企業の個性が発揮できるオフィスの内装。特に最近のスタートアップ企業では家具の選定、レイアウトにこだわっているケースが少なくありません。大企業と違い、小規模であるからこそ一つひとつにこだわったおしゃれな内装を求めているのではないでしょうか。しかしオフィスである以上、おしゃれさと共に機能性も重要なポイントとなります。今回は、おしゃれで快適なオフィスを実現するための内装工事について、手順や注意点を含めて紹介します。
オフィス設計で内装にこだわることの重要性
オフィスは仕事さえできる場所であれば問題はない、といった考え方は決して間違いではありません。しかしブランディングといった観点から考えた場合、この考え方は必ずしも正しいとはいい切れません。オフィスデザイン、特に内装はその企業の姿勢やポリシーを表すものであるからです。
オフィス家具の色にコーポレートカラーを取り込む、カフェ形式のミーティングルームを設置する、自社商品をうまくレイアウトに組み込むといったことで、言葉ではなく見た目で自社らしさを出すことが可能です。それによって従業員の帰属意識が高まり、モチベーションアップも期待できるでしょう。
また、外部の業者や取引先が来社した際、雑然としたオフィスと、おしゃれで快適なオフィスでは、後者のほうが良い印象を与えます。おしゃれで快適なオフィスは、社員の採用活動においても大きな効果を発揮します。一日の大半を過ごすオフィスが内装にまでこだわっているかどうかは、求職者にとっても会社を判断する重要なポイントとなるからです。このように、オフィス設計で内装にこだわることは、自社の従業員はもちろん、外部に対しても良い印象を与えます。
オフィスの内装工事を進める手順
オフィスの内装が決まれば、実際に工事を進めていくことになります。一般的なオフィス内装工事の大まかな流れについて説明します。
ヒアリング・見積り・契約
業者を決める際は、必ず複数の業者に会って相談することをおすすめします。その際の対応や見積り内容を検討し業者を1社に絞り契約を行います。選択のポイントは、どれだけこちらの話に真摯に耳を傾けてくれるか、見積りを概算ではなく詳細で出してくれるかどうかです。
設計・工事計画策定
業者が作成した設計書を確認し、工事計画の策定を行います。
施工・引き渡し・点検
内装工事の期間は、20坪程度の広さで1~3ヶ月が目安となります。ただし、工事内容によってはそれほど広くない物件であってもそれ以上の期間がかかる場合もありますので、契約の時点で必ず確認するようにしてください。施工期間中はオフィスで業務を行うことができません。そのため、現在のオフィスをリニューアルする場合は、事前に仮オフィスを用意しておきます。工事が完了したら引き渡しを受け、業者にもよりますが、半年後、1年後に点検を行い、問題点があれば改修作業を行います。
オフィスの内装工事にかかる費用相場
オフィスの内装工事をするうえでもっとも気になるのは費用ではないでしょうか。内装工事にかかる費用相場を簡単に紹介します。
一般的なオフィス内装工事の費用相場は、1坪あたり約10万円~30万円です。この20万円の幅は、レイアウト変更のみか、オフィスの移転か、新規開設かにより変わり、新規開設がもっとも高くなります。しかし、レイアウト変更やオフィス移転であっても照明をすべて変える、部屋数を増やす、もしくは壁を取り払い1部屋を広くするといった大がかりな工事になると費用は大幅に上がります。
レイアウト変更、移転、新規開設といったさまざまな理由で行われる内装工事ですが、理想をかなえつつ費用を抑えるための主なポイントは次の3点です。
1. 見積りは必ず複数業者に依頼する
前述したように、必ず相見積りをとることが重要です。ただし相見積もりのなかで最安の業者を選択すればよいわけではありません。見積りの内容を比較し、わからない部分については必ず質問をします。質問に的確に回答できる業者でなければ見積り額が最安でも、後になってトラブルが発生し、最終的には費用も手間もかかってしまうケースも少なくありません。
2. 必要以上に華美にしない
オフィスの内装を変えることは企業のブランディングにつながりますが、必要以上に華美にすると訪問者に派手で落ちつかないといったイメージを持たれてしまう場合があります。業種にもよりますが、基本的にはあまり華美にしすぎず、シンプルでも個性を感じさせるデザインにすることで、結果として費用を抑えることが可能です。
3. 家具、備品のすべてを新調しない
レイアウト変更や移転の際、デザインによっては家具や備品を新調することがありえます。費用を抑えたい場合は、できるだけ現状のものを使い、工夫によって個性を出すようにするとよいでしょう。
オフィスの内装工事をする際の注意点
オフィスの内装工事は、一般住宅の工事とは異なる点がいくつかあります。違いを知っておかなければ、後になってオフィス管理会社や施工業者とのトラブルに発展してしまう可能性があります。ここで注意点を確認しておきましょう。
建築基準法や消防法による制限を考慮する
ビルの室内をリニューアル、リフォームする場合、建築基準法と消防法による制限があります。排煙設備を設置すること、壁や天井を不燃性、難燃性のものにすること、天井まで届く間仕切りを使用する際には火災報知器を設置することなど、細かい制限を必ず遵守するようにします。
オフィス内装工事の経験が豊富な業者を選定する
前述した法律による制限にも関わることですが、施工業者は、オフィス内装工事の経験が豊富な業者を選定するようにします。また、複数の業者が間に入った場合、契約上の問題や施工後の問題が発覚した際に、責任の所在があいまいになる可能性があります。デザインと施工の両方を行える業者がよいでしょう。
オフィスが入居しているビルのルールを確認する
ビルによっては、リフォームやリニューアルの際は指定の施工会社以外に発注できないケースもあります。法律以外にビル独自のルールが存在する場合もあるため、必ず事前にビルの管理会社に確認を行うようにします。
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理想の内装を実現するポイントはデザインと施工両方ができる業者を選ぶこと
これから事業を拡張していこうと考えるスタートアップ企業にとって、オフィスの内装は仕事場であること以上に、ブランディングという大きな役割も持っています。内装にこだわることは見た目が良いということ以上に大きな効果を発揮するでしょう。
しかし、いざ工事が終わってみると想像と違ったものになっていた、というケースもあります。理由の多くは、デザインを行う業者と実際に工事を行う業者が異なることにあります。自分の思いや意思を明確に形にしたいのであれば、デザインと施工の両方を一貫して行える業者を選定することが望ましいといえるでしょう。
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