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社内コミュニケーションの円滑化は、スムーズな業務の進行、働きやすい職場の実現などに欠かせないものです。しかし、現状は必ずしも十分なコミュニケーションが取れている職場ばかりではなく、課題と感じている人も多いのではないでしょうか。特にコロナ禍において、社内コミュニケーションはこれまで以上に難しくなっています。今回はコロナ禍における社内コミュニケーションの現状を見つつ、円滑化を進めるためのアイデアをご紹介します。

アフターコロナの社内コミュニケーションとは

2020年に新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、それ以前と比べてコミュニケーションの形は大きく変化しました。ビジネスの現場においても、テレワークやオンライン会議システムの導入とオンラインでのコミュニケーションが当たり前となりつつあります。

その反面、改めて対面でのコミュニケーションを求める声が大きくなっているのも事実です。2022年1月、Job総研が発表した「社内コミュニケーション調査」によると、2021年と2022年での社内コミュニケーションの取り方に大きな変化が見られます。

2021年の社内コミュニケーションの取り方については、「オンラインが圧倒的に多かった(48.6%)」「オンラインがやや多かった(13.1%)」と、オンラインのほうが多かったという人が合わせて61.7%という結果でした。

しかし、2022年は、「意識的に対面コミュニケーション多くしていく(21.5%)」「どちらかといえば対面コミュニケーションを多くする(34.2%)」と、対面を増やしたいと回答した人が合わせて55.7%という結果となっています。

出典:社内コミュニケーション調査|Job総研

また、2022年10月にWeWork Japan合同会社が発表した「コロナ禍長期化における働き方意識調査2022」によると、オフィスワークとテレワークの両方を認めている企業は、2021年には48%でしたが、2022年には55.6%となり、7.6%増加しています。

出典:コロナ禍長期化における働き方意識調査2022|WeWork Japan合同会社

この結果から今後はオンラインと対面双方のメリットをうまく融合しながらコミュニケーションを取る形へと移行していくのではと予測されます。

社内コミュニケーションにおける課題

オンラインと対面を併用した社内コミュニケーションが進みつつある現在。しかし、まださまざまな課題もはらんでいます。主な課題は次のとおりです。

コミュニケーション不足

オフィスワークとテレワークを併用するハイブリッドワークを導入したとしても、オフィスワークのみだったときと比べると、対面でのコミュニケーションに十分な時間は割けません。対面でのミーティングをしたいと思った相手が自宅にいるといったように、出社のタイミングが合わず結果としてコミュニケーションが不足してしまいます。

働き方の意識変化

2023年1月にビッグローブ株式会社が発表した「働き方に関する意識調査」によると、「2023年は働き方をどのように変えたいか」という質問に対しては、テレワークを「変えたくない(65.1%)」「増やしたい・やや増やしたい(26.2%)」という結果でした。テレワークでもやり方によってコミュニケーションは可能ですが、対面に比べるとどうしても細かい部分でのすり合わせが難しくなるケースも少なくありません。

出典:働き方に関する意識調査|ビッグローブ株式会社

また、業務外でのコミュニケーションを敬遠する社員も増加しています。ビッグローブ株式会社が2022年7月に発表した、「コロナが収束した後の行動に関する意識調査」によると、「今後、出社が増えたとしても、新型コロナウイルス感染症を理由に飲み会や社内イベントを断ると思うか」という質問に対して「(断ると)思う・やや思う」を合わせた回答は79.3%でした。しかも「(断ると)思う」と回答したのは、若い世代だけではなく、こう回答した割合は50代が最も多いという結果です。

出典:コロナが収束した後の行動に関する意識調査|ビッグローブ株式会社

コロナ禍を経て、コミュニケーションに対する考え方も大きく変化していると考えられます。そのため、単純にハイブリッドワークを導入するのではなく、オフィスでも自宅と同じように一人で集中して働けるスペースを設置する、自然にコミュニケーションが取れるオフィスカフェを設置するなど、オフィスを快適に働ける環境にすることも重要になってくるでしょう。

社内コミュニケーション活性化によるメリット

社内コミュニケーションの課題は山積していますが、活性化を実現させれば、さまざまなメリットが享受できます。具体的には次のとおりです。

ミスの軽減

社内コミュニケーションが活性化すれば互いの情報共有も漏れなく行えるようになり、「知らない」ことでのミスが軽減します。一つひとつは軽微なミスでも重なっていけば業務全体を遅らせてしまうリスクになるため、密なコミュニケーションはミスを軽減する重要な役割を果たすといえるでしょう。

従業員・顧客満足度の向上

社内コミュニケーションが満足にできていないと、社員間の関係性もぎくしゃくしてしまい、不満ばかりが溜まってしまいます。しかし、互いに活発にコミュニケーションを取るようにすれば、不満を溜め込むこともなくなり、風通しの良い職場環境の構築が可能です。結果として従業員満足度の向上にもつながるでしょう。

