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プロジェクトを成功させるうえで重要な会議であるにもかかわらず、なぜか集中できない、活発な意見が出ないといったことはありませんか? もしかするとそれはレイアウトに問題があるのかもしれません。会議室のレイアウトによって、参加者の意識は大きく変わるのです。そこで今回は、活発な議論を生み出すための会議室レイアウトについて考察します。

会議室のレイアウトの種類6選

会議室のレイアウトにはさまざまな種類があり、目的や参加者数に応じて変えることで、より効果的なミーティングが可能になります。
例えば活発な意見交換を促すレイアウトと、商品のプレゼンに適したレイアウトは異なるため、想定される使用シーンを考慮して机の配置を決める必要があります。
ここでは、多くのオフィスで採用されている代表的な6つのレイアウトについて解説します。
各レイアウトの特徴や適したシーンを理解することで、より効率的に会議室の運用ができるでしょう。

種類用途
対面式小さなチームでの意見交換やディスカッション、商談や挨拶など
コの字式プレゼンテーション、役員が集まっての定例会議など
ロの字式大人数の会議、重要なミーティングなど
スクール式セミナーや研修会、講演会など
アイランド式グループディスカッション、小規模チーム会議など
シアター式大人数の会議や講演会、発表会など

対面式

対面式のレイアウトは、比較的小規模な会議室でよく見られるスタイルです。
そのため、会議室以外でも応接室や商談室など、接客を行う場所に採用されることもあります。
1つの長いテーブルを挟み、向かい合わせに椅子を配置します。
各チームや部門が対面して座るため、対等な立場で議論がしやすく、対話が円滑に進むのが特徴です。
小さなチームでの意見交換やディスカッション、商談や挨拶などが行われる会議室に適したレイアウトです。
ただし参加者が多くなると、テーブルの端に座る人は議論に参加しづらくなることがあります。
また、向かい合った席同士のグループが対立的な関係を作り出すこともあります。
そのため、小規模なグループでの使用が効果的とされています。

コの字式

コの字式のレイアウトは、長机を「コ」の字型に配置して周囲に椅子を置くスタイルです。
それぞれの席に着いたままのフラットなミーティングや、中心に登壇者が立っての使用も可能です。
そのため、プレゼンテーションや役員が集まっての定例会議などでよく使用されます。
机の内側にホワイトボードやプロジェクタースクリーンを設置できるため、資料を見ながら議論を進めるのに適しています。
また参加者が向かい合って座るためコミュニケーションが取りやすく、積極的な意見交換が可能です。
一方で、コの字の内側がデッドスペースとなってしまうため、広めの会議室が必要です。

ロの字式

ロの字式は、四辺すべてを机で囲み周囲に椅子を配置するレイアウトです。
上から見るとカタカナの「ロ」や漢字の「口」に見えることから「ろのじ」や「くちのじ」と呼ばれています。
主に大人数の会議や重要なミーティングなど、フォーマルなシーンで採用されている形式です。
上座下座の明確な区別がなく、参加者全員が顔を合わせられるため、対等かつ緊張感を持って議論を進めやすいというメリットがあります。
ロの字式も内側にデッドスペースが生まれるため、広い会議室が必要です。
小規模な会議室に取り入れるなら、中心の空間を縮小してレイアウトします。
ただし常に誰かと顔を向き合わせるため、慣れていないと緊張してしまうかもしれません。

スクール式

スクール式は、学校の教室のように机と椅子をすべて同じ方向に配置するスタイルです。
参加者は横並びになった机に座り、登壇者は前方のスペースに立ち、中心となって会議を進めます。
また正面には演台やプロジェクターを設置し、ときには照明を使った演出も行われます。
そのためセミナーや研修会、講演会など大規模なイベントで採用されることの多いレイアウトです。
スクール式のレイアウトでは参加者が一方向を向いて座るため、意見交換やディスカッションには向かず、一方通行のコミュニケーションとなります。
また参加人数やミーティングの長さによっては、参加者一人ひとりの集中力が散漫になることもあります。

アイランド式

アイランド式は、会議室内に複数のテーブルを独立して配置するスタイルです。各テーブルには少人数が着席し、グループ単位で作業を行います。
グループディスカッションやブレインストーミングを効果的なものにするため、複数の小規模チームがある事業で採用されるレイアウトです。
また大規模な会議では、参加者を小グループに分けてグループ別にプレゼンをさせたり、小規模なミーティングを都度はさんだりするシーンで活用されています。
一方で全体でのディスカッションは難しいため、意見を集約する際にはテーブルごとに代表者を決め、意見をまとめるなど会議の進行方法に工夫が必要です。
また、複数の机を離して置くため広めのスペースが必要です。

