近年、オフィスにコミュニケーション活性化やリラクゼーション強化の意味でカフェスペースやリラックススペースを設置する企業が増えています。なかにはこのスペースを集中スペースとしても利用している企業があるようです。たとえば、オフィスカフェの一角やリラックススペースにあるファミレス席、窓際のカウンター席のほか、フリースペースなどオープンな場所にスタンディングデスクを設置しています。
しかし、周囲がリラックスしている状況で集中して仕事をすることは難しいと思われる方も多いのではないでしょうか。最近では、従業員の業務生産性を向上することに特化して、オフィスに集中スペースを導入する企業も増えているようです。集中スペースは、わずかなスペースながらもフリーアドレスやABWに近い効果や、生産性向上による残業時間抑制といったメリットもあり、今、大きな注目を集めています。
今回は、業務効率化や生産性の向上に効果を発揮する集中スペースについて、具体的な効果や設置のポイント、どういった企業、部署に向いているのかをお伝えします。
オフィスの集中スペースがもたらす効果
オフィスに集中スペースを設置することは、前項で挙げた効果以外にもいくつかメリットがあります。具体的には次のとおりです。
電話がないため、一人で集中したい作業に取り組みやすい
集中スペースには固定電話を設置しないことがほとんどです。そのため、外線や内線が鳴らない静かな環境となります。事前に「集中スペースにいるため連絡はメールや社内SNSなどでお願いします」といったことを周囲の社員に伝えておくことで、一人で集中したい作業に取り組めるでしょう。
集中ブースのような密室度の高い個室ではないものの、集中して業務に取り組むことを目的としているスペースが生む適度な緊張感は、集中しやすい環境をつくるといえるでしょう。
ずっと同じ席で仕事を進めて集中が途切れた際の気分転換になる
ずっと自席を離れず仕事をしているとどうしても集中力が途切れてしまいがちです。自席で集中力を高める方法もありますが、環境を変えることで気持ちの切り替えがしやすくなるでしょう。集中スペースを活用して気分転換をすることで、集中力を高めやすくなるという効果が見込めます。
窓際のカウンター席やスタンディングデスクでメリハリをつける
集中力を高める方法の1つとして、リラックスした状態を保つこともあります。外の景色が見える窓際のカウンター席であれば、リラックスしやすく集中力を高める効果も発揮されます。また、スタンディングデスクは、立って仕事をするためダラダラしにくく、眠気を防止する効果があります。その場所を選ぶ目的が明確になるため、メリハリをつけて生産性を高めることにつながるでしょう。
オフィスの集中スペースはどういった企業、部署と相性がいいのか
オフィスの集中スペースは、業種を問わずどういった企業であっても高い効果が期待できるスペースです。しかし、部署単位で見ればオフィスの集中スペースと相性が良い部署、そうでもない部署があります。相性が良い部署としては、次の部署が挙げられます。
議論しながら進める時と個人で集中する時が分かれる職種
主に制作、プログラマー、SE、デザイナーなどクリエイティブ職
電話など音の出る業務と事務作業に分かれる職種
業務内容が、電話を使った業務とそれ以外の事務作業の2つに分かれる営業職
内勤かつ個人で進める業務が多い職種
一般的な事務作業中心の職種や個人で進める業務が多い職種もオフィスの集中スペースと相性が良いといえます。
これに対し、集中スペースはオープンな場所に設置することが多いため、機密性の高い書類や情報を扱う部門は使いにくさを感じることがありそうです。例えば、経理や人事など社内秘情報を扱う業務が中心の職種は、集中スペースを使える機会が限られてきそうです。そういった場合は、より機密性の高い集中ブースを用意することで、機密情報を取り扱う部署の人も集中して取り組める環境づくりも大切です。
それぞれの働き方に合わせた環境、スペースを設置することが業務効率化を実現する
オフィスの集中スペースは、仕事に集中することを目的として設置されたスペースです。しかし、自席で集中力が途切れそうになってしまう、もしくは途切れてしまった際に場所を変え、リラックスした状態で仕事をするという目的でも活用できます。集中を目的とする場所だからといって、必ずしも周囲を囲う必要もありません。企業によって周辺環境や部署などの状況に応じ、手軽に利用できるオープンな場所に設置することが大切です。
オフィスでは部署やチームによってさまざまな業務を行うため、それぞれに適した働き方があります。常にコミュニケーションが必要な部署もあれば、そうではない部署もあり、それをすべて同じ環境に閉じ込めてしまえば、業務効率化は実現できません。オフィスの集中スペースは、適切に設置することで社員の集中力を高める効果を発揮するのです。