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IT専門調査会社IDC Japan株式会社が、2018年7月に国内のテレワーク導入率を発表しました。それによると、2017年のテレワーク導入企業は14万社と推計されています。この数字は日本企業全体から見てわずか4.7%とかなり低い数字です。

政府が主導する「働き方改革」はもちろん、2020年の東京オリンピックへ向けての混雑緩和の解決策としても、テレワークの導入は急務となっています。同調査では2022年には29万社になると予測されていますが、この予測以上にテレワークの導入を進めるには何が必要なのでしょうか? そこで今回はテレワークの現状、そして普及を進めるためのポイントについてご紹介します。

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なかなか普及が進まないテレワークの現状

冒頭の調査結果でテレワーク導入企業は全体の4.7%ですが、その内訳を見ると従業員数500人以上の大企業での導入率は23.6%で、約4社に1社と決して低い数字ではありません。では、なぜ全体でこんなに低い数字になっているかといえば、従業員数499人以下の企業でのテレワークの導入率が4.7%と低迷しているからです。

導入率は従業員数が少なくなればなるほど低くなっていきます。総務省が発表した「平成29年版情報通信白書」によると、従業員300人以下のいわゆる中小企業でテレワークを導入している企業は、4.7%よりさら低く3.0%という結果が出ています。

中小企業庁が発表した「2018年度版中小企業白書」によると、2014年時点での日本の企業数は大企業が1.1万社、中小企業が381万社です。冒頭の調査では2022年にはテレワーク導入企業が29万社になると予測しています。現状3%しか導入が進んでいない中小企業が、かなりのスピードでテレワーク導入を進めていかない限り、この予測の数字を実現することはかなり困難であるといわざるを得ないでしょう。

テレワークから考えるオフィスの役割

中小企業でテレワークの導入が進んでいない理由

中小企業での導入がカギとなっているテレワークの普及。確かに導入社数だけを見入ると、現状はかなり厳しいといえます。しかし、導入していない企業がまったくテレワークの検討をしていないかといえばそんなことはありません。

先述の平成29年版情報通信白書によると、社内制度や情報システム面において、すでにテレワークを導入している企業と同水準の環境が整っている企業(従業員300人以下)は21.4%。社内制度、情報システムのいずれかの環境が整っている企業も34.7%であるとしています。では環境面では導入企業と遜色ない企業が多いにもかかわらず、なかなかその先へ進めない理由とは何なのでしょう。

平成29年版情報通信白書では、すでにテレワークを導入している企業とまだ導入していない企業で導入の目的に違いがあると指摘しています。テレワーク導入企業は、「顧客満足度の向上、営業力の向上」「イノベーション創出の環境づくり」など、企業の競争力を高めることを目的としています。これに対し導入していない企業では、「人材の採用・確保、流出の防止」「育児による退職の防止」「介護による退職の防止」など、福利厚生を目的としています。この結果を見る限り、テレワークを導入することで得られるメリットへの理解度の違いが、導入に至らないひとつの理由となっているようです。

また、導入企業が導入するに際して課題としていたことと、導入していない企業が課題と感じていることの比較を見ても違いが出ました。導入していない企業は導入済みの企業に比べ、「社員・管理職・経営層の理解」「テレワークの導入・運用コスト」「導入による効果の把握」などを課題としています。特に「社員・管理職・経営層の理解」に関して、導入企業とそうでない企業に大きな差があります。このテレワークの重要性に対する理解のなさこそ、導入が進まない最大の理由といえそうです。

中小企業でテレワーク導入を進めるためのポイントとは?

テレワーク導入は、国が主導となって進めている「働き方改革」のひとつの柱となるものでもあるため、最近ではテレビや新聞でも取り上げられるケースが増えています。しかし、現状ではまだ多くの企業にテレワークの重要性はもちろん、テレワーク自体の理解も進んでいないようです。そこで、特に中小企業でテレワーク導入を進めるためのポイントを3つご紹介しましょう。

経営層、管理職に理解してもらうための講習を行う

社員がテレワークに関心を持つことももちろん重要ですが、それ以上に決裁権を持つ経営層や管理職に理解をしてもらうことがテレワーク導入の早道です。テレワークの重要性やメリット、目的などをしっかりと理解してもらうためにも、講習を行うとよいでしょう。

まず導入しやすい部署から試験的に始める

テレワークは、必ずしもすべての部署にとって効果を持つ施策とは限りません。そうしたことを理解せずに導入してしまうと、かえって無駄が生まれ、効果も出にくくなるでしょう。そこで、まずはテレワークを進めやすいソフトウェア系の技術開発や研究関連といった部署から導入することがおすすめです。その結果を踏まえて順次ほか部署へ広げるようにすると、導入のハードルも下がります。

厚生労働省の助成金を活用する

まだ導入していない企業が考える課題のなかに、「テレワークの導入・運用コスト」があります。これを解決する手段としておすすめなのが、厚生労働省の「時間外労働等改善助成金」です。この制度は、テレワークに取り組んでいる中小企業に対し、その実施に要した費用の一部を助成するもの。こうした制度を活用すれば、テレワーク導入のハードルはさらに下がることになるでしょう。

テレワークから考えるオフィスの役割

テレワーク導入のメリットをしっかりとアピールすることが普及のカギ

テレワークを導入することで企業は競争力の向上や、育児や介護などにより休職、退職せざるをえない優秀な社員の確保、働き方の自由度が高くなることでの作業効率のアップ、交通費や移動費などの経費削減、さらにはBCP対策としても大きな効果を発揮するといったように、さまざまなメリットがあります。

しかし現状では、中小企業を中心に思ったような普及が進んでいません。この問題を解決し、テレワークの普及を進めていくには、まずテレワークのメリットを経営層、管理層に理解してもらう必要があります。

冒頭の調査によると、2022年にはテレワーク導入企業が29万社になると予測していますが、2020年には東京でオリンピックが開催されます。オリンピックでは国内外から観光客が集まり交通混雑が予想されるため、早急に対策を進めないと、大きな混乱を招くことにもつながるでしょう。政府も2020年に向けた国民運動プロジェクトとして、2018年7月23~27日にテレワーク・デイズを開催しました。この認知活動は2019年も引き続き行われるため、これをひとつのきっかけとして、企業内での認知を広げていくのも、テレワークを進めるためのポイントになるでしょう。

テレワークから考えるオフィスの役割

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マーケティング部 プラス株式会社ファニチャーカンパニー

プラス株式会社ファニチャーカンパニー マーケティング部

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