また、社員間のコミュニケーションが活発になれば、一人ひとりが持つ情報量が増え、顧客にも還元できるようになります。顧客に有益な情報提供を行えるようになることで、顧客満足度を向上させることも可能です。

新しいアイデアが生まれやすくなる

社内コミュニケーションの活性化は、同じ部署内だけではなく、他部署とのコミュニケーション活性化にもつながります。そのため、同じ部署内だけでは解決できなかった課題が他部署からの助言であっさり解決する、新たな事業のアイデアが生まれるなどの可能性も高まり、企業全体の活性化も期待できます。

社内コミュニケーションの重要性については、『社内コミュニケーションとは?重要性や課題、改善策をあらためて考える』をご覧ください。

社内コミュニケーション活性化のために試したい、9つのアイデア

社内チャットツールの導入

最近では遠方にある支社や工場など、離れた場所にいる社員とやり取りしながら業務を進めることは当たり前になりつつあります。しかし、普段顔を合わせるわけではないだけに、コミュニケーション不足を感じるケースも少なくありません。

そうした際におすすめなのが社内チャットツールです。電話と違って相手の仕事の手を止める必要もなく、メールのように「お疲れさまです」や「どうぞよろしくお願いします」といった定型の挨拶を書く必要もありません。

チャットツールを使う最大のメリットは、これらの手間を省くことができるため手軽に使えるという点にあります。それはそのまま、コミュニケーションの回数を増やすことにもつながるでしょう。

オフィスのフリーアドレス化

HR総研の調査によると、社内コミュニケーションが特に不足していると考えられているのは「部門間」「部署内のメンバー同士」の二つです。オフィスのフリーアドレス化は、この二つのコミュニケーションを円滑にするのに特に効果的な施策のひとつといえます。

社員一人ひとりのデスクをあえて固定せず、その日その日で違う場所に座ることで、他部署の社員や役職の異なる管理職層の社員と隣同士になる機会が増えます。その結果、いい意味での雑談が生まれるなど、自然なコミュニケーションが増えていくのではないでしょうか。

フリーアドレスについて詳しくは。『【コロナ対応】ルールと事前準備が大切!フリーアドレス導入で失敗しないために』をご覧ください。

感謝を伝えるサンクスカード

従業員のモチベーション向上のために表彰制度を取り入れている企業は少なくありません。しかし、もっと気軽に、全社員を巻き込んでいきたいと考えているなら「サンクスカード」を導入してみてはいかがでしょう。

「サンクスカード」とはその名のとおり、他の社員から受けた親切をカードに記して「感謝」の気持ちを伝えるものです。業務で頑張ったり、助けてもらったりしたことを当たり前とするのではなく、具体的に形にすることでより親近感を持ったり、信頼関係を築いたりすることにつながります。誰でも相手に「ありがとう」の気持ちを伝えられると嬉しいものです。サンクスカードが増えていけば、社内の雰囲気も明るくなり、自然とコミュニケーションも円滑なものになるのではないでしょうか。

ちょっとした会議に使えるミーティングスペースの確保

会議はビジネスの意思決定の場として重要なものですが、複数の社員の手を止めることになるため、業務の生産性を阻害するという指摘もあります。また、会議室に集まることで参加者を緊張させ、円滑なコミュニケーションが生まれにくいと感じる人も多いのではないでしょうか。

そんな場合には、デスクの周りにちょっとしたミーティングスペースを設けてみることをおすすめします。立ち話感覚でさっと意見交換や状況報告ができるような場所があれば、気軽にコミュニケーションを取れるだけでなく、貴重な時間をムダにすることもありません。デスク周りにスペースを確保するだけなので、手軽に導入できるのも見逃せないポイントといえるでしょう。

情報共有スペースの設置

自分の所属する部署内のコミュニケーションはうまくいっていても、隣の部署は何をしているのかわからないといった企業は意外と多いものです。そんな「部門間・事業所間」のコミュニケーション円滑化のアイデアとしてオフィスのフリーアドレス化をご紹介しましたが、もうひとつ、ぜひ試していただきたいのが情報共有スペースの設置です。

執務室の壁面の一部をホワイトボードにして、各部署の取り組みを掲示したり、業務のアイデアを募集したりすることで、他部署がどんな動きをしているのかを「見える化」することができます。こうすることでコミュニケーションを円滑化するだけでなく、一部署だけでは生まれにくい画期的なアイデアを集めることにもつながるでしょう。また、自分たちの働きが社内に公表されることで、社員のモチベーションが向上するといった効果も期待できます。

