オフィスは単なる働く場所ではなく、企業の価値や文化を体現する重要な空間です。近年では、企業の個性や理念を表現し、従業員が働きやすくなる環境を整える「オフィスブランディング」が注目されています。この記事では、オフィスブランディングの基本的な意味や重要性のほか、オフィスブランディングの施策と注意点、プラスが手掛けた事例を紹介します。自社でオフィスブランディングを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
オフィスブランディングは働きやすさと企業イメージの向上を両立させる取り組みのこと
オフィスブランディングとは、オフィス空間を通じて企業の価値観や文化を表現し、従業員にとって働きやすい環境を整えながら、外部に対して企業イメージを強化する戦略的な取り組みです。単なる内装や家具の選定にとどまらず、企業の理念やブランド戦略を体現する総合的なプロジェクトといえます。
具体的には、オフィスのデザインやレイアウト、設備の整備、さらには従業員同士のコミュニケーションを促進する施策まで多岐にわたります。例えば、オープンなコミュニケーションを促す共有スペースの導入や、企業カラーを取り入れた内装デザインなどが代表的です。
オフィスブランディングはなぜ企業にとって重要なのか
オフィスブランディングが企業にとって重要な理由は、従業員のエンゲージメント向上と企業ブランド力の強化という2つの側面から大きな効果が期待できるからです。それぞれを下記で詳しく解説します。
従業員のエンゲージメント向上につながるから
オフィスブランディングは、従業員のモチベーションや連帯感を高める効果があります。自社の理念や価値観がオフィス空間に明確に表現されていると、従業員はその環境に誇りを感じ、自分の働きに対する意義や目的を再認識できます。これはワークエンゲージメントの向上、ひいては定着率の改善に直結するといえるでしょう。
企業ブランド力を強化できるから
オフィスブランディングは、対外的な企業イメージの向上にも直結します。オフィスを通じて企業の姿勢や価値観を発信すると、取引先や顧客に対して企業の姿勢や価値観を明確に伝える効果があり、信頼感の醸成やブランド認知の強化につながります。競合他社との差別化にも効果的で、採用活動においても「この会社で働きたい」と感じてもらえるでしょう。
さらに、現代のビジネス環境ではリモートワークやハイブリッド勤務が一般化しつつあり、オフィスの存在意義そのものが変化しています。最近ではコロナ禍を経て出社回帰の傾向も強まり、「わざわざ出社したくなる空間づくり」が求められ、戦略的なブランディングが不可欠となっているのです。
インナーブランディングとアウターブランディング
オフィスブランディングにおいては、「インナーブランディング」と「アウターブランディング」の両方を意識することが重要です。両者は対象とする相手が異なり、それぞれの目的も異なりますが、相互に補完し合う関係にあります。
インナーブランディングとは
インナーブランディングとは、従業員に対して企業理念やビジョン、価値観などを浸透させ、エンゲージメントやモチベーションを高めるための取り組みです。オフィス空間に企業の想いを反映させることで、従業員一人ひとりが「この会社で働く意味」を感じられるようになります。
アウターブランディングとは
アウターブランディングは、顧客や取引先、採用候補者など外部に向けて、企業のブランドイメージを伝える施策です。エントランスや会議室のデザインなどを通じて、信頼感や先進性、誠実さといった企業の印象を効果的に発信することが求められます。
この2つは分断して考えるのではなく、オフィス全体のブランディング戦略として統一感を持たせることが重要です。
オフィスブランディングの成功ポイント
オフィスブランディングを成功させるには、単に見た目を整えるだけでなく、企業の理念や文化を空間に正しく反映させることが重要です。ここでは、オフィスブランディングを効果的に進めるための4つのポイントを紹介します。
<オフィスブランディングの成功ポイント>
- オフィスデザインとレイアウトを工夫する
- エントランスや応接室のデザイン性を高める
- 企業イメージに合うオフィスロケーションを選ぶ
- 社内イベントでエンゲージメントを高める
オフィスデザインとレイアウトを工夫する