シアター式

シアター式は、その名の通り映画館のようにすべての椅子を一方向に向けて配置するレイアウトです。
スクール式と似ていますが、テーブルが置かれないためスペースを広く使えるのが特徴です。
そのため大人数の会議や講演会、発表会などで採用されています。
また省スペース化も可能なため、限られたスペースに大人数を集めることも可能です。
ただし、机がないため何かを書いたり作業をともなう場合には向いていません。
対処方法としては、小さな作業テーブルが付属している椅子の採用や、必要に応じてキャスター付きのデスクを使うことなどが考えられます。
またスクール式と同じく、一方通行のコミュニケーションになるため、ディスカッションには向いていません。

社員の働き方を変えるオフィスレイアウト

【人数別】会議室において必要な寸法や広さ

会議を円滑に進めるためには、人数に適した広さが必要です。ここでは、会議室に必要な広さを、使用する人数ごとに解説します。

4~6人が使用する場合

4~6人程度の小規模な会議室では、対面形式のレイアウトが適しています。
4人の場合、目安となる寸法は約6㎡(3m×2m)で、6人の場合は約14.5㎡(4.5m×3m)が理想です。
参加者一人あたりに必要な座席幅は最低でも600~700mm、奥行きは450~600mm程度を確保しましょう。
また、テーブルサイズやテーブル間の距離も重要です。圧迫感を避けるためにテーブルから壁面まで900mm以上の通路幅を確保するようにしましょう。
特に肘つきチェアを採用する場合は、1人あたり幅700~800mmほどが目安です。

10人程度が使用する場合

10名前後の中規模会議室の場合、24~30㎡程度のスペースが必要です。
この規模の会議室では、対面形式や島型形式、コの字・ロの字形式、スクール形式など幅広いレイアウトが可能です。
仮にスクール形式を導入するなら、横方向には幅600~800mm程度の通路を確保し、縦方向には椅子を引きやすいように800mm程度のスペースを確保しましょう。
参加者が会議室に収まりきれないことが想定される場合、テーブルを置かないシアター形式も検討します。
壁と席の間に設けるスペース幅は800mm程度、避難通路として利用する場合はやや広めにとり1,000〜1,200mmくらいが必要です。
またホワイトボードやプロジェクターを設置するなら、ボード前の通行スペースと講師の動作スペースを確保するために、壁と最前列の席の間を1,200mm程度とるようにします。

30人超えの方が使用する場合

30人以上の大規模な会議室を設営する場合、120㎡程度のスペースが必要です。
大規模なセミナーやプレゼンが想定されるため、島型形式やスクール形式を採用します。
スクール形式の場合、1つのテーブルに何人座るかによって動員上限数が変わってきますが
、避難通路として壁と席の間に1,000~1,200mmのスペースを確保しましょう
ホワイトボード、プロジェクターを設置する場合は、壁と最前列の席の間を1,200mmほど確保すると動きにゆとりが生まれます。
大規模な会議室では、特に安全面と快適性を両立させる必要があるため、余裕を持った広い通路スペースを確保しましょう。

会議室レイアウトを検討する際のポイントと注意点

では実際に会議室をレイアウトする際に、何に注意すべきなのでしょうか? ここでは特に重要なポイントをふたつ紹介します。

自社で行われる会議はどういった用途のものが多いかを把握する

企業によっては、会議形式がある程度決まっている場合も多いです。全社会議や定例会議など大人数が参加する会議が多い、チームごとのミーティングや小さな打ち合わせが多いなど、いくつかの形式に分類できるのではないでしょうか。これまでの経験や現在の状況から、自社で行われる会議はどういった用途が多いのかを把握し、もっとも多い会議形式に合わせたレイアウトを考えましょう。

用途に応じてレイアウトを変更できるような机、椅子を用意する

長机を用意しても折りたたみ式でもキャスター付でもなければ、異なる用途の会議に柔軟に対応することができません。用途に応じて複数の会議室を設置するスペースがあれば問題ありませんが、そうでない場合は、レイアウト変更に対応できる机、椅子を用意するとよいでしょう。

騒音対策を行う

会議室からの音漏れは、情報漏えいのリスクを高めるだけではなく、他の従業員の集中力を低下させ、生産性に悪影響を与える可能性があります。そのため重要な会議が行われる部屋には、吸音性の高い壁材を使用し防音効果を高める必要があります。

