パワーナップとは、短時間の昼寝で午後の業務効率を向上させる取り組み
パワーナップ(Power Nap)とは、15~30分程度の短時間の仮眠を取り、疲労回復と認知機能の向上を図る手法のことです。アメリカの社会心理学者ジェームス・マース博士が1998年に提唱し、「Power(力)」と「Nap(うたた寝)」を組み合わせた造語です。
NASAが発表した「長距離運航における計画的なコックピット休憩が乗務員のパフォーマンスと覚醒度に与える影響」(2013)では、計画的なパワーナップによりパイロットの警戒能力が54%、認知能力・パフォーマンスが34%向上することが示され、その効果は国際的にも認知されています。
浅いノンレム睡眠段階でタイマーを活用して起床すれば、すっきりと目覚め、パフォーマンスの向上が可能です。また、午後1時~3時という生体リズムに適した時間帯に実施すると、より高い効果が得られるでしょう。
プラスが実施したパワーナップに関する調査は、下記のページをご覧ください。
いい仕事は、いい仮眠から。-経営者や役員への調査データから考えるオフィスでの”ナップ”の可能性-
一般的な昼寝とパワーナップの違い
一般的な昼寝は疲労に任せて長時間眠る傾向があるのに対し、パワーナップは時間管理を徹底し、短時間で切り上げる点が大きく異なります。通常の昼寝では目覚め時に頭がぼんやりしてしまうのは、睡眠慣性によって深い睡眠段階に入ってしまうからです。
パワーナップでは、意図的に浅い眠りの段階で目覚めるため、深い眠りから無理やり起こされる時の不快感がありません。さらに、20分程度の短時間睡眠では、脳が完全に休息モードに切り替わる前に覚醒するため、目覚めた瞬間から頭がクリアな状態を維持できます。
科学的根拠にもとづくパワーナップの効果のメカニズム
パワーナップの効果は脳科学的にも裏付けられており、短時間の仮眠中に脳内で疲労物質であるアデノシンが分解され、神経活動がリセットされるといいます。また、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が抑制される一方、セロトニンの分泌が促進され、精神的疲労感の軽減も可能です。
これらの生理的変化によって、たった15~20分の仮眠でもパフォーマンスが向上します。
パワーナップのメリット
パワーナップを取り入れることで得られる主なメリットは次のとおりです。
■パワーナップのメリット
集中力・認知機能の向上
パワーナップ後には注意力や判断力が大幅に改善されることが、NASAやハーバード大学の研究により証明されています。午後の昼寝をした人は認知テストにおいて、場所認識、言語流暢性、記憶力などの分野で優れた成績を収めると報告されています。
パワーナップを取り入れれば、創造性や問題解決能力も高まり、午後の会議やブレインストーミングにおいてより良いアイディアが生まれやすくなるでしょう。脳の前頭前野の活動が活性化され、計画立案や意思決定といった高次認知機能が向上し、仕事の質的向上に寄与します。
疲労回復・ストレス軽減
短時間の仮眠によって、身体的・精神的疲労の双方を効果的に軽減可能です。筋肉の緊張が緩和され、血圧や心拍数が安定し、午後からの活動に必要なエネルギーが回復します。
さらに、慢性的ストレスによって興奮状態にある交感神経が鎮静化され、副交感神経優位の状態に切り替わります。この変化により、イライラや不安感が軽減され、対人関係のコミュニケーションも円滑になるでしょう。
記憶力・学習能力の向上
パワーナップ中は、脳の海馬では記憶の整理・統合が行われ、短期記憶が長期記憶へと転送されやすくなります。このプロセスにより、学習内容の定着性が高まり、新しい情報の記憶能力も向上します。
特に午前中に学習した内容については、パワーナップ後により深い理解を得ることが可能です。記憶容量がリセットされ、午後以降の新しい情報処理も効率化されます。
パワーナップの正しい導入方法
近年、パワーナップを取り入れる企業が増えています。正しい導入方法を3つのポイントで見ていきましょう。
<パワーナップの正しい導入方法>
- 最適な時間帯と継続時間を守る
- 効果的な環境をつくる
- 目覚めに工夫し、覚醒を促す
最適な時間帯と継続時間を守る
パワーナップに最も適した時間帯は午後1時~3時であり、特に昼食後の午後1時30分~2時30分が推奨されています。この時間帯は体内時計により自然と眠気が高まる時間であり、仮眠効果が高いからです。
ただし、眠気を感じる時間帯には個人差があります。また、業務内容や集中したい作業を行うタイミングに合わせ、自分に最適なパワーナップ時間を探すのもおすすめです。
継続時間は15~30分が理想的であり、20分間が最も推奨されます。10分未満では効果が乏しく、30分を超えると深い睡眠に入ってしまい、逆効果となるリスクがあります。
効果的な環境をつくる
パワーナップ時は、静かで暗い環境を整えることが重要です。アイマスクや耳栓を使用し、外部からの刺激を遮断すると、質の高い仮眠が可能となります。室温は25~27度程度に調整し、ブランケットなどによる体温管理が望ましいでしょう。スマートフォンは機内モードに設定し、「パワーナップ中」の掲示により他者の干渉も防げます。
