オフィスの内装工事の基本
オフィスの内装工事とは、オフィスの壁・床・天井・設備などを新しくしたり、改修したりする際の工事のことです。オフィスの内装工事をするきっかけは、オフィス移転や社員数の増加に伴うレイアウト変更、ブランディング強化などが挙げられます。避難経路の確保や、消防法に関する設備更新など、法令遵守の観点から内装工事が発生することもあります。内装工事を検討する際は、まず現在の課題を明確にし、どのような改善を目指すのかが重要です。
基本的な内装工事
基本的な内装工事の種類と内容は下記のとおりです。
■基本的な内装工事
工事の種類 内容 軽鉄工事 建物の天井や間仕切り壁、床などの骨組みを作る工事。
主に火災に強く加工しやすい軽量鉄骨(LGS)を使用し、
工期を短縮できるため、価格も抑えやすいのが特徴。ボード工事 天井や壁に石膏ボードなどのボードを貼る工事。
耐火性、遮音性、断熱性に優れたボードが使用される。クロス工事 ボードや合板などの上にクロス(壁紙)を貼っていく工事。
クロスを貼る前には、ボードの継ぎ目を平らにする処理も行う。塗装工事 天井や壁などに塗装を施す工事。
塗料には、自然塗料やAEP(アクリルエマルションペイント)、
オイルステインなどの種類がある。左官工事 壁や床などに漆喰やモルタル、珪藻土などの素材を塗り仕上げていく工事。
専用のコテを使用し、パターン(模様)を作ることもある。床仕上げ工事 床材を用いて床面の仕上げを行う工事。
フローリング材やカーペット、タイルといった素材が使用される。木製建具工事 木製の建具を設置する工事。
室内の扉やふすま、障子などを取り付けるほか、
近年では既製の建具が多く使用されている。家具工事 柱と柱の間の寸法や、床から天井までの高さなど、室内の造りに合わせて
造作家具を製作・設置する工事。設備工事を含む場合もある。給排水設備工事 水道や下水道に関わる工事。給水管や排水管の配管工事、
およびトイレ・キッチンなどの設備の設置工事が含まれる。電気設備工事 建物内で電気を使用可能にする工事。
電力を引き込み、照明やコンセントなどを設置する。ガス設備工事 建物内でガスを使用可能にする工事。
ガス管の配管工事や、ガス設備の設置工事などが含まれる。
A工事・B工事・C工事の違い
A工事・B工事・C工事とは、オフィスや店舗の入居・移転にかかわる工事区分のことです。工事業者の選定や費用負担、対象範囲が異なります。
■A工事・B工事・C工事の違い
A工事 B工事 C工事 工事業者の選定 オーナー オーナー テナント 工事業者への発注 オーナー テナント テナント 費用負担 オーナー テナント テナント 対象範囲 【共用部分】
建物の外装・外壁
共用トイレ
エレベーター
消防設備
給排水設備【専有部分】
空調設備
防災設備
防水設備【専有部分】
家具の取り付け
会社名や各部屋の案内表記の設置
コンセントやブレーカー、照明の増設
躯体に影響しない専有部分での建具の設置
壁や天井のクロス、床のタイルやカーペット
A工事
A工事は、建物の基本的な構造や共用部分に関わる工事です。工事業者の選定、発注、費用負担のすべてをオーナーが行います。
対象範囲は建物の外装・外壁、共用トイレ、エレベーター、消防設備、給排水設備(共用部)など共用部分です。
B工事
B工事は、専有部分の基本設備に関わる工事です。オーナーが工事業者を選定し、発注と費用負担はテナントが行います。
対象範囲は空調設備、防災設備、防水設備などの専有部分です。費用負担はテナントですが、オーナー指定の業者に、工事を発注する必要があります。
C工事
C工事は、テナントが独自に行う内装工事です。工事業者の選定、発注、費用負担すべてをテナントが担います。
対象範囲は家具の取り付け、会社名や各部屋の案内表記の設置、コンセントやブレーカー、照明の増設、躯体に影響しない専有部分での建具の設置、壁や天井のクロス、床のタイルやカーペットなどです。
オフィス内装工事の進め方と流れ
オフィスの内装工事は、3〜5ヵ月くらいかかります。内装工事を行う際の進め方と流れを紹介します。
