出社したくなるオフィスの定義と背景
出社したくなるオフィスとは、従業員がみずからの意思で「行きたい」と感じる、魅力的な環境を備えたワークプレイスのことです。テレワークが普及した現代において、オフィスの役割は単なる作業場所から、コミュニケーションの活性化や企業文化を育むための重要な拠点へと変化しています。
新型コロナウイルスの影響でリモートワークが急速に拡大した一方で、対面でのコミュニケーションの価値が再認識され、オフィス回帰の動きも活発化しています。オフィスが従業員にとって「行きたい場所」となるためには、多様化する働き方や一人ひとりのニーズに対応し、快適性と機能性を両立した空間設計が不可欠です。
なぜ今、出社したくなるオフィスが求められているのか
テレワークの普及は多くのメリットをもたらした一方で、コミュニケーション不足や従業員のモチベーション低下といった新たな課題も浮き彫りにしました。こうした背景から、オフィスの持つ本質的な価値が見直されています。
また、対面での円滑な意思決定や合意形成、偶発的な雑談から生まれるイノベーションの創出には、物理的な場としてのオフィスが不可欠です。
さらに、企業文化の醸成や従業員エンゲージメントの向上といった観点からも、従業員が一体感を持ち、帰属意識を高められる「出社したくなるオフィス」の整備は、多くの企業にとって重要な経営課題となっています。

出社したくなるオフィスがもたらすメリット
従業員が出社したくなるような魅力的なオフィスは、企業に多くのメリットをもたらします。出社したくなるオフィスがもたらす具体的なメリットは、下記のとおりです。
■出社したくなるオフィスのメリット

生産性向上と業務効率の改善
魅力的なオフィスは、従業員の生産性向上と業務効率の改善に直接貢献します。オフィスには集中して作業に取り組める環境や、業務に必要なプリンター、高速インターネット回線などの設備が整っているため、自宅よりも効率的に仕事を進められる場面が多くあるでしょう。
また、対面でのコミュニケーションは、疑問点の即時解決やスムーズな情報共有を可能にし、チーム全体のパフォーマンス向上につながります。通勤によって仕事とプライベートのオンオフが切り替えやすくなり、メリハリのある働き方が実現できる点も大きなメリットです。
コミュニケーション活性化と意思決定の迅速化
魅力的なオフィスは、コミュニケーションを活性化させ、迅速な意思決定を促進する上で重要な役割を果たします。対面での会話では、言葉だけでなく表情や声のトーンといった非言語情報も伝わるため、オンラインのやりとりで生じがちな誤解を減らし、円滑な合意形成のサポートが可能です。
また、休憩スペースでの雑談や廊下での立ち話など、偶発的な交流が生まれるのもオフィスの大きな利点です。こうしたインフォーマルなコミュニケーションが、業務改善のヒントや新たなアイディア創出のきっかけとなることも少なくありません。結果として、チームの一体感や信頼関係が強化され、組織全体の結束力向上にもつながります。
企業文化の醸成と従業員エンゲージメント向上
従業員が出社したくなるオフィスは、企業文化の醸成とエンゲージメント向上にも大きく貢献します。オフィス空間のデザインやレイアウトに企業理念やビジョンを反映させれば、従業員は日常的に自社の価値観にふれ、自然と企業文化への理解を深めることが可能です。
さらに、オフィスでは経営層や他部署のメンバーと直接顔を合わせる機会が増えるため、企業の方向性への理解が深まり、帰属意識も高まります。上司や同僚から適切なフィードバックを得やすい環境は、従業員のモチベーション維持や成長意欲の向上にも効果的です。
イノベーション促進と人材定着
部門の垣根を越えた交流が生まれるオフィス環境は、イノベーションを促進する土壌となります。異なる部署や専門性を持つ従業員が同じ空間で働くと、多様な視点や知識が交わり、これまでにない新しい発想が生まれやすくなります。特に、対面でのディスカッションはオンラインよりも活発で創造的な意見交換を促す効果が期待できるでしょう。
加えて、快適で働きがいのあるオフィス環境は、従業員の職場への愛着を高め、エンゲージメント向上にもつながります。これは離職率の低下に貢献するだけでなく、採用活動においても「働きやすい企業」としてのアピールポイントとなり、優秀な人材の確保と定着という好循環を生み出します。

【事例あり】出社したくなるオフィスを作るための施策
出社したくなるオフィスを実現するためには、どのような施策が有効なのでしょうか。ここでは、プラスがオフィスづくりをお手伝いした企業の事例で、具体的な施策を3つのポイントに分けて解説します。
多様な働き方に対応したワークスペース設計
出社したくなるオフィスは、従業員一人ひとりが業務内容やその日の気分に合わせて、最適な場所を選べることが重要です。集中して作業したい人のための個室やブース、チームで活発に議論するためのコラボレーションスペース、気分転換できるリフレッシュエリアなど、多様なスペースを設ければ、働き方の質を高めます。
多様な働き方に対応したワークスペース設計を実施した事例をご紹介します。
■サッポロ不動産開発株式会社 様

