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バイオフィリアとはどういう意味?

バイオフィリアとは生命や自然に対する愛好や愛着を表す概念で、「バイオ」(生命、生物)と「フィリア」(愛好、好み)を組み合わせた造語です。「人間は本能的に自然とのつながりを求める」ということを、基本的な考え方としています。

バイオフィリアは1984年に提唱された概念で、近年ではバイオフィリアの概念を生活の中に取り入れた「バイオフィリックデザイン」として家庭やオフィスなど身近な生活空間に取り入れられています。
バイオフィリックデザインでは、生活空間に自然の要素や風景・植物などを取り入れることで、人間が本能的に求める自然とのふれあいを身近なものとし、ストレスの緩和や生産性の向上を促進することが目的です。特に現代のストレス社会において、自然の要素が取り入れられた環境は、心身の健康を支える重要な要素として注目されるようになりました。

バイオフィリックデザインを導入することで、オフィスや生活空間がより快適で働きやすくなるだけでなく、創造性や集中力の向上、ストレスの軽減などが期待できるでしょう。
またバイオフィリックデザインは、ウェルビーイング(幸福や健康)向上の施策としても取り組まれており、多くの企業や施設が採用しています。

バイオフィリアに取り組むメリット

企業がバイオフィリアに取り組むことで得られる代表的なメリットは「ストレス軽減効果」「ワークエンゲージメントの向上」「新たなビジネスの創出」です。それぞれ詳しくみていきましょう。

ストレス軽減効果がある

バイオフィリアの導入によって自然の要素が取り入れられた環境では、ストレス軽減効果が期待できます。自然の景色や植物や自然な光が身近にあるオフィス空間は、心理的なリラックス効果をもたらし、軽度のストレスや目の疲れなどの軽減につながります。特にコンクリートなど無機質なものが多い都市部やオフィス街では、自然との接点が限られています。しかしバイオフィリアデザインによって、自然の不足を補うことができます。デザインの観点から、従業員のメンタルヘルスを改善できます。

ワークエンゲージメントが向上する

バイオフィリアデザインを取り入れた環境では、従業員のワークエンゲージメントが向上するといわれています。自然の要素が豊富な環境では、創造性や集中力が高まることが報告されています。例えば蛍光灯ではなく自然光を活かしたデザインにすることで、オフィス内が明るくなり時間の変化も把握しやすくなります。

またグリーンによるリラックス効果で、従業員の生産性や仕事への集中度を向上させられます。バイオフィリアを取り入れた環境に身を置くと、従業員はより意欲的に仕事に取り組むことができ、結果として組織全体の業績向上につながります。

新しいビジネスの創出につながる

バイオフィリアを取り入れた環境は、新しいビジネスの創出につながり、イノベーションが起こりやすくなります。これまでのオフィス環境にはない、大胆に自然の要素を取り入れた施設やオフィスは、クリエイティブなアイデアの発想を刺激しイノベーションを生み出す土壌となります。

またバイオフィリアデザインは、企業のブランディングにも影響を与えます。企業が取り組む環境への姿勢をオフィスデザインで表現することで、従業員や顧客に「自然を大切にしている」というメッセージを伝え、それが企業のイメージ向上や競争力強化につながっていくでしょう。

オフィスへのバイオフィリアの取り入れ方・アイデア

オフィスにバイオフィリアを取り入れるための、具体的な方法やアイデアを紹介します。
気軽に取り入れられるものから、オフィスの印象を大きく変えるものまでありますから、自社にあった方法でバイオフィリアを始めてみましょう。

植物を取り入れる

オフィスにバイオフィリアを取り入れるもっとも手軽な方法の一つは、植物を設置することです。観葉植物をオフィスの至る場所に配置することで、従業員が常に自然を感じられます。また植物は空間を彩るだけではなく、空気を浄化する効果もあります。吊るし植えや壁面に取り付けるタイプの植物は、スペースが限られていて床に観葉植物を置けないオフィスでも無理なく設置できます。手入れを手間に感じるなら、メンテナンスフリーのフェイクグリーンでもリラックス効果を得ることが可能です。