また音はちょっとした隙間からも漏れるため、ドアや窓の隙間をしっかりと密閉できるような設計を採用し音漏れを防ぎます。さらにマイクとスピーカーを使った大規模なセミナーが想定されるなら、高い防音効果をもつ防音ドアや二重窓の導入を検討しましょう。

オープンな空間に会議室を設置する場合には、パーテーションを使って仕切り、個人デスクから離れた場所に会議室を設置することで、騒音のリスクを軽減できます。
執務室と会議室の音が、お互いに干渉し合わない工夫が必要です。

家具の寸法は事前にチェック

購入前に、必ず家具の寸法をチェックしておきましょう。
またオフィス家具を選定する際には、最大寸法だけでなく有効寸法にも注目します。
最大寸法は家具の全体的な大きさを指しますが、実際には有効寸法が使用感に大きな影響を与えます。
有効寸法とは、人が座るときにテーブルのふちから椅子を引いた際の内側の長さのことで、座る人の快適性に影響を与えます。仮に幅1400mmの長机があった場合、脚の幅が30mm×2脚分で60mmあると、有効寸法は1340mmになります。この寸法を確認せずに家具を購入すると、座ったときに窮屈に感じることがあります。

またテーブルの脚が斜めにデザインされている場合や、収納スペースを含む家具なら、有効寸法がさらに制限されます。そのためカタログやウェブサイトで、最大寸法だけでなく有効寸法を確認して家具を選びましょう。
こだわりがあるなら、実際にショールームを訪問して確認することも有効な手段です。

最近の会議室のトレンド

会議室のデザインやレイアウトは、働き方の変化に応じて進化しています。
近年のトレンドを押さえて、どのような会議室が求められているのかを見ていきましょう。

オンラインにも対応する会議室

リモートワークの普及により、ハイブリッド会議室が注目されています。
ハイブリッド会議室とは、対面とオンラインのどちらにも対応した会議室です。オフィスに出社している人と、自宅や外出先からリモートで参加する人が同じ会議に参加できます。
ハイブリット会議室を構築するには、十分な速度のインターネット回線を用意し、会議に適したマイクやスピーカー、カメラなどの設備を設置します。
近年はWebミーティング用のツールも選択肢が増えてきたため、環境に応じて最適なものを選択しましょう。

スタンディング形式の会議室

スタンディングミーティングスペースは、立ったまま会議を行うスタイルの会議室です。
デスクを置くレイアウトと比較して省スペースで設置できるうえ、会議がカジュアルになりやすく、参加者が気軽に意見を出しやすいのが特徴です。
また立ちっぱなしでの会議は自由に体を動かすことができるため、社員の健康面にも良い影響が期待できるでしょう。
そのため、オフィスの省スペース化やリフレッシュ効果を目的に導入が進んでいます。
さらには会議が迅速に進行する傾向があり、短時間での意思決定やブレインストーミングに適しています。
自然とリラックスした雰囲気になりやすいのもメリットです。

遊び心のある会議室

最近の会議室は単に機能的なだけでなく、リラックスできる雰囲気や遊び心を取り入れることがトレンドとなっています。
木材や観葉植物などの自然素材を使ったり、アウトドアに使う家具を配置することで、リラックスできる空間が作られています。
柔らかくナチュラルなデザインを採用することで、会議の際の緊張感を和らげ、コミュニケーションを活性化することが目的です。
また従来の会議室にはないデザインで、これまでにないアイディアの創出やイノベーションにつながることも期待されています。

会議室レイアウトは広さや環境も考慮することが重要

さまざまな会議室レイアウトを紹介しました。レイアウトによって会議の雰囲気や参加者の意識が変わることも理解できたでしょうか。最後に、決定したレイアウトの効果をさらに発揮させ、活発な議論を生むためのポイントについて紹介します。

それは会議室の広さと環境です。

一般的に狭い空間は活発な議論が生まれやすく、広い空間はリラックスした雰囲気になり冷静な意見が得られやすいといわれています。用途によって複数の会議室を用意することが最適ですが、スペースがない場合はパーテーションをうまく使うことで、会議を行う空間の広さを変えることをおすすめします。

ほかにも、窓を設置しなければ集中力が高まる、壁をガラス張りにすればオープンな雰囲気になるなど、環境によっても参加者の意識は変わります。レイアウトとあわせて、会議を行う空間の広さや環境もしっかりと検討することが、活発な議論を生む会議室設置の重要ポイントといえるでしょう。

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この記事を書いた人

マーケティング部 コラム編集部 プラス株式会社ファニチャーカンパニー

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