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本店(本社)を移転するにはさまざまな準備、手続きが必要です。特に初めて移転をする場合、一般の住居移転とは異なる手続きもあるため、戸惑ってしまうことも多いでしょう。そのなかでも分かりにくいのが登記に関する手続きです。今回は本店(本社)移転の際に必要な手続きのなかでも特に分かりづらい本店移転登記 のほか、必要となる準備や手続き、注意点についてお伝えします。

オフィス移転全体の流れの詳細は『これで完璧!オフィス移転の流れとすべきこと【チェックリスト付き】』をご覧ください。

本店移転とは?

本社を移転する際、税務署、都道府県税事務所、社会保険事務所などさまざまな役所へ書類を提出しなければなりません。そのなかで、法務局へ提出するのが今回紹介する、「本店移転登記申請書」です。

本店といっても何を意味するのか分からない方もいるかもしれません。通常、会社は本社と呼ぶことはあっても本店とは言わないでしょう。また支店や支社を持っていないのに本店と言うのも違和感があるかもしれません。

そもそも本店移転の「本店」とは何でしょうか。会社を設立する際の登記申請では会社の所在地を記載しますが、その項目名が「本店所在地」となっており、そのため、通常「会社」と呼んでいるものが、移転に際しては「本店」とされているのです。そして移転により会社の住所が変わる場合、その申請に必要なのは「株式会社本店移転登記申請書」となります。

なお、本店の所在地は定款において必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」です。また、会社法では登記事項に変更が生じた場合には、2週間以内に変更登記をしなければならないと義務づけられています。本店移転登記は必ず必要な作業として、事前に準備しておきます。

本店(本社)移転に必要な準備

本店(本社)移転をする際は、旧本社と新しい本社それぞれで準備が必要です。ここでは簡単に事前に行っておくべきポイントを紹介します。

旧本社でやっておくべき準備

  • 賃貸契約の解除
  • 原状回復工事の依頼
  • 引っ越し業者との契約
  • 引っ越しスケジュールの策定

これらの準備のなかでも、特に賃貸契約の解除は半年前に解約予告をしなければならないのが一般的です。また、原状回復工事も指定した業者に依頼しなければならない場合があるため、必ず早い段階で賃貸契約書を確認し、そのうえでスケジュールを立てましょう。

新しい本社でやっておくべき準備

  • 新しい本社の賃貸契約
  • レイアウト設計・必要な家具、設備の購入
  • 内装工事・ライフライン工事の確認
  • 提出書類の用意

このなかでは、提出書類の用意とライフライン工事の確認が重要です。提出書類はそれぞれ期限が定められているものが多いため、できるだけ早めの提出を心がけてください。またライフラインの工事も特に移転の多い春先は早めに依頼しないと移転時に水道やガス、電話がまだ使えないという場合もあるため、余裕をもって依頼をしておきましょう。

本店(本社)移転が決まった際の、オフィスフロアの扱い

旧オフィスは上述のとおり原状回復を行います。新しいオフィスへの移転後に旧オフィスを原状回復することになるでしょう。旧オフィスの引き渡し時にまで完了できるように段取りを整えます。

原状回復とは「入居した時の状態」に戻すことです。具体的にどのような状態にする必要があるのか、賃貸借契約書を確認しましょう。ただし書面だけでは情報が不足する可能性があるので、オーナーとも話し合ったうえで、手間と費用を見積もります。

なお、賃貸契約書のなかで原状回復工事を行う業者が指定されているケースが多いのですが、該当の業者が必ずしもスケジュールや費用面で最適とは限りません。自社で原状回復業者を選択できるかどうかも、確認しておくといいでしょう。

原状回復については、『オフィス移転に欠かせない原状回復とは?そのルールとスムーズに進めるためのポイント』をご覧ください。

本店(本社)移転に必要な手続き

本店(本社)移転の際に必要な手続きは、新しい本社を管轄する法務局が旧本社と同じか管轄外の法務局かによって異なります。ここではそれぞれで必要となる一般的な書類について見ていきましょう。

本店移転登記手続きの手順

まずは、登記手続きの手順を紹介します

1. 新しい本社を管轄する法務局が旧本社と同じか管轄外の法務局かを確認

管轄の変更があるかどうかで、手続きや必要な書類が異なるためです。

2. 定款変更の必要性を確認

定款に住所地が書かれている場合は定款変更が必要です。また、定款変更において株主総会の決議(種類株主総会の決議)が必要な際は、株主リストも必要です。(各書類については後述)

3. 取締役会で移転場所・移転日を決める

取締役会、もしくは取締役の過半数の一致をもって移転場所・移転日を決議します。本店(本社)移転日から2週間以内に本店移転登記をしなければならないため、移転日を決定することで、本店移転登記の期限日も明確になります。