オフィスブランディングにおいて基本となるのが、空間デザインとレイアウトの工夫です。働きやすさとブランドイメージの両立を図るには、機能性とデザイン性を両立させる必要があります。
例えば、フリーアドレスを導入して柔軟な働き方を実現する、動線を最適化して業務効率を高めるなど、従業員目線の工夫が重要です。また、部署間の壁を取り払ってコミュニケーションが活性化するゾーニングを行うことで、自然な交流が生まれやすくなります。
さらに、企業カラーを内装に取り入れたり、ロゴやスローガンを効果的に配置したりすると、オフィス全体にブランドの統一感を持たせることが可能です。
プラスの公式サイトでは、プラスが手掛けたさまざまな業界のオフィスのレイアウトを事例として公開しています。自社の目的と似た企業様の事例を、ぜひ参考にしてください。
企業イメージに合うオフィスロケーションを選ぶ
オフィスの立地は、企業のブランドイメージを象徴する要素の1つです。例えば、クリエイティブ系の企業であれば、トレンドに敏感な若者が集まる街にオフィスを構えると、企業の先進性や柔軟性を印象づけられます。金融や法律などの信頼性が重視される業種であれば、落ち着いた雰囲気のビジネス街に立地すれば、堅実で信頼感のあるイメージを発信できます。
オフィス移転を検討する際は、業種や企業文化、ターゲット層に応じた最適なエリアの選定が重要です。
社内イベントでエンゲージメントを高める
オフィスブランディングの一環として、社内イベントの活用も効果的です。セミナーや勉強会、ランチ会、ワークショップ、従業員座談会などを定期的に開催すると、従業員同士のコミュニケーションが活性化し、チームの一体感や帰属意識が高まります。
こうしたイベントは、企業理念やビジョンを共有する場としても機能し、インナーブランディングの強化に寄与します。特に、新入社員や中途社員にとっては、企業文化を体感する貴重な機会となるでしょう。
エンゲージメントの高い従業員は、業務に対する意欲や責任感が向上し、生産性の向上や離職率の低下にもつながります。イベントの実施にあたっては、従業員の声を反映させながら、柔軟な形式で継続的に行うことが成功のポイントです。
オフィスブランディングを進める際の注意点
オフィスブランディングは企業価値を高める強力な施策ですが、進め方を誤ると、かえって従業員の反発や無駄なコストの招くおそれもあります。ここでは、オフィスブランディングを実施する上での注意点を3つに分けてご紹介します。
■オフィスブランディングを進める際の注意点
計画的に進める
成功するオフィスブランディングには、綿密な計画と現実的なスケジュール管理が欠かせません。まずは、予算の上限を明確にし、費用対効果を意識したプランニングが重要です。特に総務・人事部門と密に連携し、現場の課題や従業員の声を反映させながら計画を立てましょう。
また、従業員に変化を強制するのではなく、自然な興味や共感を引き出す工夫も必要です。トップダウンだけでなく、ボトムアップの意見を取り入れながら進めると、従業員の納得感や参加意識を高められます。
さらに、効果がすぐに現れないからといって途中であきらめてしまうのは禁物です。施策の成果は中長期的に表れることが多いため、定期的な振り返りや改善のサイクルを取り入れ、継続的にブラッシュアップする姿勢が求められます。
視覚的に適した内装材を選ぶ
内装材の選定は、オフィス空間の印象を大きく左右する重要なポイントです。企業のブランドカラーやトーンに合った素材や仕上げを選ぶと、空間全体に統一感が生まれ、視覚的にもその企業らしさを表現できます。
また、実用面での配慮も欠かせません。例えば、防音対策を施した壁材や吸音パネルを活用すれば、集中できる環境づくりや情報漏洩防止につながります。特に会議室や応接室では、遮音性の高い素材を使用すると、信頼性を高める要素となります。
見た目だけでなく、快適性や機能性も重視した内装材の選定が、働きやすいオフィスづくりとブランディングの両立に大きく貢献します。
効果測定・評価を実施してブラッシュアップする
オフィスブランディングの効果は、実施して終わりではありません。定量的・定性的な評価を通じて現状を把握し、必要に応じて改善していくことが成功のカギとなります。
具体的には、従業員アンケートやヒアリングによる満足度の把握、離職率や業務生産性などの数値的なデータの分析が有効です。また、第三者の専門家やコンサルタントの意見を取り入れると、改善点が明らかになることもあるでしょう。