プラスが提供するファニチャーシリーズ「Office Nap(オフィスナップ)」は、オフィスでの快適な仮眠をサポートします。完全に寝入らないよう計算されたデザインで、シェードを降ろして顔周りを覆い、適度な暗さを実現します。パワーナップの導入を検討している担当者さまは、ぜひご相談ください。
Office Nap(オフィスナップ)について、詳しくはこちらのページをご覧ください。
目覚めに工夫し、覚醒を促す
パワーナップから覚醒する際、アラーム音は徐々に音量が上がるタイプや自然音を使用し、穏やかな覚醒を促すことが推奨されます。なお、周囲にも音が聞こえる環境でパワーナップを行う場合は、目覚ましにはバイブレーション機能を使用するなど、周りの方への配慮も必要です。起床直後には軽いストレッチや深呼吸を行えば、血流を促し、素早く覚醒状態へと移行できます。
また、パワーナップ直前にコーヒーを飲む「コーヒーナップ」という手法も効果的です。仮眠後のスッキリ感がさらに高まります。
パワーナップの注意点
メリットの多いパワーナップですが、注意すべき点もあります。以下の3つのポイントを理解して実践することが大切です。
<パワーナップの注意点>
- 環境やルールの整備が必要
- 夜の睡眠とのバランスを考慮する
- パワーナップが向かない方にはすすめない
環境やルールの整備が必要
導入にあたっては、専用スペースの確保と適切なルールづくりが重要となります。仮眠用ボックスやリラクゼーションルームを設け、防音・遮光・温度調整などの環境整備が必要です。
ベッドや布団での仮眠は深く眠りすぎる傾向があるため、椅子やソファなど目覚めやすい環境を選択しましょう。
夜の睡眠とのバランスを考慮する
30分を超えるパワーナップは睡眠慣性を引き起こし、目覚め時の眠気や倦怠感を強めるため避けるべきです。午後4時以降の仮眠も夜間の主睡眠に悪影響を与えるため実施すべきではありません。特に夜の主睡眠時間が6時間未満の場合には、パワーナップよりも夜の睡眠確保を優先すべきです。
慢性的な睡眠不足を抱える方は、パワーナップに依存するのではなく、根本的な睡眠環境の改善に取り組む必要があります。夜間の眠りに支障が出た場合は、仮眠時間を10分程度に短縮するか、週数回の頻度に抑える工夫が必要です。
パワーナップが向かない方にはすすめない
不眠症や睡眠障害を抱える方は、医師に相談せずにパワーナップを開始すべきではありません。一度眠るとなかなか起きられない体質の方にも、向いていない可能性があります。シフト勤務や不規則な生活をしている方は、パワーナップのタイミングが体内リズムと合わない場合もあるため、慎重な調整が求められます。
また、妊娠中や授乳中の女性はホルモンバランスの影響を受けやすいため、自身の体調を最優先に判断できるよう、企業側から調整できるルールの提案が大切です。
パワーナップ環境を整備するなら、Office Nap(オフィスナップ)がおすすめ
パワーナップは、効果的に導入すれば生産性向上につなげられます。企業で導入するには、正しいルールの整備と環境設定が必要です。
プラスでは、パワーナップに適したOffice Nap(オフィスナップ)を提供しています。デザイン性の高いハイバックチェアは、深い眠りに入るのを防ぐ絶妙な後傾角度の110度で設計されており、ほどよい昼寝で従業員の生産性アップにつながります。
ご相談はプラスまでお寄せください。
お問い合わせはこちらから
Office Nap(オフィスナップ)について、詳しくはこちらのページをご覧ください。
パワーナップに関するよくある質問
パワーナップを導入するメリットとは?
パワーナップの導入により、集中力・認知機能の向上、疲労回復・ストレス軽減、記憶力・学習能力の向上が期待できます。パワーナップでは、意図的に浅い眠りの段階で目覚めるため、深い眠りから無理やり起こされる時の不快感がありません。午後の業務効率が大幅に改善され、企業全体の生産性向上に貢献します。
パワーナップに適した時間帯と睡眠時間を教えてください。
パワーナップに最適な時間帯は午後1時~3時、特に昼食後の午後1時30分~2時30分が推奨されています。この時間帯は体内時計により自然と眠気が高まる時間であり、仮眠効果が最も得やすいからです。睡眠時間は15~30分が理想的で、20分間が最も推奨されます。10分未満では効果が乏しく、30分を超えると深い睡眠に入ってしまい逆効果となるリスクがあります。
パワーナップを導入する際の注意点は?
パワーナップ導入時の注意点として、専用スペースの確保と適切なルールづくりなど環境整備が必要です。また、30分を超える仮眠や午後4時以降の仮眠は夜間の主睡眠に悪影響を与えるため、時間とタイミングの管理が重要です。さらに、不眠症や睡眠障害を抱える方、一度眠るとなかなか起きられない体質の方には向いていない可能性があるため、個人の体質を考慮した導入が必要です。