4. 本店移転登記申請書の提出

期日までに、本店移転登記申請書を作成し必要な添付書類とともに、旧所在地の法務局へまとめて提出します。

新しい本社と旧本社が異なる法務局の管轄内にある場合の必要書類

本店移転登記申請書(2通)

新法務局提出分と旧法務局提出分に分かれるため2通用意します。印紙税は3万円で、各々に収入印紙を貼付(3万円×2)します。

株主総会議事録

本店(本社)移転に伴い定款に書かれた住所を変更する場合に必要です。本店(本社)移転が株主総会で適切に議決された記録となります。株主総会が開催された日時・場所、議事の経過の概要と結果、株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役または会計監査人の氏名(または名称)、議事録を作成した取締役の氏名などが必要です。

株主リスト

登記事項の変更時において、株主総会の決議(種類株主総会の決議)を要する場合に法務局に対して対象の株主を提示するためのリストです。「株主総会議事録」の記録の妥当性を補完するために必要です。

なお、株主リストは単なる株主の住所氏名ではありません。株式数(種類株式発行会社は,種類株式の種類及び数)・議決権数・議決権数割合まで記載します。

取締役会議事録もしくは取締役決定書

取締役会の決議で本店の場所や移転の日時を定めたことを証するもので、議決の経緯や結果を提示します。取締役会を設置していない企業の場合は、取締役の過半数の一致を証する書類として「取締役決定書」が必要です。

印鑑届書と印鑑カード交付申請書

新たな本社の法務局に会社の実印を届け出る必要があるため、印鑑届出書を提出します。また、管轄外への移転に伴い、従来の印鑑カードが使用できなくなります。そのため、新法務局に印鑑カード交付申請書を提出し、印鑑カードの交付を請求します。これまでと同じ印鑑を使用することも可能ですし、新たなものを登録することもできます。

新しい本社と旧本社が同じ法務局の管轄内にある場合の必要書類

管轄が同じであると、必要な書類は少し減ります。例えば、「印鑑届出書」や「印鑑カード交付申請書」は不要です。

本店移転登記申請書

提出する法務局がひとつだけなので、1通用意すれば問題ありません。

株主総会議事録

必ずしも必要になるとは限りません。というのも、株主総会議事録が必要となるのは定款変更があるときのみだからです。定款には住所地を記載しますが、番地まで記載しないこともできます。同じ管轄の地域へ移転する場合で番地まで記載していない場合は、定款変更が生じないことも多いでしょう。

株主リスト

株主総会議事録を添付する場合に必要です。

  • 取締役会議事録、もしくは取締役決定書

取締役会の決議、もしくは取締役の過半数で本店の場所や日時を定めたことを証します。

本店(本社)移転の手続きに関する注意点

本店(本社)移転の手続きにおいて注意すべき点は次のとおりです。

本店(本社)移転の手続きをしなかった場合は罰則あり

会社法第976条1号により、本店(本社)移転の手続きを怠ると100万円以下の過料になる場合もあります。

本店移転手続きはオンラインでも可能

移転時は雑事も増えるため、どうしても法務局へ出向く時間がない場合もあるでしょう。そうした際はオンラインでの申請も可能です。

具体的なオンライン申請の手順は、「申請情報の登録」と「申請用総合ソフトのインストール」(初めての場合のみ)を行った後、申請用総合ソフトにログインし、そのソフトを使用して申請書情報を作成します。作成が終わったら申請書情報へ電子署名の付与・送信を行い、登録免許税の納付、添付書類の提出で終了です。

また印鑑証明書の交付もオンラインで行えます。

本店(本社)移転は事前スケジュールを立て計画的に行うことが重要

本店(本社)移転時でなければあまり聞くことのない「本店移転」ですが、登記上の言葉であり、支店や支社がなくても会社を移転する際は本店移転登記をすると理解すれば間違いはありません。

また、移転先が現在の本社がある地域を管轄する法務局内か外かで必要な手続きが異なります。特に管轄外に移転する際は手続きに必要な書類が増えるので、予め確認と準備を怠らないようにしましょう。

さらに定款変更が必要な場合は、株主総会議事録や取締役会議事録(もしくは取締役決定書)が必要になります。これらを準備するには株主総会や取締役会の日時を設定し出席を要請するといった手間も生じるので、余裕をもって進めておきましょう。

本店(本社)移転は、書類による手続き以外にもいろいろとやるべきことがあります。そのためミスや漏れを防ぐうえでも必ず事前にやるべきことと工数を把握します。そのうえで移転スケジュールを立て、計画的に行うことが重要です。


 [S1]本店(本社)移転に統一しました。

本店移転登記など書類名称はそのままとしております。

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