「おしゃれで見た目は良いものの機能性が低く働きにくいオフィス」と、「機能性が高く働きやすいものの無機質でモチベーションが高まらないオフィス」。オフィス設計を行う際、どちらを選ぶべきかで悩まれている担当者の方もいるのではないでしょうか。しかし、実際にはおしゃれかつ機能的なオフィスが実現されているケースも多いです。そこで今回は、おしゃれなだけでなく機能性も高めたオフィスの事例を紹介しつつ、自社でそれを実現するためのポイントをお伝えします。
おしゃれかつ機能的なオフィスを実現するメリット
おしゃれかつ機能的なオフィスを実現させることで、具体的には次のようなメリットが期待できます。
社員のパフォーマンスアップ
おしゃれなオフィスで働けることは、多くの社員にとってモチベーションアップにつながるでしょう。しかし、ただおしゃれなだけで機能性が低いと、業務効率が下がってしまうため、パフォーマンスが落ちるリスクが高まります。おしゃれなうえに高い機能性も兼ね備えたオフィスであれば、高いモチベーションを保ちやすくなり、パフォーマンスアップも期待できるでしょう。
企業のブランディングにつながる
おしゃれなオフィスは企業ブランディングにも高い効果を発揮します。特に来客の多い企業では、おしゃれなデザイン、レイアウトを施したオフィスは訪問者に好印象を持ってもらえるでしょう。
ただし、ここでも単におしゃれなだけでは、見た目だけといったイメージを同時に持たれてしまうリスクがあります。おしゃれかつ機能性の高いオフィスであれば、自社の参考にしたいと思ってもらえるかもしれません。ブランディング効果がアップすることはもちろん、信頼感を持ってもらえる可能性も高まるでしょう。
おしゃれかつ機能的なオフィスを実現させるためのポイント
おしゃれなだけではなく機能性も高いオフィスを実現するには、いくつかのポイントがあります。具体的には次のとおりです。
レイアウト設計を優先して進める
おしゃれさを優先してデザインを進めてしまうと、おしゃれではあっても機能性が低くなってしまいます。おしゃれさと機能性を両立させるには、機能性が高くなるようなレイアウト設計を行いつつ、おしゃれなデザインを検討することが重要です。
レイアウトの考え方については、『オフィスレイアウトのパターンとは?レイアウトを決める際のフロー・注意点も解説』をご覧ください。
デザイン性の高いインテリアを設置する
いわゆる「オフィス家具」は、機能性は高くても、どうしても無機質なイメージがあり、おしゃれさに欠けることもあります。おしゃれなオフィスの実現に重要なポイントとなるのは、デザイン性の高いオフィス家具を設置することです。
現在、オフィス家具の機能性を備えつつデザイン性も高い家具は増えているので、さまざまな種類の家具を見たうえで自社に合うものを選択しましょう。
また、家具以外に照明の選択も重要です。一般的な蛍光灯だけではなく、スポットライトやペンダントライトなど、スペースに合わせた照明を設置するだけでもおしゃれ度は大きくアップします。
インテリアの選定については、『おしゃれなうえに使いやすい!オフィスインテリア選定のポイント』をご覧ください。
オフィス内に役割の違う空間を設置する
執務室、会議室、休憩室など一般的なオフィスのスペースだけでは、おしゃれさを演出するのが難しい場合もあります。オフィスグリーンやカフェスペースなど、通常の業務や休憩で利用されるスペース以外の空間を設けると、おしゃれ度がアップするでしょう。
オフィス全面が似たようなレイアウトやデザインでは、社員のモチベーションがアップしにくいケースもあります。そのようなオフィスでは、執務スペースや休憩スペースとは異なる空間をつくり、そこにおしゃれなデザインを施してみるのも一案です。オフィス全体のおしゃれ度がアップするだけではなく、見た目にもメリハリができ、社員のモチベーションアップにもつながるでしょう。
ゾーニングについては、『ゾーニングとは?注目を集める理由や効果的なゾーニングのポイントを解説』をご覧ください。
おしゃれかつ機能的なオフィス事例
実際におしゃれかつ機能的なオフィスを実現している企業事例を紹介します。
某情報通信業様の事例
某情報通信業様(以下同社)ではオフィスが24時間稼働しているため、生活要素についてデザイナーと相談しながらおしゃれかつ機能的なオフィスを実現しました。
執務スペースは、窓側の丸柱にモニター設置が必要でしたが、ただモニターを設置するのではなく、棚造作と合わせることで高いデザイン性を実現しました。また、間仕切りはガラスパーテーションにすることで、開放感を持たせつつ、全体的にすっきりとした見た目にしています。
株式会社セゾン情報システムズ様の事例
株式会社セゾン情報システムズ様のオフィスは「JUNGLE」を空間コンセプトとした、オフィスデザインとなっています。オフィスのなかに大胆にグリーンを取り入れ、木漏れ日を感じながら働けるスペースを実現しています。
オフィス内に植物や木材など自然を感じられる要素を取り入れるデザインは、一般に「バイオフィリックデザイン」とも呼ばれ、快適性の向上、ストレス軽減、リラックス効果などさまざまなメリットが期待されています。
オフィスの中央に設置された「DEEP THINK LAB」は、ワークスペース、ミーティングスペース、集中ブースなどがあり、目的に応じて自由に森のなかを歩くように働けるオフィスを可能にしました。
サムティ株式会社様の事例
サムティ株式会社様のオフィスは社員様が心地よく、かつ効率的に働けるオフィスを目指し、ABWをご導入されました。
カフェスペースを中央にレイアウトし、オフィス全体が見渡せるよう視線が開けた計画にすることで、部門間ののコラボレーションが促進されるオープンなオフィスを目指しました。
快適に仕事ができるよう、業務の内容や気分によって使い分けられる様々な形態のワークスペースを用意し、木目を基調とした内装で明るく心地の良い空間となっています。
レイアウトを重視して、おしゃれかつ機能的なオフィスを実現
斬新な色合いやスタイリッシュな家具などを取り入れれば、見た目のおしゃれさは叶えられるかもしれません。しかし、おしゃれなだけで機能性を無視したオフィスは、社員にとって快適とはいえず、場合によっては安全面でのリスクが生じる可能性もあるでしょう。
また、おしゃれで機能的なオフィスをつくりたいと思っても、なかなか良いアイデアが浮かばず、結局は無機質な見た目のオフィスの落ち着いてしまうといったケースも少なくありません。
とはいえ、おしゃれかつ機能的なオフィスをつくるのは必ずしも難しいことではなく、レイアウト設計をしっかりと行いつつ、どのようにしておしゃれな雰囲気にしていくかを考えることが大切です。
洗練されたデザインの家具や照明の選択、オフィスグリーンやカフェスペースの設置などにより、オフィスをおしゃれにすることはできますが、どのような要素を取り入れる場合でも、機能性を重視することを忘れてはなりません。それが、おしゃれかつ機能性の高いオフィスを実現するポイントといえるでしょう。
関連記事:オフィスデザインのコンセプトの決め方・手順について