働く環境の改善を目指す企業が増えるなか、オフィスに仮眠室を設置する動きが注目されています。仮眠室を導入すると、日中の眠気や疲労を効果的に解消し、従業員の健康維持と生産性向上を両立させ、企業イメージ向上にもつながる点がメリットです。この記事では、仮眠室を導入するメリットのほか、日本人の睡眠事情と日中の眠気の現状、仮眠室設置のポイント、運用ルールの作り方を詳しく解説します。
オフィスに仮眠室を設置するメリット
オフィスに仮眠室を置くと、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。オフィスに仮眠室を設置するメリットは、下記のとおりです。
■オフィスに仮眠室を設置するメリット

生産性向上
短時間の仮眠で脳がリフレッシュされ、集中力や作業効率が高まり、生産性の向上が期待されます。仮眠をとると特に昼食後の眠気が軽減され、午後のパフォーマンス維持に効果的です。
積極的な仮眠を指す「パワーナップ」は、15〜30分程度で取り入れやすく、科学的にもその効果は国際的にも認知されています。導入後は、会議の密度や残業が増えないよう、業務設計も併せて見直すと効果が見えやすくなるでしょう。
パワーナップについて詳しくは、こちらのページをご覧ください。
パワーナップの効果とは?生産性を向上させる正しい方法とアイテムを解説
従業員の健康維持への貢献
仮眠は疲労回復やストレス軽減に役立ち、心身の負担を下げる手段になります。睡眠不足が続くリスクを軽減し、長期的な健康づくりにもつながります。健康経営を掲げる企業では、仮眠室を「働き方と健康を両立する設備」として位置づける例も少なくありません。
企業イメージへの好影響
仮眠室の導入は、従業員を大切にする企業姿勢の象徴として伝わりやすく、採用や人材定着の文脈でも好印象に働きます。健康経営や働きやすさを重視する企業として、社外からの評価を高める材料にもなるでしょう。SNSやメディアで取り上げられれば、ブランド価値の向上につながる可能性もあります。

日本人の睡眠事情と日中の眠気の現状
仮眠室の必要性を社内で説明するとき、データにもとづく背景があると説得力が増します。ここでは日本人の平均睡眠時間と、日中の眠気が業務に与える影響を整理して紹介します。
日本人の平均睡眠時間の実態
経済協力開発機構(OECD)の集計によると、日本人の平均睡眠時間は7時間42分とされ、調査対象33ヵ国のなかで最も短い水準に位置づけられています。また、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人の割合が、男性の30〜50歳代、女性の40〜50歳代では4割以上を占める結果も報告されています。日本人の睡眠不足は、企業にとっても対策が必要な課題といえるでしょう。
日中の眠気の実態と課題
眠気によって、日中の仕事のパフォーマンスが下がったと感じる人は少なくありません。眠気は集中力や判断力の低下を招き、業務効率に悪影響を及ぼします。
プラスが実施した「職場の居心地WEB調査」(2022年10月)の、「業務中の眠気によって、仕事のパフォーマンス(効率や質)が下がったと感じることはありますか?」という質問に対する回答は次のとおりです。
■あなたは、業務中の眠気によって、仕事のパフォーマンス(効率や質)が下がったと感じることはありますか?(n=500)

眠気によってパフォーマンスが下がることが「ほぼ毎日ある」「週に2~3回程度ある」「週に1回程度ある」「月に2~3回程度ある」「月に1回程度ある」と回答した人の合計は78%。「ほとんどない/まったくない」と回答した人が22%という結果でした。約8割の人が月に1回以上眠気を感じているだけでなく、それによって「仕事の質や効率が下がった」と感じていることがわかります。
一方、NASAが発表した「長距離運航における計画的なコックピット休憩が乗務員のパフォーマンスと覚醒度に与える影響」(2013)によると、26分の仮眠を取ったパイロットは、認知能力が34%、注意力は54%向上したといいます。つまり、短時間の仮眠は眠気対策として有効であるといえるでしょう。

オフィスに仮眠室を設置する際のポイント
オフィスに仮眠室を導入する際は、場所と家具をどう選ぶかで利用頻度と満足度が大きく変わります。ここでは、仮眠室の設置を検討する際のポイントを紹介します。
<オフィスに仮眠室を設置する際のポイント>
- 適切な設置場所を用意する
- 仮眠に適した家具を選定する
適切な設置場所を用意する
仮眠室は、執務スペースから離れた静かな場所を選び、リラックスしやすい環境を作りましょう。遮音性や照明、空調を整えれば、限られた面積でも快適さを高められます。通路から見えすぎない配置や、サインで利用中がわかる表示も、従業員の心理的な安心につながります。防犯・非常口への動線と両立できる位置選びも、継続利用の条件です。
仮眠に適した家具を選定する
オフィスに仮眠室を設置する際は、適した家具の設定が欠かせません。リクライニングソファやカプセル型ブース、ホワイトノイズなど、短時間でも眠りやすい設備が選択肢になります。アイマスクや耳栓などのグッズを備え付けておくと、個人差に対応しやすくなるでしょう。
専用室が難しい場合は、リフレッシュコーナーをカーテンで仕切ったり、デスク周りに仮眠用グッズをそろえたりといったスモールステップから始める方法もあります。
プラスでは、パワーナップに特化した「Office Nap®(オフィスナップ)」を提供しています。深い眠りに入るのを防ぐ絶妙な後傾角度の110度で設計されたハイバックチェアは、デザイン性も高いのが特長です。ほどよい仮眠で従業員の生産性アップにつなげてください。

