オフィス移転を検討する際、重要なポイントの1つが新たなオフィスの立地でしょう。「交通の便がよい」「取引先企業が近い」「環境がよい」など立地条件はさまざまですが、どの点を特に重視するかが企業の行方を左右するターニングポイントになる可能性もあるでしょう。そこで、今回は新たなオフィスの立地に関し、環境変化が企業に与える影響や立地検討のポイントをお伝えします。
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最新オフィス移転事情
オフィス移転を検討している企業にとって、ほかの企業の移転動向は気になるところではないでしょうか。そこで2021年9月に株式会社帝国データバンクが発表した、「首都圏・本社移転動向調査」の結果からいくつかのポイントを見てみましょう。
過去最多のペースで首都圏外への本社移転が進んでいる
2021年1月から6月の移転動向を見ると、首都圏外へ本社を移転した企業は186社。これは過去10年を上回るハイペースで、このまま行くと2002年以来19年振りに年間で300社を超え、1990年以降で最多となる可能性が高いと予測されています。
首都圏内への転入も過去最多を上回るペースで増加
一方、首都圏内へ移転する企業も172社と、過去最高を記録した2015年に並ぶペースで増加。ただしそれ以上に首都圏外への本社移転が進んでいるため、2021年は11年振りに転出超過になると予測されています。
首都圏外への移転が増加している大きな理由は、新型コロナウイルス感染拡大の影響でテレワークを導入する企業の増加でしょう。このままテレワーク導入の傾向が続くのであれば、今後も首都圏外への本社移転の実施、検討を行う企業が増加するのではと予測できます。
オフィス移転時に立地が重要な理由
最新のオフィス移転事情を見ましたが、首都圏内・外どちらに移転するにしても立地の選択は重要な要素のひとつです。ここでは首都圏内・外のそれぞれに立地が重要な理由を説明します。
社員が働きやすい環境を得られる
首都圏内の場合、交通の便が良いのが最大のメリットとなります。業種にもよりますが、取引先が近くなり移動時間の短縮にもつながるでしょう。
首都圏外の場合、首都圏内に比べ満員電車に乗り合わせる可能性が低くなり、楽に通勤できるようになります。また賃料を抑えられるため、その分オフィス内環境を充実させられ働きやすい環境構築を実現できるでしょう。
社員が暮らしやすい環境を得られる
首都圏内の場合、交通の便の良さは通常の生活においても大きなメリットです。どこへでも行きやすく不便さはほとんど感じません。
首都圏外の場合、首都圏内に比べ物価が安く生活しやすくなります。また環境の良い場所で暮らせるのも、大きなメリットとなるでしょう。
オフィス移転による環境変化が社員に与える影響
オフィスを移転する理由は企業によってさまざまですが、企業側だけの都合で移転先を決めてしまうと社員のモチベーションが下がってしまう可能性もあります。そのため立地によって社員にどのような影響があるのかも検討する必要があるでしょう。交通の便や暮らしやすさ以外で移転が社員に与える影響にはどのようなものがあるのでしょうか。具体的には次のとおりです。
首都圏内に移転した際に社員に与える影響
首都圏内に移転する際、同じ業界の企業が多い場所へ移転すれば、刺激を得やすくなり、業務への意欲が湧きやすくなるでしょう。また都心へ移転すれば、自社のブランディングにつながり社員の帰属意識が高まる効果が期待できます。
首都圏外に移転した際に社員に与える影響
首都圏外であっても、業種によっては同じ業界が集まっているケースがあり、刺激を得やすくなる点では首都圏内と変わりません。それ以外では、首都圏外の場合、比較的オフィスと住居が近いケースが多く、通勤時間が短くなるため、負担軽減の可能性が高まるでしょう。
オフィス移転時に重要なオフィスの立地検討のポイント
首都圏内・外どちらに移転するにもメリット・デメリットがありますが、最終的には何を重視するかで移転先は大きく変わります。そこで目的に合わせた立地検討のポイントを説明します。
利便性を追求する
「交通の便が良い」「取引先が近い」など、とにかく業務を行ううえで利便性の高い場所を第一に移転先を検討します。
自社のブランディングを行う
例えば、ファッション系の企業であれば表参道や六本木、IT系なら渋谷など同じ業種のなかでも大手がいる立地へ移転することで自社の格を上げることを意識して検討します。
新しく活気のある立地を探している
これから再開発を予定している地域は、実際に再開発が行われると活気が出る可能性が高く、業種にもよりますがオフィスを構える場所としても適していることが多いでしょう。
社員のワークライフバランスを重視したい
利便性やブランディング以上に社員に快適に働いてもらいたいといったことを目的とする場合、首都圏外もしくは首都圏でも都心からは離れた郊外がよいでしょう。ただし、首都圏外に移転する場合は社員の多くが転居しなければならない点についても検討が必要です。
オフィスの立地は総合的な判断で選択することが重要
コスト削減が最重要だとしても、「交通の便が悪い」「取引先企業から遠い」といった立地を選択すれば、結果としてマイナスの影響が出てしまう場合もあります。また、テレワークを導入しているとしても、オフィスがどこにあってもよいわけではありません。むしろテレワークの導入で出社人数を抑えられるからこそ、都心にオフィスを構えることも可能になります。
近年、首都圏から地方の都市圏に移転する企業が増えています。だからといって単純に流れに乗るのではなく、自社にとって重要なポイントは何かをしっかりと検討しましょう。そのうえで新しいオフィスの立地はどこが最適なのかを総合的な判断で見極めることをおすすめします。
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