オフィスデザインは、その企業の文化やビジョンを内外に向けて示すものでもあります。例えば、ファッションを扱う企業のオフィスが古臭いデザインなら、その企業のブランドを買いたいとは思わなくなるのではないでしょうか。また、そこで働社員も先鋭的なデザインや企画を生み出しにくくなる可能性が高まります。
オフィスデザインで企業文化を伝えることの重要性
内外に向けて企業文化を伝える方法として、言葉で伝えていくことももちろん重要です。しかし、オフィスの壁に企業文化を書いて貼り出したとしても、仕事中に常に目に入るわけではありません。またそれだけでは、来訪者に対しても企業文化を伝えることは難しいでしょう。
企業文化を社員はもちろん社外にも明確に、しかも瞬時に伝えるには言葉よりもビジュアル、つまりオフィスデザインで伝えることが効果的。企業文化、そして企業が目指すところをビジュアルで表し、常に目に入るようにすることで、社員の意識も統一され目指すところにブレが生まれにくくなります。
オフィスデザインを工夫することで、単なる企業文化だけではなく、企業のブランドやストーリーを伝えることも可能です。ビジュアルには言葉だけでは伝わらないイメージを喚起させる力があります。そういった意味でもオフィスデザインで企業文化を伝えることは、企業のブランディングにおいて非常に重要なポイントだといえます。
企業ブランディング目線で考えるオフィスデザイン4つのポイント
オフィスデザインと一口にいっても、単にロゴを取り入れたり、コーポレートカラーを多用したりするだけでは、ブランディングにはつながりません。そこで、ここでは企業ブランディング目線でオフィスデザインを4つのポイントから考えてみます。
ロケーション
ロケーションはオフィスデザインとは関係ないと思われるかもしれません。しかし、どこにオフィスを設置するかを決めるのも大きな意味ではデザインのひとつです。若い人が集まる最先端の街、古くから伝統的な文化が根付いている街など、そこが自社の企業文化に適した場所であるかどうかで企業文化が明確になり社員の意識も変わります。
エントランス
オフィスの顔として社内外すべての人が必ず通る場所であるエントランスは、企業文化、ビジョンを伝えるのに最適な場所でもあります。特に来訪者にとっては、エントランスの印象でその企業の印象が決まることも十分にあり得ます。そのため企業文化を伝えるという意味では、オフィスの中でもっとも重要な場所であるといえるでしょう。
例えば、高額なマンションを販売している企業であれば、高級感あふれるデザインを取り入れる。弁護士、会計士などの士業や金融系の企業であれば、信頼感を演出したデザインにする。またファッションやゲームなど娯楽を提供する企業であればポップなデザインにする。このように、その企業のカラーを押し出すことで、内外に向けて企業文化を伝えることができます。
執務スペース
執務スペースは社員に向けて、企業のコンセプトを伝えるのに最適な場所です。
現在、世界191カ国で民泊仲介サービスを提供するAirbnb(エアビーアンドビー)では、フロアやエリアによって「アムステルダム」、「ブエノスアイレス」など世界の都市名がついています。それぞれのフロア、エリアの色、使われている材質でその都市のイメージを表現しているのです。これにより社員はオフィスにいながらにして、世界中のさまざまな都市を実感しながら働くことができるようになっています。
社内コミュニケーションを重視する企業であれば、部署をまたいでコミュニケーションが図れるスペースをつくるのもおすすめです。このように、企業文化を明確にしたデザインによって、常に社員に対して企業の姿勢を示すことが可能です。
使う人ありきのデザイン
オフィスデザインで企業ブランディングを行うことは、企業文化を伝えるとともに競合との差別化にもつながります。ただし、差別化は必ずしも奇抜であったり、特異なデザインであったりする必要はありません。そこで働く社員が気持ちよく働ける場所であることがもっとも重要です。まずデザインではなく、使う人ありきのデザインで社員を大切にしているという姿勢を示すことも、企業ブランディングとしては有効です。
オフィスは企業の理念を社内外に伝えるメディアであると意識することが重要
今回ご紹介してきたように、オフィスデザインはそれだけで企業の文化や目指すところを示す重要な役割を果たすことが可能です。また、それは自社の社員だけではなく、社外の方に対して自社をアピールすることができるメディアであるともいえます。
社内外に向けて自社の文化や目指すところを明確に示したいと考える企業は、オフィス自体がそれを可能にするメディアであることを意識してデザインすることが重要です。
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