効果は短期間で表れにくい場合が多いため、少なくとも半年から1年のスパンで中長期的に評価と改善を繰り返す体制整備が求められます。PDCAサイクルを意識しながら、柔軟かつ持続的な運用を目指しましょう。
プラスが手掛けたオフィスブランディングの事例
ここからは、プラスがお手伝いしたオフィスブランディングの事例を3つご紹介します。それぞれの企業がどのように空間を設計・改善してオフィスブランディングと働きやすさを両立させたのか、参考にしてください。
「働く人が幸せになれるオフィス」をブランディングにオフィスを構築した株式会社アーバネットコーポレーション 様

入居人数 | 約80名 |
延べ床面積 | 約1,300平方メートル |
業界・業種 | 不動産業 |
本社移転を機に、「働く人が幸せになれるオフィス」というコンセプトのもと、エントランスやラウンジのデザインを一新。リフレッシュエリアやフィットネスエリアなどと併せ、健康経営や成長意欲、そしてブランド力を体現するオフィス空間を作り上げました。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
先進的なイメージを打ち出すオフィスリニューアルを実施した東京青果株式会社 様

延べ床面積 | 約650平方メートル |
業界・業種 | 卸売業 |
市場に抱かれがちな古いイメージを払拭し先進性を感じられるオフィスリニューアルを実施した同社。青果を扱う企業らしさを感じさせる色合いや素材感を取り入れ、清潔感と安心感を与えるカラーでコーディネートしました。エントランスではプロジェクションマッピングも導入し、企業理念を発信しています。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
企業の理念をオフィスブランディングに落とし込んだコーラス株式会社 様

業界・業種 | 卸売業 |
社会とともに進化し続けるという理念を、オフィスデザインで表現した同社の新オフィス。「Safer and Cozy workplace」を実現する、背面対向を基本としアクセシビリティの良いレイアウトを取り入れました。「選択可能なワークプレース」のひとつとして、みんなが気持ちよく存分に働けるオフィスを目指しました。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
オフィスブランディングで企業価値を高めるなら、プラスにご相談ください
オフィスブランディングは、単なる空間演出にとどまらず、従業員のエンゲージメント向上や企業の信頼性向上、さらには事業成長を後押しする戦略的な投資です。経営理念を体現する空間を構築することで、社内外のステークホルダーに一貫したメッセージを届けることが可能になります。
「どこから手をつければいいかわからない」「自社らしいオフィスとは何かを明確にしたい」とお悩みの方は、ぜひプラスにご相談ください。これまでの豊富な実績とノウハウを活かし、貴社のブランド価値を最大限に引き出すオフィス空間をご提案いたします。
オフィスブランディングに関するよくある質問
オフィスブランディングの目的とは?
オフィスブランディングの目的は、企業理念や価値観を空間に反映し、従業員のエンゲージメントや帰属意識を高めることにあります。さらに、訪問者や取引先に対して一貫した企業イメージを発信し、ブランド力を強化します。オフィスブランディングは社内外の信頼構築と、企業価値の向上に直結する重要な施策といえるでしょう。
オフィスブランディングを成功させるポイントは?
オフィスブランディングを成功させるためには、企業のビジョンや文化にもとづいた空間設計が不可欠です。現場の従業員の意見を取り入れた共創型のプロセスが、納得感と浸透力を高めます。また、内装やレイアウト、ロケーションなどを統一的にデザインすれば、一貫したブランド体験が可能になります。
オフィスブランディングの効果測定と注意点は?
オフィスブランディングの効果を測定するには、従業員アンケートやヒアリングで満足度を把握するほか、離職率・生産性などの定量データを活用するのがおすすめです。結果がすぐに出にくいため、中長期的な視点で継続的に改善を行う姿勢が重要といえるでしょう。また、ブランディングの方針や新しい環境をトップダウンで導入するのではなく、従業員の理解と共感を得ながら進めることが成功のカギとなります。