み、貴社にしかない魅力のある空間を提案可能です。
またフリーアドレスやABW、テレワークなど新しい働き方を効率的に進めるレイアウトにも対応しています。
働く人々が笑顔で活力にあふれるよう、働きやすい環境の構築をサポートします。
まとめ
働きやすい職場環境をつくるには、オフィス空間などの物理的な側面や福利厚生などの仕組み、社内の人間関係などを整える必要があります。
職場環境がよくなることで働く人々に活気が生まれ、業績アップや企業の社会的な評価が向上するきっかけになるでしょう。
また近年ではワークライフバランスに配慮した働き方が求められており、各従業員の生活事情に合わせられる柔軟な制度も必要とされています。
フレックスやテレワーク、フリーアドレスなど自由に働ける制度を設け、仕組みに対応したオフィス環境を構築することで、従業員が安心して働ける環境を提供できるでしょう。