■オフィス内装工事の進め方と流れ
ステップ1:目的と課題を明確にする
オフィスの内装工事には、明確な目的と課題意識が必要です。「オフィスをきれいにしたい」だけではなく、業務効率の改善やブランディング強化など、目的を具体化します。解決したい課題を設定すると、後の設計や業者選定の軸がぶれてしまいます。
例えば「会議室が足りない」「集中スペースがない」といった実際の業務課題を現場ヒアリングで洗い出し、内装でどう解決するかが重要です。
ステップ2:レイアウトを構想する
目的に沿ったレイアウト案を社内で共有し、働き方に合った導線やゾーニングを検討します。初期段階では手書きでも構わないので、大まかなイメージを固めておくとよいでしょう。
社内の声を反映しつつ、プロのデザイナーに相談すると、機能性とデザイン性を兼ね備えた空間づくりが実現しやすくなります。
ステップ3:内装業者を選定し見積もりを依頼する
複数の内装業者に相見積もりを依頼し、相場をつかみます。価格だけでなく、対応の丁寧さや実績、提案力も比較のポイントです。
訪問調査の有無や、費用に含まれる項目(設計、運搬、夜間工事など)を細かくチェックし、契約前に不明点を解消しておきましょう。
ステップ4:契約しスケジュールを調整する
選定した内装業者と工事内容・金額・工期について最終確認し、正式に契約を交わします。社内でも業務への影響を最小限にするため、スケジュールを調整します。
特に業務を止めずに施工する場合は、夜間工事や分割施工なども視野に入れ、柔軟に対応できる体制整備が重要です。
ステップ5:仕上がりを確認する
実際に施工し、進捗や仕上がりを定期的に確認します。特に電気・配線・空調工事などは仕上がり後に不満が出やすいポイントなので、現場の声も聞きながら確認すると良いでしょう。
完了後は、竣工検査で問題がないかを確認し、必要に応じて是正工事を依頼します。最終的な引き渡し後にトラブルが起きないよう、書面での確認が重要です。
工事の種類別費用目安
オフィス内装工事の費用は、工事の規模や内容によって大きく変動します。
壁の設置や床の変更など、部分的な工事にかかる費用は10万〜100万円前後です。一方、全面リニューアルをした場合は、数百万円規模になります。
工事内容だけでなく、使用する材料や工期、立地などによっても費用は変動します。標準的な坪単価や項目ごとの相場を押さえると安心です。見積もりを取る際は、工事内容を明確にし、複数社から相見積もりを取れば適正価格を把握できます。
失敗しないための内装工事のコツ
内装工事を成功させるためのポイントは下記のとおりです。
<失敗しないための内装工事のコツ>
- 法的規制や安全基準を確認する
- デザインと実用性のバランスをとる
- 丁寧で信頼できる内装業者を選定する
- 見積もりは複数社とり、比較する
法的規制や安全基準を確認する
内装工事をする際は、建築基準法や消防法など、さまざまな法律が関わります。法律違反は、工事や営業に支障をきたすおそれがあります。
事前に管理会社やビルの規則を確認するほか、天井裏の設備利用や電源容量の制限など、工事に影響する要素の確認が重要です。
デザインと実用性のバランスをとる
オフィスの内装工事は見た目の良さだけでなく、動線の確保や収納、採光、空調効率など、機能面との両立が重要です。
従業員の働きやすさやモチベーションに直結するため、現場の意見を反映した設計が成功のカギとなります。
丁寧で信頼できる内装業者を選定する
内装業者を選定する際は、豊富な施工実績、デザイン提案力、法令対応の知識、アフターサービスの有無が重要な評価ポイントです。
口コミや過去事例のチェックに加え、初回相談時の対応姿勢も重要です。対応が丁寧かつ明確な会社ほど信頼しやすいでしょう。
見積もりは複数社とり、比較する
見積もりをとる際は、価格だけでなく、工事内容や工期、保証内容なども含めて比較し、総合的な観点での判断が必要です。極端に安すぎる見積もりは、品質低下や追加費用の可能性があるため、適正価格を見極めましょう。