入居人数 約20名 延べ床面積 約140平方メートル
フルセットアップオフィスとしてオフィスリニューアルした同社では、自由に過ごしながらゆとりをもって働けるオフィス空間を展開。特徴的な躯体形状・丸柱を造作什器でなじむように取り込み、フルセットアップならではの内装計画としています。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
従業員のニーズに合わせた柔軟な環境づくり
出社したくなるオフィスを実現するには、従業員一人ひとりのニーズを汲み取り、柔軟に対応できる環境を整えることが不可欠です。フリーアドレス制を導入すれば、従業員は日々の業務内容やチームメンバー、気分に応じて自由に席を選べるようになり、自律的な働き方を促進します。
従業員のニーズに合わせ、フリーアドレス制を導入した事例は、下記のとおりです。
■株式会社ICUS 様

入居人数 約20名 延べ床面積 約140平方メートル 業界・業種 産業用設備洗浄業
創立40年という節目に社名変更、オフィス移転を行った同社では、従来のフロアをワンフロアに集約。横のつながりを強化したオフィスづくりを目指し、フリーアドレスという新しい働き方にもチャレンジしました。各部門から招集された移転プロジェクトメンバーが、新たな拠点で「One Team」になるための環境づくりに取り組みました。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
企業文化を体現したオフィス空間の創出
オフィスは、企業文化を従業員に伝え、浸透させるための強力なメディアです。企業理念やブランドカラー、大切にしている価値観を内装やデザインに反映させると、従業員は日々その空間で過ごすうちに、自社への理解と誇りを深めていきます。
企業の歴史や製品などを紹介する展示スペースや、世界観を表現するアート作品を配置すれば、従業員のエンゲージメントを高めるだけでなく、来訪者に対しても企業の魅力を効果的に伝えられます。
オフィスリニューアルの際に、企業文化を体現したオフィス空間づくりを実施した事例を見てみましょう。
■YKK株式会社 ファスニング事業本部 ジャパンカンパニー 様

入居人数 330名 延べ床面積 2,582平方メートル 業界・業種 製造業
東京事務所をリニューアルした際、コミュニケーションフロアではショーウィンドウのようにYKK製品を”魅せる”配置をし、工夫を凝らしました。テーブル席エリアの周辺は、アパレルSHOPのウインドウディスプレイ、ミュージアムのようなパネル展示、パーツSHOPのように製品にふれられるコーナーなど、自社製品に愛着と誇りを持てる空間構成にしています。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
YKK株式会社 ファスニング事業本部 ジャパンカンパニー 様
出社したくなるオフィスづくりならプラスにお任せください
出社したくなるオフィスとは、ただ快適なだけではなく、従業員の多様なニーズに応え、企業文化を体現し、コミュニケーションや生産性を高める多面的な価値を持つ環境です。
多様なワークスペースの設計、従業員のニーズに合わせた柔軟な環境づくり、そして企業文化の反映といった施策は、その実現に向けた重要なステップとなります。この記事でご紹介したプラスが手掛けた事例を参考に、自社の課題を明確にし、継続的な改善を行えば、従業員にとって本当に「行きたい」と思える理想のオフィスが実現するでしょう。
オフィスづくりのプロ・プラスでは、貴社の課題やビジョンに寄り添い、最適なオフィス環境をご提案します。出社したくなるオフィスづくりをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

オフィスづくりに関するよくある質問
出社したくなるオフィスとは、具体的にどのようなオフィス?
出社したくなるオフィスとは、従業員がみずからの意思で行きたいと感じる、魅力的なワークプレイスのことです。単なる作業場所ではなく、コミュニケーションの活性化や企業文化の醸成を促す役割を持ちます。多様な働き方に対応できる柔軟性も重要な要素です。
なぜ今、多くの企業が「出社したくなるオフィス」を目指している?
「出社したくなるオフィス」が求められる理由は、テレワークが普及し、コミュニケーション不足や組織の一体感の希薄化が課題となったからです。また、対面での円滑な意思決定や、偶発的な交流から生まれるイノベーションの価値も再認識されています。従業員エンゲージメントを高める経営戦略の一環としても、オフィスのあり方が注目されています。
出社したくなるオフィスを作る上で、最も重要なポイントは?
出社したくなるオフィスを作る重要なポイントは、従業員のニーズを正確に把握し、多様な働き方に応えられる柔軟な空間を設計することです。集中ブースや協業エリアなど、業務内容に合わせて働く場所を選べる選択肢を提供します。加えて、企業理念やビジョンを空間デザインに反映させることも大切です。