壁面の緑化を検討する

オフィスの壁面を緑化することは、現在流行しているバイオフィリアの取り組みの一つです。エントランスやワークスペースなど、多くの人の目に触れる壁一面、もしくは一部を緑化することで、従業員のモチベーションを高めリラックス効果も得られます。またゲストに対しては柔らかな印象を与え、ブランディング効果も期待できるでしょう。工事が必要なケースもありますが、壁面にプランターや植物を取り付けることでも、オフィス全体の印象が新しくできます。

木目調の家具・インテリアを設置する

オフィス内に木目調の家具やインテリアを設置することも、バイオフィリアの取り組みです。木目調の家具は自然を感じやすくし、従業員のリラックス効果を高めることが期待されます。また照明も自然光に近い色や明るさにすることで、より自然な環境を演出できます。

匂いや音で感じられる自然を取り入れる

オフィスには、自然を想起させる匂いや音を取り入れることも効果的です。花や木などの植物の香りを拡散するフレグランスや、川のせせらぎや鳥のさえずりなどのBGMを流すことで、オフィスにいる人々の感覚を刺激しリラックスを促します。目からだけではなく嗅覚や聴覚も刺激することで、よりバイオフィリアな空間を構築できます。ただし過度な匂いや音はかえって調和を乱すことがあるため、控えめにするようにしましょう。

屋外で過ごせる時間を設ける

オフィス内でバイオフィリアデザインを取り入れるだけでなく、社員が外で過ごす時間を設けることも検討しましょう。近隣に公園や広場がある場合は、社員がリフレッシュできる場所として活用できます。外で過ごすこともバイオフィリアデザインと同様に、ストレスを解消し創造性や生産性を高める効果が期待できます。

バイオフィリアをオフィスに取り入れる際のポイント

初めてバイオフィリアをオフィスに取り入れる際に注意したいのは、オフィスとしての機能性や日々の業務を妨げないことです。大量の観葉植物をオフィス内に置いたことで動線となるスペースが圧迫され移動が困難になると、業務効率の低下につながります。ここではバイオフィリアを取り入れる際に、業務効率を維持しながら効果を得るためのポイントについて解説します。

配置する場所と量を決める

バイオフィリアをオフィスに取り入れる際には、適切な配置場所と量を検討しましょう。緑のアイテムの量は10〜15%が適量だといわれており、それ以上になるとオフィスの機能に支障が出る可能性があります。

またオフィススペースを圧迫せず、かつ動線を妨げない配置を心掛けましょう。配置場所は、目に映るけれど邪魔にならない場所を選ぶようにしてください。従業員の視界に入る位置に適切に配置することで、バイオフィリアのリラックス効果を最大限に引き出せます。

メンテナンス性

バイオフィリアを導入する際には、メンテナンスのしやすさも考えましょう。植物は水やりや土の交換、葉の掃除などの日常的な手入れが必要です。自社でのメンテナンスが難しい場合や社員の負担を軽減したい場合は、外部業者にメンテナンスを委託することも検討しましょう。植物を模して作られたフェイクグリーンの活用も、メンテナンスの手間を軽減する方法の一つです。

アウトソーシング、BPOの活用

バイオフィリアの導入計画やメンテナンスに関して、自社での実施が難しいことがあります。そういった場合は、業務の一部をアウトソーシングするか、BPO(Business Process Outsourcing)の活用を検討しましょう。アウトソーシングやBPOを利用することで、専門知識を持った外部の企業にバイオフィリアの導入やメンテナンスを委託できます。自社社員は通常業務に集中でき、専門業者によってバイオフィリアの導入計画が立案・実施されます。バイオフィリアを提案する業者の中には、その後のメンテナンスサービスを用意しているところもあります。

