人が集中力を持続できる時間は一概には言えません。しかし、集中力を削いでしまう環境をできるだけ排除することで、集中力を発揮し、それを持続させることは可能です。そこで企業がやるべきことは、少しでも集中力を持続できる、もしくは効率的に気分転換ができるオフィス環境を構築することです。今回は、どういった環境だと集中力が削がれてしまうのか、そして、どうすれば仕事に集中できる環境を構築できるのかといったことについてお伝えします。
仕事に集中できない環境とは
アメリカの心理学者、アンダース・エリクソンによると、1日のなかで人が集中できる時間は4時間だとされています。もちろん個人差はありますが、これを基本として考えると一般的な業務時間8時間で本当に集中して仕事ができるのは半分しかありません。さらにオフィス環境が悪ければ、集中できる時間はさらに減少してしまうでしょう。仕事に集中できないオフィス環境とひと口にいっても、その答えは1つではありませんが、なかでも大きいのは、1つの効果だけに絞られたオフィスです。
近年、オフィスでは従業員同士が活発にコミュニケーションをとることが重要視される傾向にあり、部署間の仕切りをなくしたオープンオフィスを取り入れる企業が増加してきました。しかし、イギリスのBBCが2017年に行った調査では、オープンオフィスにすることで従業員の集中力が乱され、生産性が15%も低下したという結果が出ています。
コミュニケーションの活性化や業務効率化などの効果を見込んだオフィスつくりは確かに重要です。ただし、それによって集中力が散漫になってしまわないよう、考慮することも忘れないようにする必要があります。
集中できる環境のメリット
オフィス環境の構築は、1つの効果だけを考えず、さまざまな効果を生み出すように構築することが欠かせません。では、オフィス内に集中できる環境をつくることでどういったメリットが生まれるのでしょうか。
集中力を高めるまでの時間が短縮される
仕事を始めて瞬時に集中状態に入ることは難しく、通常は集中力を高めるのにある程度の時間を要します。オフィス内に集中できる環境があれば、集中力が高まるまでの時間が短縮され、効率よく仕事が進められます。
集中力の持続時間が長くなり業務効率が上がる
周りの動きが目に入ったり、電話や物音が常になっていたりする状況では、集中力を持続することが難しくなります。しかし、集中できる環境があれば、視覚的、聴覚的ノイズが減少し、集中力の持続時間が長くなります。
集中力が削がれることがなくなりストレスが減る
自分自身ではなく周りの環境で集中力が削がれてしまうと、知らずしらずのうちにストレスとなって蓄積されていきます。集中できる環境であれば、そうしたストレスからも解放されます。
仕事に集中するための環境つくりのポイント
オフィス内に集中できる環境を構築することでさまざまなメリットが生まれます。では、そうした環境を構築するにはどうすればよいのか、そのポイントを3つ紹介します。
集中ブースの設置
常に自席で仕事をしていると、どうしても視覚的・聴覚的なノイズを避けることはできません。そこで、自席以外の場所に集中ブースを設置し、チームで仕事をする時と個人で集中して仕事をする時を区別します。これにより、仕事の切り替えがしやすくなるうえ、周囲の環境に左右されず短時間かつ持続的に集中できる状態をつくり出せます。
リラックスできるスペースの設置
オフィス内カフェや休憩スペースを設置し、気分転換をすることもひとつの方法です。集中力が散漫な状態で仕事を続けるよりも、一回リフレッシュして再度集中する方が生産性の高い時間を過ごせるでしょう。運用するにあたってルールを設ける必要がありますが、メリハリをつけた取り組み方も有効です。
適度な植物の設置、こまめな清掃
人は疲れた状態では集中することが難しくなります。そのため、植物の設置や電球色のデスクライトを使ってリラックス効果を出すなどの工夫もいいでしょう。また、周囲が汚れているのも集中力が削がれる要因となるため、こまめな清掃で整理整頓された状態をつくることも効果があります。
集中力の持続を保つには柔軟に切り替えができるスペースを設置することが重要
業務を円滑に進めていくためには、部署やチーム内でのコミュニケーションを活性化させることが欠かせません。しかし、同時にコミュニケーションを遮断し、集中して仕事ができる環境がないと、仕事のスピードが落ちてしまうリスクも生じます。そこで重要なことはコミュニケーションを活性化させるスペースと集中して仕事をするスペースの両方を用意し、状況に応じて使い分けることです。
設置数にもよりますが、集中ブースなら狭いスペースでも設置可能なため、社員の集中力を高め、生産性を向上させたいといった際には、集中ブース設置の検討をされることをおすすめします。