Office Nap®(オフィスナップ)について、詳しくはこちらのページをご覧ください。
オフィスの仮眠室の効果的な運用ルールの作り方
仮眠室は、運用ルールを前提に設計・導入することが、定着の前提になります。仮眠室を使われる設備にするための、運用ルールの作り方を紹介します。
<オフィスの仮眠室の効果的な運用ルールの作り方>
- 利用条件・利用時間のルールを定める
- 予約・利用方法のルールを統一する
- 衛生・安全に関するルールを徹底する
- 利用状況を把握し、改善を繰り返す
利用条件・利用時間のルールを定める
従業員の活用を促すためには、利用対象と、1回あたりの利用時間(15~30分程度)を明文化することが必要です。また、利用可能な時間帯を決め、業務への影響を抑えましょう。条件が曖昧だと長時間利用や特定者への偏りが起きやすく、不満やトラブルの温床になりかねません。
予約・利用方法のルールを統一する
誰でも利用しやすいように、予約制・先着制などの方針を決め、予約、利用、退出のフローをわかりやすく統一しましょう。利用後の片付けや、備品の返却、次の利用者への引き継ぎもルール化すれば、混雑や利用トラブルを防げます。
衛生・安全に関するルールを徹底する
仮眠室の清掃の頻度や、シーツやクッションの交換、換気・温度の基準を決め、運用することも欠かせません。体調不良時の利用制限や、長時間利用の禁止など、安全面も明記すると安心です。ルールが曖昧だと従業員の利用満足度が下がり、使いづらくなるかもしれません。消臭・除菌用品の置き場所や、利用後の簡易チェック項目を一覧化しておくと、運用が安定します。
利用状況を把握し、改善を繰り返す
仮眠室が活用されているかを確認し、簡易アンケートで満足度を定期的に確認して、ルールを更新することも大切です。初期ルールのまま固定すると、人数増加や働き方の変化に追いつけません。従業員の声を反映しながら改善を繰り返すと、利用促進と満足度向上の両方を狙えるでしょう。
オフィスに仮眠室を設置する際の注意点
仮眠室は、運用を誤ると逆効果になりかねません。オフィスに仮眠室を設置する際の注意点を解説します。
<オフィスに仮眠室を設置する際の注意点>
- 長時間の仮眠による生産性低下のリスク
- 残業時間の増加リスク
- 衛生管理とプライバシー確保の課題
長時間の仮眠による生産性低下のリスク
30分を超える仮眠は深い睡眠に入りやすく、目覚めの悪さや集中力低下を招くおそれがあります。利用時間の上限とアラーム運用をルールに含め、逆効果を防ぎましょう。必要とする仮眠時間は個人差もあるため、体調や主睡眠の時間も踏まえ、無理のない時間設定にするのがポイントです。
残業時間の増加リスク
日中に仮眠した従業員が、その分就業が後ろ倒しになり、残業が増えるようでは本末転倒です。仮眠室を導入する際は業務計画や勤務時間の捉え方と併せ、仮眠は「業務の一部として計上する」など、運用を設計してください。
衛生管理とプライバシー確保の課題
多人数が利用する仮眠室では、衛生管理とプライバシー保護のルール設定が欠かせません。個室やパーティションでプライバシーを確保し、マナー周知で安心感を高めましょう。誰もが使いやすく、安全が保たれた環境づくりが重要です。
オフィスの仮眠室は、新しい働き方の在り方につながるおすすめの施策!
オフィスに仮眠室を設置すると、生産性向上、健康維持、企業イメージ向上といったメリットが期待されます。従業員の健康と働きやすさを両立するオフィスの新しい環境づくりとして、おすすめの施策です。設置場所や家具、運用ルールを一体で設計し、継続的に見直すことが定着のカギといえるでしょう。
オフィスづくりのプロ・プラスでは、Office Nap®(オフィスナップ)をはじめ、働きやすさに直結するオフィス環境のご提案が可能です。ゾーニングや動線、什器の選定まで含めて検討したい場合も、ワンストップで相談できます。設置やレイアウト、運用について、ぜひお気軽にご相談ください。

オフィスの仮眠室に関するよくある質問
オフィスに仮眠室をつくるメリットは?
オフィスに仮眠室をつくるメリットは、短時間の仮眠で脳をリフレッシュさせ、生産性と集中力を向上させられる点です。また、睡眠不足による健康リスクを軽減できるため、従業員の健康維持にも大きく貢献します。さらに、こうした設備を整える姿勢は「人を大切にする企業」という好印象を与え、採用や離職防止にもつながるでしょう。
オフィスに仮眠室をつくる際のルール設定のポイントは?
仮眠室のルールは、まず利用時間を15〜30分程度に設定し、長時間の睡眠を防ぐ運用ルールを明文化しましょう。併せて予約制か先着制かといった利用フローを統一し、誰でも気兼ねなく使える環境を整えるのがコツといえます。また、清掃頻度や換気基準などの衛生管理、およびプライバシー確保に関するルールを徹底すれば、利用者の満足度と定着度が高まります。
オフィスに仮眠室を設置する際の注意点を教えてください。
オフィスの仮眠室における30分を超える深い眠りは、目覚めの悪さや逆の生産性低下を招くため、適切な時間管理の周知が不可欠です。仮眠が原因で終業時間が後ろ倒しになり、残業が増えないよう、勤務時間としての扱いもあらかじめ整理しておきましょう。多人数が利用することを前提に、消臭や除菌用品を備え付けるなど、常に清潔な空間を維持する工夫も重要です。

