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不動産、ビル施設管理などを営む企業において、ファシリティマネジメントを行うことは事業の継続性の面で非常に重要な要素です。しかし、今やファシリティマネジメントはそうした企業だけではなく、自社ビルや工場を持つ企業や地方自治体においても欠かせないものとなっています。そこで今回は、建物や施設を経営資源として最大活用するために必要なファシリティマネジメントの基本をはじめ、その重要性、方法についてもご紹介します。

多くの企業が注目するファシリティマネジメントとは?

ファシリティとは、日本語で設備、施設といった意味のほか、便利さ、便宜、たやすさといった意味も持っています。企業の事業活用においてのファシリティも、単に設備や施設といったものだけではなく、それらを利用する人や環境すべてを含めたものを指します。

企業においての経営資源は、これまで「ヒト」「モノ」「カネ」の3つが柱となっていました。その後、テクノロジーの進化やインターネットの普及により、企業が持つ顧客データやコミュニティといった「情報」も経営資源のひとつになりました。そして近年「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」に加え、ファシリティは企業にとって5つ目の経営資源といわれるほど、重要なものとして認識されるようになっています。ファシリティマネジメントとは、そのファシリティの価値を向上させるための管理方法です。
平成9年には日本ファシリティマネジメント協会によって、認定ファシリティマネジャーという資格制度も始まりました。

具体的には、建物の点検や修繕といった維持保全はもちろん、省エネタイプの空調、照明の採用、高気密・高断熱化などもファシリティマネジメントの例に挙げられます。さらに震災・防犯対策や内装・外観の美化活動など、そこで働く社員が快適に過ごせるようにすることもファシリティマネジメントのひとつ。また、ファシリティマネジメントのポイントとして、建物の管理といった性質上、1~2年で結果を出すのではなく、中長期的な視点で計画を遂行していくことが重要です。

ファシリティマネジメントの効果と重要性

ファシリティが重要な経営資源といわれるようになったのは、バブル崩壊後、多くの企業でコスト削減が求められるようになったことが強く影響しています。一般的に企業においてコスト削減といえば人件費を削るといったイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。 しかし、人件費を削ることは、優秀な人材の流出や長時間労働の常態化など、弊害も少なくありません。そこで注目されるようになったのが人件費に次いで高いコストとなる固定費、つまりファシリティ関連コストの削減です。

同じコスト削減でも、人件費の場合は社員の負担を増やし、かえって生産性を下げてしまうことにつながりかねません。これに対し、ファシリティマネジメントを行った固定費の削減は、建物の機能性や快適性もアップさせるため、社員の満足度も上がり、結果として生産性がアップします。年々労働者人口が減少していく状況のなか、優秀な人材を確保しつつ利益を拡大させるという意味で、ファシリティマネジメントの重要性はより高まっています。日本では現在、ファシリティマネージャー認定試験があり、登録者数も年々増え続けていることからも、多くの企業がファシリティの重要性を認識していることが伺えます。

地方自治体が行っているファシリティマネジメント事例

ファシリティマネジメントは、企業はもちろん、地方自治体や公共団体においても高い効果を発揮します。ここでは、国土交通省が公開している地方自治体のファシリティマネジメント事例から、名古屋市財政局の事例をご紹介します。

名古屋市の公共施設のなかで、市設建築物は昭和40~60年代、そして公共土木施設は昭和30年代から集中的に整備されたものが多く、老朽化が進んでいました。従来の維持管理方法では一時期に大きな財政負担がかかると見込まれ、早急な対応が必要でした。

そこで名古屋市は、計画的・効率的な建物、施設の維持管理、長寿命化を行い、経費の抑制と平準化を図るため、構造体耐久性調査を実施。そのうえで今後の整備は40年程度での改築に備え、老朽化の進度によってリニューアル改修、セミリニューアル改修など、合理的で段階的な整備を行うことを決定しました。

公共土木施設も中長期を見据え、点検調査の結果に基づいた計画的で効率的な維持管理を実施するため、優先度を3段階に分け、順次維持管理を行うようにしています。さらに建物の新築、改修の際、ほか施設との集約化により、類似・重複機能の統合を検討。ほかにも駅近の交通利便性の良い場所に集約化を図ることで、施設の再配置も含めて効率化を推進します。さらに、

  • 原則として新規施設の整備は行わず、既存施設の空きスペース活用を行う
  • 土地取得は当面必要なものに限定する
  • 施設の集約化により余剰となった土地は原則売却する

などといったことにより、利便性の向上と同時にコスト削減となるよう計画を進めています。

優秀な人材を確保し、利益を上げるためにもファシリティマネジメントの実践を

これまで日本の多くの企業は「ヒト」「モノ」「カネ」、そして「情報」を経営資源として重要視してきました。しかし少子高齢化が進む日本において、優秀な人材を確保しつつ、企業として利益を上げていくには、建物や施設をいかに効率的に活用していくかが重要なポイントになります。企業として人件費を削減することなく経費を抑えるには、固定費を削減できるかどうかがカギとなるからです。

そこで考えるべきは、建物の快適性、機能性を損なうことなく固定費を削減すること。これが実現すれば優秀な人材を手放さなさずに競合他社への優位性を保つことも可能です。これまであまり建物のコスト削減を意識していなかった企業は、これを機会にファシリティマネジメントの実践に取り組んでみてはいかがでしょう。

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この記事を書いた人

マーケティング部 コラム編集部 プラス株式会社ファニチャーカンパニー

プラス株式会社ファニチャーカンパニー マーケティング部 コラム編集部

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