【事例】プラスが手掛けたおしゃれなオフィスの内装工事
ここからは、プラスが手掛けた多様な業種のオフィス内装事例をご紹介します。
オフィスの専門企業・プラスでは、さまざまな業界のお客さまのオフィスの内装工事を実施してきました。内装工事の目的は、従業員増加に伴うレイアウト変更、ブランディング、採用強化などさまざまです。内装工事を検討している担当者様は、自社と似た業種や規模の事例を、自社の内装工事をする際の参考にしてください。
事例1:クリエイティビティな内装空間で醸成された知が生まれる株式会社廣済堂 様

入居人数 | 約300名 |
延床面積 | 約2,000平方メートル |
業界・業種 | 印刷業 |
拠点統合による本社移転に際し、プラスがPMを担当し、企画から内装工事まで実施。1フロアにすべての部署を集約するために、人や情報が行き交い、回遊できるレイアウトを提案しました。廣済堂様の技術を活かした内装材も取り入れ、お客様といっしょに作り上げたオフィスといえるでしょう。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
事例2:新しいオフィス空間で創造的なアイディアが生まれるシナリー株式会社 様

入居人数 | 34名 |
延床面積 | 約230平方メートル |
業界・業種 | 製造業 |
化粧品メーカーである同社では、「風通しのいいオフィス」をテーマにオフィスの改修を実施。空間全体をベージュ系で統一し、モダンでトレンド感のある仕上がりとなりました。彩度を抑えた色味をセレクトし、より清潔感のある空間が実現しました。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
事例3:グループ企業が集い、新しい交流の場としてオフィスが機能しているヒビノ株式会社 様

業界・業種 | 製造・販売業 |
点在していたグループ会社を集約し、本社を移転。内装工事を前に、若手社員がワークショップを行い、「憧れ」をキーコンセプトに、テーマを「コラボレーション」「ブランディング」「マインドチェンジ」に設定しました。創造の核・ブランドの象徴の場として、新しいオフィスで新たな交流が生まれています。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
内装工事でオフィスをリニューアルしたい企業の担当者様はプラスにご相談ください
オフィスの移転やリニューアルにおいて内装工事は必須です。ただし、どの工事も専門性が高く、企画から工事の実施までをプロに任せるのが確実といえます。
オフィス空間の専門企業・プラスは、オフィスリニューアルの計画立案から内装工事、移転後のアフターケアまでワンストップで実施可能です。貴社が抱えている課題を、オフィス空間の最適化で解決いたします。オフィス空間の課題解決が必要な担当者は、ぜひプラスにご相談ください。経験豊富なスタッフが最適なソリューションをご提案します。
よくある質問
オフィスの内装工事にかかる期間はどれくらい?
オフィスの内装工事期間は、一般的に3〜5ヵ月程度が目安です。工事の規模や内容によって異なり、部分的な改修であれば1〜2ヵ月、全面リニューアルの場合は6ヵ月以上かかることもあるでしょう。工期は、設計期間、申請手続き、実際の施工期間も含むため、余裕を持ったスケジュール設定が重要です。
オフィスの内装工事の、A工事・B工事・C工事の違いは?
A工事は建物の共用部分に関わる工事で、オーナーが業者の選定、発注、費用を負担するのが特徴です。B工事は専有部分の基本設備工事で、オーナーが業者を選定しますが、テナントが発注し、費用を負担します。C工事はテナントが独自に行う内装工事で、業者選定・発注・費用負担すべてをテナントが担います。
内装工事に失敗しないコツを教えてください。
内装工事で失敗しないためには、法的規制や安全基準の確認、デザインと実用性のバランス、信頼できる業者の選定、複数社からの見積もり比較が重要です。特に、明確な目的設定と現場の声を反映した設計が成功のカギとなります。