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売上アップをめざす企業にとって、生産性向上は必須の課題です。生産性を上げるためには、限られた資本や労働力を最大限に生かす方法を考える必要があるでしょう。生産性向上とはどういう意味なのか、業務効率化との違いや必要とされる背景を含めて解説します。また、企業が生産性向上のために取り組むべきことや、実際に行われている取り組み事例を紹介します。生産性を高めたいと考えている管理職や経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

生産性向上とは?業務効率化との違いや必要とされる背景

ビジネスの世界では、「生産性」という言葉をよく耳にします。しかし、言葉の意味が曖昧なままになっていないでしょうか。まずは、生産性の意味を理解し、業務効率化との違いや生産性向上が必要とされる背景を解説します。

生産性の意味

生産性とは、投入した資本や労働力に対し、どれほどの成果が得られたのかを示した比率のことをいいます。計算式は以下のとおりです。

「生産性=得られた成果÷投入した資本や労働力」

この計算で求められた比率が高いほど、生産性が高いことになります。そのため、生産性を上げるためには、できるだけ少ない投資で大きな成果を上げることが理想です。

業務効率化との違い

業務効率化の目的は、仕事における無駄を省き、より円滑に業務を遂行できるようにすることです。効率化により作業速度が上がれば、無駄なコストを抑えることが可能です。一方、生産性向上とは、より少ない投資や労働力で大きな成果を上げることをいいます。業務を効率化すれば、少ない投資で成果を上げることが可能なので、業務の効率化は生産性向上のひとつの方法なのです。

生産性向上が必要とされる背景

生産性向上が必要とされている背景として、国際市場における競争力強化が課題となっていることが挙げられます。また、労働人口が減少していることから、少ない労働力で高い生産性を維持する必要もあります。現状では、日本の労働生産性は海外の先進国と比較して低いといわれています。特に、フランス、アメリカ、ドイツなど主要先進7カ国のなかでは、就業者1人当たりの労働生産性が最下位です。国際競争力を高めるためには、労働者1人当たりの生産性向上が必須の課題といえるでしょう。

生産性向上のために取り組むべきこと

生産性を上げるために、企業は具体的にどのようなことに取り組めばいいのでしょうか。作業時間と労働力を削減し、生産性を上げる方法を紹介します。

業務の可視化

まずは、限られた労働力を最大限活用することが重要です。そのためには、業務量のバランスを見直す必要があります。方法として挙げられるのが、チーム内や個人の業務の可視化です。各メンバーが今何をしていて、どのくらいの業務量を抱えているのかを把握するのです。業務の可視化により、チーム内で優先度の高い業務からこなし、手の空いているメンバーに業務を配分することができます。

社員のスキルアップ

社員一人ひとりの生産性を上げるためには、社員の専門性を高め、スキルアップさせることも必要です。研修を通して、個々がスキルアップできる環境を整えましょう。たとえば、新しいソフトウェアを導入しても、使えない人が多ければ生産性は向上しません。使える人材を増やすことで、効率的に業務が進められ、生産性向上につながります。

業務のマニュアル化

決まった手順で行う作業をマニュアル化することで、作業時間を短縮し、生産性を高めることができます。日々の業務で無駄な作業が含まれている場合もあるので、マニュアル化を機に思いきって省くことも検討しましょう。業務をマニュアル化しておけば、担当者の変更や異動があった際も、引継ぎがスムーズに行えます。

ツールの導入

人員が不足している場合は、ツールの導入も効果的です。たとえば、定型業務を自動化すると、作業速度が上がります。また、テレビ会議システムを導入すれば、会議室への移動時間を省くことが可能です。近年、急速に進化している自動化ツールやAIの導入も検討しましょう。

生産性向上の具体的な事例

多くの企業が、さまざまな方法で生産性向上に取り組んでいます。ここでは、生産性向上に向けた企業の事例を紹介します。

レストランチェーンの事例

レストランチェーンのA社では、厨房の面積や作業の無駄を省き、その分客席を増やすことで生産性向上に成功しました。接客や調理をしている従業員の動きを秒刻みでチェックし、業務の削減や効率化に取り組んだのです。その結果、狭い店舗でも効率よく作業ができるようになり、小規模な店舗の設置も可能になりました。

製造業の事例

樹脂加工などを手がけるあるB社では、業務の改善を図るための取り組みに課題がありました。社長自らが社員にヒアリングを行っても、なかなか本音を言ってもらえなかったのです。そのため、インターンシップの学生に社員へのヒアリングを行ってもらい、本音を聞き出すことにしました。ヒアリングで得た情報をもとに、インターンの学生に改善策の提案をしてもらい、業務の改善を実施しました。その結果、年間200時間分以上の人件費の削減につながる見込みが立ちました。

流通業の事例

さまざまな生活用品の企画開発から販売までを行うC社では、事業が赤字に転じたことから、生産性向上の必要に迫られていました。そこで、同社では業務内容のマニュアル化により、業務を標準化・見える化する取り組みを開始。その結果、売上・営業利益が2006~2015年度の間に倍増、無駄な作業がなくなったことで、社員の定時退社率も向上しました。さらに、現場の社員がマニュアル改善の提案をしやすくなるように、提案用のフォーマットを定めるなど、マニュアルをより良いものにしていく工夫も行っています。

事例を参考に生産性向上の方法を見つけよう!

労働人口の減少や市場競争の激化などにより、企業が売上を増やすには多くのハードルがあります。そのような状況のなか、多くの企業が生産性向上のためのアイデアを出し、実践しています。紹介した企業の取り組みは、実際に成果を上げた事例です。なかには、インターンの学生に業務改善策の提案をしてもらうなど、ユニークなアイデアもありました。他社の事例を参考に、職種や職場環境に合った生産性向上の方法を見つけましょう。

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