バイオフィリアを取り入れた企業の成功事例

バイオフィリアの導入に成功したオフィスの事例を紹介します。

株式会社メディカル・コンシェルジュ阪急ターミナル梅田支社

株式会社メディカル・コンシェルジュの阪急ターミナル梅田支社では「URBAN JUNGLE」というコンセプトを掲げ、洗練された都会的な雰囲気の中にグリーンの要素を取り入れた空間づくりを行っています。エントランスは、クールな雰囲気を演出するためにコンクリート調の塗装を施し、同時にターコイズカラーのタイルを使用することで柔らかさを表現しています。また面談ブースでは壁面にグリーンを配置することで、自然の要素を取り入れながらも都会的な雰囲気を保っています。そのほかのエリアでも積極的にグリーンの要素が取り入れられており、リラックスした雰囲気が演出されています。

株式会社新興出版社啓林館

株式会社新興出版社啓林館の事務所は、フロア全体が見渡せる設計となっています。執務スペースは、人数や業務内容に合わせて選択できるさまざまなタイプの席が用意されており、外のグリーンを背景とした、開放的な空間が広がっています。またリフレッシュコーナーは、執務スペースと隣接しながらも、インテリアや照明に変化を加えよりリラックスできる空間として設計されています。フロア全体との連続性と一体感を保ちながら、執務とリフレッシュの両方を気持ちよく利用できるようにバイオフィリアが取り入れられています。

株式会社イントラスト

株式会社イントラストでは、エントランスから執務室や会議室に至るまであらゆる場所でバイオフィリアが取り入れられています。エントランスやラウンジでは木目調の壁面や床材でナチュラル感を演出し、存在感のある観葉植物でグリーンカラーを取り入れています。執務スペースでは収納棚にグリーンを配置したり、ロッカールームには側面にグリーンが埋め込まれていたりと、動線を確保しつつ大胆に配置しています。また外の景色を活かした、開放的なプレゼンテーションルームも魅力的です。

株式会社セゾン情報システムズ

株式会社セゾン情報システムズの「DEEP THINK LAB」は、思考を深めることを目指してデザインされた空間です。集中・創造・探求するための場として構想され「JUNGLE」をモチーフに作られました。あふれんばかりの植物で空間を構成し、木漏れ日や自然の音、アロマミストなどが心身ともにリラックスできる要素を取り入れています。フロア中央にはグリッド構造で設計されたワークスペースがあり、コンセプト通りまるでジャングルのような、他のオフィスにはない個性的な空間が広がっています。

某情報通信業

こちらのオフィスは24時間稼働しているため、働く従業員のために機能性と快適性を両立させて設計されています。オフィスでありながらもどこか自宅のような雰囲気を持たせており、植物や自然光を取り入れた優しいデザインが特徴です。ナチュラルなデスクや家具が採用され、仕切りを作らないことで開放的な空間となっていることから、居心地が良いオフィスに仕上がっています。吊り鉢を活用して、無駄なく観葉植物を配置しています。

おしゃれなオフィスづくりはプラス株式会社へ

オフィスの新設や移転をきっかけに、本格的にバイオフィリアを取り入れたいとお考えの際には「プラス株式会社」へお任せください。今回紹介した事例はプラス株式会社がデザインに携わった、バイオフィリアを取り入れたオフィスです。バイオフィリアに関する専門的な知識をもつ業者にデザインをBPOすることで、より洗練された従業員のモチベーションを高めるオフィスを構築できます。

関連記事:オフィスデザインのコンセプトの決め方・手順について

まとめ

近年流行している、バイオフィリアについて紹介しました。観葉植物を設置することや外部の環境を活かすことで、オフィスに気軽にバイオフィリアを取り入れられます。
植物をオフィスに配置する際には、量や置き場所に注意して業務効率を妨げないことが大切です。この記事を参考に、従業員の心身をリラックスさせてモチベーションを高めるバイオフィリアの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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