社内ブログの立ち上げ

社内ブログを立ち上げるのもコミュニケーションを活性化するためのひとつの方法です。

「社内でよくすれ違うので顔は知っているけれど、どんな人かはわからない……」と社員同士でお互いに思っていることは多いのではないでしょうか。そこで、社内ブログを立ち上げ、日替わり、週替わりで社員を一人ずつ紹介したり、社内プロジェクトに関する記事を参加メンバーのプロフィールとともに載せたりすれば、社員が他部署の社員や業務内容に興味を持つきっかけをつくることができます。他の人や仕事に興味を持つことは、コミュニケーションを増やすことにつながるでしょう。

写真、ポスター等を展示

普段知ることができない、他の社員のキャラクターや他部署の仕事を知るための方法として、写真展の開催やポスターの展示という方法も挙げられます。「仕事がオフの日のリラックスした自分の姿を見てもらいたい」という社員がいれば、旅先や行楽地などでの美しい写真、面白い写真を展示する会を開くのもよいでしょう。

あるいは、社内プロジェクトにおけるハイライトシーンを、職場の写真を掲示するボードに設けるのも一案です。掲示された写真から普段話すことのない人の素顔を知ることができ、会話のきっかけにもなり得ます。

また、プロジェクト関連のポスターをさまざまな場所に貼って雰囲気を盛り上げれば、それをきっかけとしたコミュニケーションが生まれるだけでなく、社員のモチベーションやエンゲージメントのアップにもつながるでしょう。

雑談の促進

上述の「オフィスのフリーアドレス化」の話でも触れた「雑談」は、コミュニケーションの活発化を促すもののひとつ。社内が明るくなったり、チームワークが向上したりといったさまざまな効果が期待できます。

普段、仕事の用件はついメールで済ませてしまって会話の機会がないという人も多いのではないでしょうか。「話をするのは時間の無駄ではないか?」「必要もないのにしゃべっていると、さぼっていると思われそう」など、いろいろなことを心配して、雑談を避けているという場合もあるでしょう。

しかし、メールで用件だけを伝えるのと、相手の目を見て直接言葉を交わすのとでは、相手との距離感が異なります。実際、日本能率協会がビジネスパーソンに対して行った調査では、「あなたは、職場の親睦を深めるのに何が有効だと思いますか」という問いに対し、半数近くの人が「雑談」と回答しています。

また、雑談はコミュニケーションを活性化するだけでなく、業務効率がアップするという計測結果も出ています。日立製作所が行った「ウェアラブル技術による幸福感の計測」(2015年)において、電話営業を行うコールセンターの従業員を対象に、行動と生産性の関係を研究した結果、休憩時間の雑談が全体的に活発だった日はそうでない日に比べて、全体の受注率が1.34倍アップすることが判明しました。雑談は組織全体の生産性アップにも影響しているようです。

ただ、自席での雑談では、常に同じ部署の社員同士としか行えません。そこで社内カフェの設置をおすすめします。食後や会議終わりなどにフラッと立ち寄りさまざまな部署の社員と雑談をする場所ができれば、社内コミュニケーションも円滑に進められるようになるでしょう。

プラスでは、雑談の創出に最適な「5 TSUBO CAFE」を提供しています。1坪のスペースがあれば設置可能なため、オフィスが広くない企業でも気軽に利用いただけます。詳しくは、「5 TSUBO CAFE」をご覧ください。

交流会の実施

一般の社員が、他の部門や事業所、または経営層と話をする機会はあまりないということも多いでしょう。オフィスのフリーアドレス化によってそうしたチャンスを増やすこともできますが、社内交流会を開くのも普段話さない人と話すチャンスを持てる方法のひとつです。

クリスマス、ハロウィーン、周年記念などの機会に楽しいイベントを企画することで、わきあいあいとした職場を作れる可能性が高まるでしょう。そうした職場は、ストレスが少なく、仕事の話をするときも円滑なコミュニケーションが成り立ちやすくなります。

社員の主体性を育むオフィスづくり

業務内容や現状に合わせて適切な施策の導入を

今回ご紹介した9つのアイデアはすでに他の企業でも実践され、効果を出しているものばかりです。ただ、全てのアイデアが全ての企業にも適しているとはいい切れません。業務内容や現在の状況に合わせて、効果的と思うものを取り入れることが重要です。社内コミュニケーションが不足していると感じたら、ぜひ参考にしてみてくださいね。

また、社内コミュニケーションについてオフィスのレイアウトをひと工夫して、活性化を実現した例もあります。詳細については別記事でまとめていますので、そちらもあわせて確認してみてください。

【関連記事】【事例】社内コミュニケーション活性化を実現するオフィスレイアウトとは?

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この記事を書いた人

マーケティング部 プラス株式会社ファニチャーカンパニー

プラス株式会社ファニチャーカンパニー マーケティング部

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